
サラリーマン大家の所得として、勤務先から受け取る給与所得と、大家業によって発生する不動産所得の2つが挙げられます。
このうち節税対策を実施しやすいのは不動産所得の方です。
とはいえ本業である会社員の仕事がある以上、不動産賃貸業に割ける時間が少ない人も多いでしょう。
本業の邪魔をせず不動産所得を抑えるためには、小さな労力で大きな節税効果を得られる手法を選ぶのが理想です。
今回はサラリーマン大家がやるべきおすすめの節税対策を4つ紹介します。
不動産投資の節税対策の仕組みについては以下の記事で詳しく解説しています。
オンライン無料相談 受付中
CONTENTS
サラリーマン大家がやるべき4つの節税対策

サラリーマン大家がやるべき4つの節税対策について、それぞれ詳しく解説します。
青色申告にする
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、税負担を最小限に抑えるためには青色申告にするべきといえます。
青色申告とは一定の水準で記帳を行い、その記帳に基づき正しい申告をする場合に利用できる制度です。
青色申告の主なメリットとして以下の4つが挙げられます。
- ・青色申告特別控除の適用を受けられる
- ・家族や親族への給与を全額経費計上できる
- ・赤字を最大3年間繰り越し、翌期以降の所得と相殺できる
- ・30万円未満の固定資産を購入した年に全額経費計上できる
このように青色申告は、税金の面で様々な特典を受けられる制度といえます。
青色申告を行うための要件は以下の通りです。
- 青色申告承認申請書の提出
- 青色申告にしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を、居住地を管轄する税務署に提出する必要があります。
- 正規の簿記の原則による記帳
- 青色申告者は原則として、正規の簿記の原則による記帳が必要です。
- 白色申告の場合よりも記帳のルールが厳格かつ複雑な点に注意する必要があります。
- 青色申告決算書の作成
- 青色申告の場合は確定申告書とあわせて青色申告決算書の作成・提出が必要です。
特に大切なのが「青色申告承認申請書の提出」です。
正しい記帳および青色申告決算書の作成・提出をしても、青色申告承認申請書を提出していなければ青色申告者として認められないためご注意ください。
青色申告と白色申告の比較については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
耐用年数が短い物件を選ぶ
不動産所得にかかる税金を抑えることを優先するのであれば、耐用年数が短い物件を選ぶのがおすすめです。
耐用年数が短い物件の方が税額を抑えられる理由として、減価償却の仕組みが挙げられます。
減価償却とは時間の経過によって価値が減少する固定資産の取得価額を、資産の耐用年数に応じて按分して費用計上する処理です。
減価償却によって計上する費用を減価償却費といいます。
減価償却費の計算に用いる耐用年数は固定資産の種類によって定められています。
不動産の取得価格が同じでも耐用年数が短い方が1年で計上できる減価償却費が高額になるため、節税効果が大きいです。
高額の減価償却費を計上できる物件として以下の2つが挙げられます。
- 木造物件
- 不動産の中でも特に法定耐用年数が短く、物件の数も多いため
- 築年数が経過した物件
- 中古の場合、経過年数を考慮して新品よりも短い耐用年数が適用されるため
減価償却の詳しい仕組みや中古の場合の計算方法については以下の記事をご覧ください。
なお、不動産賃貸業により安定した収益を得るためには需要の高い物件を選ぶことが大切です。
まずは安定した家賃収入を期待できる物件を絞り込み、その上で高額の減価償却費を計上できそうな物件を選ぶのが良いでしょう。
経費にできる支出を漏れなく計上する
不動産所得を最小限に抑えるためには、経費にできる支出を漏れなく計上することも大切です。
大家業で経費計上できる支出として以下の例が挙げられます。
- 不動産にかかる税金
- 不動産取得税、印紙税、登録免許税、固定資産税等
- 管理費・手数料
- 仲介業者や不動産の管理会社に支払う手数料も経費計上が可能です
- 借入金利子
- 不動産購入時にローンを組んだ場合、ローンにかかる利子部分は経費計上ができます
- 保険料
- 不動産の地震保険料や火災保険料等が挙げられます
- 減価償却費
- 前述した減価償却によって発生する費用です
- 実際の支出を伴わないためキャッシュ面の負担なく経費計上ができます
なお、所得を減らすために嘘の経費を申告するのは厳禁です。
経費として認められない支出を計上することも避けましょう。
税理士に会計処理・税務申告等の代行を依頼する
大家業の会計処理や確定申告について、税理士に代行依頼をするのがおすすめです。
税理士に依頼するメリットを3つ紹介します。
- 税理士報酬は経費として計上できる
- 税理士報酬は経費計上が可能です。
- 税理士に依頼すれば経費として計上できる支出が増えるため所得が減り、結果として税負担の軽減にもつながります。
- 節税対策について効果的なアドバイスをもらえる
- 税理士は税務手続きの代行だけでなく、節税対策についてのアドバイスやサポートも可能です。
- 納税者がすべて対応するよりも税理士に依頼した方が効果的な節税対策ができる可能性が高いでしょう。
- 正確な会計処理、税務申告が可能
- 税理士は会計・税務のプロフェッショナルです。
- そのため税理士に依頼すれば、自身の負担なく正確な会計処理や税務申告が可能になります。
このように税理士への依頼により、節税対策以外にも良い効果が期待できます。
サラリーマン大家が節税対策をする際の注意点

最後に、サラリーマン大家が節税対策をする際の注意点を2つ紹介します。
不動産所得の赤字を前提としない
サラリーマン大家のように副業で不動産賃貸業を営む場合に大切なのが、不動産所得の赤字を前提としないことです。
不動産投資の節税テクニックとして、「不動産所得を赤字にする」という方法を見聞きしたことがある人も多いでしょう。
実際、不動産所得が赤字であれば税負担を大幅に抑えられるのは事実といえます。
不動産所得が赤字であれば、給与所得との損益通算により所得税の還付を受けられるためです。
ただし、損益通算を行うために不動産所得を赤字にしようと意図的な行動をするのはおすすめできません。
確かに不動産所得が赤字であれば税金は減りますが、そもそも不動産賃貸による金銭的なメリットを得ていないといえます。
収入源の確保を目的とするべき副業で赤字を出し続けるのは本末転倒といえるでしょう。
損益通算はあくまでも、結果として不動産所得が赤字になった場合に行う手法と考えるべきです。
損益通算を前提として不動産所得が赤字になるよう調整するのは避けましょう。
土地は減価償却の対象外
減価償却とは時間の経過によって価値が減少する固定資産の取得価額を、耐用年数に応じて費用計上する処理と紹介しました。
減価償却費は高額になりやすい上に実際のキャッシュの支出は伴わないため、節税対策において重要な要素といえます。
ただし、減価償却の対象になるのは時間の経過によって価値が減少する固定資産のみです。
土地は時間の経過による価値の下落が起こらないため減価償却の対象外となります。
アパートやマンションについて減価償却をする際は、建物部分の金額のみを使う点に注意する必要があります。
まとめ
サラリーマン大家が得る所得のうち、節税対策がしやすいのは大家業によって発生する不動産所得です。
今回は不動産所得を抑える方法を4つ紹介しました。
中でも基本となるのが、青色申告の実施と、経費にできる支出を漏れなく計上することです。
この2つは不動産賃貸業に限らず、副業を行う上で必ず押さえるべき要素といえます。
また、高額の減価償却費を計上するため、なるべく耐用年数が短い物件を選ぶのも理想です。
そして節税対策と正確な会計処理・税務申告の両方を実現するため、税理士に依頼するのが良いでしょう。
サラリーマン大家として適切な節税対策を行うため、不動産所得や所得税の仕組みについてしっかり押さえることが大切です。
節税に強い税理士によるオンライン無料相談受付中
法人・個人事業主の税務相談・節税対策はBIZARQ会計事務所にお任せください。
現在30分から1時間程度のオンライン無料相談を実施中です。

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士