クリニック開業時に使える融資は?おすすめの資金調達方法と注意点を解説!

2023.05.16

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クリニックの開業では最低でも数百万円、多くの場合は一千万円以上という大きな資金が必要です。

クリニックの開業資金をすべて自己資金でまかなうのは容易ではありません。

クリニックの開業では、融資をはじめとした制度を活用して資金調達を行うのが一般的です。

一口に資金調達といってもさまざまな方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

そのため、各制度について理解を深めた上で自身に合った資金調達方法を選ぶことが大切です。

今回はクリニック開業時に使える融資制度を中心に、おすすめの資金調達方法について解説します。

クリニック開業時におすすめの資金調達方法のうち、融資に特化して解説した記事もありますので、ぜひご覧ください。

CONTENTS

クリニック開業時に利用できる創業融資の種類

まずはクリニック開業時に利用できる創業融資について解説します。

 

大前提として、創業融資は創業時に申し込める融資制度の総称です。

創業融資という名称の制度が存在するわけではありません。

創業時に申し込める融資制度をまとめて創業融資と呼ぶため、「創業融資の種類」という表現がされるのです。

 

クリニック開業時に利用できる創業融資として、今回は6つの制度を紹介します。

新創業融資制度

新創業融資制度とは、新たに事業を始める人または事業開始後税務申告を2期終えていない人が利用できる融資制度です。

原則として無担保・無保証人で利用でき、創業時の資金調達手段として多く利用されています。

融資限度額は3,000万円でそのうち運転資金が1,500万円、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。

 

新創業融資制度は独立した融資制度ではなく、他の融資制度と併用して申し込めるものであり、特例に近い制度です。

新創業融資制度独自の返済期間はなく、各融資制度が定める返済期間が適用されます。

 

適用される利率は多くの場合、新創業融資制度の基準利率である2.27%~3.30%です。

条件によってはより低い利率が適用されるケースもあります。

資金用途や返済期間などによって左右されるため、正確な利率は申込時点では確認できません。

新規開業資金

新規開業資金は新たに事業を始める人や、事業を開始してからおおむね7年以内の人が利用できる融資制度です。

創業時に利用できるため創業融資の一種といえますが、実際には創業直後に限らず幅広い人を対象としています。

資金用途は開業資金・設備資金・運転資金に限定されており、融資限度額は7,200万円、うち運転資金が4,800万円です。

 

返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年で、いずれも2年以内の据置期間を設定できます。

適用される利率は、原則として基準利率1.97%~3.00%です。

前述した新創業融資制度と同様に、正確な利率はさまざまな条件を考慮した上で決定されます。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、文字通り女性および一定の年齢の人を対象とした融資制度です。

女性、若者/シニア起業家支援資金を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • ・新たに事業を始める人または事業開始からおおむね7年以内の人
  • ・女性、35歳未満、55歳以上のいずれかに該当する人

1つ目の要件は前項で紹介した新規開業資金の要件と同じです。

融資限度額および返済期間も、新規開業資金と同じ条件となっています。

 

新規開業資金との大きな違いは適用利率です。

女性、35歳未満、55歳以上のいずれかに該当する人は、基準利率よりも低い特別利率Aが適用されます。

 

女性、若者/シニア起業家支援資金は、新規開業資金よりも対象者の範囲が狭く、より利率が低い融資制度です。

 

ここまでに紹介した3つの融資制度は、すべて日本政策金融公庫の融資制度です。

一口に日本政策金融公庫の融資制度といっても多くの種類があるため、自分に合う融資制度を選ぶ必要があります。

制度融資

制度融資は地方自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携して実行する融資制度です。

融資の申し込み先は自治体ですが、審査は地方自治体・金融機関・信用保証協会それぞれで行われます。

 

制度融資の多くに共通する特徴として、以下の2つが挙げられます。

  • ・金融機関や公庫など他の融資制度に比べて利率が低い傾向
  • ・審査が3つの機関で行われるため、申込から融資の実行まで時間がかかる

制度融資の対象者や利率は自治体によって異なるため、クリニックを開業する自治体の案内をご確認ください。

福祉医療機構の融資

クリニック開業の場合、独立行政法人福祉医療機構(WAM)による融資制度を利用する方法もあります。

福祉医療機構とは、福祉の増進と医療の普及向上を目的とする組織です。

福祉医療の基盤整備を進めるため、貸付事業・経営診断や指導事業・助成事業などの幅広い事業を行なっています。

 

福祉医療機構の融資制度にはさまざまな種類があり、診療所を新たに開設する際に利用できる融資もあります。

適用利率は利用する制度や返済期間などの条件によって左右されますが、一般的な融資制度よりも利率が低めの傾向です。

面談・Web・電話といった複数の手段による融資相談を受け付けているため、どの融資に申し込むかお悩みの人も気軽に問い合わせができます。

医療機器のリース会社の融資

医療機器のリース会社が提供するクリニック開業資金の貸付制度を利用するのもひとつの手段です。

 

リース会社による貸付制度の代表例として、シャープファイナンス株式会社の開業支援ローンが挙げられます。

同社の開業支援ローンは、担保ではなく事業性を重視した審査が行われるため、事前の準備や創業計画の策定が非常に重要です。

審査がスピーディーに行われるため、資金調達までの時間が短く済む点もメリットといえます。

 

リース会社による貸付制度を利用するためには、医療機器のリースが必須となります。

また、他の融資制度に比べて金利が高めの傾向です。

 

医療機器のリース会社では、開業支援以外にも医療機器の購入ローンや据置リースなど、さまざまな制度を用意しています。

クリニック開業時におすすめ資金調達方法 補助金・助成金

クリニック開業時の資金調達として、補助金や助成金の制度を活用するのもおすすめです。

補助金は国や自治体の政策目的の実現を目的とした制度で、主に経済産業省や地方自治体が管轄です。

それぞれの制度ごとに採択件数や予算が設定されており、申請が上回る場合は審査が実施されます。

そのため、要件を満たしていても審査に通過しなければ受給できません。

助成金は事業活動のアシストや事業の安定を目的としており、主に厚生労働省が管轄となっています。

補助金と違い、要件を満たせば受給できるケースがほとんどといえます。

補助金と助成金は、いずれも返済の必要がありません。

返済の負担が発生しない点が大きなメリットです。

クリニック開業時に利用できる補助金・助成金の例を紹介します。

  • ・中小企業庁による創業補助金
  • ・小規模事業者持続化補助金
  • ・ものづくり補助金
  • ・地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

補助金・助成金については、以下の記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください。


クリニック開業時に創業融資を使う際の注意点

クリニック開業時に申し込む融資制度を選ぶ際は、ひとつの条件やメリットだけを見るのではなく、総合的な判断が大切です。

 

今回創業融資として複数の制度を紹介しましたが、それぞれ条件やメリット・デメリットも異なります。

ひとつの要素に固執して融資に申し込んでしまうと、後に思わぬトラブルやギャップに苦しむ恐れが大きいです。

創業融資を利用する際は、各制度についてしっかり理解した上で、自身に合う制度を選ぶ必要があります。

 

また、創業融資は申し込めば必ず利用できるとは限りません。

融資を受けるためには審査に通過する必要があります。

融資申し込みにはさまざまな書類が必要であり、審査に通過するための面接対策も必要不可欠です。

融資経験のない人がスムーズに準備をし、万全の対策を行うのは容易ではありません。

審査通過の可能性を高めるため、専門家のサポートを受けるのが安心です。

まとめ

クリニック開業に必要な資金をすべて自分でまかなうのは容易ではないため、創業融資や補助金・助成金といった制度を利用するのがおすすめです。

本記事でクリニック開業に利用できる創業融資を複数紹介しましたが、いずれも異なる特徴やメリット・デメリットを有するため、自身に合うものを選ぶことが大切です。

創業融資の申し込みに必要な準備や審査対策を経験がない人が行うのは難しいでしょう。

創業融資を利用するのであれば、ぜひ融資支援に強みを持つ専門家へご相談ください。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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