クリニックの税務調査とは?流れと対策を徹底解説!

2024.07.29

税務調査とは、税務申告が正しい内容で行われているか確認するための調査です。

事業規模や業種を問わずすべての事業者が対象になる可能性があり、クリニックに対して税務調査が行われるケースもあります。

 

税務調査と聞くと不安を覚えるかもしれませんが、日々の会計処理や毎年の確定申告を適切に行っていれば問題ありません。

また、税務調査の実施が決まってから行える対策も存在します。

 

今回はクリニックの税務調査について、調査の流れや事前に実施できる対策等を詳しく解説します。

 

医療法人の税務調査については、以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

税務調査とは

税務調査とは、税務申告の義務がある人が正しい内容で申告をしているか確認するための調査です。

事業規模や業種を問わずすべての事業者が対象になる可能性があり、開業医が運営するクリニックに税務調査が入るケースもあります。

 

税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。

 

任意調査と納税者の了解に基づいて実施される税務調査です。原則として実地調査の前に事前通知が行われます。

ただし了解に基づくとはいえ、正当な理由なく拒否した場合は罰則の対象になる恐れがあります。

単に税務調査と表現する場合は任意調査を指すのが一般的です。

※本記事の以降の文章も、単に「税務調査」と表記する場合は任意調査を意味します。

 

強制調査は悪質な脱税行為の可能性が高い納税者に対して行われる調査です。

任意調査と違い事前の通知はありません。後に刑事事件の立件を予定している場合に強制調査が実施されます。

 

なお、税務調査の頻度に定めはありません。

税務調査を複数回経験するケースもあれば、事業活動をしている間一度も税務調査を受けないケースもあります。

クリニックの税務調査 大まかな流れ

税務調査の流れは大きく5つの工程に分けられます。工程ごとに詳しく解説します。

 

※税務調査の流れ自体に業種ごとの違いはほとんどありません。

ただし実地調査においてチェックされる要素は業種によって違いがあります。

クリニックの税務調査でチェックされやすいポイントについては次の章で詳しく解説します。

事前通知が届く

任意調査の場合は原則として事前通知が届きます。事前通知の主な内容は以下の通りです。

  • ・実地調査の日時
  • ・調査を行う場所
  • ・対象税目
  • ・調査の対象となる課税期間
  • ・税務調査を行う目的

 

事前通知は基本的に電話で行われます。

指定された日時の都合が悪い場合は、事前通知の電話の際に日程変更について相談しましょう。

実地調査に向けて事前準備をする

税務調査では税務申告の内容が正しいかどうかを確認するために以下のような書類をチェックします。

 

  • 帳簿
  • 仕訳帳、総勘定元帳、現金預金出納帳、補助元帳、固定資産台帳など
  •  
  • 決算関係書類
  • 過去の財務諸表や税務申告書など
  •  
  • 現金取引に関する帳票
  • 領収書、レシート、預金通帳、融資の契約書など
  •  
  • その他
  • 前述した書類のほかにも、以下のように様々な資料が必要です。
  • ・請求書
  • ・見積書
  • ・納品書
  • ・契約書
  • ・賃金台帳や給与明細
  • ・年末調整関係の書類
  • ・タイムカード
  • ・勤怠管理表
  • ・稟議書や議事録等、会社に関する重要な決定について記録した書類

 

実地調査で使う書類の準備が足りない場合、税務調査がスムーズに進まなくなる恐れが大きいです。

証憑書類が見当たらない・税務調査までに用意できない等の場合、一部の経費計上が認められず追徴課税の対象になるケースもあります。

 

調査の対象となる課税期間に作成および受領した書類をなるべく多く用意しておくのが安心です。

実地調査が行われる

実地調査は2日に分けて行うのが一般的です。

調査官は2名で、1日目・2日目ともに1日中調査が実施されます。

 

1日目の午前中は世間話や会社の基本情報に関するインタビューが行われます。

世間話は単なるアイスブレイクではなく、不正につながる情報を見つけ出すのがメインの目的であるため、不用意に話さないよう注意が必要です。

1日目の午後は売上の請求書や納品書、入金履歴等を用いた売上調査が行われます。

 

2日目のメインは帳簿関係の調査です。午前中は人件費、午後は経費処理に関するチェックというパターンが多くみられます。

質問に回答する

実地調査の終了後も税務調査自体は続きます。

実地調査の内容および税務署での調査をもとに、税務署から質問や指摘が行われます。事業者は税務署からの連絡について適時回答が必要です。

 

なお税理士と顧問契約を結んでいる場合、税務署からの連絡に直接対応するのは基本的に顧問税理士となります。

この場合は税務署と直接やり取りをするケースは少ないものの、税理士からの連絡にすぐ答えられるよう準備をしておくのが理想です。

 

追加書類の提出が求められるケースや、再度実地調査が行われるケースもあるため、気を抜かないよう注意する必要があります。

調査結果の通知が届く

実地調査から結果の通知まで最短でも1週間はかかり、最長で3ヶ月程度かかるケースもあります。

 

税務調査の結果、税務署から指摘事項がなければ特に対応は必要ありません。

申告是認(申告内容に問題がない)という結果で税務調査は完了となります。

 

調査によって誤りが見つかった場合は税務署から誤りの説明が行われます。

指摘の内容に納得できた場合、修正申告や期限後申告を行いましょう。

 

もし指摘の内容に納得できない場合は税務署と協議することになります。ただし、税務署と協議をしても結果が変わる可能性はあまり高くなりません。

税務調査による指摘を受けた後も修正申告書を提出せずにいると、やがて税務署側から申告の誤りを正す行為である更正処分が行われます。

納税者は不服申し立てを行うことも可能ですが、不服申し立ては多大な労力と費用がかかる点に注意が必要です。

クリニックの税務調査に向けた対策

クリニックの税務調査に向けた対策を3つ紹介します。

事前に税理士と打ち合わせをしておく

税務調査の実施が決まったら、実地調査までの間に税理士と打ち合わせをしておきましょう

専門家の目線から、税務調査の対策や注意点について的確なアドバイスをもらえます。

 

もし顧問税理士がいない場合は、税務調査に向けてスポットで契約できる税理士を探す必要があります。

税務調査は事業者の立ち合いでも問題ありませんが、専門知識のない人が税務調査において完璧な対応をするのは難しいのが事実です。

少し手間はかかりますが、税務調査をスムーズに終えるためにも税理士への相談は必須といえます。

税務調査でチェックされやすいポイントを押さえておく

税務調査の対策を効率的に進め指摘を受けるリスクを抑えるためには、特に重要性の高い部分の対策に力を入れるのがおすすめです。

クリニックをはじめとした医療機関の税務調査でチェックされやすいポイントとして以下の例が挙げられます。

 

  • 保険未収金
  • 保険未収金は計上漏れや計上時期の誤りといったミスが起こりやすく、税務調査での指摘を受けやすい部分の1つです。
  •  
  • 自由診療収入
  • 金銭直接授受の形式を採用している場合は計上漏れや過少計上が起こりやすいため、税務調査でのチェックも厳しくなります。
  •  
  • 薬品材料仕入
  • 仕入れ・経費の中でも特に架空計上や水増し等の不正が起こりやすいため、税務調査でのチェックも厳しいです。
  •  
  • 人件費・外注費
  • 架空計上の有無や、給与とするべき報酬が外注費として計上されていないか等をチェックされます。

日頃から正しい会計処理や書類の整理をしておく

最も大切なのが、日頃から正しい会計処理や書類の整理をしておくことです。

 

税務調査の目的は、事業者の税務申告の内容が正しいか、誤りや不正がないかの確認です。

たとえ調査が実施されても、税務申告が適切に行われていると認められれば何も問題ありません。

 

税務調査の実施に関係なく会計処理や書類の扱いを適切に行い、正しい税務申告を実施するよう心がけましょう。

まとめ

税務調査はすべての事業者が対象になり得ます。

開業医が運営するクリニックも、診療科目や規模に関係なく税務調査が入る可能性があります。

 

税務調査において適切な対応を行うためには、まず税務調査の流れを知っておくことが大切です。

税務調査で指摘を受けるリスクを最小限に抑えるために、クリニックの税務調査において重視されるポイントも知っておくのが良いでしょう。

 

ただし最も大切なのは日頃から適切な会計処理や書類の整理を行い、正しい税務申告をすることです。

税務調査の実施有無に関係なく、会計・税務に関する日々の対応を適切に行いましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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