
節税対策には専門知識や特別なテクニックが必要と思っている人も多いのではないでしょうか。
所得税を減らしたくても、自分にはできない・何をすれば良いかわからないと、節税を諦めている人もいるかもしれません。
しかし、簡単な工夫や作業だけでできる節税対策も存在します。
所得税についても、基本を押さえ適切な方法を実施すれば、税額を大幅に抑えられる可能性もあります。
本記事では、所得税を節税するために押さえたいポイントをわかりやすく解説します。
個人でできる節税対策については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
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【基本】所得税の節税についてみる前に

具体的な節税対策の前に、税金の概要や仕組みについて理解することが大切です。
まずは所得税の基本について解説します。
所得税の概要
所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金です。
そもそも所得とは、収入から必要経費を差し引いた額を指します。
たとえば個人事業主の場合、1年の売上総額(収入)がそのまま所得になるわけではありません。
売上から事業に関連する支出である経費を引いた額が所得となります。
給与所得者には必要経費という概念がなく、仕事用のスーツ・鞄・その他支出があっても経費として差し引くことができません。
その代わりに、年間の収入額から給与所得控除額を差し引くことができます。
給与等の収入金額から給与所得者控除額を差し引いた額が給与所得となります。
なお、給与等の収入金額によって適用される給与所得者控除額が異なる点に注意が必要です。
所得税は所得額に応じて税率が上がる累進課税制度を採用しています。
所得が1,949,000円までの部分には5%、1,950,000円 から 3,299,000円までの部分には10%というように、一定の金額を超えた部分に高い税率を適用する超過累進課税の制度です。
税率は5%から45%の7段階に区分されています。
所得税の納付方法
所得税の納付方法は、1か所の給与所得のみの会社員とそれ以外で大きく異なります。
1か所の給与所得のみの会社員は年末調整による税額の確定および精算、そうでない人は確定申告が必要です。
年末調整と確定申告それぞれについて解説します。
年末調整
年末調整とは、年間の所得税額を確定しこれまでに徴収した所得税との過不足を調整する手続きです。
会社からの給与や賞与は、所得税・住民税・社会保険料などが差し引かれた金額が支払われます。
このうち所得税として徴収されるのは、あくまでも概算の金額です。
所得税の額は1年間の給与収入や各種控除額の合計が確定しなければ計算できません。
そのため給与や賞与からは概算の金額を徴収し、1年間の給与額等が確定してから過不足の調整を行う必要があります。
年末調整は毎年11月から12月に実施され、従業員は会社から指示された書類の作成や所定の資料の提出が必要です。
所得税額よりも徴収額が大きければ還付、徴収額が小さければ追加徴収が行われます。
確定申告
個人事業主をはじめ給与以外の所得がある人や、2か所以上から給与をもらっている人は、確定申告が必要です。
所得税の確定申告および納付は、翌年の2月16日から3月15日まで(土日祝にかぶる場合は翌平日)に行う必要があります。
なお、1か所からの給与所得のみであっても、年末調整では適用できない控除制度を受ける場合は確定申告が必要です。
所得税の節税におすすめの方法3選

所得税の基本を紹介したところで、続いて所得税の節税につながる具体的な方法を紹介します。
なお、今回紹介するのはサラリーマンや公務員のように副業をしていない人でもできる方法のみです。
個人事業主向けの節税対策については、以下の記事で解説していますので是非ご覧ください。
控除制度を最大限活用する
所得税の額を抑えるためには、所得控除の制度を最大限活用することが大切です。
所得税にはさまざまな控除制度が存在し、制度を漏れなく活用するだけでも納税額に大きな差が出る可能性があります。
今回、適用を受けられる可能性が高い・見逃しやすい控除制度を5つ紹介します。
医療費控除またはセルフメディケーション税制
医療費控除は、納税者本人および生計を一にする配偶者・親族のために支出した医療費が一定額を超える場合に利用できる制度です。
治療費・医薬品購入費・入院費用などが対象となります。
セルフメディケーション税制はドラッグストアや薬局などで、自身で選択・購入した医薬品の合計額が一定額を超える場合に適用できる制度です。
注意点として、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方のみしか適用を受けられません。
どちらの方がお得になるか・節税効果が大きいかを確認した上で申請しましょう。
生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料や地震保険料の支払いがある場合に適用を受けられる控除制度です。
現時点で生命保険等に加入していない場合、加入することによって今後の所得税額を抑えられる可能性があります。
扶養控除
控除対象の扶養親族がいる場合に適用を受けられる制度です。
扶養親族の年齢や同居の有無など、区分によって適用される控除額が異なります。
扶養親族の条件は以下の通りです。
・6親等以内の血族、あるいは3親等以内の姻族
・同一生計である
・年間の合計所得が38万円以下(給与のみの場合、給与収入103万円以下)
・事業専従者でない
なお、配偶者は後述する配偶者控除の対象であり、扶養控除は対象外です。
配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者控除とは、配偶者の所得額が一定以下の場合に適用を受けられる制度です。
納税者本人の所得額によって控除額が異なります。
また、配偶者控除と配偶者特別控除の違いは下記の通りです。
配偶者控除
配偶者の年間合計所得が48万円以下の場合に適用されます。
配偶者特別控除
配偶者の年間合計所得が48万円以上133万円以下の場合に適用されます。
このように、配偶者の所得額が48万円以上の場合は配偶者控除ではなく配偶者特別控除が適用されます。
配偶者控除より配偶者特別控除の方が、所得から控除できる金額が小さめです。
特定支出控除
給与所得者には必要経費という概念がなく、代わりに給与所得控除額を差し引くと紹介しました。
しかし、仕事に関する支出の自己負担が一定額を超えた場合、特定支出控除の適用を受けられます。
特定支出控除の適用を受けるためには、特定支出に関する証明書を会社に発行してもらう必要があります。
iDeCoやNISAを行う
iDeCoやNISAも個人の節税対策におすすめの方法です。
いずれも投資運用によって発生した利益が非課税となります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人で積み上げる年金制度です。
毎月一定額の掛金を支払い、掛金は預金や投資信託として運用されます。
前述したように運用益が非課税になる上、掛金全額が所得控除の対象になるため、大きな節税効果を得られます。
NISAは、投資信託などの金融商品運用で発生した運用益が非課税となる制度です。
iDeCoのように支出額が控除対象になるわけではないため、iDeCoに比べると節税効果が少なくなります。
ただし確定申告や年末調整における手続きが不要で、税負担なく投資運用ができるという点でメリットが大きい方法です。
iDeCoとNISAについては以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
ふるさと納税を行う
ふるさと納税とは、好きな自治体を選んで寄付を行うと寄付をした自治体から返礼品を受けられる制度です。
自治体への寄付金額から自己負担額2,000円を引いた額が、所得税や住民税から控除されます。
応援したい自治体に寄付できる・2,000円の自己負担で返礼品がもらえる点が大きなメリットとして挙げられます。
税金を減らすというより前払いに近いイメージであり、厳密には節税対策とは異なる方法です。
ふるさと納税については以下の記事で詳しく解説しています。
所得税の節税対策は確定申告が必要なケースが多い

給与所得者は会社が行う年末調整で所得税の精算が済むため、確定申告は不要なケースがほとんどです。
しかし、年末調整で適用できない控除制度を使うためには、1か所からの給与所得のみの人も確定申告を行う必要があります。
今回紹介した例では、医療費控除・セルフメディケーション税制・特定支出控除が確定申告が必要な控除です。
これらは確定申告をしなければ控除が適用されず、節税効果も得られません。
確実な節税対策を行うためには、控除を受ける方法や確定申告の必要有無について事前に確認しましょう。
まとめ
所得税の節税にはさまざまなテクニックがありますが、簡単な手続きのみで実施できる方法も多く存在します。
ちょっとした知識や作業の有無が、結果として所得税額を大きく左右するケースも珍しくありません。
今回紹介した節税対策は、いずれも実施しやすく大きな効果が期待できる方法です。
これらを上手く活用し、所得税の負担を軽減させましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士