医療法人とは?概要と種類、クリニックとの違いを解説!

2022.07.01

「医療法人」「クリニック法人化」「医療法人成り」…

これらの言葉を聞いたことはあっても、何となくのイメージだけで実はきちんと概要を理解していないという方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、医療法人とは何かという定義について分かりやすく解説します。

CONTENTS

法人とは

医療法人の説明に入る前に、まず法人とは何かという前提を理解しておきましょう。

法人とは、法律によって人と同じような法的権利や義務が認められた団体のことです。

人は法的権利を行使することによって、商品や不動産などの売買などを行います。

人と同等の権利や義務を団体に与え法人化することで、その団体は売買、契約、所有、裁判などにおいて個人と同じように法的権利を行使したリ義務を負うことが出来ます。

つまり法人化すると、団体名義で個人と同等の活動が行えるようになるのです。

法人の種類

法人は大きく分けて、公的法人と私法人(営利法人・非営利法人)に分類されます。

公的法人

公的法人とは、公の業務を行うことを目的とした法人です。
地方自治体などの地方公共団体や、日本赤十字社や日本年金機構などの特殊法人がこれに該当します。

営利法人

営利法人とは、経済的利益の獲得を目的とした法人です。

会社法によって規定された株式会社や合同会社などがこれに該当します。

非営利法人

非営利法人とは、経済的利益を目的としない法人です。

学校法人やNPO法人、社会福祉法人などがこれに該当します。

医療法人は、この非営利法人の一つです。

医療法人とは

それでは、医療法人について具体的に解説していきましょう。

医療法によって定められた定義は下記の通りです。

 

第三十九条 病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。
2 前項の規定による法人は、医療法人と称する。

つまり医療法人とは、病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院といった医療施設の開設を目的に設立される、医療法によって認められた法人のことです。

 

個人医院との違いを、先程の法人の定義に当てはめて考えてみましょう。
個人のクリニックを所有・経営するのは創設者である先生ですが、クリニックを法人化することで、この経営主体が先生個人でなく、法人化したクリニック(=医療法人)に変わります。

個人事業が個人事業主から株式会社として法人化されるように、医療事業は個人医院から医療法人として法人化されるのです。

「医療法人=医師が作る会社」とイメージすると、より分かりやすいでしょう。

医療法人の目的

医療事業の経営主体を法人化すると、資金の集積が容易となり、医療機関等の経営に永続性が付与されるので、個人の医療事業の経営困難が緩和されます。

これが医療法人の目的です。

医療法人化すると、高額医療機器の導入が容易になる等医療の高度化を図ることができるため、医療の提供体制が確保され地域医療の供給が安定するという更なるメリットも期待されます。

医療法人の非営利性

医療法人の非営利性については、医療法によって下記の通り定められています。

6 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、第四項の規定にかかわらず、第一項の許可を与えないことができる。

医療は人の命に関わる仕事であって、積極的に利益を求めるものではありません。

そのため医療法人は、株式会社などの営利法人とは異なり非営利団体とされ、余剰金の分配などは禁止されています。

 

では、個人経営のクリニックの場合はどうでしょうか?
医療法で非営利と定められているのは医療法人と病院であって、個人クリニックはこれに該当しません。

そのため、個人クリニックの経営者が利益を分配したり、クリニックの経営と並行してマンションや飲食店を経営するなど営利目的の活動をすることは可能です。

医療法人の種類

医療法人は社団医療法人財団医療法人に分類され、その中で更に下記の図のように細かく分かれています。

また、平成19年4月1日の医療法改正以降、大きく分類が変更されました。

その変更点も含め、以下に詳しく解説していきます。

社団医療法人とは

社団医療法人は、病院や診療所などの開設を目的に集まった人々が設立した医療法人です。

複数の人から設立に必要な資金、不動産、医療用機械などの出資を受けて設立されます。

2022年3月末時点で、全医療法人のうち99.1%以上が社団医療法人で、医療法人の大多数を占めています。

社団医療法人の種類

社団医療法人は、出資持分のある法人と、出資持分のない法人に分類されます。

しかし、平成19年4月1日の医療法改正によって、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりました。

これは、出資持分の払い戻しが実質的な配当に該当し、医療法人の掲げる非営利性と矛盾してしまうことを是正するためです。

現存する社団医療法人の9割を出資持分のある医療法人が占めていますが、現在は出資持分のない医療法人しか設立できません。

出資持分とは

出資者が当該の医療法人の資産に対し、出資額に応じ所有する財産権のことです。
株式会社の株主が持つ権利のようなもので、出資者が退社する際に、自分が出資した分の金額の払い戻しが受けられます。

特定医療法人

特定医療法人は、国税庁長官の承認を受けた医療法人です。

地域医療の中核を補完する役割を担っています。

医療の普及及び向上と、社会福祉への貢献、その他の公益増進に著しく寄与していることが承認要件です。

特定医療法人として承認された場合は、租税特別措置法に基づき、法人税において19%(通常は23.2%)の軽減税率が適用されます。

認定要件は厳格ですが、税制上の優遇措置を受けられることは大きなメリットです。

社会医療法人(旧特別医療法人)

社会医療法人とは、都道府県知事の認定を受けた医療法人です。

特定医療法人のような公益性の高さに加え、休日夜間診療、救急医療、災害医療、小児救急医療、周産期医療、僻地医療、精神救急医療、治験など、一般の医療法人があまりやりたがらない医療を率先して行う目的で作られました。

公益性が高く採算の合いにくい医療を行う代わりに、法人税や固定資産税、都市計画税が非課税になるなど様々な税制優遇が受けられたり、他の医療法人では認められていない収益事業を行えるなどの特権を持ちます。
認定要件は特定医療法人以上に厳格に定められています。

その他医療法人

通常の社団医療法人です。

特別な税制上の優遇措置はありません。また、収益業務を行うこともできません。

特別医療法人(5 年間存続医療法経過措置)

厚生労働大臣の定める収益事業を行うことができる医療法人です。

しかし、社会医療法人への移行を促進するため、5年間の経過措置が設けられた後、平成24年3月31日をもって廃止されました。

基金拠出型医療法人

平成19年4月1日の医療法改正によって、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりました。
しかし、医療法人の経営を安定させ永続性を確保するためには一定の資金が必要です。

そのため、一般の出資持分がない社団法人で基金制度を採用可能としたのが、基金拠出型医療法人です。

この基金には返済義務があるため、出資持分と同じような扱いをすることが出来ますが、出資持分と違い債権に近い形で扱われるのが特徴です。

法改正以降に新設される医療法人の多くは、この持分なしの基金拠出型医療法人社団です。

基金とは

医療法人が拠出者(主に医療法人を設立する医師)に対して返還する義務のある金銭や財産のことです。
社員や理事以外の人も拠出可能です。基金には配当や利息はありません。

持分あり医療法人(経過措置型医療法人)

旧医療法に則り設立された社団医療法人のうち、社員退社時の払い戻し規定を有する医療法人です。
しかし前述の通り、平成19年4月1日の医療法改正によって出資持分のある医療法人を新規で設立することは出来なくなりました。

既存の出資持分のある医療法人は、「経過措置型医療法人」に改定され、当面の間存続させる経過措置がとられています。

出資限度額法人

経過措置型医療法人の一つです。

社員の退社時の出資持分の払い戻しや、医療法人の解散に伴う残余財産分配の範囲が、払込出資額を限度とする旨が定款で定められている医療法人を指します。
都道府県知事の認可を受けることで、通常の持分あり医療法人から出資限度額法人へ移行することが出来ます。

移行後も万が一の場合は通常の持分あり医療法人への後戻りが可能ですが、厚生労働省が後戻りは好ましくないと通知しているため、認められない場合もあります。

財団医療法人とは

個人または法人が無償で寄付した財産によって設立される医療法人です。
社団医療法人と比較して、より公益性を求められます。

そのため、金銭や財産の提供者は、持分払い戻し請求権や解散時の残余財産請求権が認められていません。
解散時の財産は、国、地方公共団体、他の医療法人のいずれかへ帰属させることになっています。

 

病院の設立には莫大な金額が必要であるため、財団医療法人の設立は実際は非常に困難です。
このため、財団医療法人は国内全体で300~400と、非常に数が限られた存在です。

財団医療法人の種類

社団医療法人と同様に、特定医療法人、社会医療法人、その他医療法人があります。

(各法人の詳細は社団医療法人の項目を参照)

財団医療法人には、出資持分ありの法人は存在しません。

社団医療法人と財団医療法人の違い

「社団法人」は、ある目的を共有する人の集まりを意味し、「財団法人」は、ある目的のために集められたお金を意味します。

社団医療法人が病院や診療所等の開設などの目的を持った人を中心とする一方で、財団医療法人はそれらの目的のために集められた財産そのものを中心としています。

法人格の基盤が人かお金かの違いです。


また、出資持分の有無も大きな違いの一つです。

平成19年の医療法改正以降、出資持分のない社団医療法人しか設立できなくなりましたが、新設された基金拠出型医療法人も基金の返済義務があるため、払い戻し請求権を一切認めていない財団医療法人とはこの点でも異なります。

医療法人と個人クリニックの違い

医療法人と個人クリニックはどちらも医療機関ですが、前者は法人、後者は個人事務所に近い形態です。

組織形態がまったくことなるために、様々な相違点があります。
医療法人と個人クリニックの相違点のうち、特に大きなものは以下の5点です。

発生する税金
個人クリニックの利益には所得税、医療法人は法人税が課せられます。

営利活動の可否
個人クリニックは営利活動が可能です。
医療法人は前述の通り非営利組織の位置づけであり、利益の分配も禁止されています。

業務範囲
個人クリニックに認められている業務範囲は病院・診療所のみです。
医療法人は病院・診療所のほか、介護老人保健施設をはじめとした幅広い業務が認められています。

必要な手続き
個人クリニックの開設に必要なのは各種届出です。一方、医療法人開設のためには登記が必要です。
また医療法人の方が必要な事務手続きが多い・厳しいルールが多いという違いもあります。

開設できる数
個人クリニックの場合、開設できる診療所や病院は1か所のみとなります。
医療法人は分院が可能です。

個人クリニックと医療法人の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

このように、一言で医療法人と言っても様々な形態や特徴があることが分かりました。

自身のクリニックの法人化を目指している方だけでなく、現在医療法人に勤めている勤務医の方や、将来的に開業医を目指している方もしっかり概要を理解して将来設計に役立てましょう。


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吉岡 伸晃
吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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