医療モールとは?開業のメリットとデメリット、注意点を解説

2025.01.21

医療モールとは、さまざまな診療科のクリニックや調剤薬局が1か所に集まった施設です。

ビル型、ビレッジ型、併設型と複数の種類がありますが、いずれも基本的には設計段階から医療モールとしての利用を前提としています。

 

医療モールには医療機関側・患者側ともにさまざまなメリットが存在します。

しかし医療モールならではのデメリットも存在するため、医療モールでの開業が最善とは限りません。

医療モールで開業するのであれば、医療モールならではの注意点を押さえる必要があります。

 

今回は医療モールで開業するメリット・デメリットや、医療モールの注意点を紹介します。

 

以下の記事でもクリニック開業で押さえるべきポイントについて解説しているので、ぜひご覧ください。

 

 

 

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CONTENTS

医療モールとは

医療モールとは、複数のクリニックや調剤薬局が1か所に集まった施設です。クリニックモールとも呼ばれます。

医療モールは大きく以下の3種類に分けられます。

  • ビル型
  • すべてのテナントが医療機関のビルです。
  • ビルの設計段階でテナントに医療機関が入ることが前提とされているため、バリアフリー対策が整っているケースが多くみられます。
  •  
  • ビレッジ型
  • 特定の土地(エリア)に戸建ての医療機関が集まっているタイプです。
  • ビル型と同様に建設段階から医療機関としての利用を前提にしており、内装・外装に統一感がみられます。
  •  
  • 併設型
  • 商業施設やマンションなどに併設されている医療モールです。
  • 患者さんにとって利便性が高く通いやすいため、安定した集客が期待できます。

医療モールで開業するメリット4つ

医療モールで開業するメリットを4つ紹介します。

集患しやすい

医療モールは一般的なクリニックに比べて集患しやすいです。

 

ビル型やビレッジ型の医療モールは、設計段階から医療モールとしての運用を前提としています。

そのためアクセスが良く患者さんが通いやすい場所に建てられるケースが多いです。

また、併設型の医療モールは買い物など日常生活の用事とあわせて利用できます。

生活の中で目にする機会も多いため認知を得やすく、ほかの場所に開業する場合よりも広告宣伝の必要性が低く済みます。

 

以上のように医療モールは通いやすさ・認知度の高めやすさ共に優れているケースが多いため、集患しやすいといえるでしょう。

初期費用を抑えられる

他の場所で開業する場合に比べて、医療モールでの開業は初期費用を抑えやすいです。

初期費用を抑えやすい理由として以下の3つが挙げられます。

  • ・待合室や医療機器などを、同じ医療モール内にある他の医療機関と共有できる
  • ・医療機関が入ることを前提に設計されているため駐車場やトイレなど必要な設備が整っている
  • ・開業までの賃料が無料となる制度(フリーレント制度)が設けられているケースがある

 

開業時にはさまざまな支出が発生するため、初期費用を抑えられるのは大きなメリットといえます。

 

クリニック開業資金の内訳や必要な額の目安については以下の記事をご覧ください。

 

 

 

診療の質が上がる

医療モールで開業することで、診療の質が上がる可能性も期待できます。

診療の質向上につながる理由は2つあります。

 

1つ目は、医師同士の情報共有や相談、意見交換などがしやすいためです。

専門分野が異なる医師とコミュニケーションをとりやすい環境のため、情報収集や勉強といった面での良い効果が期待できます。

 

2つ目の理由は、患者さんの症状に適した別の診療科目のクリニックを紹介しやすいためです。

医師は自分の専門分野に集中できますし、患者さんは専門性の高い診療を受けられる可能性が上がります。

 

診療の質が上がるというのは、クリニックだけでなく患者さんにとっても大きなメリットといえるでしょう。

資金調達がしやすい

医療モールで開業した場合、金融機関からの融資といった資金調達がしやすくなる可能性も高いです。

 

すでに紹介したように、医療モールは集患しやすく初期費用を抑えやすいというメリットがあります。

すなわち、回収するべき設備投資が少ない上に、開業直後の時点から収益が見込める環境です。

開業直後ならではの懸念事項が少ないため、融資を受けやすいと期待できます。

医療モールで開業するデメリット3つ

続いて、医療モールで開業するデメリットを3つ紹介します。

固定費が高くなりやすい

医療モールは固定費が高くなりやすいです。

 

医療モールはアクセスが良く利便性の高い場所に設計されがちなため、その分賃料も高めの傾向にあります。

また、共益費や管理手数料などの固定費がかかるケースも多いです。

 

このように医療モールでは物件に関するさまざまな支出が発生します。

賃料や共益費等の支出は意図的に抑えられるものではありません。

そのため開業前の段階で、固定費が資金繰りを圧迫する恐れがないか、無理のない額であるかの検討が必要です。

自由度が下がる

医療モールはルールや業者の定めなどが厳しく、自由度は低めです。

自身で決められない要素として以下の例が挙げられます。

  • ・設計や工事などの業者
  • ・医薬品業者
  • ・標榜科目や診療時間

自分の裁量ですべて決めたいと考える人には、医療モールでの開業は不向きといえるでしょう。

患者の取り合いが生じる恐れがある

医療モールに同じ診療科目のクリニックが複数存在する場合、医療モール内で患者の取り合いが生じるリスクが高いです。

メリットで挙げた「集患しやすい」の効果を得られず、通常よりも集患のための施策や広告宣伝が必要になる可能性もあります。

患者さんにとっても、同一エリアに似たクリニックが複数存在するメリットは小さいといえるでしょう。

医療モールの注意点2つ

最後に、医療モールについて押さえるべき注意点を2つ紹介します。

立地選び・物件選びを丁寧に行う

医療モールで開業する際は、立地選び・物件選びを丁寧に行いましょう

自身の理想に近いクリニック運営ができるかは、どの医療モールで開業するかに大きく左右されます。

 

立地選びや物件選びでチェックするべき要素として以下の例が挙げられます。

  • ・テナント賃料、共益費、管理手数料などの固定費
  • ・指定されている工事業者や医薬品業者
  • ・医療モールに定められているルール
  • ・ほかのクリニックの診療科目やコンセプト
  • ・診療圏の患者の数や属性、移動範囲

可能であれば、現地へ足を運んで実際の外装・内装や雰囲気までチェックするのが理想です。

 

細かな規定が存在する以上、すべて思い通りに運営するのは難しいのが事実です。

そのためすべての要素で理想を追求し過ぎず、ある程度は妥協する必要もあります。

絶対に譲れない要素と妥協はできる部分を明確にした上で医療モールを探すのが良いでしょう。

良好な人間関係の構築を意識する

医療モールでクリニックを運営するのであれば、良好な人間関係の構築を意識することが大切です。

 

「診療の質が上がる」というメリットが得られるのは、医師同士の情報共有や相談、意見交換などがしやすいためと紹介しました。

しかし、有益なコミュニケーションが期待できるのは良好な人間関係が構築できている場合に限ります。

クリニック同士の関係が悪ければ会話が生まれにくく、医療モールならではのメリットを享受できない恐れがあります。

クリニック同士の関係性の良し悪しが医療モール全体の雰囲気に影響を及ぼす可能性も高いです。

 

医療モールで運営する場合、ほかの場所で運営するクリニックよりもコミュニケーションの重要性が高くなります。

まとめ

医療モールとはさまざまな診療科のクリニックや調剤薬局が1か所に集まった施設です。

集患しやすい、初期費用を抑えられる、診療の質が上がる、資金調達しやすいといったメリットがあります。

一方で、固定費が高くなりやすい、自由度が下がる、患者の取り合いが生じる恐れがある等のデメリットも存在します。

 

医療モールの特性上、ほかの場所でクリニックを開業する場合とは勝手が違う部分が多いです。

まずは立地選び・物件選びを丁寧に行い、理想に近い医療モールで開業する必要があります。

良好な人間関係を構築するために適切なコミュニケーションをとることも大切です。

 

メリット・デメリットや注意点を押さえた上で、医療モールでの開業が適しているか検討しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
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