クリニックや医療法人に社労士は必要? 顧問料の相場まで解説!

2023.03.22

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社労士(社会保険労務士)は社会保険・人事労務のエキスパートです。

社会保険や労働関係の分野に精通しており、人事労務管理に関する独占業務も有します。

社労士と顧問契約を結ぶことで、社会保険や人事労務分野において幅広い面でアドバイス・サポートを受けられます。

しかし、顧問契約を結ぶ場合、継続的な顧問料の支払いが必要です。

そのため、本当に顧問社労士は必要なのか・顧問社労士と契約するメリットはあるのか知りたいと考えている人も多いでしょう。

今回はクリニックや医療法人における顧問社労士の必要性や、顧問契約をする場合の料金相場について解説します。

クリニック開業にかかる資金や医療法人化など、関連する内容を以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。


CONTENTS

クリニックや医療法人に顧問社労士は必要なのか​

クリニックや医療法人の運営に際して、顧問社労士は必要なのでしょうか。

顧問社労士の必要性について、役割・契約するメリットなどを紹介した上で考えていきます。

顧問社労士とは

大前提として、社労士(社会保険労務士)は社会保険・人事労務のエキスパートといえる存在です。

社会保険労務士法に基づく国家資格であり、社会保険をはじめとした人事労務関係の手続きや法律に精通しています。

 

特に人事労務関連のうち、以下の2つは社労士の独占業務です。

  • ・労働・社会保険関連法に基づく書類作成や労務関連の各種手続きの代行
  • ・労働者名簿や就業規則など、労働保険関連の帳簿書類作成

そして顧問社労士は、事業者と顧問契約を結ぶ社労士です。

毎月一定額の顧問料を支払う必要がありますが、その分人事労務関連における継続的かつ長期的なサポートを受けられます。

 

顧問社労士の契約料金内で依頼できる業務として、以下の例が挙げられます。

  • ・入退社にかかる社会保険手続きなど、基本的な社会保険や人事労務関係の手続き代行
  • ・人事労務分野に関する簡単な相談

「簡単な」相談と記載しているように、特殊な事情に関する相談は別途報酬が発生するのが一般的です。

例として、個別労働関係紛争に関する内容や、助成金に関する内容などが挙げられます。

また就業規則の作成のように、発生頻度がごく低い・労力が大きい書類作成も、顧問料とは別で料金が発生するケースがほとんどです。

顧問社労士と契約するメリット

顧問社労士と契約するメリットとして、大きく下記の3つが挙げられます。

社会保険や労務関係の手続きを任せられる

顧問社労士の業務内容には、入退社にともなう社会保険関係の書類作成や労務関係の手続き代行が含まれるのが一般的です。

社会保険や労務関係の手続きを丸投げできるため、自身やスタッフの負担を最小限にしつつ、人事労務分野の正確かつ迅速な対応が可能となります。

労務関係の最新情報を社労士経由で手軽に把握できる

労務関係は法改正や新たな制度の登場が頻繁であり、最新情報の把握が重要です。

顧問社労士と契約していれば情報収集に力を入れることなく、労務関係の最新情報を社労士経由で手軽に把握できるでしょう。

好きなタイミングで労務関係の相談ができる

人事労務に関する簡単な相談も、顧問社労士の一般的な業務内容に含まれます。

好きなタイミングで専門家に相談できれば、疑問や不安をすぐに解消できて安心です。

顧問社労士は必須?

結論から申し上げると、顧問社労士は必須というわけではありません。

クリニックや医療法人に限らず、顧問社労士と契約していない事業主も多くみられます。

実際のところ、従業員数が少なく社会保険関係の手続きがほとんど発生しない場合、顧問社労士と契約する必要性は低いといえるでしょう。

 

しかし、ある程度のスタッフが在籍しているクリニックや医療法人の場合は、顧問社労士との契約をおすすめします。

 

従業員数が多い場合に顧問社労士と契約するべき理由として、以下の3つが挙げられます。

  • ・人事労務関係は法律や専門知識が必要な部分が多く、対応を迅速かつ確実に行うのは容易ではない
  • ・法や制度の改正が頻繁であるため最新情報のチェックが必要だが、本業で忙しい中で情報収集をしっかり行うのは労力が大きい
  • ・人事労務分野は属人化しやすいため、特定の従業員にかかる負担が大きくなる上、退職や休職によって業務がストップするリスクもある

クリニックや医療法人において、スタッフをまったく雇わないケースはあまりないでしょう。

従業員を雇う以上、人事労務分野で注意するべき事項は少なからず発生します。

本業に集中しつつも人事労務に関する正確な作業・管理を行うためにも、顧問社労士と契約するのが安心です。

クリニック・医療法人における顧問社労士の選び方

クリニック・医療法人で顧問社労士を選ぶ際は、以下5つのポイントを押さえることが大切です。

医療分野に詳しい社労士を選ぶ

一口に人事労務といっても、業界・業種によって考慮するべき事情や法律が異なるケースがあります。

そして社労士によって得意とする分野は異なります。

クリニックや医療法人であれば、医療分野に詳しい・医療分野クライアントの対応実績がある社労士を選ぶのが安心です。

依頼できる業務範囲を確認する

社労士によって、顧問契約で依頼できる業務範囲が異なる可能性があります。

事前に依頼できる業務範囲を確認し、自身の理想に合う社労士を選びましょう。

レスポンスの早さをチェックする

相談にすぐ答えてもらえて、必要な手続きや対応を迅速にしてもらえる社労士を選ぶためには、レスポンスの早さも確認する必要があります。

料金が明瞭である

料金が明瞭であるかどうかのチェックも欠かせません。

相場と大きく乖離しており理由も不明で料金内に含まれる業務がわかりにくいなどの場合、信頼性が低いと判断できます。

第一印象が良い社労士がおすすめ

第一印象のみですべてを判断できるわけではありませんが、直感の力が大きいのも事実です。

第一印象の良し悪しも判断基準のひとつとして良いでしょう。

クリニックや医療法人 社労士の顧問料の相場とは​

続いてクリニックや医療法人における社労士の顧問料について相場を紹介します。

 

大前提として、社労士の顧問料は従業員数によって変わるのが一般的です。

社会保険や人事労務に関する業務は、従業員の数に比例して増えるものが多いためです。

 

従業員数だけでなく、顧問契約に含める業務内容によって料金が変動するケースもあります。

また、就業規則の作成や助成金の申請などスポットで特別な業務を依頼する場合は、顧問料とは別に別途報酬が発生する可能性が高いです。

 

以上の条件を踏まえた上で、従業員数ごとの顧問料やスポット料金の相場を紹介します。

※今回は業務内容として、基本的な社会保険や人事労務関係の手続き代行・簡単な相談と仮定しています。

より複雑なコンサルティング業務も顧問契約に含める場合、プラス1~5万円程度かかることがあります。

月額顧問料

従業員数に応じた月額顧問料の大まかな相場は以下のとおりです。

  • ・5人未満: 2万円
  • ・~10人未満: 3万円
  • ・~20人未満: 4万円
  • ・~30人未満: 5万円
  • ・~50人未満: 5~6万円
  • ・~70人未満: 6~8万円
  • ・~100人未満: 8~10万円

従業員数100人以上になると、別途相談の上で決定するケースが多いです。

スポット料金

顧問契約には含まれない業務を依頼する場合、別途報酬が発生します。

社労士に依頼する可能性が高いスポット業務ごとに大まかな相場を紹介します。

  • ・就業規則の作成: 本体作成の場合は20万円程度、諸規定の場合は各10万円程度
  • ・労使協定の作成: 2~3万円程度
  • ・助成金申請のサポートや代行: 助成金額の10~15%程度

まとめ​

クリニックや医療法人に限らず、従業員を雇う以上は人事労務関連の手続きや注意するべき事項が少なからず発生します。

そして、人事労務分野において専門知識がない人が正しい対応を行うのは容易ではありません。

人事労務関連の迅速かつ正確な対応のため、万全の労働環境を整えるためにも、顧問社労士と契約するのがおすすめです。

 

また、一口に社労士といっても、人によって業務範囲や得意分野は異なります。

社労士を選ぶポイントをしっかり押さえた上で、理想に合う人を顧問社労士として選びましょう。


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吉岡 伸晃
吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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