譲渡所得とは?計算方法と節税のポイントをわかりやすく解説
譲渡所得とは資産の譲渡(売却)によって得られる所得です。
譲渡所得および譲渡所得税の計算・申告方法は、譲渡する資産の種類によって異なります。
譲渡所得の正しい確定申告を行うためには、譲渡所得について理解を深めることが大切です。
また、ちょっとした節税対策によって譲渡所得にかかる税金が大きく変わる可能性があります。
税負担を最小限に抑えるためには節税対策についても確認しておくべきでしょう。
今回は譲渡所得の仕組みや計算方法、節税のポイントについて詳しく解説します。
所得税の基本については以下の記事をご覧ください。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士
CONTENTS
譲渡所得とは

譲渡所得とは資産の譲渡(売却)によって発生する所得のことです。
譲渡所得の対象となる資産として以下の例が挙げられます。
- ・土地
- ・借地権
- ・建物
- ・株式
- ・ゴルフ会員権
- ・貴金属
- ・宝石
- ・骨董品
- ・無形資産(特許権、著作権など)
一方、以下のような資産の譲渡によって発生する所得は譲渡所得には該当しません。
- ・事業用の商品
- ・山林
- ・使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の減価償却資産
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の計算方法は譲渡する資産の種類ごとに定められています。
不動産
土地や建物などの不動産を譲渡したときに発生する譲渡所得の計算方法は以下の通りです。
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=土地や建物の譲渡所得
取得費は譲渡した不動産の取得にかかった費用で、購入代金や建築代金、手数料などが含まれます。
なお取得費が不明な場合は、売った金額の5%相当額を取得費として計上します。
譲渡費用は資産の譲渡に際して直接かかった費用です。
譲渡費用の例として仲介手数料や印紙税などが挙げられます。
株式等
株式等の譲渡所得の計算方法は以下の通りです。
総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)=株式等にかかる譲渡所得
上記の式で計算した額がマイナスの場合は譲渡損失となります。
なお、株式等の譲渡所得は、上場株式等と一般株式等を分けて計算する必要があります。
そして、上場株式等の譲渡損失を一般株式等の譲渡所得から控除することや、反対に一般株式等の譲渡損失を上場株式等の譲渡所得から控除することはできません。
その他
土地・建物や株式等以外を譲渡した場合の譲渡所得は以下のように計算します。
- 1.譲渡益を計算する
短期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)+長期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡益 - 2.譲渡益から特別控除額を差し引く
譲渡益-特別控除額(最高50万円)=譲渡所得
短期譲渡所得は所有期間が5年以下の資産の譲渡により発生する所得、長期譲渡所得は所有期間が5年超の資産の譲渡により発生する所得です。
特別控除額は先に短期譲渡所得の譲渡益から控除し、残額があれば長期譲渡所得の譲渡益から控除します。
譲渡所得の税額計算および申告の方法
譲渡所得の税額計算および申告の方法も、譲渡する資産の種類によって異なります。
土地や建物|申告分離課税
土地や建物の譲渡による譲渡所得にかかる税金は、ほかの所得と合計せず分離して計算する決まりです。このような仕組みを申告分離課税制度といいます。
土地や建物の譲渡所得にかかる税率は以下の通りです。
所得の種類 | 所得税 | 復興特別所得税(平成25年度から令和19年度まで発生) | 住民税 | 所得税・復興特別所得税・住民税の合計 |
長期譲渡所得(所有期間が5年超) | 15% | 所得税額の2.1% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(所有期間が5年以下) | 30% | 所得税額の2.1% | 9% | 39.63% |
確定申告で使用する様式として以下の例が挙げられます。
- ・確定申告書 第一表・第二表
- ・確定申告書 第三表(分離課税用)
- ・譲渡所得の内訳書
- ・特例の適用を受ける場合に必要な添付書類
- 必要な書類は適用を受ける特例によって異なります。
株式等|申告分離課税
株式等の譲渡所得の税額計算・申告方法も、土地や建物と同じく申告分離課税制度です。
まずは、上場株式等にかかる譲渡所得等の金額と、一般株式等にかかる譲渡所得等の金額をそれぞれ計算する必要があります。
上場株式等と一般株式等は別々の申告分離課税とされているため、両者の譲渡所得と譲渡損失の相殺はできません。
それぞれの譲渡所得を算出したら、譲渡所得に税率を乗じて税額を計算します。
税率は上場株式等・一般株式等ともに以下の通りです。
- ・所得税:15%
- ・復興特別所得税:所得税額の2.1%
- ・住民税:5%
株式等の譲渡所得がある場合に作成・提出が必要な様式として以下が挙げられます。
- ・確定申告書 第一表・第二表
- ・確定申告書 第三表(分離課税用)
- ・株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
- ・特例の適用を受ける場合に必要な添付書類
必要な書類は適用を受ける特例によって異なります。
その他|総合課税
土地・建物および株式以外の資産の譲渡によって発生した譲渡所得は、ほかの所得と合算して課税所得および税額を計算します。
このような課税の仕組みを総合課税制度といいます。
総合課税による税額計算の流れは以下の通りです。
- 1.土地・建物および株式以外の資産の譲渡による譲渡所得を計算する
- 2.1で計算した譲渡所得をほかの所得と合算し総所得金額を計算する
- 3.2から所得控除の合計額を控除し課税所得を計算する
- 4.課税所得に税率を乗じて税額を計算する
- 5.4の所得税額から税額控除を差し引いて最終的な納付税額を計算する
なお、総所得金額に合算する譲渡所得の金額は、譲渡した資産の所有期間によって以下のように異なります。
- ・所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得):全額
- ・所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得):2分の1相当額
譲渡所得にかかる税金の節税方法

最後に、譲渡所得にかかる税金の節税方法を2つ紹介します。
長期譲渡所得として譲渡する(株式等以外の場合)
譲渡所得にかかる税金を抑えるためには、資産を長期譲渡所得として譲渡するのが理想です。
長期譲渡所得は以下の理由から、短期譲渡所得よりも税額が少なくなります。
- 【土地や建物の場合】
- 長期譲渡所得は譲渡所得税率が20.315%、短期譲渡所得は39.63%と、長期譲渡所得の方が税率が低い
- 【土地・建物および株式以外の場合】
- 短期譲渡所得の場合は総所得金額に譲渡所得の全額を合算する必要があるが、長期譲渡所得の場合は譲渡所得の2分の1相当額を合算する
- (所得が少ない分、税額が少なく済む仕組みです)
所有期間が5年を超える資産を譲渡した場合、長期譲渡所得に該当します。
なお、株式には短期譲渡所得・長期譲渡所得の概念がありません。
所有期間は所得および税額計算に影響しないため、自身にとって適したタイミングで譲渡するのが最善でしょう。
特例の適用を忘れない
譲渡所得に限らず、税負担を最小限に抑えるためには要件を満たす特例の適用を忘れないことも大切です。
譲渡所得に関する特例制度は多数存在し、控除額が高額な制度も多くみられます。
特例の適用有無によって譲渡所得が数百万円以上変わる可能性もあるため、特例の適用を忘れないようにしましょう。
譲渡所得の特例制度の具体例を紹介します。
土地や建物の譲渡に関する特例制度の例
- ・公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
- ・マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例
- ・被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の特別控除の特例
- ・特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
- ・低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例
株式等の譲渡に関する特例制度の例
・特定口座制度
・上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算
・上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
・特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例
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資産売却時に売却益だけを見て判断すると、税負担や今後の資産運用に影響が出るケースもあります。譲渡のタイミングや他の所得とのバランスを踏まえて検討することが、無駄のない資産形成につながります。
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まとめ
譲渡所得は資産の譲渡によって発生した所得のことです。
譲渡所得の計算方法は譲渡する資産の種類によって異なります。
土地・建物や株式等は申告分離課税、その他の資産は総合課税と、課税方式の方法が異なる点にも注意が必要です。
譲渡所得にかかる税金の節税方法として、長期譲渡所得として譲渡する方法と、特例を活用する方法の2つが挙げられます。
長期譲渡所得と短期譲渡所得のどちらに該当するか、特例の適用を受けるか否かによって、税額が大きく変わる可能性が高いです。
資産の譲渡をする前に節税対策の進め方や可否について確認し、譲渡の方法およびタイミングを図るのが理想です。
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