設備投資で節税対策!中小企業投資促進税制について解説!

2025.04.20

中小企業投資促進税制とは、中小企業等が設備投資をした際に特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。

同税制を活用することで、設備投資による節税対策が可能となります。

ただし、細かな要件が定められている上に税務申告時に所定の手続きが必要です。

要件を満たしていない、もしくは手続きに不備・漏れがある場合は適用を受けられないため注意する必要があります。

 

今回は中小企業投資促進税制について詳しく解説します。

 

中小企業向けの節税テクニックについては以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制とは、中小企業等が設備投資をした際に特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。

適用期限は2026年度末(2027年3月31日)までとなります。

当初の期限は2023年3月31日まででしたが、税制改正により2年延長、その後でさらに2027年まで延長になりました。

適用期限の延長も含めて過去に何度も改正が行われています。

今後も適用期限や制度の内容が変わる可能性があるため、最新情報の確認が必要です。

対象者

同税制の対象になるのは、青色申告の中小企業等です。

法人は資本金または出資金が1億円以下、個人は常時使用する従業員数が1,000人以下の場合に利用できます。

 

ただし、以下のいずれかに該当する法人は同税制の適用対象外です。

  • ・資本金等の額が1億円超の法人等(大規模法人)から2分の1以上の出資を受けている
  • ・2以上の大規模法人からあわせて3分の2以上の出資を受けている

 

また、中小企業経営強化税制のE類型の適用を受ける際は、E類型の投資計画期間中は中小企業投資促進税制の適用を受けられません。

対象となる設備

税制の適用を受けられるのは、要件を満たす設備を取得して指定事業の用に供した場合です。

設備要件について紹介します。

 

  • 機械及び装置
  • 1単位あたりの取得価額が160万円以上
  •  
  • 測定工具や検査工具
  • 以下いずれかの要件を満たすもの
  • ・1単位あたりの取得価額が120万円以上
  • ・1単位あたりの取得価額30万円以上であり、かつ、合計120万円以上
  •  
  • ソフトウェア
  • 以下いずれかの要件を満たす場合に適用可能
  • ・1単位あたりの取得価額が70万円以上
  • ・当該事業年度における取得価額がトータルで70万円以上
  •  
  • 車両運搬具
  • 以下の要件を満たすもの
  • ・道路運送車両法施行規則別表第一に規定する普通自動車
  • ・車両の総重量が3.5トン以上である
  •  
  • 船舶
  • 内航海運業の用に供するもの
  • ※総トン数500以上のものは環境への負荷の低減に資する装置の設置状況に係る国土交通省への届出が必要
  •  

対象となる業種については、中小企業庁または国税庁の公式サイトをご確認ください。

例えば電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、映画業を除く娯楽業等は対象になりません。

 

なお、基本的な要件を満たしていても、同税制の対象外になる資産が存在するため注意が必要です。

対象外となるケースは次の章の「対象外の資産に注意」で詳しく解説しています。

措置の内容

最初に特別償却または税額控除の適用を受けられると紹介しました。

しかし厳密には、措置内容は事業者の資本金規模によって以下のように異なります

 

  • 個人事業主および資本金3,000万円以下の法人
  • 30%の特別償却または7%の税額控除いずれかを選択可能
  •  
  • 資本金3,000万円を超える法人
  • 30%の特別償却のみ適用可能

 

なお、もし限度額まで償却費を計上しなかった場合、不足分は翌事業年度に繰越可能です。

 

税額控除を選択し、中小企業経営強化税制でも税額控除を適用するのであれば、2つの税制による税額控除のトータルを考える必要があります。

税額控除の上限は法人税または所得税の20%です。限度額を超える部分については翌期に繰り越せます。

 

なお、かつては通常よりも厳しい要件を満たすことでさらなる優遇措置を受けられる「上乗せ措置」の仕組みがありました。

上乗せ措置の仕組みはすでに撤廃されており、現在は本記事で紹介している措置のみとなっています。

中小企業投資促進税制の適用を受ける方法

税制の適用を受けるためには確定申告時に申請を行う必要があります。

個人にかかる所得税と法人にかかる法人税では確定申告書の構成が大きく異なるため、申請方法にも違いがある点にご注意ください。

個人事業主

個人事業主が行うべき手続きの内容を紹介します。

 

  • 特別償却
  • 以下2つの作業が必要です。
  • ・青色申告決算書3ページ「減価償却の計算」の「割増(特別)償却費」欄に特別償却額を記入する
  • ・特別償却に関する明細書を作成し、あわせて提出する
  •  
  • 税額控除
  • 対象となる設備を購入した事実がわかる明細書を添付する必要があります

法人

続いて、法人が行うべき手続きを紹介します。

 

  • 特別償却
  • 法人税の確定申告書に以下の書類の添付が必要です。
  • ・中小企業者等または中小連結法人が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表
  • ・適用額明細書
  • (租税特別措置法や金額について記載する書類です)
  •  
  • 税額控除
  • 法人税の確定申告書の提出時に以下の書類を添付する必要があります。
  • ・別表6(10)
  •  ※特別控除に関する明細書です
  • ・適用額明細書

設備投資で中小企業投資促進税制を活用する際の注意点

設備投資で中小企業投資促進税制を活用する際の注意点を3つ紹介します。

特別償却は節税ではなく課税の繰り延べ

中小企業投資促進税制は節税対策として人気の高い手法です。

しかし措置内容のうち特別償却はあくまで課税の繰り延べであり、厳密には節税とは異なります

 

特別償却とは通常の減価償却額に加えて特別償却額を計上できる仕組みです。

その年度に計上できる減価償却費が通常よりも多くなるため、その事業年度は節税効果を得られます。

しかし対象の固定資産の残存価額が少なくなる分、翌事業年度以降に計上できる減価償却費は少なくなります。

すなわち特別償却を適用した事業年度の税額を抑えられる分、翌年度以降はかえって税額が増える可能性があるのです。

 

特別償却には、適用した年度の税負担を抑えられる・税額控除より手続きが簡単といったメリットがあります。

特別償却の方が結果としてメリットが大きいケースもあるでしょう。

しかしあくまでも課税の繰り延べであり、本質的な節税効果はない点を押さえる必要があります。

対象外の設備に注意

前述のように、中小企業投資促進税制の適用を受けられない設備が存在します。

同税制の対象外となるケースの例は以下の通りです。

  • ・中古品
  • ・貸付の用に供する設備
  • ・未使用状態の設備
  • ・コインランドリー業に用いる設備で、管理のおおむねすべてを他者に委託する場合
  •  ※コインランドリー業が主要事業であれば適用可能
  •  

対象設備の要件だけでなく、対象外となるケースについても確認する必要があります。

中小企業経営強化税制の方が節税効果は大きい

中小企業経営強化税制とは要件を満たす場合に以下いずれかの措置を受けられる制度です。

  • ・取得価額全額の即時償却
  • ・取得価額の7%相当の税額控除(特定中小企業者等は10%)

 

中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制を比較すると、中小企業経営強化税制の方が大きな節税効果を得られます

両方とも適用要件を満たす場合、節税のためには中小企業経営強化税制がおすすめです。

ただし中小企業経営強化税制の方が要件が厳しく手続きも煩雑なため、適用のハードルは高いといえます。

 

さまざまな税制を比較し、自社に適した制度を選びましょう。

まとめ

中小企業投資促進税制とは、中小企業等が設備投資をした際に特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。

取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を受けられます。

制度を上手く活用することで、設備投資による節税対策が可能です。

 

中小企業投資促進税制には細かな要件が定められており申請手続きも必要なため、制度について深い理解が欠かせません。

また、特別償却は手続きが容易なものの、本質的には節税ではなく課税の繰り延べに過ぎない点に注意する必要があります。

自身のケースに合わせて制度を上手く活用しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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