確定申告期限の個別延長とは?対象者と申請方法について解説!

2024.08.27

災害等のやむを得ない事情により期限までに申告・納付ができない場合、税務署に申請することで期限の延長を認められるケースがあります。

このような申請により期限を延長できる制度を、確定申告期限の個別延長といいます。

 

確定申告期限の個別延長ができるのは、申告・納税ができない事情があると認められた場合のみです。

申請によって必ずしも延長されるわけではない点に注意する必要があります。

 

今回は確定申告期限の個別延長について、対象者や申請方法、個別延長を受けられない場合について詳しく解説します。

 

確定申告を怠った場合のペナルティについては以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

確定申告期限の個別延長とは

確定申告期限の個別延長とは、やむを得ない理由により期日までの確定申告ができない場合に、税務署に申請することで期限が延長される制度です。

「個別」とついているように、申請者に対して例外的に個々の期限が設定されるイメージとなります。

確定申告期限の個別延長の対象者

制度の対象者となるのは、やむを得ない理由により期限までに申告・納付等ができない人です。

「災害その他やむを得ない理由」について、国税庁の公式サイトで提示されている具体例を紹介します。

 

  • 自然現象の異変による災害
  • 地震・津波・暴風・豪雨豪雪・落雷・地すべり等
  •  
  • 人為による異常な災害
  • 火災・ガス爆発・火薬類の爆発等
  •  
  • その他自己の責めに帰さないやむを得ない事情
  • 申告等を行う者の重傷病・申告等に使う電子情報処理組織の使用不能等

 

参考:国税庁公式サイト「第11条関係 災害等による期限の延長」

 

2020年から数年間は新型コロナウイルス感染症の流行が原因による期限延長申請が多く発生していました。

新型コロナウイルス感染症の影響は前述した理由のうち「その他自己の責めに帰さないやむを得ない事情」に該当します。

納税者本人だけでなく、税務代理等を行う税理士が感染した場合にも期限延長の申請が認められていました。

個別延長の申請方法

個別延長の申請方法について原則的な内容を紹介します。

 

個別延長の申請を受けるためには「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出が必要です。

記載項目として以下の例が挙げられます。

 

  • 申請者の基本事項
  • 住所・電話番号・氏名や名称のほか、法人の場合は法人番号の記載も必要です。
  •  
  • 災害の内容
  • 災害の発生日と災害のやんだ日、災害の具体的な内容を記載します。
  •  
  • 申請内容
  • 延長申請をする期限の種類、法定延長期限、申請期限、詳しい被災状況の記載が必要です。
  • 申告書と同時に申請書を提出する場合、申請期限は申告書の提出日と同じになります。

 

申請書の提出時期について、国税庁公式サイトでは「やむを得ない理由がやんだ後相当の期間内」と案内されています。

延長できる期間はやむをえない事由がやんだ日から2ヶ月以内です。

 

申請書の提出後、申請内容が妥当と認められるか等の審査が行われます。

処理にかかる期間は審査内容や処理券数によって異なるため、詳しくは税務署にご確認ください。

 

なお新型コロナウイルス感染症流行が原因である場合、2020年~2022年の申請は簡易的な方法が認められていました。

(申告書の余白部分に新型コロナウイルスによる期限延長を申請する旨を記載するのみ)

2024年現在は原則通り申請書を提出する必要があります。

【参考】申告期限の一括延長が適用されたケースがある

確定申告や納付期限の延長は、申請書の内容を審査した上で個別に適用されるのが原則です。

しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、令和元年分および令和2年分の以下の申告期限が1ヶ月延長されました。

  • ・申告所得税
  • ・個人事業主の消費税
  • ・贈与税

 

一括延長後の期限でも申告・納付が難しい場合は、前項で紹介した簡易的な申請により延長が可能でした。

 

令和3年度分(2022年度分)以降は個別に申請する原則的な方法に戻っています。

確定申告の期限に間に合わず個別延長を受けられない場合

前章で紹介したように、申告期限の個別延長が適用されるのはやむを得ない事情がある場合のみです。

個人に責任を問われるようなトラブルは対象外となります。

確定申告期限に間に合いそうになく、個別延長の適用を受けられない場合は別途対処が必要です。

申告期限を過ぎた場合のペナルティとは

申告期限を過ぎた場合は附帯税が発生します。

附帯税とは、申告漏れや申告内容の誤り等が発生した場合に、本税に対して付加的に課される税金です。

確定申告期限が過ぎてしまった場合に発生し得るペナルティとして以下の2つが挙げられます。

 

  • 延滞税
  • 税金が期日までに納付されない場合に課される税金です。
  • 納付税額×延滞税の割合×日数で計算するため、納期限を過ぎてから日数が経過するほど金額が増えていきます。
  •  
  • 無申告加算税
  • 期限を過ぎても確定申告をしていない場合に課される税金です。
  • 納付すべき税額に対して以下の割合を乗じた金額を払う必要があります。
  • ・50万円以下の部分:15%
  • ・50万円超300万円以下の部分:20%
  • ・300万円超の部分:30%

なるべく早く申告・納税をすることが大切

期限後申告になってしまった場合、原則としてペナルティをゼロにすることはできません。

しかし、申告・納税が早いほどペナルティは軽く済みます

 

延滞税は、納付税額×延滞税の割合×日数で金額を計算する仕組みです。

適用される税率は納期限の翌日から2ヶ月以内と2ヶ月を経過した日以後で異なり、前者の方が低い税率が適用されます。

延滞税の額を最小限に抑えるには、期限を過ぎてしまってもなるべく早く納付することが大切です。

 

無申告加算税は以下のように軽減・免除要件が定められています。

 

  • 軽減
  • 税務調査による指摘を受ける前に自主的に申告をした場合は税率が5%軽減される仕組みです。
  •  
  • 免除
  • 以下の要件をすべて満たす場合は無申告加算税が免除されます。
  • ・法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告をした
  • ・期限までに納付すべき税額を納付済みである
  • ・期限後申告を実施した日の前日から5年以内に一定の事由による無申告加算税の不適用を受けていない

猶予制度や延納制度を利用できるケースも

申告期限の個別延長ができなくても、猶予制度延納制度は利用できるケースがあります。

 

猶予制度とは、特定の事情がある場合に税務署へ申請することで納税の猶予を受けられる制度です。

猶予の申請が認められるケースとして以下の例が挙げられます。

  • ・税金の納付により事業の継続や生活が困難になる恐れがある
  • ・災害によって財産を損失した

延納制度とは、法定期限までに納付するべき税額の2分の1以上を納付すれば、残りの税額の納付を5月31日まで延長できる制度です。

延納期間中は延滞税ではなく利子税が課されます。

延納を行う場合、確定申告書第一表の右下にある「延納の届出」欄の記入が必要です。

期限内に申告できるよう税理士に依頼するのが確実

個別延長は相応の事情がある場合のみ認められる制度であり、利用を前提に考えることはできません。

そして申告期限が切れてしまうとペナルティはほぼ避けられないといえるでしょう。

 

しかし、納税者本人だけで会計処理から申告書の作成まで全て対応するのは容易ではありません。

しっかり確定申告をするつもりであっても、ついスケジュールギリギリになってしまうケースも有り得ます。

あらかじめ税理士に依頼しておけば期限後申告になるリスクを最小限にできる上、正確な内容の確定申告ができるため安心です。

ただし、依頼人である納税者が資料を共有しない・連絡を放置する等をした場合、必要な情報が不足し期限内申告ができなくなるケースがあるため注意しましょう。

まとめ

確定申告期限の個別延長とは、やむを得ない理由により期日までの確定申告ができない場合に、所定の手続きをすることで期限が延長される制度です。

やむを得ない事情の例として、自然災害・人為による異常な災害・その他自己の責めに帰さない事情が挙げられます。

 

申告期限の個別延長が認められるのは自己の責めに帰さない事情がある場合のみであり、個人に責任を問われるようなトラブルは対象外です。

個別延長が認められないケースの場合は個々に対処をする必要があります。

期限後申告のペナルティを最小限に抑えるため、期限後でもとにかく早く申告・納税を行うことが大切です。

 

ただし、期限後申告になってしまった時点でペナルティをゼロにするのは難しいでしょう。

期限後申告になってしまうリスクを抑えるため、あらかじめ税理士に依頼しておくのが安心です。

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吉岡 伸晃

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