
クラウドファンディングとは不特定多数の支援者からオンラインで資金を集める方法です。
クラウドファンディングによって調達した資金は課税対象になる可能性があります。
クラウドファンディングの種類によって発生する税金が異なるため、種類ごとに確認が必要です。
今回はクラウドファンディングにかかる税金の種類や確定申告の方法、節税対策について詳しく解説します。
クラウドファンディングの概要については以下の記事をご覧ください。
※本記事では個人がクラウドファンディングにより資金調達をする場合について解説します。
オンライン無料相談 受付中
CONTENTS
クラウドファンディングにかかる税金

クラウドファンディングの種類によって、クラウドファンディングによる収入にかかる税金が変わります。
この章ではクラウドファンディングの種類ごとに課税の仕組みを詳しく解説します。
購入型
購入型クラウドファンディングは、資金を出した支援者に対し、リターンとして商品やサービスなどが提供される仕組みです。
購入型はさらに以下の2種類に分けられます。
- All-or-Nothing型:目標金額に達した場合のみプロジェクトが実施される
- All-In型:目標金額に達したかは関係なく、支援者が1人でもいればプロジェクトが実施される
購入型によって調達した資金は所得税の課税対象です。
購入型の場合、プロジェクトへの支援という形で商品・サービス等を購入するイメージとなります。
つまり、調達した資金は商品・サービス等の販売によって得た収益として扱われるのです。
そのため、通常の事業活動によって得た収益と同じように課税対象とみなされます。
なお、調達した資金の所得区分は事業所得または雑所得です。
事業所得と雑所得を区分する基準として以下の例が挙げられます。
- ・営利性および反復継続性があり、事業として成立していると客観的に認められるか
- ・売上が年間300万円を超えているか
- ・事業に関する帳簿書類の作成および保存をしているか
事業所得と雑所得はそれぞれ所得の計算方法が異なるため、調達した資金がどちらに該当するかの正しい判断が必要です。
寄付型
寄付型はプロジェクトの支援者に対するリターンが発生しない仕組みのクラウドファンディングです。
一般的な寄付との違いとして、調達資金の使い道について活動報告を通じて確認しやすい点が挙げられます。
寄付型によって調達した資金にかかる税金は、支援者によって以下のように異なります。
- 支援者が個人の場合:贈与税の対象
- 支援者が法人の場合:一時所得扱いとして所得税の対象
寄付型クラウドファンディングという形式の場合に限らず、法人から贈与された金品は一時所得扱いになります。
一時所得の計算方法は事業所得や雑所得とは大きく異なるため、法人から寄付型での資金提供を受けた場合は注意が必要です。
一時所得の概要や確定申告における注意点については以下の記事をご覧ください。
投資型
投資型は調達した資金によってプロジェクトを実施し、発生した利益を支援者に分配する仕組みです。
投資型はさらに以下の3種類に分けられます。
- 融資型
- 調達する資金は支援者からの貸付金として扱われ、負債として計上されます。
- 調達した資金(元本)と利息の返済が必要です。
- ファンド型
- 特定の事業者ではなく、ファンドに対して資金を提供する仕組みです。
- 調達した資金は出資金として扱われます。
- 株式投資型
- 非上場会社が株式を発行し、クラウドファンディングのサイトを通じて資金調達をする仕組みです。
- 性質上、株式会社のみが実施できます。
投資型はいずれも資金調達時は課税対象になりません。
調達した資金を使った事業活動により利益が出た場合に所得税が課されます。
銀行融資やビジネスローンなどによる資金調達をした場合と同じ仕組みと考えて良いでしょう。
クラウドファンディングで確定申告が必要になるケース

クラウドファンディングで確定申告が必要になるのは、購入型または寄付型によって資金を調達した場合です。
購入型の場合は商品やサービスの提供をした段階で収益として認識されます。
そのため、商品やサービスの提供が資金調達をした年よりも後になる場合、クラウドファンディングをした年には確定申告の対象になりません。
資金調達直後は前受金として会計処理を行い、リターンの提供時に売上として計上します。
寄付型の場合は、資金調達をした年に確定申告が必要です。
個人からの寄付であれば贈与税、法人からの寄付であれば一時所得として所得税の課税対象になります。
なお、投資型によって調達する資金は借入金(負債)扱いになるため、資金調達段階では課税対象にならず、確定申告の必要はありません。
クラウドファンディングの節税対策

最後に、クラウドファンディングの節税対策を3つ紹介します。
控除制度を漏れなく活用する
節税対策で最も基本的かつ大切なのが、控除制度を漏れなく活用することです。
控除制度の適用を受けるためには納税者本人による申告が必要となります。
要件を満たせば自動で適用されるわけではない点にご注意ください。
クラウドファンディングで調達した資金にかかる税金として、所得税と贈与税の2つが挙げられます。
それぞれの主な控除制度を紹介します。
所得税
所得税の控除制度のうち最も対象者が多いものが基礎控除です。
納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下の場合、48万円の控除が適用されます。
その他の主な控除制度として以下の例が挙げられます。
- ・社会保険料控除
- ・生命保険料控除
- ・地震保険料控除
- ・配偶者控除または配偶者特別控除
- ・扶養控除
- ・医療費控除
- ・寄附金控除
所得控除については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
贈与税
贈与税は年間110万円の基礎控除があります。
1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除を差し引いた額が贈与税の課税対象となります。
なお、1年間に受けた贈与の合計が110万円以下の場合は贈与税が課されず、申告も不要です。
寄付型で個人から資金調達を受ける場合、贈与税の基礎控除額である110万円に抑えるのも1つの手段といえます。
【所得税】経費となる支出を漏れなく計上する
所得税の税額を最小限に抑えるには、経費となる支出を漏れなく計上することも大切です。
経費の計上額が高ければ高いほど課税対象となる所得が少なくなり、結果として税額も抑えられます。
クラウドファンディングに関する経費として以下の例が挙げられます。
- ・クラウドファンディングの手数料
- ・支援者に提供するリターンの準備や配送にかかる費用
- ・インターネット回線の費用
なお、贈与税には経費の概念が存在しません。
経費計上による節税ができるのは、調達した資金が所得税の課税対象となる場合のみのため注意する必要があります。
【所得税】青色申告をする
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、節税のためには青色申告がおすすめです。
青色申告とは所得税の計算において有利な取り扱いを受けられる制度です。
青色申告のメリットとして以下の例が挙げられます。
- ・最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
- ・赤字を最大3年間繰り越せる
- ・家族への給与を経費計上できる
青色申告を行うには以下の要件を満たす必要があります。
・青色申告を行おうとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する
・複式簿記による記帳を行う
・確定申告書とあわせて青色申告決算書を作成、提出する
白色申告よりも税負担を大幅に抑えられますが、会計処理の手間が増える点にご注意ください。
まとめ
クラウドファンディングによって調達した資金にかかる税金は、クラウドファンディングの種類によって異なります。
購入型では所得税、寄付型では所得税または贈与税が課されます。
投資型の場合、資金調達をした段階では課税されません。
調達した資金を用いた事業活動によって利益が発生した場合、利益に対して課税されます。
調達した資金が所得税の対象の場合、所得控除の活用や経費計上、青色申告の適用などによる節税対策が可能です。
税負担を最小限に抑えるためには、クラウドファンディングに関する節税対策についても事前に知っておくのが良いでしょう。
発生する税金の種類や確定申告の必要性、節税対策の方法など、税金に関する情報収集をしっかり行うことが大切です。
節税に強い税理士によるオンライン無料相談受付中
法人・個人事業主の税務相談・節税対策はBIZARQ会計事務所にお任せください。
現在30分から1時間程度のオンライン無料相談を実施中です。

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士