会社設立後は社会保険加入が必須!手続きの流れについて解説!

2023.03.10

会社設立そのものは、会社設立の登記申請が受理されれば完了となります。

しかし、会社設立が完了しても、会社運営を進めるためにはさまざまな作業が必要です。

会社設立後、迅速に行うべき作業のひとつに社会保険の加入手続きがあります。

個人事業主と違い、会社は社会保険の加入が必須です。

社会保険手続きには期日も定められているため、早めに対応しなければなりません。

今回は社会保険の加入手続きについて、必要書類や流れを詳しく解説します。

会社設立の流れや必要な手続きは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

CONTENTS

会社設立後に加入が必要となる社会保険について

まずは会社設立後に加入が必要となる社会保険について、制度の概要を紹介します。

社会保険とは

社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・労働保険・国民健康保険など保険制度の総称です。

しかし、法人に関する場面で社会保険と呼ぶ場合、健康保険と厚生年金保険の2つのみを指すケースが一般的です。

本記事でも以降は狭義である健康保険と厚生年金保険の2つの意味で、社会保険という言葉を扱います。

 

法人に加入義務のある健康保険・厚生年金保険の特徴は、保険料を保険の加入者である従業員と法人が折半する点(労使折半)です。

たとえば毎月の健康保険料が1万円である場合、保険加入者である従業員が5,000円、法人が5,000円と半額ずつ負担することになります。

保険加入者の支払う保険料は給与や賞与から天引きされ、会社が代わって納付するのが一般的です。

 

なお、社会保険の加入が義務付けられているのは正社員だけではありません。

以下の要件を満たす場合、非正規雇用の社員でも社会保険の加入義務があります。

  • ・週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
  • ・以下すべての要件を満たす非正規労働者
  • ・週の所定労働時間が20時間以上
  • ・2ヶ月超の雇用期間が見込まれる
  • ・月額賃金が8.8万円以上
  • ・従業員101人以上の企業等である
  • ・学生でない

近年は働き方改革により、社会保険の対象となる人や加入義務の要件について頻繁に法改正が行われています。

上述した従業員数の要件についても、2024年10月以降は51人以上と適用範囲が拡大する予定です。

最新の要件や法律について必ずご確認ください。

従業員を雇わなくても加入が必要

会社には従業員の有無や数に関係なく、社会保険の加入が義務付けられています。

従業員を雇わない、すなわち社長一人の会社であっても社会保険の加入が必要です。

 

社会保険未加入の場合、過去2年にさかのぼって延滞金を含む社会保険料の徴収や、罰則が課せられる恐れがあります。

会社設立の完了後、必ず社会保険の加入手続きも行いましょう。

【参考】労働保険の加入も必須?

法人が加入する保険として、社会保険のほかにも労働保険が挙げられます。

労働保険とは、労災保険および雇用保険をまとめた呼び名で、労働者を守るための保険です。

雇用保険とは、労働者の雇用安定や失業時の保障、労災保険は業務中や通勤中の負傷・疾病・障害などに備える制度です。


従業員がいない場合、労働保険の加入は必要ありません。

前述したように労働保険は従業員のための制度であり、経営者には適用されないためです。

社長一人の会社である場合、社会保険のみ加入が必要となります。

ただし、従業員を雇う場合は、会社設立後に社会保険と合わせて労働保険の加入も必要です。

労災保険・雇用保険の加入義務について紹介します。

  • 労災保険
    パート・アルバイトを含むすべての労働者

  • 雇用保険
    週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある労災保険加入者(従業員)

社会保険加入に必要な書類

社会保険加入に必要な書類について、概要や書き方を紹介します。

 

なおいずれの書類も、提出先は会社所在地を管轄する年金事務所です。

提出方法は郵送・窓口持参・電子申請の3種類がありますが、電子申請は事前に所定の手続きが必要となるため、郵送または持参によって提出するのが一般的です。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険・厚生年金保険新規適用届は、会社が社会保険に加入するときに必要となる書類です。

健康保険・厚生年金保険の適用対象となる事業を開設した旨を伝える書類であり、会社が社会保険に加入する際の申請書ともいえるでしょう。

 

健康保険・厚生年金保険新規適用届の様式および記入例は、日本年金機構のホームページで確認できます。

 

法人の場合、健康保険・厚生年金保険新規適用届とあわせて以下の書類も必要です。

  • 会社の登記簿謄本の原本
    適用届を提出する日から90日以内に発行されたものを貼付する必要があります。

  • 法人番号指定通知書のコピー
    事業主が国・地方公共団体・法人の場合に必要な書類です。

また、社会保険料の納付を口座振替で行いたい場合、健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書も提出します。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

社会保険の被保険者となる人について記載する書類です。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届についても、日本年金機構のホームページで確認できます。

 

資格取得届に記載する内容として、以下の事項が挙げられます。

  • 事業所の概要
    所在地・会社名・事業主(代表者)名・電話番号など

  • 被保険者の概要
    氏名・生年月日・種別(性別)・マイナンバー・報酬月額・取得年月日(入社した日など)

社長一人の会社設立である場合は、社長である自身に関する情報の記載が必要です。

 

原則として添付書類の必要はありませんが、雇用する従業員が一定の要件に該当する場合は、ケースに応じた添付書類が必要になります。

健康保険被扶養者(異動)届

社会保険の被保険者となる人に扶養家族がいる場合に必要な書類です。

健康保険被扶養者(異動)届を提出することで、被保険者の家族が社会保険の被扶養者となります。

 

被扶養者の範囲・要件は以下のとおりです。

  • ・被保険者に生計を維持されている、被保険者の配偶者・子・孫・直系尊属・兄弟姉妹など(同居の有無は問われない)
  • ・被保険者と同一世帯であり、被保険者に生計を維持されている三親等の親族や、その他一定の要件を満たす人

 

健康保険被扶養者(異動)届とあわせて、以下の添付書類も提出する必要があります。

  • ・被扶養者の戸籍謄本や戸籍抄本または住民票
  • ・収入要件を確認できる書類

 

ただし以下の場合は戸籍謄本や住民票の添付は不要です。

  • ・届出書にマイナンバーを記載している
  • ・扶養認定を受ける人の続柄に相違がないことについて事業主が確認しており、その旨を届出書に記載している

 

収入要件を確認するために必要な書類はケースによって異なります。

会社設立後 社会保険の加入方法

会社設立後、社会保険の加入方法を流れで解説します。

 

  • 1.社会保険加入に必要な書類を用意する
       ※必要書類の詳細については日本年金機構のホームページで確認しましょう
  • 2.会社所在地を管轄する年金事務所へ書類を提出する
  • 3.1週間~10日程度で被保険者となった人の健康保険証が届く
       ※また、年金事務所から事業所整理記号や事業所番号が記載された書類が届くため保管します

基本的には必要書類を用意して提出するだけとなります。

書類の漏れや不備があると修正が必要になる恐れがあるため、提出前に確認するのが安心です。

 

社会保険加入手続きの期日は、会社設立から5日以内となっています。

会社設立登記の完了後、すみやかに社会保険の加入手続きをすすめるのがおすすめです。

まとめ

従業員を雇っておらず社長一人の場合でも、会社には社会保険の加入義務があります。

期日は会社設立から5日以内に設定されているため、会社設立が終わったら早めに社会保険の加入手続きが必要です。

社会保険の加入手続きで必要となる書類はケースによって異なるため、事前にしっかり確認しましょう。不備や漏れがあると、必要以上の手間が発生する恐れがあります。

手続きに不安がある場合、専門家に相談する・代行依頼をするのが安心です。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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