つまみ申告とは?税務調査で問題になるケースとリスクを解説
つまみ申告は意図的な過少申告行為であり、加算税など追徴課税の対象になります。
明確な違法行為である以上、いかなる状況でもつまみ申告は厳禁です。
つまみ申告のリスクは、追徴課税という明確なペナルティが課されることだけではありません。
つまみ申告は対外的な信用失墜の原因にもなり得るため、絶対にやめるべきです。
今回はつまみ申告について詳しく解説します。
つまみ申告は所得隠しに該当する脱税行為です。
脱税については以下の記事で詳しく解説しています。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士
CONTENTS
つまみ申告とは

つまみ申告とは、売上や収入の一部をつまみ出して申告する行為です。
つまみ申告の例として、10回の取引のうち7回分のみをつまみ出して申告する行為が挙げられます。
つまみ申告は意図的な過少申告行為であり、加算税の対象になります。
つまみ申告のペナルティ
つまみ申告を含め、過少申告は追徴課税の対象になります。
過少申告に対して課される可能性のある附帯税について詳しく解説します。
延滞税
延滞税とは税金の納付期限を過ぎた場合に課される附帯税です。
法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されるもので、いわゆる利息の性質をもちます。
過少申告においては、本来納付すべき税金と実際に納付した税額の差額部分が延滞税の対象になります。
令和3年1月1日以後の延滞税の割合は以下の通りです。
- 納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで
- 原則:年7.3%
- 令和3年1月1日~令和3年12月31日:年2.5%
- 令和4年1月1日~令和7年12月31日:年2.4%
- 令和8年1月1日~令和8年12月31日:年2.8%
- 納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後
- 原則:年14.6%
- 令和3年1月1日~令和3年12月31日:年8.8%
- 令和4年1月1日~令和7年12月31日:年8.7%
- 令和8年1月1日~令和8年12月31日:年9.1%
過少申告加算税
過少申告加算税とは、申告した税額が本来納付すべき税額よりも少ない場合に課される附帯税です。
本来納付すべき税額と申告した税額の差額部分に一定の税率を乗じて計算します。
過少申告加算税の税率は、修正申告を行うタイミングや新たに納める税額によって以下のように異なります。
- 税務調査の事前通知前
- 不適用(過少申告加算税は課されません)
- 税務調査の事前通知から調査実施まで
- 新たに納める税額のうち50万円以下の部分:5%
- 新たに納める税額のうち50万円超の部分:10%
- 税務調査の実施後
- 新たに納める税額のうち50万円以下の部分:10%
- 新たに納める税額のうち50万円超の部分:15
重加算税
重加算税とは、悪質な隠匿や仮装があった場合に、過少申告加算税・不納付加算税・無申告加算税に代わって課される附帯税です。
重加算税の税率は、重加算税がどの加算税に代わって課されるかによって以下のように変わります。
- 過少申告加算税・不納付加算税に代わって課される場合:30%
- 無申告加算税に代わって課される場合:40%
つまみ申告は原則として過少申告加算税の対象であるため、重加算税が課される場合の税率は30%です。
ただし、期限後申告等があった日の前5年以内に同じ税目に対して無申告加算税または重加算税が課されたことがある場合、税率が10%上乗せされます。
つまみ申告が税務調査で問題になるケースとは
前提として、つまみ申告を含む過少申告は税務調査で必ず指摘される行為です。
税務調査では過去の取引や税務申告の内容を細かくチェックされるため、つまみ申告を隠し通すことはできないと考えるべきでしょう。
税務調査ではつまみ申告がほぼ確実にバレて、追徴課税の対象になります。
ただし、つまみ申告が過少申告加算税と重加算税どちらの対象になるかは解釈によって異なるため一概にはいえません。根拠となるのは国税通則法第68条です。
同条では「国税の課税標準や税額等の計算の基礎となるべき事実の全部または一部を隠蔽・仮装した場合は重加算税の対象になる」と定められています。
そして、国税庁の公式サイトでは重加算税の対象となる行為として以下を挙げています。
- 1.二重帳簿の作成
- 2.帳簿書類の破棄または隠匿
- 3.帳簿書類の改ざん、虚偽記載
- 4.相手方との通謀による虚偽の証憑書類の作成
- 5.帳簿書類の意図的な集計違算
- 6.その他仮装経理
- 7.特定の損金算入や税額控除の要件とされる証明書等の改ざん
- 8.簿外資産に係る利息収入、賃貸料収入等の未計上
- 9.簿外資金をもって役員賞与等を支出
- 10.同族会社に該当する法人が非同族会社と偽る行為
参考:法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁
つまみ申告と特に関連する項目は1~6です。
基本的に、意図的・悪質な行為は重加算税の対象になります。
言い換えると、意図的な隠ぺいや仮装行為と断定できない場合は、重加算税ではなく過少申告加算税の対象になる可能性が高いです。
過少申告加算税の対象になるケースとして以下の例が挙げられます。
- ・単純な計上漏れや勘違い等が原因とみなされた場合
- ・悪質と断定するには根拠が不十分な場合
とはいえ「重加算税の対象ではない=税務調査で特に問題視はされない」という認識は誤りです。
繰り返しになりますが、つまみ申告は明確な違法行為であり、税務調査で指摘されることに変わりはありません。
発生する加算税の種類に関係なく、意図的なつまみ申告は絶対にやめましょう。
つまみ申告の判例
つまみ申告で課される加算税が過少申告加算税と重加算税のどちらであるかは判断が難しい部分があります。
今回は、つまみ申告における加算税が焦点となった裁判の事例として「最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決」を紹介します。
サラリーマン金融業を営む白色申告者である納税者が、昭和 53 年~昭和 55 年分の所得税を適正に申告しなかったという事件です。
事件のポイントとして以下の5点が挙げられます。
- 1.帳簿類や取引記録等から、自身の事業規模を正確に把握していたものと判断できる
- 2.3 年間にわたり総所得金額の約3%しか申告していなかった
- 3.複数回の修正申告を経て、初めて飛躍的に多額の最終申告をするに至っている
- 4.税務調査で虚偽の資料を提出した
- 5.一方で、虚偽の内容が含まれる本件資料(4)と修正申告書の記載内容に直接の関連性はない
特に重要なポイントは4の「税務調査で虚偽の資料を提出した」です。
2の「3 年間にわたり総所得金額の約3%しか申告していなかった」という事実だけでは、単純な過少申告とみなされました。
過少申告と税務調査における虚偽資料の提出に直接的な関係があるか否かが、加算税の種類を左右する要因となったのです。
結論として、過少申告が不正な経理に基づくものと判断するには証拠が不十分でした。
過少申告と虚偽資料の提出、すなわち仮装隠ぺい行為に直接の関連性はないと判断されました。
結果として、重加算税の賦課要件は満たさないという判決になったのです。
以上の判例から、重加算税は非常に重い罰則であるからこそ、つまみ申告に際しても慎重な検討・判断が行われることがわかります。
つまみ申告のリスク

つまみ申告は違法行為である以上厳禁です。
つまみ申告は実施してはいけないという前提の下で、改めて、つまみ申告のリスクを3つ紹介します。
ペナルティの対象になる
つまみ申告は所得隠し・過少申告に該当する行為であり、ペナルティの対象です。
前章の「つまみ申告のペナルティ」で紹介したように、延滞税や加算税などの追徴課税を課されます。
特に悪質とみなされた場合は重加算税や、刑事罰の対象になる可能性もあります。
税務署からの監視が厳しくなる
前提として、税務調査で指摘を受けたことがある事業者は、税務署からの監視が厳しくなる傾向です。
単純なミスや漏れが原因による過少申告でも「指摘事項が適切に改善されたか」という面で税務署から厳しくチェックされます。
つまみ申告は所得隠しに該当する行為であり、意図的な過少申告とみなされます。
脱税の前例がある事業者として、監視が特に厳しくなる可能性や、数年以内に再び税務調査の対象になる可能性が高いです。
関係者からの信用を失う
つまみ申告を行なった事実が社内外に伝わると、関係者からの信用を失う恐れがあります。
得意先からの取引停止や、株主による投資引き揚げ等が起こり得ます。
会社に対する不信感が原因で、多くの従業員が退職するケースもあるでしょう。
いずれも事業の継続を脅かす要素となり、破産・倒産を招く恐れもあります。
適正申告と税務リスク対策はBIZARQへ

つまみ申告は、金銭的な問題だけでなく金融機関からの信用低下や経営判断に必要な数字の精度低下を招くリスクもあります。会社を守るためには、短期的な節税ではなく、正確な数字に基づく適正申告が重要です。
「過去の申告内容に不安があり、今のうちに見直したい」
「税務調査に備えて経理体制を整えたい」
こうしたお悩みをお持ちの企業様は、BIZARQ(ビズアーク)までご相談ください。申告内容の点検から修正申告の検討、再発防止に向けた経理体制の整備まで、実務に即してサポートいたします。
まとめ
つまみ申告とは売上や収入の一部をつまみ出して申告する行為です。
過少申告に該当するため、延滞税や加算税などペナルティの対象になります。
つまみ申告は税務調査で必ず指摘される要素ですが、過少申告加算税と重加算税のどちらを課されるかはケースによって異なります。
仮装・隠ぺいなど悪質な行為に基づく過少申告は重加算税の対象になりますが、そもそも悪質な行為であるかは論点になりやすい部分です。
実際、不正な経理に基づく過少申告であると断定するだけの証拠がないとして、重加算税の要件を満たさないと判断された事例も存在します。
とはいえ、つまみ申告が重加算税の対象になるか否かに関係なく、違法行為である事実は変わりません。明確な禁止行為である上に多くのリスクも存在するため、絶対にやめましょう。
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