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追徴課税とは、過去の納付税額に不足があった場合や、申告・納付漏れがあった場合に徴収される税金です。
過去の納税が正しくなかった場合に発生するものであり、指摘を受けた後すぐに納付する必要があります。
一口に追徴課税といっても内訳は様々であり、税金によって計算方法が異なります。
追徴課税が発生しないのが理想ではありますが、万が一の事態に備えて追徴課税について理解を深めておくのが安心です。
今回は追徴課税について詳しく解説します。
確定申告そのものをしない場合のペナルティについては以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
追徴課税とは
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追徴課税とは、過去の納付税額に不足があった場合や、申告・納付漏れがあった場合に徴収される税金です。
本税の不足税額と附帯税が追徴課税に該当します。
追徴課税の対象期間
追徴課税の対象になるのは基本的には過去3年間です。
税務調査の対象が原則3年間のため、追徴課税も同様に直近の3年分なる可能性が高いです。
ただしケースによっては5年間、最長で7年間になることもあります。3年間よりも長くなるケースを紹介します。
- 5年間になるケース
- 対象期間が5年間になるのは、過去に追徴課税を課されたことがある場合です。
- その時点でさかのぼり直近5年分が税務調査の対象になり得るため、追徴課税も同様に延長されます。
- 7年間になるケース
- 過去に重加算税を課されたことがある場合は7年間になる可能性があります。
原則として1ヶ月以内に一括納付
追徴課税は、原則として1ヶ月以内に一括納付の必要があります。
納期限を過ぎている場合に発生するものであるため、速やかな納付が前提となります。
1ヶ月以内に一括で支払えない場合は差し押さえの恐れがあります
ただし、国税を期日までに納付ができない特定の事情がある場合は納税猶予の申請が可能です。
申請が認められるケースとして以下の例が挙げられます。
- ・財産について災害や盗難の被害を受けた
- ・納税者および家族が病気や負傷をした
- ・事業の廃業や休業をした
- ・事業について著しい損失を受けた
- 著しい損失の原因として認められるものの具体例として、不渡りや貸し倒れ等が挙げられます。
- ・期限から1年以上経過した後に、修正申告等により正しい税額が確定した
猶予ができるのは1年の範囲内で、最も早く完納できると認められる期間です。
具体的な長さは申請者の財産や収支の状況に応じて決定されます。そのため、申請時点では正確な長さの把握ができません。
納税猶予の申請をするには、申請書の提出および対価の提供をする必要があります。
ただし、以下いずれかのケースに該当する場合は担保の提供は不要です。
- ・猶予を受ける金額が100万円以下
- ・猶予期間が3ヶ月以内
- ・担保として提供可能な種類の財産を保有していない
なお、一般的に国税の猶予と呼ばれる制度は「換価の猶予」と「納税の猶予」の2種類です。
申請する猶予によって提出するべき申請書が異なるため注意する必要があります。
納税猶予の場合に提出するのは「納税の猶予申請書」の方です。
ケースによって必要な添付書類が異なるため、詳しくは国税庁の公式サイトをご確認ください。
税務調査で追徴課税が払えない場合はどうなってしまう?
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税務調査で追徴課税が発生し、その税金を支払えない場合に生じるリスクについて詳しく解説します。
追徴課税の支払いは逃れられない
結論として、追徴課税の支払いを回避することは不可能です。未納のまま放置すれば、最悪の場合には財産を差し押さえられる危険性があります。
支払い期限を過ぎると「滞納」とされ、税務署から督促状が届き始めます。これを無視し続けると、財産調査が実施され、最終的には「催告書」が発行されます。その後、差し押さえ手続きが進行します。
差し押さえの対象となる財産には以下が含まれます:
- ・預貯金や給与
- ・売掛金や有価証券などの金融資産
- ・土地や建物といった不動産
- ・自動車や高級装飾品などの動産
特に不動産や動産は競売による処分となり、市場価格よりも大幅に低い金額で売却される恐れがあります。さらに、滞納が続くと7.9~14.6%の延滞税が追加され、支払い負担が増大するため注意が必要です。
追徴課税は自己破産しても免責にならない
「他の債務と一緒に自己破産で解決できるのでは」と考えがちですが、追徴課税を含む税金は自己破産しても免除されません。
自己破産は、消費者金融の借金やクレジットカードの返済を免責にできる手続きですが、追徴課税や所得税、住民税は非免責債権として支払い義務が残ります(破産法253条第1項)。
さらに、自己破産を行った場合、新たな借金やローンが組めないブラックリスト入り期間が発生します。この間にも追徴課税の支払い義務が課されるため、経済的負担が増す可能性があります。事前に対策を講じることが重要です。
税務調査で追徴課税となる事例
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所得税や法人税の税務調査において、追徴課税となりやすい事例を具体的に紹介します。
申告漏れ
- ・計算ミスや記帳ミス
- ・前年度の売上を次年度に計上する(期ズレ)
- ・会社資産を利用して得た個人収益の未計上
- ・シェアリングサービス等インターネット収益の未申告
使途不明金
- ・個人的な飲食代を接待費に計上
- ・帰省時の旅費を交通費として申告
- ・私的な買い物を会社の備品として計上
無申告
税務申告自体を行わない「無申告」の場合も、税務調査で発覚すれば追徴課税対象となります。
「申告しなければ見つからない」と思われがちですが、税務署は独自の調査手段で無申告者を特定できます。
これらのケースで追徴課税が発生すると、延滞税や過少申告加算税、無申告加算税が課せられます。さらに、悪質な場合には重加算税が加わり、大きな負担を強いられる可能性があります。
(重加算税については後述します)
追徴課税の種類
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追徴課税の種類ごとに特徴や金額の求め方等を詳しく解説します。
不足税額
不足税額とは、納付するべき金額との差額部分です。
例えば申告・納付した額が50万円で、納付するべき税額が70万円であったと発覚した場合、不足税額は20万円となります。
延滞税
延滞税とは、税金が期日までに納付されない場合に課される、利息の性質を有する税金です。
税率は期限からの経過日数に応じて以下の2区分が存在します。
- 納期限の翌日から2ヶ月以内
- 原則:年7.3%
- ただし令和3年1月1日以後の期間においては以下の通りです。
- ・令和4年1月1日から令和6年12月31日まで:年2.4%
- ・令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年2.5%
- 納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後
- 原則:年14.6%
- ただし令和3年1月1日以後の期間においては以下の通りです。
- ・令和4年1月1日から令和6年12月31日まで:年8.7%
- ・令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年8.8%
対象期間の日数が2ヶ月を超える場合、それぞれの期間に応じて計算した金額の合計を求める必要があります。
利子税
利子税とは、延納・物納・申告書の提出期限の延長をした場合に、延納期間中に発生する税金です。同税金の計算基礎となる期間は延滞税が課されません。
計算方法は以下の通りです。
利子税=(納税額×税率×延納の日数)÷365
なお税率は以下のいずれか低い方が適用されます。
- ・原則:7.3%
- ・特例:0.9%(令和6年分)
特例の税率は年度によって異なるため、必ず最新情報をご確認ください。
過少申告加算税
過少申告加算税は、申告額が本来納付するべき税額よりも少なかった場合に課される税金です。
増差本税(新たに納めることとなった部分)に一定税率を乗じて計算します。
税率は以下の通りです。
- ・原則:10%
- ・申告税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分:15%
なお、以下2つの要件を満たす場合は免除されます。
- ・正当な理由があると認められた場合
- ・指摘を受ける前に修正申告書の提出および納税をした場合
無申告加算税
無申告加算税とは、期限までに申告をしなかった場合に課される税金です。
納付すべき税額に対して以下の割合を乗じた額が課されます。
- ・50万円以下の部分:15%
- ・50万円超300万円以下の部分:20%
- ・300万円超の部分:30%
なお同税金には免除・割合の軽減制度が定められています。
免除となるのは以下の要件を満たしている場合です。
- ・法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告をした
- ・納付すべき税額を期限までに納付している
- ・期限後申告を行った日の前日から5年以内に一定の事由による無申告加算税の不適用を受けていない
また、財務省による資料では「正当な理由がある場合」も免除要件と定められています。
税務調査による指摘を受ける前に期限後申告をした場合は、前述した税率から5%軽減される仕組みです。
不納付加算税
不納付加算税とは、源泉徴収税を期日までに納付しなかった場合に課される税金です。以下の式で計算します。
不納付加算税=期日までに納付しなかった額×10%
※税務調査で指摘を受ける前に納付した場合は5%となります。
なお、上記の計算式による金額が5,000円未満の場合は免除される仕組みです。
また、以下の要件をすべて満たす場合も免除されます。
- ・納付期限から1か月以内に納付する
- ・過去1年間の間に期限後納付をしていない
重加算税
重加算税とは、各種加算税の対象となるケースのうち、仮装隠蔽があった場合に課される税金です。
申告額や納付額が過少だった場合のうち、特に悪質と認められる場合に課されます。
税率は対象となる加算税によって以下のように異なります。
- ・過少申告加算税および不納付加算税の場合:35%
- ・無申告加算税の場合:40%
各種加算税に代わり重加算税が課される仕組みです。
重加算税は悪質な仮装や隠ぺいがあった場合に課されるペナルティです。したがって、いかなるケースでも免除や適用割合の軽減はありません。
追徴課税が払えない場合の対処法
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追徴課税は原則一括払いですが、支払いが難しい場合には救済措置の活用などが可能です。
救済措置の活用
追徴課税が支払えない場合、特定の条件を満たすことで以下の制度を利用できます。
- 納税の猶予:
- 支払い期限を延ばし、分割払いを可能にする制度です。申請が認められれば最大1年間の分納が可能となり、延滞税が減免されることもあります。
- ただし、自然災害や病気、事業の廃止などの正当な理由が必要です。申請には「猶予申請書」と「修正申告書」を提出する必要があります。
- 換価の猶予:
- 差し押さえを一時的に停止し、分割払いを認めてもらう制度です。認定されれば延滞税が減額される場合もあります。
- ただし、他の税金滞納がないこと、一括払いが経済的困難を招くと認められることが条件です。申請は期限内に行う必要があります。
いずれの制度も基本的には担保が求められますが、状況次第で担保なしの申請が可能なケースもあります。
法人の場合は自己破産しても免責にできる
個人の自己破産では税金の支払いが免除されませんが、法人の場合は破産手続きの完了により追徴課税の支払い義務がなくなります。
ただし、合同会社や合資会社などで無限責任を負う場合や、代表者が納税保証書を発行している場合は支払い義務が残ることがあります。法人破産の実施には慎重な判断が必要です。
追徴課税を受けないためにできること
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追徴課税は経済的な損失をもたらし、会社や事業主の社会的信用を損ねるリスクがあります。このような事態を防ぐため、次の五つのポイントに注意して取り組むことが重要です。
法人の場合は自己破産しても免責にできる
計画的な納税スケジュールの設定
会計ソフトを活用してエラーを回避
請求書を早期に売上として計上する
入金後速やかに仕訳を行う
まとめ
追徴課税とは、過去の納付税額の不足や、申告・納付漏れがあった場合に徴収される税金です。
追徴課税には納付するべき税額である本税と、ペナルティの性質を持つ附帯税が含まれます。
ペナルティである附帯税には様々な種類があり、それぞれ計算方法や適用される割合が異なります。
追徴課税を正しく支払うため、附帯税に該当する税金ごとに計算方法等の確認が必要です。
なお、附帯税の中には要件を満たせば免除または割合の軽減を受けられるものもあります。
追徴課税の対象になってしまう場合も、早めに対応することで附帯税を減額できる可能性があります。
期日までの申告・納付が大前提ではありますが、万が一に備えて追徴課税についても理解を深めておきましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士