クリニック開業時に事業計画書を作成しよう!書き方もご紹介!

2022.12.30

事業計画書の作成は、クリニック開業時に行うべきことのひとつです。
開業融資の申込みに必要なだけでなく、安定した経営のために欠かせない要素といえます。

本記事ではクリニック開業時の事業計画書について、作成の流れやポイントなどを解説します。

 

創業計画書の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

クリニック開業時に使える融資や開業資金の金額については、以下の記事で詳しく解説しています。

CONTENTS

クリニック開業時に事業計画書が必要な理由​

クリニック開業時に事業計画書が必要な理由は、大きく以下の2つです。

・融資を申し込むため
・安定した経営を行うため


それぞれ詳しく解説します。

融資を申し込むため

事業計画書が必要な理由のひとつは、融資を申し込む際に必要だからです。

融資を申し込むにはさまざまな書類の提出が必要であり、必要書類のひとつに事業計画書が含まれます。
金融機関は事業計画書の内容から、融資の必要性や返済能力などを判断するのです。

クリニックの開業には多額の資金が必要であるため、自己資金ですべてをまかなうケースは多くありません。一般的には資金調達の手段として開業時に融資の申し込みを行います。

融資の申し込みを行うためには、事業計画書の作成が必須です。

安定した経営を行うため

安定した経営を行うためには、開業時に事業計画書の作成が必要です。

事前にきちんと資金計画や融資計画を立てていないと、開業してすぐに資金不足に陥るリスクが大きくなります。
資金に関する指標がなければ、どれぐらいならお金を使えるのか・運転資金をどれほど残すべきなのかなどを判断できません。
融資を受ける場合は、無理のない返済計画を立てる必要もあります。

このように、安定したクリニック経営のためには資金に関する計画が必要不可欠なため、資金計画をまとめた書類である事業計画書が必要になります。

クリニック開業時の事業計画書 作成方法​

続いては、事業計画書の作成方法をご紹介します。

事業計画書はコンセプトや経営理念など言葉で記載する部分と、収支見積もりや資金繰り表など数字で記載する部分に分けられます。
今回は数字に関する部分の作成方法を解説します。

事業計画書作成の大まかな流れは以下のとおりです。

・開業資金を見積もる
・支出を見積もる
・収入を見積もる
・資金繰り表を作成する

それぞれの工程について詳しく解説します。

開業資金を見積もる

はじめに行うのは、開業資金の見積りです。
開業資金の見積もりをしたうえで、融資の申し込み額を検討します。

クリニックの開業資金の内訳として、以下の項目が挙げられます。

物件や内装工事費
テナントか自己保有物件か、オペ室があるかどうかの違いが大きい項目です。

医療機器・備品
診療科目や手術の有無、対応する範囲によって大きく異なる項目です。

その他諸経費
広告宣伝費・消耗品費・採用費など、細かな経費の見積もりも行います。

また、開業から2ヶ月程度は収入がなくても運営できるよう、十分な運転資金の確保も必要です。2か月分の運転資金についても、開業時に用意する資金として見積もりましょう。

支出を見積もる

続いては開業後、クリニックの経営に際して発生する支出の見積もりです。
支出は固定費と変動費に分けられます。


固定費
売上の有無や大きさに関係なく、毎月の支出額が一定の費用です。
主な例として、人件費・賃借料・メンテナンス料などが挙げられます。

変動費
支出額が一定ではない費用です。
クリニックの場合、診療材料費・検査外注費などが大きくなります。

ほかにも消耗品費・広告宣伝費・水道光熱費・借入金の利息など、あらゆる支出を考慮する必要があります。手元に残したい金額も、この段階で見積もるのが一般的です。

収入を見積もる

続いて収入の見積もりです。
計算した支出や手元に残したいお金などを明確にしたら、これらをまかなうために必要な収入を見積もります。

収入の見積もりに必要な項目は以下の3つです。

・1日あたりの予想来院数
・診療報酬単価
・1ヶ月あたりの診療日数


これらの金額を掛け合わせて、1ヵ月あたりの売上を予測します。

資金繰り表を作成する

開業資金・収支見積もりの結果を使い、資金繰り表を作成します。
3~5年分作成するのが一般的です。

資金繰り表には、開業時に用意する資金・毎月の収支・月末の運転資金残高のほか、損益分岐点も記載します。
損益分岐点が推定外来数を上回っている場合、事業計画の内容に問題があるでしょう。
この場合、計画に沿った経営をしても赤字が出る恐れが大きくなります。

クリニック開業で事業計画書を作成する際のポイント​

クリニック開業に際して事業計画書を作成する際のポイントとして、以下の3点が挙げられます。

・シビアな想定で作成する
・自己資金を用意する
・専門家のサポートを受ける


それぞれ詳しく解説します。

シビアな想定で作成する

クリニック開業時の事業計画書は、シビアな想定で作成しましょう。

事業計画書はあくまでも計画であり、想定通りに進むとは限りません。
入念なシミュレーションが大前提ですが、それでも事業計画と実際のクリニック経営には往々にしてズレが生じてしまうことがあります。

そのため、甘い見通しで収支計画を立ててしまうと、少しのズレで資金ショートを起こす可能性が高くなります。
その場合は追加融資を打診することになりますが、追加融資は審査が厳しい・条件が悪くなるなど、デメリットが大きくなります。

そもそも事業計画の内容が甘ければ、開業融資の審査段階で引っかかってしまうことでしょう。

クリニック経営を無理なく続けるためには、あえてシビアな想定で事業計画書を作成する必要があります。

自己資金を用意する

事業計画書を作成する際は、自己資金の用意および金額の記載も必要です。
金融機関は融資審査の際に自己資金の額もチェックします。
自己資金の額が大きければ。クリニック開業に向けてしっかり準備してきたということで高評価が期待できます。
十分な計画性を持っているかどうかは、返済能力を見る上で重視されるポイントのひとつです。
また、金融機関や融資プランによっては、一定以上の自己資金を条件にしているケースもあります。

前述したように、クリニックの開業には多額の資金が必要です。
開業資金すべてを自己資金でまかなう必要はなく、融資を使うのが一般的ではありますが、ある程度は自己資金を用意するのが理想です。

クリニックの開業に必要な資金については、以下の記事で詳しく解説しています。

専門家のサポートを受ける

クリニックの開業時の事業計画書作成は、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

事業計画書の作成では注意するべきポイントが多く、未経験の人がすべて対応するのは容易ではありません。事業計画書の内容に不備があると、融資がスムーズに進まない・審査に通らない可能性が高くなります。
そのため、当事者のみですべて対応しようとせず、専門家にサポートを依頼するのが安心です。

ただし、事業計画書はクリニックの安定した経営にも必要な書類です。
作成や対応のすべてを専門家に丸投げするのでなく、自身も事業計画の内容をしっかり把握しておきましょう。

まとめ​

事業計画書の作成は、クリニックの開業時に必要な作業のなかでも重要性が高いもののひとつです。融資の可否や金額の大きさを決める判断材料になるだけでなく、安定したクリニック経営のために欠かせない書類でもあります。
事業計画書には開業資金や収支額などを記載します。あくまで予測であるため、多少のズレによる影響を受けないよう、シビアな想定での作成が必要です。
また、開業資金を融資だけでまかなうのではなく、自己資金もある程度用意するのが理想です。

しかし、事業計画書の作成は注意するべきポイントが多く、経験のない人のみで行うのは容易ではありません。
クリニック開業に向けて事業計画書を作成する際は、ぜひ専門家に相談・サポートをご依頼ください。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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