
共働き夫婦と片働き夫婦を比較すると、世帯年収が同じ場合は共働き夫婦の方が税金面で有利となります。
特に有利なのが、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けられる要件を満たしている場合です。
ほかにも共働きならではの節税テクニックは複数存在します。
簡単に実施できるテクニックが税額を大きく左右する可能性もあるため、まずはどのような方法があるか知ることが大切です。
今回は共働き夫婦におすすめの節税対策について詳しく解説します。
年収が高い人におすすめの節税対策については以下の記事をご覧ください。
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前提|共働きは税金面で損?得?

世帯年収が同じ場合で比較すると、片働きより共働きの方が税金は安くなり、手取り年収が多くなります。
共働きの方が片働きよりも税金が安くなる理由は、所得税の超過累進課税制度の仕組みにあります。
所得税における超過累進課税とは、所得が一定額を超えるごとに高い税率が適用される仕組みです。
超過累進課税の存在により、所得が増えるほど税負担が重くなります。
しかし所得税は世帯全体ではなく、あくまで個人の所得に対して課されるものです。
世帯年収が同じ場合、片働きより共働きの方が1人当たりの所得は少なくなります。
したがって同じ世帯年収でも共働きの方が適用される税率が低く、手取り年収が多くなる仕組みとなります。
特に有利なのが、共働きかつ片方の年収が約200万円以下の場合です。
給与年収が一定額以下であれば、様々な優遇措置が適用されます。
- ・給与年収100万円以下であれば住民税非課税
- ・給与年収103万円以下であれば所得税非課税
- ・給与年収130万円または160万円以下であれば社会保険の扶養に入れる
また、配偶者の給与収入が201.6万円未満であれば、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けられます。
以上のように共働きの方が適用される所得税率が低く、様々な優遇措置を受けられる可能性があります。
したがって片働きより共働きの方が税金面で有利といえるでしょう。
共働き夫婦におすすめの節税テクニック5選

単純に世帯年収が同じ場合を比較すると、片働きより共働きの方が税額を抑えられると紹介しました。
そして、共働きならではの節税テクニックを活用すればさらに手取り年収を増やすことができます。
この章では共働き夫婦におすすめの節税テクニックを5つ紹介します。
年収の高い方が医療費や生命保険料などを負担する
共働き夫婦の節税テクニックの1つが、夫婦のうち年収の高い方が世帯全体の医療費や生命保険料を負担する方法です。
共働き夫婦の世帯年収の手取りを増やすために大切な考え方として「年収が高い方の所得を抑えること」が挙げられます。
所得税は前述のように所得額が一定を超える部分に高い税率が適用される超過累進課税制度を採用しています。
そのため所得が増えるほど税負担が重くなると紹介しました。
そして同時に、所得が増えるほど各種所得控除が税額に与える影響も大きくなる仕組みです。
したがって夫婦のうち年収の高い方に所得控除を集中させる方が、世帯全体の手取りが多くなります。
年収が高い方に集中させるべき控除の例は以下の通りです。
- ・医療費控除
- ・生命保険料控除
- ・地震保険料控除
- ・社会保険料控除
ただし、生命保険料控除や地震保険料控除には上限額があるため、金額によっては控除しきれない恐れがあります。
夫婦の一方のみが負担する方法では控除しきれない場合、年収の低い方も一部を負担する等の調整をしましょう。
夫婦2人とも住宅ローン控除の適用を受ける
所得税の節税という面で考えると、夫婦それぞれで住宅ローンを組み、2人とも住宅ローン控除の適用を受けるのが効果的です。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して居住用不動産を購入した場合に利用できる税額控除制度です。
正式名称は住宅借入金特別控除といいます。
住宅ローン控除による控除額は以下の通りです。
- 住宅ローン控除の控除額=年末時点での住宅ローンの残高×0.7%
ただし、住宅ローン控除の計算で用いるローンの年末残高には上限があります。
そのため1人で高額の住宅ローンを組んだとしても、一定以上の節税効果は見込めません。
反対に夫婦2人とも住宅ローンを組めば、1人で住宅ローンを組む場合よりも住宅ローン控除の額が増えるため節税につながります。
夫婦2人が住宅ローンを組む方法の代表例がペアローンの活用です。
ペアローンには住宅ローン控除による節税効果の向上以外にも、以下のようなメリットがあります。
- ・単独でのローンに比べて借入可能額を増やせる
- ・夫婦2人とも団体信用生命保険に加入できる
- ・夫婦それぞれが自身に合う返済方法を選択できる
ただし、以下のようなデメリットも存在します。
- ・一方の収入が大幅に減ると返済困難になる恐れがある
- ・一方に不測の事態が起きても他方のローン返済は残る
- ・単独ローンに比べて費用が高額になる
このように注意するべきデメリットがあるため、すべてのケースでペアローンの活用が最善とは限りません。
節税面だけでなく、デメリットも考慮した上で検討する必要があるでしょう。
子供の扶養は年収が高い方に入れる
子供がいる場合、子供の扶養は夫婦のうち年収が高い方に入れることで手取りを増やせます。
「年収の高い方が医療費や生命保険料などを負担する」で紹介した内容と同様に、年収が高い方の所得を抑えるための方法です。
なお、扶養には税法上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があります。
このうち夫婦どちらの扶養に入れるかを自身で選択できるのは税務上の扶養です。
社会保険上の扶養は原則として年収が高い方に入れる仕組みとされています。
税法上の扶養と社会保険上の扶養の違いについては、以下の記事の「個人事業主が扶養に入るための条件」で詳しく解説しています。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税とは好きな自治体を選び寄付をすると、寄付をした自治体から返礼品を受け取れる制度です。
寄付した額から自己負担額2,000円を差し引いた額が控除対象になります。
夫婦2人でふるさと納税を行う主なメリットとして以下の3つが挙げられます。
- ・ふるさと納税によって適用される世帯全体の控除額が増える
- ・夫婦それぞれで別の自治体に寄付をすれば幅広い返礼品を受け取れる
- ・夫婦それぞれが自分の応援したい自治体を選べる
なお、ふるさと納税は前述のように、寄付した額から自己負担額である2,000円を引いた額が税金から控除される仕組みです。
そのため厳密には支払う税額が減るわけではなく、税金の前払いに近いイメージとなります。
単純に税額を減らしたい場合や支出を抑えたい場合には適さない恐れがあるためご注意ください。
ふるさと納税の仕組みやデメリットは以下の記事で解説しています。
夫婦でNISAやiDeCoを活用する
NISAやiDeCoで拠出した掛金は投資運用に活用されます。
特にNISAの拠出額には所得控除が適用されないため、あくまで余裕資金で行うべき手法です。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になりますが、原則として60歳まで引き出せないため、こちらも余裕資金を充てるべきでしょう。
以上のように投資という性質をもつ以上、NISAやiDeCoは資金面での余裕があるほど実施しやすい方法といえます。
そして共働き夫婦は収入の安定性が高く、様々な優遇税制の活用が可能なため、投資に回せる余裕を確保しやすい傾向です。
余裕資金でNISAやiDeCoを活用することで、節税対策と資金運用・資金形成の両方が可能となります。
まとめ
世帯年収が同じと仮定した場合に共働き夫婦と片働き夫婦を比較すると、共働き夫婦の方が税額を抑えられます。
また、各種所得控除を活用して年収が高い方の所得を減らすことで、所得税のさらなる節税が可能です。
ふるさと納税やNISA・iDeCoなどの一般的な節税テクニックも、共働き夫婦で上手く活用すればより大きな節税効果を期待できます。
ただし、夫婦の状況やそれぞれの年収額などの様々な条件によって適した節税テクニックは異なります。
節税効果を最大限に活かすためには事前にシミュレーション等を行なった上で、自身に合う方法を選ぶことが大切です。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士