リフォーム減税とは?適用条件と対象工事、申請方法について解説!

2024.12.24

リフォーム減税とは、リフォームによって利用できる減税制度の総称です。

一定の要件を満たすリフォームを行うと、所得税や固定資産税の減税を受けられます。

 

リフォーム減税と呼ばれる制度には複数の種類があり、制度によって要件や控除額の計算方法が異なります。

まずはどの減税制度の要件を満たしているかを把握し、その上で当該制度の仕組みや控除額の計算方法等を確認することが大切です。

 

今回はリフォーム減税について詳しく解説します。

 

リフォーム減税と呼ばれる制度には、固定資産税の減税措置も存在します。

固定資産税については以下の記事をご覧ください。

 

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CONTENTS

リフォーム減税とは

リフォーム減税とは、リフォームによって利用できる減税制度の総称です。

一定の要件を満たすリフォームを行うと、所得税の税額控除や固定資産税の減税を受けられます。

リフォーム減税制度の概要と最新情報2025年版

リフォーム減税制度は2025年も継続して利用可能です。この制度は、一定の条件を満たすリフォーム工事を行った場合に、所得税や固定資産税の減税を受けられる仕組みです。

 

対象となるのは主に耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、そして2024年度税制改正で新設された子育て対応リフォームの6種類です。各工事の控除率は対象工事費の10%となり、最大控除額は工事内容によって異なります。

 

例えば、バリアフリーリフォームの最大控除額は60万円、耐震・省エネ・三世代同居リフォームは62.5万円となっています。太陽光発電設備を設置する場合は、さらに控除額がアップする場合もあります。

リフォーム減税制度の種類

リフォーム減税制度は3種類に大別されます。それぞれ詳しく解説します。

【所得税】住宅ローン減税

住宅ローン減税とは所得税の控除制度の1つです。10年以上のローンを利用した場合に適用を受けられます。

制度の概要を紹介します。

  • ・借入限度額:2,000万円
  • ・控除率:0.7%
  • ・控除期間:10年間
  • ・最大控除額:140万円

 

住宅ローン減税の主な要件は以下の通りです。

  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・リフォーム後の家屋の床面積が登記簿上50平方メートルを超える
  • ・工事費用が税込100万円を超える
  • ・当該リフォーム工事のために10年以上の住宅ローン等を利用する
  • ・その年の合計所得が2,000万円以下
  • ・リフォーム工事の完了後6ヵ月以内に居住をはじめ、各年12月31日まで居住する
  • ・併用住宅の場合、床面積および対象工事費用の2分の1以上が居住用

 

控除額の計算方法は以下の通りです。

  • 1年間の控除額=(改修工事費用相当分年末ローン残高-補助金等)×控除率0.7%

 

その年の所得税よりも控除額の方が大きい場合、控除しきれなかった分は9.75万円を上限に翌年の住民税から一部控除されます。

【所得税】リフォーム促進税制

所得税のリフォーム促進税制とは、一定の要件を満たすリフォーム工事をした際に所得税の税額控除を受けられる制度です。

制度の概要を紹介します。

  • ・ローン利用の有無:不問 現金、ローン利用どちらの場合でも可能です
  • ・控除期間:1年間
  • ・最大控除額:130万円

 

控除額の計算補法は以下の通りです。

  • 控除額=A×10%+B×5%
  • A:性能向上工事費用(標準的な工事費用相当額-補助金)
  • B:性能向上工事費用のうちAを超えた分+その他の増改築工事費用-補助金等

標準的な工事費用相当額」は、平成21年国土交通省告示第383号によって定められています。

 

所得税のリフォーム促進税制の適用を受ける場合、確定申告書とあわせて一定の書類の提出が必要です。

必要書類は工事の種類によって異なるため、必ず国土交通省の案内をご確認ください。

 

制度の要件について、リフォームの種類ごとに解説します。

耐震リフォーム

耐震リフォーム工事でリフォーム促進税制の適用を受けるための主な要件は以下の通りです。

  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・現行の耐震基準に適合していない家屋である
  • ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋である
  • ・現行の耐震基準に適合させるための耐震改修である

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォーム工事で所得税の税額控除を受けるための主な要件として以下の5つが挙げられます。

  • ・リフォームを行う人が以下いずれかの要件を満たす
  •  1.50歳以上の方
  •  2.障がいをお持ちの方
  •  3.要介護認定又は要支援認定を受けている方
  •  4.65歳以上、2または3に該当する親族と同居している
  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートルを超える
  • ・減税の対象となるバリアフリーリフォームである
  • ・標準的な工事費用相当額が50万円を超える

対象となるバリアフリーリフォームについては国土交通省の資料でご確認ください。

省エネリフォーム

省エネリフォーム工事で税額控除を受けるための主な要件は以下の5つです。

  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・必須工事である窓の断熱改修を行なっている
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートルを超える
  • ・減税の対象となる省エネリフォームである
  • ・標準的な工事費用相当額が50万円を超える

対象の工事については国土交通省による資料で確認できます。

同居対応リフォーム

同居対応リフォームで所得税の減税を受けるための主な要件は以下の通りです。

  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・改修後に調理室、浴室、トイレ、玄関のうち、いずれか2以上の室がそれぞれ複数ある
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートルを超える
  • ・減税の対象となる同居対応リフォームである
  • ・標準的な工事費用相当額が50万円を超える

減税対象になる工事は、調理室の増設、浴室の増設、トイレの増設、玄関の増設の4種類です。

長期優良住宅化リフォーム

長期優良住宅化リフォームで減税を受けるための主な要件は以下の6つです。

  • ・増改築による長期優良住宅の認定を受けている
  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートルを超える
  • ・耐久力向上の改修に加えて、耐震改修または省エネ改修も行なっている
  • ・当該減税の対象となっている工事である
  • ・耐久力向上改修、耐震改修、省エネ改修それぞれの標準的な工事費用相当額が50万円を超える

詳細な要件については国土交通省の資料をご確認ください。

子育て対応リフォーム

子育て対応リフォームで所得税の減税を受けるための主な要件は以下の5つです。

  • ・リフォームを行う人が以下いずれかの要件を満たす
  •  1.19歳未満の扶養親族を有する
  •  2.自身または配偶者いずれかが40歳未満である
  • ・リフォームを行う当事者が所有、居住する家屋である
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートルを超える
  • ・減税の対象となる子育て対応リフォームである
  • ・標準的な工事費用相当額が50万円を超える

対象となる工事については国土交通省が公開する資料をご確認ください。

【固定資産税】リフォーム促進税制

一定の要件を満たすリフォームを行なった場合に、固定資産税の減額を受けられる制度です。

固定資産税は市区町村の管轄のため、申請先は市区町村の窓口となります。

必要書類の内容は自治体によって異なる可能性があるため、必ずお住まいの市区町村の案内をご確認ください。

 

減額期間はいずれも1年間、減額割合はリフォームの種類によって異なります。それぞれ詳しく解説します。

耐震リフォーム

耐震リフォームの場合、減額割合は2分の1です。

固定資産税の減税を受けるための主な要件を紹介します。

  • ・昭和57年1月1日以前から所在する家屋である
  • ・現行の耐震基準を満たす耐震リフォームである
  • ・耐震リフォームにかかる費用が税込50万円を超える

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームの減額割合は3分の1となります。

主な要件は以下の5つです。

  • ・リフォームを行う人が以下いずれかの要件を満たす
  •  1.65歳以上の方
  •  2.障がいをお持ちの方
  •  3.要介護認定または要支援認定を受けている方
  • ・新築された日から10年以上が経過している家屋である
  • ・賃貸住宅ではない
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートル以上280平方メートル以下である
  • ・減税の対象となる工事であり、標準的な工事費用相当額が50万円を超える

減税の対象となる工事については国土交通省の案内をご確認ください。

省エネリフォーム

省エネリフォームの固定資産税減額割合は3分の1です。

主な要件として以下の5つが挙げられます。

  • ・平成26年4月1日以前から所在する家屋である
  • ・必須工事である窓の断熱改修を行なっている
  • ・賃貸住宅ではない
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートル以上280平方メートル以下である
  • ・減税の対象となる工事であり、標準的な工事費用相当額が60万円を超える

詳しくは国土交通省の案内をご確認ください。

長期優良住宅化リフォーム

長期優良住宅化リフォームは、耐震・省エネのいずれかを行うことが必須です。

減額割合は3分の2となります。主な要件は以下の通りです。

  • ・増改築による長期優良住宅の認定を受けている
  • ・耐震改修、省エネ改修のどちらか、または両方を受けている
  • ・改修工事ごとに定められた要件を満たしている
  • ・当該家屋の床面積が登記簿上50平方メートル以上280平方メートル以下である

長期優良住宅化リフォームの要件は、ほかのリフォームに比べて細かく設定されているためご注意ください。

詳しくは国土交通省の資料で案内されています。

リフォーム減税を利用するメリット

リフォーム減税を利用する最大のメリットは、高額になりがちなリフォーム費用の負担を大幅に軽減できることです。例えば、省エネリフォームを行った場合、最大25万円の所得税控除が受けられるため、実質的な工事費用を抑えることができます。

 

また、複数の減税制度を組み合わせることで、さらに大きな節税効果が期待できます。例えば、住宅ローン減税とリフォーム減税(耐震)は併用が可能です。

 

加えて、減税だけでなく固定資産税の減額も受けられるケースがあり、複数年にわたって税負担が軽減されます。リフォームは住環境の改善だけでなく、資産価値の維持・向上にもつながるため、減税制度を活用することで経済的にもメリットの大きい投資となります。

 

特に老朽化した住宅の機能向上は、将来的な修繕費用の削減にもつながるため、長期的な視点でも大きなメリットがあるのです。

リフォーム減税と住宅ローン控除の違い

リフォーム減税と住宅ローン控除は混同されがちですが、大きな違いがあります。住宅ローン控除は返済期間10年以上の住宅ローンを組むことが条件となり、入居した年から10年間、ローンの年末残高の0.7%が所得税から控除されます。最大控除額は10年間で140万円(年間14万円)です。

 

一方、リフォーム減税は現金支払いでもローン利用でも適用され、工事完了の翌年の1年間のみ控除を受けられます。工事内容によって控除額が異なり、対象工事費の10%が所得税から控除されます。

 

どちらの制度も工事後の床面積が50㎡以上であることや、工事費が一定額以上であることなどの条件がありますが、資金計画に合わせて最適な制度を選ぶことが重要です。

リフォーム減税の確定申告方法と必要書類

リフォーム減税を受けるためには、確定申告が必須です。確定申告の期間は通常、リフォーム工事を完了した翌年の2月16日から3月15日までとなります(2025年は2月17日から3月17日まで)。

 

確定申告に必要な書類は、リフォームの種類によって異なりますが、共通して必要なものとして「確定申告書」「増改築等工事証明書」「住民票の写し」「登記事項証明書」などがあります。

特に重要なのが「増改築等工事証明書」で、これは建築士や指定確認検査機関など資格のある者が発行する必要があります。事前にリフォーム会社に発行を依頼しておくとスムーズです。

 

また、リフォームローンを利用した場合は「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」も必要です。これらの書類を揃えて管轄の税務署に提出するか、e-Taxを利用して電子申告を行います。

書類の不備があると減税が受けられない場合があるため、準備は早めに行いましょう。

リフォーム減税と併用できる補助金・助成金制度

リフォーム減税だけでなく、同時に活用できる補助金や助成金制度も存在します。国の制度としては「長期優良住宅化リフォーム推進事業」があり、一定の条件を満たすリフォームに対して最大100万円の補助金が交付されます。

 

また「次世代省エネ建材支援事業」では、高性能な断熱材や窓などの導入に対して費用の一部が補助されます。さらに、地方自治体独自の補助金制度も充実しており、例えば東京都では「東京ゼロエミ住宅」の基準を満たすリフォームに最大100万円の補助金を交付しています。

 

これらの補助金・助成金は、リフォーム減税と併用することで、さらに費用負担を軽減できます。ただし、補助金を受けた場合、その金額はリフォーム減税の対象工事費から差し引かれる点に注意が必要です。各制度の申請期限や予算には限りがあるため、計画段階から情報収集することをお勧めします。

リフォーム減税に関するよくある質問(FAQ)

リフォーム減税に関してよくある質問をまとめました。

Q1: リフォーム減税と住宅ローン減税は併用できますか?

A1: 工事の内容によって併用可能です。例えば、耐震リフォームの場合、住宅ローン減税とリフォーム促進税制の両方を適用できます。ただし、同じ工事に対して重複して控除を受けることはできません。

Q2: リフォーム減税は確定申告が必要ですか?

A2: はい、リフォーム減税を受けるためには確定申告が必要です。工事完了の翌年に確定申告を行ってください。

Q3: 賃貸住宅のオーナーもリフォーム減税を受けられますか?

A3: 所有者自身が居住していることが条件になるため、賃貸物件のオーナーは一般的に適用対象外です。ただし、固定資産税の減額については、条件を満たせば賃貸物件でも適用可能な場合があります。

Q4: DIYでリフォームした場合も減税対象になりますか?

A4: DIYは対象外です。減税を受けるためには、適切な資格を持つ事業者による工事であることが条件です。

リフォーム減税活用のためのチェックリスト

リフォーム減税を確実に受けるために、以下のチェックリストを活用しましょう。

 

□ リフォーム内容が減税対象の要件を満たしているか確認(床面積50m²以上など)

□ 工事費用が最低限の金額(標準的な工事費用相当額が50万円超など)を超えているか確認

□ 工事を行う事業者が「増改築等工事証明書」を発行できるか事前に確認

□ 工事着工前に必要な調査や診断を実施(耐震診断など)

□ 補助金・助成金との併用を検討し、申請期限を確認

□ 工事完了後、必要書類を速やかに取得(工事証明書、領収書など)

□ 固定資産税の減額申請は工事完了から3ヶ月以内に行う

□ 所得税の控除は確定申告の期間内(翌年2〜3月)に申告する

□ 必要書類(住民票、登記事項証明書など)を事前に準備

□ 専門家(税理士など)に相談し、最適な申告方法を確認

まとめ

リフォーム減税とはリフォームによって利用できる所得税や固定資産税の減税制度の総称です。

耐震改修やバリアフリー改修など、さまざまな工事が対象となります。

 

リフォーム減税と呼ばれる制度には、所得税の住宅ローン減税、所得税および固定資産税のリフォーム促進税制が含まれます。

工事の種類によって要件や必要書類が異なるため注意が必要です。

リフォーム減税の適用を受けようとする場合、制度の大まかな概要だけでなく、工事の種類ごとの詳細をご確認ください。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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