不動産投資でできる節税対策とは?仕組みと注意点を徹底解説!

2023.01.25

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不動産投資は節税につながると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

確かに不動産投資が節税につながるケースもありますが、単純な節税目的で不動産投資を行うことには大きなリスクがあります。
不動産投資を行うのであれば、不動産投資について正しい知識・理解が必要です。

 

今回は不動産を用いた節税対策について、節税になる仕組みや実施する際の注意点を詳しく解説します。

 

以下の記事でも個人で実施できる節税対策の紹介をしていますので、ぜひそちらもご覧ください。

 

 

 

CONTENTS

不動産投資が節税につながる理由​

不動産投資によって節税効果が得られる税金は以下の通りです。

 

所得税

所得に対してかかる税金です。

収入額から経費を引いて所得を算出し、さらに所得から所得控除の額を引いた課税所得金額に税率を乗じて計算します。

課税額が大きくなるにつれ税率も大きくなる、累進課税制度を採用しています。

 

住民税

都道府県や市区町村に納付する税金です。

課税所得に税率を乗じて計算する所得割と、すべての住民に一律同額で課せられる均等割の2つによって構成されています。

 

相続税

相続や遺贈によって取得した財産額が基礎控除額を上回る場合に発生する税金です。

相続税の基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人数)で計算します。

 

贈与税

1年間に受けた贈与額が基礎控除額を上回る場合に発生する税金です。

基礎控除額は一律で110万円となっています。

 

なぜ不動産投資がこれらの税金の節税につながるのか、理由を詳しく解説します。

所得税・住民税 節税の仕組み

不動産投資が所得税・住民税の節税につながるのは、不動産投資によって発生した赤字をほかの所得と相殺できるからです。

 

前述のように、所得税および住民税は所得額をもとに計算され、所得が大きいほど税額も大きくなります。

つまり、所得を小さくすることで節税が可能ということです。

 

所得は10種類に区分されており、所得の種類によって課税制度が異なります。

課税方法は、ほかの所得と合算したうえで税額を計算する総合課税と、個別に課税する分離課税の2種類です。

10種類の所得区分のなかでも特に多くみられるものとして、給与や賞与といった給与所得、事業から生じる事業所得が挙げられます。そして、不動産投資による所得は不動産所得に該当します。

 

給与所得・事業所得(株式等の譲渡による事業所得を除く)・不動産所得は、いずれも総合課税の対象です。

仮に給与所得が黒字であっても不動産所得が赤字であれば相殺でき、課税対象となる所得が小さくなります。

したがって、給与所得・事業所得がメインの個人であれば、不動産投資による所得税・住民税の節税効果が期待できるのです。

 

なお不動産所得が赤字にしやすい理由として挙げられるのは以下の2点です。

計上できる経費が多い

不動産に関連する支出は経費にできるものが多いため、収入額から経費額を引いた所得額を小さくしやすいです。

減価償却費を計上できる

固定資産の購入価額を耐用年数に応じて按分して費用計上する行為を減価償却、減価償却によって計上する費用を減価償却費といいます。

不動産は減価償却の対象であり、減価償却費として高額の経費を計上できるため、不動産所得は赤字にできる可能性が高いです。

なお減価償却費は実際の支出を伴わない経費であるため、キャッシュ的な負担がないというメリットもあります。

相続税・贈与税 節税の仕組み

不動産投資が相続税および贈与税の節税につながる理由は、不動産価値の評価方法にあります。

相続税や贈与税の計算で用いるのは、不動産の購入価額や時価ではなく、一定のルールに沿って算出した評価額です。

不動産は土地と建物の2つで構成されており、それぞれ以下の方法で評価を行います。

土地:
路線価(主要な道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価格)
または倍率方式(固定資産評価額に所定の倍率を乗じて計算する)

建物:
固定資産税評価額

不動産評価額は購入価額や時価よりも2~3割ほど下がるのが一般的です。

そのため、現預金をそのまま相続・贈与で移転するより、同じ額の不動産を購入したほうが、かかった金額は同じでも税額が小さくなる可能性が高くなります。

また、投資用不動産は賃貸物件とするケースが多いですが、賃貸物件の場合、評価額の計算に際して賃貸部分を控除できます。評価額の計算に用いる部分が小さくなるため、より大きな節税効果が得られます。

節税対策として不動産投資を行う際の注意点​

不動産投資にはさまざまなリスクや注意点が存在します。
節税対策として不動産投資を行う際の注意点を2つ紹介します。

不動産投資のリスクをしっかり押さえておく

これまでに紹介したように、不動産投資に節税対策の効果があるのは事実です。

しかし、不動産投資を行うのであれば、節税というメリットだけに注目するのではなく、リスクもしっかり押さえることが大切です。

 

不動産投資で失敗する・誤った方法をとってしまうと、十分な節税効果が得られないだけでなく、かえって負担が大きくなるケースも有り得ます。

不動産投資は動く金額も大きく複雑な点も多いため、節税効果がありそうという理由だけで不動産投資をするのは非常にリスクが高いです。

不動産投資についてしっかり理解したうえで、本当に不動産投資をするべきか検討する必要があります。

 

不動産投資の主なリスクを5つ紹介します。

収入を得られない恐れがある

投資用に購入した不動産は、賃貸物件として運用するのが一般的です。

しかし、すべての不動産が賃貸需要を持つわけではありません。
賃貸需要のないエリアである・需要に合わない物件であるなどの場合、入居者が見つからず家賃収入を得られない恐れがあります。

不動産所得の赤字があまりにも大きすぎると、節税どころか生活を圧迫するリスクも考えられます。

想定を超える収入が発生し、かえって税負担が大きくなる

「収入を得られない恐れがある」とは逆のリスクです。

家賃収入が大きくなりすぎると、不動産所得が黒字となる可能性も高まります。

不動産所得の赤字とほかの所得を相殺できるどころか、所得税の額がより大きくなってしまうケースも有り得ます。これでは節税対策という目的は達成できません。

ローン負担が大きく資金繰りが難航する

不動産はローンを組んで購入するのが一般的です。

ローン負担が大きすぎると資金繰りが難航し、生活が苦しくなる恐れがあります。

不動産選びやローン契約は慎重に行う必要があります。

節税効果が小さな物件を選んでしまう

不動産所得が赤字になりやすい理由のひとつとして、減価償却の存在を紹介しました。

減価償却は購入価額を耐用年数に応じて毎期費用配分する方法であり、耐用年数は固定資産の種類によって決まっています。

一言で不動産といっても、木造・合成樹脂造の耐用年数は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造は47年と、構造によって耐用年数が異なります。

耐用年数が長いほど1年で計上できる減価償却費が小さくなるため赤字にしにくく、比例して節税効果も小さくなってしまいます。

デッドクロスの回避に失敗して負担が急激に大きくする

デッドクロスとは、会計上は黒字であるもののキャッシュ面では赤字である状態を意味する用語です。

不動産投資の場合、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態(一般的には減価償却が終了したタイミング)を表します。

不動産を手放す時期を見誤ると、ローンの返済があるのに税額も増えるという状態になり、負担が急激に大きくなってしまいます。

経費計上や確定申告を正しく行う

所得税および住民税の節税目的で不動産投資を行う際は、経費計上や確定申告を正確に実施するよう注意が必要です。

 

経費計上や確定申告で誤りがあると、税額にもズレが生じます。

正しい所得よりも小さく申告してしまうと税金も小さくなりますが、税金の過少申告は意図的であったかどうかに関係なく加算税や延滞税が課される恐れがあります。

しかし、逆に申告額が大きければ、必要以上に税金を支払うことになってしまいます。

いずれにせよ、経費計上・確定申告は正しく行う必要があります。

 

相続税および贈与税の節税目的の場合、評価額の計算が必要なため更に注意点が多くなります。

 

投資による節税対策で不安があれば、税理士などの専門家に相談するのが安心です。

まとめ​

不動産投資は、上手くいけば大きな節税効果が得られます。
なぜ不動産投資が節税対策につながるのか仕組みをしっかり押さえることで、正しい方法での実施がしやすくなるでしょう。

 

ただし、不動産投資には大きなリスクや注意点も存在します。節税対策として軽い気持ちで実施するのはおすすめできません。

不動産投資について正しく理解したうえで、自身にとって効果的な方法か・不動産投資を行うべきか、十分に検討しましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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