免税事業者とは?課税事業者との違いやインボイス制度の影響について解説!

2024.08.28

免税事業者とは、消費税の申告および納付義務が免除されている事業者のことです。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は一部の例外を除き自動的に免税事業者になります。

会社設立直後および2期目は基準期間が存在しないため免税事業者になるのが一般的です。

 

そんな免税事業者ですが、インボイスの発行ができません。インボイス制度が存在する現在、免税事業者のままでいると様々な影響を受ける恐れがあります。

 

今回は免税事業者について、課税事業者との違いやインボイス制度の影響などを詳しく解説します。

 

会社設立直後は消費税が免除される仕組みについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

 

インボイス制度については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

免税事業者とは

免税事業者は、消費税の申告および納付義務が免除されている事業者のことです。

消費税の申告・納付が義務付けられている課税事業者と区別する形で用いられます。

免税事業者と課税事業者の違い

免税事業者と課税事業者の違いを3つ紹介します。

消費税の申告および納付義務の有無

最初に紹介したように、免税事業者は消費税の申告および納付義務がありません。

反対に課税事業者は消費税の申告・納付を行う必要があります。

なお、消費税の申告・納付期限は、決算日の翌日から2ヶ月以内です。

課税取引の仕訳方法

免税事業者の場合、消費税額等を売上および仕入に含める税込経理で仕訳を行います。

一方で課税事業者は、本体価格と消費税額等を分ける税抜経理と、税込経理のいずれかを任意で選択できます。

ただし、選択した方式をすべての取引に適用する必要があります。一部の例外を除き、税抜経理と税込経理の併用はできません。

なお、税込経理と税抜経理のどちらを選んでも納付する消費税額は同じになります。

消費税の還付の可否

課税事業者の場合、売上に係る消費税額よりも仕入れに係る消費税額が大きい場合は消費税の還付を受けられます。

免税事業者は消費税の還付を受けられません。

免税事業者の要件

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者になります。

基準期間とは、前々事業年度(個人事業主の場合は前々年)のことです。

課税売上高が1,000万円を超えた場合、その翌々事業年度から課税事業者になる仕組みといえます。

 

会社設立1期目および2期目は基準期間が存在しません。そのため会社設立2期目までは免税事業者になるのが一般的です。

 

ただし基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、以下のいずれかに該当する場合は課税事業者になります。

特定期間の課税売上高が1,000万円超

特定期間とは前事業年度開始の日から6ヶ月間のことです。個人事業主の場合は前年の1月1日から6月30日が該当します。

ただし、特定期間については課税売上高に代わり給与等支払額で1,000万円の判定も可能です。

特定期間の課税売上高と給与等支払額の両方とも1,000万円を超えている場合は必ず課税事業者になります。

事業年度の開始の日における資本金等の額が1,000万円以上

事業年度の開始の日における資本金等の額が1,000万円以上の場合、課税売上高に関係なく課税事業者になります。

会社設立時の資本金等の額が1,000万円以上の場合は、設立1期目から課税事業者になってしまうためご注意ください。

インボイス制度が免税事業者に与える影響

インボイス制度とは、2023年10月1日に開始された仕入税額控除に関する新たな制度です。

仕入税額控除とは、売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を差し引いて納付税額を計算することを意味します。

 

インボイス制度の開始後、仕入税額控除の計算に含められるのは適格請求書(以下インボイス)等を保管している取引のみとなりました。

インボイスを保管していない取引にかかる消費税額は、買い手側の自己負担となってしまう仕組みです。

 

インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者のみです。

そして、適格請求書発行事業者に登録できるのは課税事業者のみとなります。すなわち、免税事業者はインボイスの発行ができません。

そのため免税事業者のままでいると様々な影響を受ける恐れがあります。

この章ではインボイス制度が免税事業者に与える影響について解説します。

新たな取引先や案件の獲得が難しくなる

インボイス制度の開始により、免税事業者は新たな取引先や案件の獲得が難しくなる恐れが大きいです。

 

前述の通り、インボイス制度が開始されて以降は仕入税額控除の計算に含められるのはインボイスを保管している取引のみとなりました。

インボイスを保管していない取引にかかる消費税額は売上に係る消費税額から差し引くことができないため、買い手側の負担となります。

 

前述のように、免税事業者はインボイスの発行ができません。

したがって免税事業者との取引にかかる消費税額は必然的に買い手側が負担することになってしまいます。

そのため、買い手側は免税事業者との取引よりも、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者との取引を優先するようになると考えられます。

結果として、免税事業者は新規の取引先等を確保するのが難しくなるでしょう。

既存取引の解消や値下げ等の交渉を受ける可能性がある

インボイス制度の開始後も免税事業者のままでいると、買い手である取引先から既存取引の解消や値下げ等の交渉を受ける可能性があります。

 

前提として、買い手側による一方的な契約解消や契約内容の変更は、下請法や独占禁止法に抵触する行為です。

適格請求書発行事業者でないことを理由として一方的な契約解消等はできません。

したがって、一方的な契約解消や条件変更を受ける心配は小さいといえます。

 

ただし、一方的かつ強制的な対応の心配がないとはいえ、取引先から交渉を受ける可能性は高いです。

そして資本力や権力のある買い手側からの交渉に対して、毅然とした態度で応えるのは容易ではありません。

交渉を受けること自体が心理的な負担になる恐れや、そもそも交渉への対応に手間がかかる恐れがあります。

インボイスを発行するために課税事業者になるべき?

インボイス制度によって免税事業者が受ける可能性のある影響は、適格請求書発行事業者になれば防げます。

そのため免税事業者のままでいるのをやめ、適格請求書発行事業者として登録するのも1つの手段です。

 

ただし、課税事業者および適格請求書発行事業者になることで以下のデメリットが生じます。

  • ・消費税の納付義務が発生し税負担が増える
  • ・消費税に関する事務作業が増える

このように、免税事業者のままでいる・課税事業者になる、どちらの場合も何らかの影響を受けることは避けられません。

それぞれのメリット・デメリットを比較してどちらを選ぶか検討する必要があります。

まとめ

免税事業者とは、消費税の申告および納付義務が免除されている事業者です。

基準期間である前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者になります。

会社設立1期目および2期目は基準期間が存在しないため、一部の例外を除き免税事業者になるのが一般的です。

 

かつては免税事業者があえて課税事業者になる理由はほとんどありませんでした。

しかしインボイス制度の開始により、インボイスを発行できない免税事業者はさまざまな影響を受ける恐れがあります。

現在はインボイスを発行するために課税事業者になるのも1つの選択肢です。

 

ただし、課税事業者になると消費税の負担が生じる・事務作業が増える等、別のデメリットが発生します。

免税事業者のままでいる・課税事業者になる、どちらの場合も何らかの影響を受けるのは避けられないといえるでしょう。

 

免税事業者のままでいるか課税事業者になるか、それぞれのメリット・デメリットを把握した上で慎重に判断する必要があります。

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吉岡 伸晃

記事監修
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