確定申告をしないとどうなる?ペナルティと対処方法について解説!

2024.07.03

確定申告の義務があるのに申告を怠った場合、様々なペナルティを課されます。

確定申告をせずにいる期間が長いほどペナルティが重くなり、高額の追徴課税や刑事罰の対象になる恐れもあります。

したがって、確定申告をせずに放置するのは厳禁です。

意図せず期限を過ぎてしまった・期限後に確定申告の義務があることに気づいた場合、すみやかに何らかの対処を行いましょう。

 

今回は確定申告をしない場合に課されるペナルティの内容や、確定申告が遅れてしまった場合の対処方法について解説します。

 

所得税の基本事項については以下の記事をご覧ください。

 

 

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確定申告期間はいつからいつまで?

確定申告の期間は、原則として2月16日から3月15日までの1ヶ月間です。

ただし、この期間の開始日・最終日が土日祝日にあたる場合は、翌営業日が開始日・最終日になります。

具体的に、2024年分(令和6年分)の所得税および復興特別所得税の確定申告期間は、2025年2月17日(月)から2025年3月17日(月)までとなります。この期間内に確定申告書の提出と納税を完了させる必要があります。

 

ただし、提出方法によって最終受付時間が異なりますので注意が必要です:

  • 税務署窓口への直接提出:2025年3月17日(月)17時まで
  • 税務署への郵送:2025年3月17日(月)消印分まで
  • e-Taxによるオンライン提出:2025年3月17日(月)24時まで

確定申告期間より早く提出することは可能?

令和6年分(2024年分)の所得税の申告および納税の期間は、令和7年(2025年)2月17日(月)から3月17日(月)までです。ただし、確定申告書はこの期間より前に提出することも可能です。

しかし、期間前に提出した場合でも、正式な受付は2025年(令和7年)2月17日(月)以降となりますので、その点にはご注意ください。

 

確定申告で各種控除を受けるために必要な証明書は、例年11月頃から順次郵送されます。申告を行う際には、必ず必要書類がすべて揃ってから手続きを進めるよう心掛けましょう。

無申告が発覚する理由

確定申告を行っていないことが税務署に発覚する経路はいくつかあります。例えば、脱税の疑いがある場合には、税務調査や銀行口座の取引内容のチェックなどが行われます。無申告を発見するための調査は常に行われており、脱税が疑われる前段階でも、以下のような理由で発覚することがあります。

  • 取引先の支払調書の確認
  • 国税庁による無申告調査
  • 不動産購入
  • 知人等からの情報提供

個人事業主やフリーランスも、企業と同様に調査対象となります。事業が黒字か赤字かに関係なく、無申告が発覚した場合はペナルティが科せられます。悪質だと判断された場合、刑事罰を受ける可能性もあるため、申告対象者は必ず期限内に確定申告を行うことが求められます。

確定申告をしない場合に課されるペナルティ

確定申告をしない場合に課されるペナルティの内容について解説します。

延滞税

延滞税とは、税金が期日までに納付されない場合に課されるペナルティです。利息の性質を有します。

正確には確定申告をしなかった場合ではなく、期日までに納税しなかった場合に課されます。

確定申告はしたものの納付が期限を過ぎてしまった場合も延滞税の対象にはなるため注意しましょう。

 

延滞税の割合は、納期限からの経過日数によって以下のように異なります。

 

  • 納期限の翌日から2ヶ月以内
  • 原則として年7.3%
  • ただし、令和3年1月1日以後の期間は以下の割合が適用されます。
  • ・令和4年1月1日~令和6年12月31日:年2.4%
  • ・令和3年1月1日~令和3年12月31日:年2.5%
  •  
  • 納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後
  • 原則として年14.6%
  • ただし、令和3年1月1日以後の期間は以下の割合が適用されます。
  • ・令和4年1月1日~令和6年12月31日:年8.7%
  • ・令和3年1月1日~令和3年12月31日:年8.8%

延滞税は納付すべき税額とあわせて支払いが必要です。

無申告加算税

無申告加算税は、期日までに確定申告をしなかった場合に課されるペナルティです。納付税額に一定割合を乗じた額が課されます。

 

適用される割合は納付税額によって以下のように異なります。

  • 納付税額50万円以下:15%
  • 納付税額50万円超300万円以下:20%
  • 納付税額300万円超:30%

なお、税務調査による指摘を受ける前に自主的に納付した場合は5%軽減される仕組みです。

 

また、期限後申告でも以下の要件をすべて満たす場合は無申告加算税の対象外となります。

  • ・法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に期限後申告をした
  • ・納付すべき税額を法定納期限までに納付している
  • ・期限後申告書を提出した日の前日から5年以内に、無申告加算税、重加算税、期限内申告の意思があると認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていない

重加算税

重加算税とは、事実の隠ぺいや仮装など、悪質と判断された場合に課されるペナルティです。

無申告だけでなく悪質な行為による過少申告も重加算税の対象となります。

 

重加算税に適用される割合は以下の通りです。

  • ・過少申告:35%
  • ・無申告:40%

【悪質と判断された場合】刑事罰

非常に悪質な脱税行為と判断された場合は刑事罰の対象になる恐れもあります。

一般的には国税庁による強制調査において脱税行為が露呈した後、裁判を経て有罪判決に至った場合に罰則が科される流れです。

有罪判決に至った場合の罰則は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金となります。

税金の還付が受けられなくなる

確定申告を行うと、実際に納めた税金と本来納めるべき税額の差額が確認され、過剰に納付している場合にはその差額が還付されます。しかし、確定申告をしない場合、税額の突き合わせが行われないため、差額があっても還付されることはありません。

還付金を受けるためには、本来納めるべき税額を把握する必要があります。

還付があるかどうかは実際に税金を計算してみないとわかりませんが、会社員で副業の収入が本業の給与以下であれば、還付される可能性が高くなります。

青色申告特別控除の控除額が10万円になる

青色申告特別控除の額は、要件によって65万円・55万円・10万円の3段階に区分されています。

そして、55万円または65万円の控除を受けられるのはその年の期限までに確定申告を行った場合のみです。

期限後申告になってしまうと、他の要件を満たしていても控除額は10万円と非常に少なくなってしまいます。

【法人の場合】青色申告の承認取り消し

青色申告の法人が2事業年度連続で申告をしない、もしくは期限後申告となった場合は、青色申告の承認取り消しとなります。

また、青色申告の承認取り消しの通知を受けてから1年間は青色申告の申請ができません。

自動で青色申告の再適用がされることもないため、通知を受けてから1年以上経過した後に青色申告の承認申請を行う必要があります。

なお、無申告および期限後申告による青色申告の承認取り消しは個人事業主には適用されません。

ただし前項で紹介したように、青色申告特別控除の控除額が10万円になってしまいます。

ふるさと納税の控除を受けられない

ふるさと納税による寄附金を税金から控除するには、寄附した金額を確定申告で申告する必要があります。

確定申告を行わない場合、原則として寄附金控除を受けることができませんので、注意が必要です。

ただし、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が存在します。この制度は、納税先が5自治体以内の場合に限り利用可能で、各自治体に必要書類を提出する必要があります。

国民健康保険の減税措置が受けられない

個人事業主は、収入が少ないなどの理由で国民健康保険料の軽減措置を受けられるケースがあります。

しかし、確定申告を行わないと、収入が少ないことを証明する「所得証明書」が発行されず、そのため保険料の軽減措置を申請できなくなります。

また、所得証明書は以下のような場合にも必要となるので、発行を忘れないようにしましょう。

  • ローンを組むとき
  • 賃貸物件を借りるとき
  • 保育園の入園手続きを行うとき
  • 児童手当を申請する際

ローンや賃貸契約に支障が出る

ローン契約や賃貸契約、保育園の入園手続きなどでは、収入を証明できる書類の提出を求められることがあります。会社員の場合は源泉徴収票で十分ですが、個人事業主やフリーランスなど源泉徴収がされていない人は、「非課税証明書」や「所得証明書」で収入を証明します。

これらの証明書を発行するには確定申告が必要です。特に、会社員以外の人は収入証明がなければ契約が成立しない場合もあるので注意が必要です。

 

また、会社員でも副業収入が多い場合、源泉徴収票だけでは実際の収入を証明できません。確定申告を行うことで、副業を含めた正確な所得証明が可能となります。

高額な物件への転居や高額な買い物を行う際、所得額に応じて契約審査に通らない可能性もあります。無申告は不利益を生むことがあるため、正確に確定申告を行いましょう。

確定申告が遅れた場合の対処方法

確定申告が遅れた場合に最も避けるべきなのはそのまま放置することです。

期限を過ぎてしまった場合はすぐに何らかの対処をする必要があります。適切な対応をすればペナルティを最小限にできるでしょう。

この章では、確定申告が遅れた場合の対処方法を2つ紹介します。

できるだけ早く確定申告(期限後申告)を行う

確定申告の遅れによるペナルティを最小限に抑えるには、とにかくできるだけ早く確定申告を行うことが大切です。

期限後申告になってしまうためペナルティをゼロにするのは難しいですが、早ければ早いほどペナルティを軽くできます。

なお、期限後申告におけるペナルティの1つである無申告加算税は以下の要件をすべて満たせば課されません。

  • ・法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に期限後申告をした
  • ・納付すべき税額を法定納期限までに納付している
  • ・期限後申告書を提出した日の前日から5年以内に、無申告加算税、重加算税、期限内申告の意思があると認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていない

期限から1ヶ月以内の申告で納税自体は納期限までに実施しており、無申告加算税や重加算税を課された経験がなければ無申告加算税はゼロになります。

また「納付すべき税額を法定納期限までに納付している」を満たしている以上、延滞税も課されません。


見込税額の納付だけは期限までに行い、1ヶ月以内に正しい内容で確定申告を行えば、延滞税・無申告加算税いずれもかからずに済みます。

やむを得ない事情の場合は確定申告期限延長申請をする

確定申告の期限が過ぎてしまう理由がやむを得ない事情の場合は確定申告期限延長申請を行いましょう。

所得税の確定申告をはじめ、国税の申告・請求・届出・納付等が期限までにできない相当の理由がある場合、申請によって期限延長ができるケースがあります。

 

期限延長申請の概要を紹介します。

  • ・提出する書類:災害による申告、納付等の期限延長申請書
  • ・提出時期:やむを得ない理由がやんだ後相当の期間内
  • ※明確な日数は定められていませんが、なるべく早く提出するのが理想です。
  • ・提出先:納税地を所轄する税務署長
  • ・審査基準:申請者の被災状況等の実情に照らし合わせて判断
  • ・延長できる期間:やむを得ない理由がやんだ日から2ヶ月以内

 

なお、申請したからといって必ずしも期限延長が承認されるとは限りません。

むしろ審査基準は厳しいといわれており、否認されてしまうケースが多いのも事実です。

所得税を期限内に納付できない場合の対処法

所得税を期限内に納付できない場合、以下の制度を利用できる可能性があります。

猶予制度

納税によって事業の継続や生活が困難になる場合や、災害で財産を損失した場合など、特定の事情がある場合には「猶予制度」を利用できることがあります。

猶予制度では、原則として1年以内の分割納付や、1年間納税を据え置くことが可能です。猶予期間中は、延滞税が軽減されるなどのメリットもありますので、要件に該当する方は検討してみましょう。

なお、猶予制度は税金の支払いを分割することができる制度であり、申告・納付期限自体が延長されるわけではない点に注意が必要です。

延納制度

確定申告による所得税の納付が遅れる場合には、「延納」を利用することも可能です。

この制度では、期限内(3月15日)に納付すべき税額の半分以上を納めることで、残りの税額の納付を5月31日まで延長することができます(振替納税を利用する場合、振替日までに納付)。

ただし、延納期間中は、年「7.3%」または「特例基準割合」のいずれか低い割合で利子税が課されるため、元々の納税額よりも高くなる点には注意が必要です。

災害による財産損失時の納税猶予制度

「災害により財産に相当な損失を受けた場合の納税の猶予」は、震災などの災害により財産に大きな被害を受け、税金の納付が困難となった場合に、納税を猶予する制度です。この制度を利用すると、最大で3年間の納税猶予を受けることができます。さらに、災害などで納税が困難な場合の猶予制度を併用することが可能です。

 

制度を利用するためには、申請書をはじめとする各種書類を提出する必要があります。申請方法や必要書類については、国税庁のWebページ「災害を受けた場合の納税の緩和制度について」を参照してください。

内容を間違えて確定申告した場合の対処法

誤った内容で確定申告していた場合、気づいたタイミングが期限内か期限後かによって対応方法が異なります。

確定申告期間内の場合:「訂正申告」で対応

確定申告期間内に申告内容に誤りに気付いた場合、訂正申告を行うことで対応します。訂正申告は期限内に修正を行うため、加算税や延滞税が発生することはありません。

税務署では、同一人物から複数の確定申告書が提出された場合、最終的に提出された申告書を正式なものとして扱います。

 

訂正申告を行う場合、税務署の窓口に直接提出するか郵送で行うことができます。この場合、正しい内容を記載した確定申告書を新たに作成し、1枚目に「訂正申告」と明記します。また、訂正前の確定申告書の提出年月日と申告税額を赤字で記載する必要があります。

e-Taxを利用して訂正申告を行う場合、訂正後の申告データに加え、訂正した帳票を含むすべての帳票を送信します。税務署への別途連絡は不要です。

 

もし訂正後に納税額が多くなる場合は、不足分を追加で納税しますが、逆に納め過ぎていた場合は還付されます。

確定申告期間を過ぎた場合:「修正申告」か「更正の請求」で対応

確定申告の期限を過ぎて誤りに気付いた場合、追加納税が必要な場合は「修正申告」、納税額の軽減や還付金の増加がある場合は「更正の請求」を行います。

修正申告

修正申告は、納税額が本来納付しなければならない金額より少ない場合(無申告を含む)や、還付金額を実際より多く申告した場合に行う手続きです。

修正申告を行う際は、確定申告書の第一表と第二表を用いて訂正します。以前は「修正申告書」として様式第五表が使用されていましたが、2022年提出分よりこの様式は廃止されました。

修正が遅れると、加算税の税率が軽減されない場合や、延滞税が高くなることがあります。間違いに気付いた場合は、できるだけ早く修正申告を行いましょう。

追加で支払う税金は、修正申告を行った日が納期限となり、その納期限までに発生した延滞税と合わせて支払います。

 

なお、申告期限内に確定申告したものの納税額が少なかった場合は「過少申告加算税」が適用され、期限後に修正申告を行った場合は「無申告加算税」が課されることになります。

更正の請求

更正の請求は、納税額を過剰に申告した場合や、還付金額を少なく申告した場合に、正しい金額への訂正を求める手続きです。

この手続きは、「更正の請求書」を税務署長に提出することで行います。請求書の内容が審査され、過剰に納税された場合や還付金が少なかった場合には、訂正された金額に基づいて還付を受けることができます。

更正の請求は、確定申告の申告期限または還付申告をした日より5年以内に提出する必要があります。後から金額に変動があった場合、その理由が発生した日から2ヶ月以内に提出することが求められます。

【参考】確定申告が必要なケースの例

確定申告が必要と知らず、意図せず確定申告漏れとなってしまうケースもあるでしょう。

このような事態を避けるため、所得がある場合は確定申告の必要有無を確認しておくのが安心です。

 

基本的に、給与所得以外の副収入による所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

副収入として以下の例が挙げられます。

  • ・株取引による利益
  • ・FXによる利益
  • ・フリマアプリを使ったせどり
  • ・その他副業による収入全般

まとめ

確定申告の義務があるのに怠ると、延滞税や無申告加算税等の追徴課税や、青色申告の控除額の減少といった様々なペナルティが課されます。

申告期限を過ぎたことによるペナルティをゼロにするのは難しいですが、対処が早いほどペナルティを軽くできます。

確定申告の期限が過ぎてしまったら放置をせず、とにかく早めに何らかの対処を行いましょう。

 

なお、確定申告が必要と知らなかったために、意図せず申告漏れとなってしまうケースもあります。

思わぬ申告漏れを防ぐためにも、何らかの所得がある人は確定申告の必要有無について確認しておくのが安心です。

確定申告が必要かの判断にお悩みであれば、専門家である税理士にご相談ください。

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青色申告の法人が2事業年度連続で申告をしない、もしくは期限後申告となった場合は、青色申告の承認取り消しとなります。

また、青色申告の承認取り消しの通知を受けてから1年間は青色申告の申請ができません。

自動で青色申告の再適用がされることもないため、通知を受けてから1年以上経過した後に青色申告の承認申請を行う必要があります。

なお、無申告および期限後申告による青色申告の承認取り消しは個人事業主には適用されません。

ただし前項で紹介したように、青色申告特別控除の控除額が10万円になってしまいます。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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