損切りに最適なタイミングは?損益通算による節税対策について解説!

2025.04.18

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損切りとは損失が出ている株式を売却し、損失を確定させる行為です。

株取引は株価が上がったときに利益を確定させることだけでなく、損失が拡大する前に損切りをすることも大切とされています。

 

損切りに適したタイミングにはいくつかの例がありますが、その1つが損切りによって節税が期待できるタイミングです。

ただし節税目的で損切りをする際には確定申告に関する注意点を押さえる必要があります。

 

今回は損切りに適したタイミングや、節税目的で損切りを行う際の注意点について解説します。

 

株式投資における節税対策については以下の記事もご覧ください。

 

 

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CONTENTS

損切りに適したタイミングの例

損切りとは、損失が出ている株式を売却し、損失を確定させる行為です。

株取引は購入した時よりも株価が上昇した場合に売却し、利益を獲得するのが理想です。


しかし、すべての株取引で利益が出るとは限らず、損失が発生するケースも多く存在します。

もし株価の下落が続いてもそのまま放置してしまえば、損失は拡大し続ける一方です。

株式を売却し損失が確定すれば、少なくとも損失がさらに増えるのは防げます。

このように、株取引の成否は適切なタイミングで損切りができるかに大きく影響を受けるのです。


とはいえ株価が今後どのように動くかを予測するのは容易ではありません。

そのため、事前に「こうなったら損切りをするべき」と、損切りに適したタイミングを知っておくのが良いでしょう。

今回は損切りに適したタイミングの例を4つ紹介します。

他の株式等で多額の利益が出たとき

損切りに適したタイミングの代表例が、他の株式等で多額の利益が出たときです。

ほかの株式等で多額の利益が出ているときに損失を確定させることで、損益通算によって節税対策ができます。

 

株取引における損益通算とは、同一年度内で発生した株取引の利益と損失を相殺することです。

同一の口座内での取引だけでなく、複数口座間での損益通算もできます。

また、上場株式の譲渡損失(株式の売却による損失)と、利子所得・配当所得の相殺も可能です。

 

株取引で多額の利益が出ている場合、その年の所得税額も高額になってしまいます。

しかし損益通算を行えば課税所得を減らせるため節税が可能です。

 

以下の例を用いて、損切りによる損益通算をした場合とそうでない場合の税額を比較します。

 

損切りをしない場合、株取引に対して課せられる税額は以下のようになります。

  • 200万円×20.315%=406,300円

 

一方、損切りをした場合の税額は以下の通りです。

  • (200万円-50万円)×20.315%=304,725円

 

損切りをしない場合は40万円超と高額の税金が課せられ、利益は出ているものの税負担も重い状態となります。

株取引で多額の利益が出ているときに損切りをすれば、税負担を抑えつつ損失の有効活用が可能といえるでしょう。

事前に決めた損切りラインに達したとき

事前に決めた損切りラインに達した場合も損切りをするべきといえます。

保有し続けると損失額がさらに増えるリスクや、損失が増え続けることで落ち着かず冷静な取引ができなくなる恐れがあるためです。

 

損切りラインは損失率や損失額で決めるのが一般的です。

例えば「株価が〇%下落したら損切りする」「〇円のマイナスになったら損切りする」と、具体的な数値を決めます。

 

ただし銘柄によって値動きの大きさに違いがあるため、すべての銘柄位に一律の損切りラインを決めるのは困難です。

また、株取引の目的や個人の性格・考え方によって、コントロールしやすい運用方法は変わるでしょう。

妥当な損切り基準を設定するには実践を通じて感覚をつかむ必要があります。

トレード根拠が失われたとき

トレード根拠が失われたとき、すなわち対象の株式を保有する目的がなくなったときも損切りに適したタイミングの1つです。

 

トレード根拠の有無を判断するために用いる手法として、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析が挙げられます。

 

ファンダメンタルズ分析とは財務諸表に記載された情報を分析し、株の価値を見極める方法です。

分析で用いる要素の例として、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)、ROA(純資産利益率)などが挙げられます。

「基礎的条件分析」とも呼ばれる手法で、企業の本質や客観的な事実を分析に用います。

 

テクニカル分析とは過去の値動きを分析して株価の変動を予測する方法です。

企業の本質的な情報ではなく、投資家の行動パターンをもとに価格の値動きを分析します。

 

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の結果、保有し続ける理由がないとの判断に至った場合は損切りを検討しましょう。

保有商品を見直すとき

保有商品を見直し、より良い商品が見つかったら損切りして売却代金で新しい銘柄を買うという方法もあります。

 

株取引に限らず投資は余剰資金で行うのが原則です。

保有する株式が多ければ多いほど、他の株式に投資できる資金が少なくなります。

他に魅力的な株式が存在しても、余剰資金がないために投資できず、結果として利益を得られない事態が起こり得るのです。

そのため定期的に保有商品の見直しを行い、必要に応じて損切り・別の株式への投資を行うのが理想といえます。

損切りによる節税対策のポイント

損切りによる節税対策のポイントを3つ紹介します。

原則として確定申告が必要

株取引の損益通算を行うためには原則として確定申告が必要です。

 

前提として、株取引に用いる口座には以下の3種類があります。

 

  • 一般口座
  • 利用者自身による損益計算および確定申告が必要な口座です
  •  
  • 特定口座(源泉徴収なし)
  • 金融機関が損益計算を行い、特定口座年間取引報告書取引書の発行を受けられる口座です
  • 確定申告の必要はあるものの、損益計算を1から行う必要はないため簡便な作業で済みます
  •  
  • 特定口座(源泉徴収あり)
  • 損益計算および源泉徴収・還付が行われるため、利用者による確定申告は不要です

 

このうち確定申告が必要なのは、一般口座と源泉徴収なしの特定口座の2つです。

しかし源泉徴収ありの特定口座を利用していても、複数の口座間で損益通算を行うためには確定申告が必要となります。

各証券会社の口座は独立しているため、自動での損益通算は行われません。

損益通算を行うためには原則として確定申告が必要になると考えておくのが確実です。

残った売却損を繰り越すには翌年以降も確定申告が必要

損益通算によって相殺しきれなかった売却損は最大3年間繰り越しが可能です。

ただし、残った売却損を繰り越すためには確定申告が必要となります。

源泉徴収ありの特定口座を利用している場合も同様です。

確定申告しなければ残った売却損を活用できず消えてしまうためご注意ください。

株とFXの損益通算はできない

株取引とFXの損益通算はできません

株取引による所得は譲渡所得、FXによる所得は雑所得で、所得区分が異なるためです。

株取引で損益通算ができる組み合わせについて改めて紹介します。

  • ・株の売買による利益と損失
  • ・株の売買による譲渡損失と株の配当所得
  • ・株の売買による譲渡損失と、特定公社債等の売買損益および特定公社債の利子等

まとめ

株取引における損切りとは、含み損が出ている株式を売却して損失を確定させることです。

株取引の成否は、適切なタイミングで損切りができるかによって大きな影響を受けます。

 

損切りに適したタイミングは複数ありますが、そのうちの1つが株取引によって多額の利益が出ているときです。

損切りによって株取引の損失を確定させることで損益通算ができるため、株取引にかかる税額を抑えられます。

 

節税目的で損切りを行う場合は、確定申告を正しい方法で行うことが大切です。

確定申告のし忘れや誤りがあると損益通算ができず、損失を活かせない可能性があるためご注意ください。

 

損益通算の仕組みを上手く活用し、株取引の節税対策を行いましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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