相続税の節税対策とは?おすすめの手法と注意点について解説!

2023.02.17

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相続税は相続発生時という限られたタイミングのみ課税の可能性が発生し、かつ、高額になりやすい税金です。

相続税の負担を最小限に抑えるためには、早い段階からの節税対策が求められます。

相続税には節税につながる手法が複数あり、上手くいけば税負担を軽減することができます。

 

その一方で、他の税金に比べルールが厳しく注意するべき点が多いため、事前に十分確認し正しく理解することが必要です。

 

今回は相続税の節税対策におすすめの手法と、節税を行う際の注意点を紹介します。

 

所得税の節税については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

 



CONTENTS

相続税の節税対策におすすめの手法5選​

相続税の節税対策におすすめの手法を5つご紹介します。

生前贈与を行う

生前贈与とは、相続が発生する前、すなわち生前に財産移転を進めることで、課税対象となる相続財産を減らす手法です。

 

贈与税には年間110万円の基礎控除額が設けられています。

贈与する財産の内容や相手に関係なく、年間110万円までの贈与には課税されません。

贈与税の基礎控除の仕組みを使い毎年少しずつ贈与を行うことで、贈与税の発生を避けながら相続財産の額を小さくすることができます。

 

また、生前贈与は相続よりも財産移転が容易というメリットもあります。

被相続人による遺言書がない場合、相続人同士で話し合い、誰が何を相続するか決めるのが一般的です。

(相続人同士で相続内容を決める話し合いを遺産分割協議といいます)

相続人が多い・相続人同士の関係性が悪いなどの理由から、遺産分割協議がスムーズに進まないケースも珍しくありません。

 

一方で贈与は、贈与をする人・受ける人の二者間で合意があれば財産移転が可能です。

財産移転に必要な手続きや書類も、相続の場合よりも少なく済みます。

 

生前贈与は節税面だけでなく、財産移転をスムーズにする意味でもメリットが大きい手法です。

特例や控除制度を最大限活用する

相続税には特例や控除制度が多く存在します。

これらの制度を最大限活用することで、相続税の額を抑えられたり納税額をゼロにできる可能性が高くなります。

 

相続税の代表的な特例・控除制度を3つ紹介します。

配偶者控除

亡くなった人の配偶者は、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか大きい方の金額まで非課税となる制度です。

この制度によって、故人の配偶者にかかる相続税はゼロまたは少なく抑えることができます。

相次相続控除

相続の発生から10年以内に次の相続(二次相続)が発生した際に利用できる制度です。

例として、父親が亡くなって相続が発生し、その後10年以内に父親の相続人であった子供がなくなった場合が挙げられます。

相続が短期間で続けて発生すると、同じ相続財産に対して相続税が二重で課せられてしまいます。

このようなケースにおける相続税の負担を軽減するための制度です。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地等について、相続税の計算に用いる評価額を減額できる制度です。

 

対象となる宅地等は以下のとおりです。

  • ・被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(亡くなった人が住んでいた場所の土地)
  • ・特定事業用宅地等(亡くなった人が事業を営んでいた場所の土地)
  • ・貸付事業用宅地等(亡くなった人がアパート等の賃貸事業に使用していた土地)

減額割合は50%または80%で、宅地の種類によって異なります。

また、宅地の種類ごとに減額を受けられる面積の上限が設定されていますので、事前に確認した上での計算が必要です。

生命保険の非課税枠を利用する

生命保険の受取額は、以下の金額まで相続税が非課税となります。

500万円×法定相続人の数

 

生命保険の非課税枠を活用すれば、相続税がかからない現金を相続人に遺すことができます。

相続税の負担を抑えつつなるべく多くの財産を遺したい場合に効果的な手法です。

生前にお墓や仏具を購入する

お墓や仏具といった財産は、亡くなった人の名義であっても相続税の課税対象ではありません。

そのため、生前にお墓などの非課税財産を購入する方法も相続税の節税対策に効果的です。

 

非課税財産の具体例は以下のとおりです。

  • ・墓地や墓石
  • ・霊廟
  • ・仏壇や仏具など神を祀るもの

日常礼拝している財産と表現されます。

 

生前にお墓や仏具を購入すれば、課税対象となる現預金を小さくしつつ、遺された人がお墓などを購入する負担も軽減できます。

 

なお、節税対策として非課税財産を購入する際には、以下の3点に注意が必要です。

  • ・相続の発生後にお墓を購入した場合は対象外
  • ・生前に購入したお墓の代金が未払いの場合は対象外
  • ・投資用に購入したもの(日常礼拝用ではない)、骨董品としての価値があるものなどは対象外

相続の発生前に税理士報酬を支払う

相続の発生前に被相続人が税理士報酬を支払い、相続税の課税対象となる現預金を減らす方法もあります。

相続財産が小さくなるため節税につながるだけでなく、遺された人が支払う税理士報酬の負担も小さくできる点がメリットです。

 

ただし、すべての税理士が相続発生前の報酬前払いを受け付けているわけではありません。

税理士報酬の前払いを検討している場合は、その可否を早い段階で税理士に確認するのが安心です。

相続税の節税を行う際の注意点​

今回紹介した相続税の節税対策は、いずれも効果が出やすく比較的簡単で実施しやすい方法です。

しかし、相続税の節税について注意点を知らずにいると、節税対策の効果が得られない恐れがあります。

 

相続税の節税を行う際に押さえたい注意点を2つ紹介します。

生前贈与が否認されないよう注意

生前贈与は相続税の節税対策として人気かつ主流な方法です。

しかしやり方を誤ってしまうと、生前贈与が否認されて相続税の課税対象となるケースがあります。

相続税の節税対策として生前贈与を行う場合、生前贈与が否認されないよう注意が必要です。

 

生前贈与が否認されるケースの具体例を紹介します。

  • ・現金手渡しかつ贈与契約書を用意していない
  • ※贈与の証拠がないため、生前贈与が否認されるリスクが高いです
  • ・毎年同じ金額を贈与する
  • ※毎年一定額を贈与する行為は定期贈与に該当する可能性があります。
     定期贈与は年間110万円以下でも贈与税の課税対象になるため、節税効果が小さくなってしまいます

また、被相続人が亡くなる3年以内に行われた贈与は相続税の対象になる点にも注意が必要です。

亡くなる3年以内に実施された生前贈与も相続財産として加算する必要があるということをきちんと認識しておきましょう。

控除・特例制度によって相続税がゼロになっても申告が必要なケースがある

相続税の控除や特例制度を用いることで相続税が大幅に減額され、相続税がゼロになるケースもあります。

しかし、制度や特例の適用要件によっては、相続税がゼロであっても相続税の申告が必要です。

今回紹介した制度のうち、配偶者控除と小規模宅地等の特例は、適用を受けるために相続税の申告をする必要があります。

相続税の申告をしなければ制度の適用を受けられず、控除が認められません。

結果として制度を適用しない状態で相続税を計算・納付することになります。

(相次相続控除の適用によって相続税がゼロになった場合は申告不要ですが、申告をしても問題ありません)

特例や控除制度を利用する際は、申告が必要かどうか必ず確認しましょう。

なお、課税対象となる遺産総額が相続税の基礎控除額以下の場合は申告不要です。

相続税の基礎控除額は以下のとおりです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

たとえば法定相続人が被相続人の配偶者と子供2人の計3人である場合、基礎控除額の額は以下のようになります。

3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

遺産総額が4,800万円以下であればそもそも相続税が発生しないため、相続税の申告も必要ありません。

まとめ​

相続税は節税の方法が複数存在するため、事前の対策によって税額を抑えることは可能です。

ただし細かな要件や注意点があり、誤った方法をとってしまうと節税効果が得られない恐れもあります。

 

そもそも相続税は制度が複雑で、専門知識がない人が正しい金額の計算や制度の適用を行うのは容易ではありません。

相続税の効果的な節税対策を実施し、相続税の計算・申告も正しく行うためにも専門家に相談するのが安心です。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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