ふるさと納税は、自分の出身地や応援したい自治体に寄付をすることで、所得税や住民税から一定額を控除できる制度です。寄付をすると自治体から返礼品が送られてくるほか、ポイントが付与されるケースもあります。
しかし一方で、ふるさと納税には様々なデメリットや注意点があることを押さえる必要があります。メリットだけでなくこれらも十分理解した上で、自身の状況に合わせた選択をすることが重要です。
本記事では、ふるさと納税のデメリットと注意点について重点的に解説します。
ふるさと納税については、以下の記事でも解説しています。
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CONTENTS
ふるさと納税の仕組みとメリット
ふるさと納税は、自分の出身地や応援したい自治体に寄付をすることで、所得税や住民税から一定額を控除できる制度です。
主なメリットは以下の通りです。
自治体から返礼品が届く
ふるさと納税をすると、寄付した自治体から返礼品が送られてきます。
返礼品は、その自治体の特産品や名産品などが一般的ですが、ラインナップは様々です。
納税者は、自分の好みに合った返礼品を選ぶことができるのがメリットです。
所得税や住民税から控除を受けられる
ふるさと納税を通じて寄付を行うと、その金額に基づいて税額控除を受けられます。自己負担額である2,000円を差し引いた寄付金額について、翌年度の所得税で還付が行われるとともに、住民税からも控除されます。
還付・控除される金額には上限が設けられていますが、翌年度の納税額を抑えられることはふるさと納税の大きな利点の一つと言えるでしょう。
ポイントサイトやクレジットカードのポイントが貯まる
一部のポイントサイトやクレジットカード会社では、ふるさと納税をすることでポイントが貯まるサービスを提供しています。
ポイント還元率は通常1~10%程度が一般的で、例えば10万円のふるさと納税で1万ポイント貯まれば、実質的に1万円分お得になったことになります。
このようなポイント制度を有効活用すれば、ふるさと納税がさらにお得になるでしょう。
ふるさと納税のデメリット
ふるさと納税は、メリットばかりでなくデメリットや注意点も存在します。
以下に詳しく解説します。
実質的な節税効果はない
控除限度額を超えると自己負担になる
ふるさと納税は、一定の控除限度額を超えると自己負担になります。
給与所得者の場合、所得税と住民税を合わせた控除限度額は、総所得金額の40%が上限となっています。この限度額を超えた分は、全額自己負担となります。
例えば、年収800万円の人が40万円のふるさと納税をした場合、控除限度額は32万円なので、残り8万円は自己負担となり、節税メリットが失われてしまいます。
寄付金額にかかわらず自己負担2,000円が必ずかかる
ふるさと納税では、寄付金額にかかわらず自己負担2,000円がかかります。
例えば、7,000円のふるさと納税をした場合、控除対象額は5,000円(7,000円-2,000円)となります。この5,000円分が翌年の税金から控除されますが、残りの2,000円分は自己負担となります。
返礼品の内容や額によってはお得感がなくなってしまう場合があるため注意が必要です。
控除を受けるための申請が必要
ふるさと納税をした場合、税金控除を受けるための申請が必要です。
給与所得者の場合はワンストップ特例制度が便利ですが、利用できるのはふるさと納税以外に申告が不要で、年間の寄付先が5自治体以内の場合です。
それ以外は確定申告が必要です。申請を忘れると税金控除を受けられなくなるので注意しましょう。
寄付した年は先に支出が発生する
ふるさと納税は、寄付をした年の所得から控除されます。
つまり、寄付をした年は先にお金を支払う必要があり、税金控除の恩恵を受けられるのは翌年の確定申告や年末調整の際になります。
例えば、2023年にふるさと納税をした場合、2023年分の所得から控除されるため、実際に控除を受けられるのは2024年の確定申告や年末調整の際です。このように、お金の支出と控除の時期がずれることがデメリットです。
ふるさと納税をしないほうがいい人
ふるさと納税はその性質上、利用をおすすめできない人もいます。
以下にケース別に解説します。
住民税を払っていない人
ふるさと納税による税金控除は、住民税の課税対象者のみが受けられます。つまり、住民税を払っていない人がふるさと納税をしても、控除を受けることはできません。
具体的には、学生や専業主婦、アルバイトなどの収入が一定水準に満たない人が該当します。
現状住民税の負担がない人が返礼品目当てでふるさと納税をしても、税金控除は受けられないだけでなく、返礼品の価値を上回る自己負担が発生する可能性もあります。
年収が低い人
ふるさと納税による控除額は総所得金額に応じて変動し、年収が低いほど控除額が少なくなります。
年収が低いと手間に見合うだけの利益を得られないだけでなく、返礼品の価値を上回る自己負担が発生する可能性があります。
退職金を受け取った人
退職金によってその年の収入が増加したとしても、控除限度額が大幅に上昇するとは限りません。退職金には税制上の優遇措置が適用され、所得税や住民税の負担が抑えられるようになっているためです。
このような状況下でふるさと納税を過剰に利用すると、限度額を超過してしまい超過分が自己負担となってしまう恐れがあるため注意が必要です。
節税効果を求めている人
ふるさと納税は、地方自治体への寄付を行うことで納税者が支払うべき所得税および住民税から一定額が差し引かれる仕組みです。
寄付が基本であり、税負担を軽減するための節税対策としては適していません。したがって、納税額を抑えることを目的とする方にとって、ふるさと納税はあまり有効な手段とは言えないでしょう。
金銭的余裕がない人
ふるさと納税による税額控除は、寄付を行った直後に適用されるものではありません。控除の適用は翌年度の住民税および所得税において行われます。
つまり、この制度は一種の前払い方式と捉えることができるため、現時点で経済的な余裕がない方が無理に利用する必要はないと言えます。
ふるさと納税の注意点
ふるさと納税を行う際は、以下の点に気をつける必要があります。
限度額を把握する
ふるさと納税には、控除限度額が設けられています。
給与所得者の場合、所得税と住民税を合わせた控除限度額は総所得金額の40%が上限となります。この限度額を超えると超過分は全額自己負担になるため、事前に限度額を確認しておく必要があります。
寄附金受領証明書を保管する
ふるさと納税をした際は、寄附金受領証明書が発行されます。この証明書は、税金控除の申請時に必要になるため、大切に保管しておく必要があります。
証明書を紛失してしまうと、税金控除を受けられなくなる可能性があります。電子データでも印刷物でも構いませんが、確実に保管しておくことが重要です。
控除のための申告手続きをする
ふるさと納税による税金控除を受けるには、ワンストップ特例制度または確定申告による申告手続きが必要です。申請を忘れると、税金控除を受けられなくなるので注意が必要です。時期が来たら必ず申請を行いましょう。
確定申告が必要になる場合がある
給与所得者は、ふるさと納税以外に申告が不要で年間の寄付先が5自治体以内であればワンストップ特例制度を利用できます。しかし、それ以外は確定申告が必要になります。
自身の状況に応じて、確定申告の必要性を確認しましょう。
また、個人事業主の場合は必ず確定申告が必要です。ワンストップ特例制度は利用できないため注意しましょう。
名義が違うと控除が適用されない
ふるさと納税は、納税者本人の所得から控除されます。そのため、名義が異なる家族がふるさと納税をしても、本人の所得からは控除されません。
必ず本人名義でふるさと納税しましょう。
iDeCoなど他の控除を使っていると限度額が下がる
ふるさと納税以外にも、iDeCoなど他の控除を使っている場合、ふるさと納税の控除限度額が下がります。複数の控除を使う場合は、限度額の変動に注意が必要です。
事前にシミュレーションをして、自分の控除限度額を把握しておくことをおすすめします。
自分が住む自治体からは返礼品を受け取れない
ふるさと納税の返礼品は、自分が住む自治体からは受け取れません。
自治体によっては、一部例外的に受け取れる場合もありますが、基本的には住民に対する返礼品の送付は認められていません。
返礼品目当てでふるさと納税をする場合は、他の自治体を選ぶ必要があります。
まとめ
ふるさと納税には、返礼品がもらえたり税金控除を受けられるなどのメリットがありますが、同時にさまざまなデメリットや、メリットを享受できないケースも存在します。
また、限度額の把握や証明書の保管、申告手続きなど、さまざまな注意点を押さえる必要があります。
自身の状況に応じて、ふるさと納税を行うかどうかを判断することが重要です。メリット・デメリットを十分に理解した上で、賢明な選択をしましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士