インフレ対策はどうする?個人でできるおすすめ方法8選!

2024.12.15

インフレ(インフレーション)とはお金の価値が下がり、物価が継続的に上がる状態のことです。

インフレは良いインフレと悪いインフレに大別されます。

賃金が上昇せず物価のみが上がり、消費活動の冷え込みにつながる恐れのある場合は悪いインフレに該当します。

 

インフレ対策としておすすめなのが現預金以外の資産を増やすこと、すなわち投資です。

ただし投資対象によってはリスクも存在するため、まずはリスクの低い投資から無理のない範囲で始めるのが安心です。

 

今回はインフレ対策としておすすめの投資手法について詳しく解説します。

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インフレとは何か

インフレとは、物価が持続的に上昇し、貨幣価値が下落する経済現象です。具体的には、同じ金額でも購入できる商品やサービスの量が減少することを意味します。インフレは様々な要因で発生しますが、主に通貨供給量の増加、需要の増加、生産コストの上昇などが挙げられます。

 

日本では長らくデフレ経済が続いていましたが、近年は資源価格の高騰や円安の影響により、インフレ傾向が見られるようになっています。物価上昇率が賃金上昇率を上回ると、実質的な購買力が低下し、生活水準に影響を及ぼすため、個人レベルでの対策が重要になります。

日本のインフレ現状と今後の見通し

日本では長期間デフレが続いた後、近年は緩やかなインフレに転じています。2023年以降、原材料価格の高騰や円安の進行により、食料品や日用品の価格上昇が顕著になりました。日本銀行は2%のインフレ目標を掲げており、金融政策の正常化に向けた動きも見られます。

 

専門家の間では、今後数年間は2〜3%程度のインフレ率が継続するという見方が主流です。特に輸入依存度の高い食料品やエネルギー分野での価格上昇が予測されています。このような状況下では、個人の資産防衛や生活設計において、インフレを考慮した対策が不可欠になっています。

インフレによって個人が受ける影響

前提として、インフレは良いインフレと悪いインフレに大別されます。

良いインフレとは好景気によって発生するインフレです。以下のような流れで発生します。

  • 1.好景気により需要が増える
  • 2.供給が追い付かなくなるため物価が上がる
  • 3.物価上昇により企業の利益が増える
  • 4.賃金の上昇や新商品やサービスの開発・提供につながる

賃金の上昇を伴うものであり経済成長にもつながるため、メリットが大きいといえるでしょう。

 

悪いインフレは原材料をはじめとしたコストの高騰によって発生するインフレです。

企業の利益を圧迫するため賃金の上昇につながらないものの、物価は上昇している状態となります。

 

現在の日本は賃金が上がっていないのに物価が上昇している悪いインフレ状態です。

悪いインフレによって個人が受ける影響を3つ紹介します。

生活費の負担が重くなる

インフレによる影響としてわかりやすいのが、生活費の負担が重くなることです。

 

インフレ状態ではモノやサービスの値段が上昇します。

そのため同じような生活を維持した場合、前年同月より支出額が増えるのが一般的です。

 

そして悪いインフレ状態の場合、賃金の上昇は起こりません。

収入額は変わらないのに支出額が増えるため、生活費が家計を圧迫する恐れや、同じ水準の生活を維持できない恐れがあります。

資産価値が下がる

インフレが起こるとお金の価値、日本においては日本円の価値が下がってしまいます。

例えば200円だった製品がインフレによって250円に上昇した場合、実質的には円の価値が50円下がった状態です。

 

インフレでは円の価値は下がっている状態のため、残高自体は同じでも保有している資産の価値も減少している状態となってしまいます。

日本人の多くは金融資産の大部分を現預金で保有しているため、インフレによって保有している資産の価値が下がるケースが非常に多いでしょう。

年金や固定収入への影響

インフレは特に固定収入に依存している人々に大きな打撃を与えます。年金受給者や定額の給与所得者は、収入が一定である一方で、物価上昇によって実質的な購買力が低下していきます。例えば、年間2%のインフレが10年続くと、同じ金額の年金でも購買力は約18%も減少してしまいます。

 

特に日本の公的年金制度はインフレに対する完全な物価スライド調整が行われないケースもあり、高齢者の生活を圧迫する要因となっています。また、銀行預金の金利が物価上昇率を下回る状況では、貯蓄の実質価値も年々目減りしていくため、固定収入に頼る将来の生活設計を見直す必要があります。

インフレ対策の基本的な考え方

インフレ対策を考える上で最も重要なのは、「資産の実質価値を維持する」という視点です。単に名目上の金額を増やすだけでなく、物価上昇率を上回るリターンを得ることが必要になります。そのためには、現金や普通預金だけに頼るのではなく、インフレに強い資産への分散投資が基本戦略となります。

 

また、短期的な対応と中長期的な資産形成を区別して考えることも重要です。短期的には支出の見直しや節約も効果的ですが、長期的には資産運用によって積極的に資産価値を守る姿勢が必要になります。インフレ率や経済状況は常に変化するため、定期的に自分の資産配分を見直し、必要に応じて調整していくことがインフレ対策の基本となります。

個人でできるインフレ対策

インフレ対策としておすすめなのが現預金以外の資産を増やすことです。

具体的には、円以外の資産で運用する方法や投資が挙げられます。

 

前述のように、インフレによって円の価値が下がれば保有している現預金の価値も下がってしまいます。

そのため物価上昇率よりも高い年利を期待できる資産への投資や、円以外の資産を増やすのがおすすめといえます。

 

資産運用や投資は無理のない範囲で行うのが大前提です。

資産価値が減少した時の影響を抑えるため、まずは投資について理解を深めた上で、リスクの低い投資から始めるのが安心です。

 

今回はインフレ対策におすすめできる運用・投資対象を8つ紹介します。

株式(株式投資)

株式投資とは企業に投資して株を取得し、配当金の受け取りや株の売却によって利益を得る投資手法です。

株式投資の主なメリットは以下の2つです。

  • ・企業の成長次第で大きなキャピタルゲインを得られる可能性がある
  • ・株の売却益だけでなく、配当金や株主優待による利益も得られる

デメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • ・価格変動が大きく、価値が急激に下がる恐れもある
  • ・投資先の選び方や売買のタイミングなどを見極めるための知識やスキルが必要

株式は価格変動が大きいため、ハイリスク・ハイリターンといえるでしょう。

株式投資が不安であれば、まずは投資信託からはじめるのもおすすめです。

投資信託とは投資家から集めたお金を資金運用の専門家がさまざまな株式や債券などの金融商品に投資・運用する仕組みです。

投資信託は分散投資が可能であり、投資・運用はプロに任せられるため、通常の株式投資に比べてリスクを抑えられます。

不動産(不動産投資)

不動産投資とはアパートやマンションなどの投資用不動産を所有し、家賃収入を獲得する手法です。

不動産投資のメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • ・不動産はインフレなどの変化に強いため、長期的に安定した利益を得られる可能性がある
  • ・不動産所得が赤字であれば所得税の節税ができる

 

主なデメリットは以下の2つです。

  • ・入居者がいなければ家賃収入が入らないため、立地や需要によっては利益を得られない恐れがある
  • ・投資用不動産を購入するためにまとまった資金が必要

 

不動産は上手くいけば安定した収入源になりますが、入居者が入らないというケースも有り得ます。

また、不動産投資をはじめるために高額の資金が必要という点から、ハードルが高い方法といえるでしょう。

貴金属

金、銀、プラチナなどの貴金属に投資するのもおすすめです。

貴金属に投資するメリットとして以下の3つが挙げられます。

  • ・インフレによる物価上昇率と同じように価格が上がるため、相対的な価値の変動が起こりにくい
  • ・価値が比較的安定している
  • ・少額からでも始めやすい

 

なお価値が比較的安定しているとは、資産価値の下落が起こりにくいと同時に、価値の上昇も起こりにくいということです。

株や不動産と違い高額のリターンは得にくい手法といえるでしょう。

投資によるリターンを期待するよりは、安全性の高い資産を保有したいという目的に適しています。

FX

FXとは「外国為替証拠金取引」のことで、外貨の売買で発生する差額による利益を目的としています。

 

FXの特徴は証拠金として預けた資金以上の取引を行えることです。

預けた資金以上の取引ができる、すなわち少額の資金で高額の取引が可能であり、このような仕組みを「レバレッジ効果」と呼びます。

 

FXは元手が少なくても高額の取引ができるため、上手くいけば高額のリターンを得られる手法です。

しかし同時に、判断を誤ると大きな損失が出るリスクがあります。

かなりのハイリスク・ハイリターンであるため、余裕資金で行うこと・知識を身につけてから行うことが大切です。

外貨預金

外貨預金は日本円を外貨に換えて預金口座に預けることです。

前述したFXと違いレバレッジ効果はなく、預けたお金以上の取引は行われません。

 

外貨預金の主なメリットは以下の2つです。

  • ・インフレ、円安の対策になる
  • ・必要な手続きが少なく実践しやすい

 

デメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • ・取引コストが高め
  • ・高額の利益は狙いにくい

 

前述した貴金属と同様に、高額のリターンを狙うのではなく、資産価値の安定を確保する目的に適しています。

個人向け国債

個人向け国債とは日本政府が個人に対して発行している国債です。

主なメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • ・元本割れのリスクがない
  • ・国が発行しているため安心して取引ができる

デメリットを2つ紹介します。

  • ・金利が低く高額のリターンは狙えない
  • ・国が破綻し国債を返せない状態になれば資金の回収ができない

今回紹介したインフレ対策の中でも特に安定性が高いですが、得られるリターンは低いといえるでしょう。

ETF

ETF(上場投資信託)はインフレ対策として優れた選択肢です。特にインフレ連動債に投資するETFや、エネルギー・資源セクターに特化したETFは、物価上昇局面で資産価値を維持するのに役立ちます。例えば、米国TIPS(物価連動国債)に投資するETFは、インフレ率に応じて元本が調整される仕組みを持っており、インフレから資産を守れます。

 

また、コモディティETFは原材料価格の上昇から恩恵を受け、インフレヘッジになり得ます。ETFは少額から購入でき、株式のように取引所で売買できるため流動性も高いのが特徴です。

 

ただし、ETFにも種類によってリスク特性が異なるため、自分のリスク許容度に合わせた選択と、複数のETFへの分散投資を心がけることが重要です。

国際分散投資

インフレ対策として国際分散投資が特に有効です。円資産だけに集中せず、海外の株式や債券、不動産などに投資することで、為替変動やグローバル経済の成長を取り込むことができます。

 

例えば、円安が進行すると輸入品の価格上昇によりインフレが加速しますが、同時に海外資産の円換算価値は上昇するため、インフレの影響を相殺できます。実際、100万円を円と米ドルに半分ずつ分けて保有した場合、10%の円安で105万円相当となり、5%のインフレによる実質価値の低下を補える計算になります。

 

投資信託やETFを活用すれば、少額から手軽に国際分散投資を始めることができ、専門知識がなくても地域やセクターを分散した投資が可能になります。

個人でできるインフレ対策についてよくある質問

インフレの影響で生活費が増加し、資産価値の目減りが心配される中、多くの方から具体的な対策について質問が寄せられています。ここでは、個人でも実践できるインフレ対策について、よくある疑問にお答えします。

インフレ対策として最も効果的な資産運用方法は何ですか?

インフレ対策として効果的な資産運用方法は、実物資産への投資です。株式、不動産、貴金属(金やプラチナ)などがインフレに強い資産として知られています。特に株式はインフレ時に企業が商品価格を上げて収益を増やせるため、中長期的には資産価値の維持に役立ちます。不動産も物価上昇に伴い価値が上がりやすく、賃貸収入も得られるため有効です。

 

金などの貴金属は世界的な価値の基準となっており、通貨価値の下落に対するヘッジとして機能します。ただし、どの資産も単独ではなく、分散投資を心がけることがリスク管理の観点から重要です。

少額からでもできるインフレ対策はありますか?

少額からでも始められるインフレ対策はいくつかあります。投資信託やETF、純金積立などが代表的です。特に投資信託は少額から国内外の株式や債券に分散投資できるため、初心者にも取り組みやすい方法です。

 

また、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度を活用すれば、税金面でもメリットがあります。純金積立は月1,000円程度から始められるネット証券もあり、インフレに強い実物資産を少しずつ保有できます。継続的な積立投資は、価格変動のリスクを抑えながら資産形成ができる点でおすすめです。

住宅ローンはインフレ時にどう対応すべきですか?

インフレ時の住宅ローン対策としては、変動金利から固定金利への借り換えを検討することが重要です。インフレが進行すると政策金利上昇の可能性があり、変動金利ローンでは返済額が増加するリスクがあります。

 

さらに金利上昇によって未払い利息が発生し、最終的に一括返済が必要になるケースもあります。固定金利への借り換えを検討する場合は、インフレが本格化する前の早い段階で行うことが有利です。また、インフレ局面での不動産購入自体もインフレ対策になりえますが、将来的な売却や賃貸を視野に入れた物件選びが大切です。

外貨資産を持つことはインフレ対策になりますか?

外貨資産を保有することは、国内インフレ対策として有効な手段の一つです。日本国内でインフレが進行すると、日本円の価値が下落し、相対的に外貨の価値が上昇する傾向があります。外貨預金や外国株式、外国債券などを保有することで、円の価値下落に対するヘッジとなります。

 

特に国際分散投資は、為替変動やグローバル経済の成長を取り込むことができ、インフレによる資産価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。ただし、将来的な為替変動リスクや、外国の債券・株式市場の変動リスクもあるため、資産全体のバランスを考慮した投資配分が重要です。

インフレ対策で節約以外にできることはありますか?

インフレ対策として節約以外にも、収入を増やす取り組みが効果的です。本業での昇給を目指す、より年収の高い会社への転職を検討する、配偶者控除にこだわらず働く時間を増やす、副業を始めるなどの方法があります。

 

また、不用品をネットオークションで売却するなど、一時的な収入を得る方法も有効です。さらに、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用して資産運用の効率を高めることも、インフレ対策として重要です。これらの対策を組み合わせることで、物価上昇による生活への影響を軽減し、資産価値の維持・向上につながります。

 

 

 

まとめ

インフレはお金の価値が下がり、物価が継続的に上がる状態のことです。

インフレが発生すると、個人は生活費の負担が増大する・保有している資産の価値が下がる等の影響を受けます。

 

インフレ対策として、日本円以外の資産を増やす、もしくは物価上昇率を上回る年利の商品に投資するのがおすすめです。

一概にはいえませんが、高額のリターンを期待できる方法はリスクも高く、大きな損失を被る恐れもあります。

反対に損失のリスクが低い方法は得られるリターンも低い傾向です。

どちらが良いか一概にはいえませんが、いずれの場合も事前に理解を深め、余裕資金で行うことが大切です。

 

投資や資産運用を上手く行い、無理のない範囲でインフレ対策を進めましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
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