
セカンドハウスとは自宅とは別に居住目的で所有する建物で、生活のために利用するものです。
保養・休養目的で保有する別荘と違い、セカンドハウスは通常の居住用不動産と同様に税制上の優遇措置を受けられます。
セカンドハウスには節税以外にも様々なメリットがある一方で、注意点も存在します。
セカンドハウスの良い面だけでなく注意点も押さえた上で、セカンドハウスを所有するかを検討することが大切です。
今回はセカンドハウスについて税制面を中心に詳しく解説します。
なおセカンドハウスは自宅用不動産と同様に固定資産税の対象です。
固定資産税については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
セカンドハウスとは

セカンドハウスとは自宅とは別に居住目的で所有する住まいです。
2軒目以降の保有物件のうち、生活のために利用するもののみがセカンドハウスに該当します。
セカンドハウスと別荘の違いとは
セカンドハウスと別荘の違いは物件の利用目的です。
別荘は保養・休養のために利用する物件を指します。
別荘は生活のために保有する必要のある物件ではなく、ぜいたく品の扱いになります。
たとえば、以下のようなケースでは別荘とみなされます。
- ・避暑や避寒、長期休暇を過ごすため等の目的でもつ
- ・全く居住しない月がある
セカンドハウスは前述のように生活のために利用する物件です。
セカンドハウスは居住用財産とみなされるため、通常の自宅用の物件と同じように優遇措置を受けられます。
最低でも月に1泊以上は利用し、かつ、以下のような条件を満たす場合はセカンドハウスとみなされます。
- ・遠距離通勤者が通勤負担を軽減させる目的で自宅とは別に職場の近くに保有している
- ・都市部と地方の両方に物件を保有し、平日と休日で居住物件を使い分けている
なお、2軒目の物件の立地や価格はセカンドハウスと別荘の判別基準になりません。
生活で利用するか、休養・保養目的であるかといった利用目的のみが基準となります。
セカンドハウスの基準
2軒目の物件を別荘ではなくセカンドハウスとして扱うには、以下2つの要件を満たす必要があります。
- 1.生活の拠点になる住居である
- 2.最低でも月に1泊以上利用する
注意するべきなのが2の「最低でも月に1泊以上利用する」です。
たとえば都市部に自宅をもつ人が、休日は田舎での暮らしを楽しみたいと地方の物件も購入した場合を考えます。
この場合、以下のケースであれば2軒目の物件は問題なくセカンドハウスとして扱われるでしょう。
- ・平日は都市部、週末は地方の物件で生活する
- ・毎月第2週、第4週など特定の週末にセカンドハウスを利用する
一方、以下のケースではセカンドハウスとみなされない恐れがあります。
- ・2軒目の物件を利用しない月がある
- ・2軒目の物件を使うのが夏や冬など限られた期間のみである
2軒目の物件がセカンドハウスと認められるか否かは、後述のように税制面で大きな影響を与えるのでご注意ください。
セカンドハウスで節税対策?税制優遇について紹介

セカンドハウスは居住用物件とみなされるため、自宅等と同様に税制上の優遇措置を受けられます。
一方でセカンドハウスではなく別荘とみなされた場合は優遇措置を受けられません。
節税面を考えると、2つ目の不動産がセカンドハウスとして認められるか否かは大きな違いになります。
この章ではセカンドハウスで適用を受けられる優遇措置について解説します。
不動産取得税の減額
不動産取得税とは不動産の売買、新築、増築等に際して課される地方税です。
別荘や投資用不動産など居住用以外の物件の場合、不動産取得税の計算式は以下のようになります。
- 不動産取得税の額=固定資産税評価額×4%
一方でセカンドハウスの場合、以下の計算式が適用されます。
- 【建物部分】(固定資産税評価額-控除額)×3%
- 【土地部分】(固定資産税評価額×2分の1×3%)-控除額
居住用不動産の方が低い税率が適用される仕組みです。
固定資産税の減額
固定資産税とは土地や家屋などの不動産および償却資産に課せられる税金です。
固定資産税の税額は以下の計算式で求めます。
- 固定資産税=固定資産税評価額(固定資産税課税標準額)×1.4%
固定資産税の仕組みについては以下の記事をご覧ください。
居住用不動産の場合は特例が適用され、固定資産税課税標準額が以下のように減額されます。
- 200平方メートルまでの部分:固定資産税評価額×6分の1
- 200平方メートル超の部分:固定資産税評価額×3分の1
また、新築住宅にかかる固定資産税は以下の期間にわたり2分の1に減額されます。
一戸建ての場合:3年間
マンション等集合住宅の場合:5年間
参考:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」
都市計画税の減額
都市計画税とは市町村が条例で定めた区域内に不動産を所有する場合に課せられる地方税です。
課税対象となる区域は原則として市街地区域内に設定されます。
都市計画税の計算式は以下の通りです。
- 都市計画税=固定資産税評価額×税率(上限0.3%)
※税率は自治体の条例で決定されます。
都市計画税の対象となる不動産が居住用不動産の場合、課税標準額が以下のように減額されます。
- 200平方メートル以内の部分: 3分の1
- 200平方メートル超の部分: 3分の2
セカンドハウスの節税以外のメリット

続いて、セカンドハウスの保有によって得られる節税以外に関するメリットを紹介します。
通勤や移動の負担を軽減できる
セカンドハウスの大きなメリットが、通勤や移動の負担を軽減できる点です。
自宅から職場までの通勤時間が長い場合、職場の近くにセカンドハウスがあれば通勤時間を大幅に軽減できます。
平日はセカンドハウスで生活し、休日は自宅で家族と過ごすといった方法が可能です。
家族の生活拠点としても活用できる
セカンドハウスは仕事だけでなく、家族の生活拠点としても活用できます。
セカンドハウスが役立つ場面として以下の例が挙げられます。
- ・子供の通学先や習い事で通う場所が遠い
- ・遠方の病院へ定期的な通院が必要
- ・遠方の実家や親戚の家へ頻繁に通う事情がある
長距離の移動を伴う用事が頻繁に発生する場合、セカンドハウスを生活拠点として活用すれば負担軽減につながるでしょう。
セカンドハウスの注意点

最後に、セカンドハウスの注意点を3つ紹介します。
税制優遇を受けるにはセカンドハウスの登録申請が必要
「セカンドハウスで節税対策?税制優遇について紹介」で紹介したように、2軒目の物件がセカンドハウスと認められれば税制優遇の対象になります。
しかし、税制優遇を受けるためにはセカンドハウスの登録申請が必要です。
要件を満たしている場合でも自動で適用されるわけではありません。
セカンドハウスの認定申請は対象の物件が所在する都道府県税事務所で行う必要があります。
申請の流れや必要書類は自治体によって異なるため、必ず自治体の案内をご確認ください。
通常の住宅ローンに比べて審査が厳しい・金利が高め
前提として、セカンドハウスの購入時に利用できる住宅ローンは限られています。
そして多くの場合、セカンドハウスで住宅ローンを利用するためには自宅用物件の場合よりも厳しい条件をクリアする必要があります。
また、審査が厳しいだけでなく金利が高めの傾向もあるため、ローンを利用するハードルが高いといえるでしょう。
住宅ローン控除の対象外
セカンドハウス購入のために利用する住宅ローンは、住宅ローン控除の対象外です。
住宅ローン控除はマイホーム購入時のみ利用できる制度となります。
まとめ
セカンドハウスは自宅とは別に居住目的で所有する建物です。
自宅以外の物件という点で別荘と似ていますが、別荘は休養・保養目的、セカンドハウスは生活目的と全く異なる性質をもちます。
2軒目の物件がセカンドハウスと認められた場合は、不動産取得税・固定資産税・都市計画税の軽減が適用されます。
税制面から考えると、2軒目の物件が別荘とセカンドハウスのどちらに該当するかは非常に大きな違いといえるでしょう。
セカンドハウスは節税だけでなく、通勤の負担を低減できる・家族の生活拠点にできるといったメリットもあります。
ただし、セカンドハウスの登録申請が必要な点や、住宅ローンに関するさまざまな注意点も存在します。
メリットだけでなく注意点も確認した上で、セカンドハウスを利用するか検討しましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士