レバレッジドリースとは?節税の仕組みと注意点について解説!

2025.06.29

レバレッジドリースとは少額の自己資本と第三者からの借入金を用いて高額の資産を購入し、他社にリースする手法です。

リース会社が匿名組合を立ち上げて出資を募り、出資を受けても足りない額については融資で調達します。

 

レバレッジドリースの仕組み上、出資者はリース契約期間中に大きな節税効果を得られる可能性が高いです。

ただし注意するべきデメリットやリスクも存在するため、出資するか否かの慎重な判断が必要です。

 

今回はレバレッジドリースによる節税の仕組みや、節税対策をする際の注意点を解説します。

 

レバレッジドリースは「日本型オペレーティングリース取引」とも呼ばれます。

オペレーティングリース取引については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

レバレッジドリースとは

レバレッジドリースとは、少額の自己資本と第三者からの借入金を用いて高額の資産を購入し、他社に貸し出すリース手法です。

少ない自己資本で高額のリース取引を行う手法が「てこ=レバレッジ」に似ていることから、レバレッジドリースと呼ばれます。

レバレッジドリースの対象になる資産

レバレッジドリースの対象になるのは購入するのに多額の資金が必要な資産です。

具体的な例として、航空機、船舶、ヘリコプター、コンテナなどが挙げられます。

特に航空機が対象になるケースが多くみられます。

レバレッジドリースの流れ

レバレッジドリースは一般的に匿名組合契約で行います。

匿名組合契約とは特定の事業者に出資をし、対象の事業から利益を得ることを目的とした契約です。

当事者の一方が出資者となり、事業者側が対象の営業活動から生じる利益を出資者に分配する旨を約束することで効果が生じます。

 

匿名組合契約自体は事業を行う者と出資者の二者間で行われます。

金融機関との融資契約、物件購入、リース契約等はすべて事業者が行う仕組みです。

出資者には第三者に対する権利義務関係が発生しません。

 

レバレッジドリースの大まかな流れは以下の通りです。

  • 1.リース会社が匿名組合を立ち上げて出資を募る
  • 2.1の出資で足りない分について金融機関等から融資を受ける
  • 3.出資金および借入金を用いて超高額のリース物件を購入する
  • 4.購入した資産についてリース契約を結び、リース料を受け取る
  • 5.リース期間満了後、対象のリース物件は借手または市場が買い上げる
  • 6.リースによる収入および5の売却益を出資者に分配する

 

リース料の収入とリース物件の売却益が匿名組合の収益となります。

最終的には、収益からリース関連の費用を差し引いた利益が出資者に分配される仕組みです。

 

なお、リース資産の所有者は匿名組合ですが、匿名組合はあくまで窓口の役割をもつ団体で法人格は有しません。

そのため契約期間中にリース取引によって発生した損益も、匿名組合に出資する会社へ分配されます

すなわちリースによる収益よりも費用の方が高額であれば、出資者である会社には取引による損失が計上されるのです。

レバレッジドリースが節税になる仕組み

レバレッジドリースの出資者は節税効果が期待できます。

 

レバレッジドリースによって節税ができるのは、減価償却と金融機関への支払利息によって高額の損金を計上できるためです。

 

減価償却とは固定資産の取得価額を耐用年数にわたって少しずつ費用計上する会計処理です。

高額の固定資産は購入した年以後も収益に貢献するため、費用収益対応の原則から減価償却が必要とされています。

 

匿名組合契約において、出資者から匿名組合への出資金は有価証券として扱われます。

そして前述の通り、リース取引によって発生した損益は匿名組合に出資する会社へ分配される仕組みです。

 

レバレッジドリースでは高額のリース物件を扱うため、減価償却費の計上額も高額になります。

特に定率法で減価償却を行えば購入後の数年間は減価償却費が特に高額であり、リースによる収益を費用が大きく上回る可能性が高いです。

また、リース物件の購入に際して金融機関から多額の融資を受けるため、支払利息も高額になりやすいといえます。

 

以上の理由から最初の数年間、特に初年度は多額の損失が発生するのが一般的です。

出資者に対しても高額の損失が配分されるため、出資者は課税所得を減らすことができ、結果として節税につながります。

 

なお、レバレッジドリースによる損失は特別損失に該当するため経常利益に影響せず、融資に悪影響を与える心配が小さい点もメリットといえます。

また、高額の減価償却費の計上によって一時的に株価が下がったタイミングで株式移転を行なえば、相続税や贈与税の節税も可能です。

レバレッジドリースによる節税の注意点

レバレッジドリースの仕組みを活用した節税対策を行う際の注意点を4つ紹介します。

出資者側による中途解約ができないケースが多い

レバレッジドリースは出資者側による中途解約ができないケースが多くみられます。

そのため「資金繰りが悪化したから出資金を返して欲しい」といった対応はできない可能性が高いです。

 

レバレッジドリースは物件の性質上、契約が10年前後の長期間になるのが一般的です。

したがって、出資したお金は長期にわたり自由に使えなくなる点を認識する必要があります。

リース期間終了時に高額の税金が発生する可能性がある

前章で、契約期間の中でも最初の数年間は大きな節税効果を得られる可能性が高いと解説しました。

 

しかし、レバレッジドリースによる節税は厳密には課税の先送りといえる仕組みです。

確かに損失が高額なうちは節税効果を得られますが、減価償却費が少なくなり利益が発生するようになれば所得が増え、税額も上がるでしょう。

 

特に注意するべきなのがリース期間の終了時です。

前述のように、リース期間終了後はリースによる収益および物件の売却益が出資者に分配されます。

売却益も加算されるため分配額も多くなりやすく、結果としてその年に計上される利益(所得)が高額になる可能性が高いです。

すなわちリース期間の最初の数年間は税負担を抑えられる代わりに、リース契約終了時に高額の課税が発生します。

 

以上の理由から、実質的には課税の先送りといえるでしょう。

リース終了時の税負担を抑えるための対策、出口戦略についても考えるべきといえます。

出資額を超える損金算入はできない

レバレッジドリースでは高額のリース物件を扱うため、減価償却費の計上額も高額になると紹介しました。

特に最初の数年間は、出資者に対して分配される損失額が出資額を大きく上回るのが一般的となります。

 

ただし、レバレッジドリースにおいて出資者が税務上の損金として計上できるのは出資額までです。

そのため会計上は高額の損失が計上されているものの、実際に得られる節税効果は小さいという事態が起こり得ます。

価値の変動リスクや為替リスクがある

レバレッジドリースで扱うリース物件は比較的価値が安定している傾向ではあります。

しかし購入から売却までには10年前後という長い期間があり、その間に価値が変動するリスクがゼロなわけではありません。

もとの取得価額が高額な分、価値変動による影響が大きい点に注意が必要です。

 

また、最初に紹介したように、レバレッジドリースで多く扱われる資産として航空機が挙げられます。

航空機は海外で購入し海外の航空会社へリースを行うケースが多いため、外貨建て商品が一般的です。

そのため物件自体の価値は特に下がっていなくても、為替変動によって円換算した時の額が非常に少ないという事態が起こり得ます。

このように外貨建て商品が多い分、為替リスクが高い点も押さえる必要があります。

まとめ

レバレッジドリースでは航空機などの高額な資産を扱うため、最初の数年間で計上される減価償却費も高額になります。

したがって出資者に分配される損失も高額であり、結果として出資者は大きな節税効果を得られます。

法人税等だけでなく、高額の費用計上により一時的に株価が下がったタイミングで事業承継を行えば相続税や贈与税の節税も可能です。

 

ただし、レバレッジドリースには注意点も複数存在します。

そのため節税メリットだけを考えて出資するのは早計といえるでしょう。

メリットだけでなくリスクも押さえた上で、レバレッジドリースに出資するか慎重に考える必要があります。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

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