会社設立後に必要な手続きは?必要書類や注意点まとめ

2023.03.28

会社設立そのものは法務局での法人登記申請が受理されれば完了となりますが、法人登記が終わったあとも必要な手続きは多く存在します。

会社設立後に必要な手続きを怠ると、後に発生する費用が増えたり手間が大きくなるといったリスクがあるため注意が必要です。

 

今回は会社設立後に必要な手続きについて詳しく解説します。

 

会社設立の流れについては以下の記事をご覧ください。

 

 

会社設立の必要書類については以下の記事をご覧ください。

 

CONTENTS

会社設立後に必要な手続きとは

会社設立後に必要な手続きについて、分野・提出先ごとに紹介します。

健康保険・厚生年金保険の手続き

まずは健康保険・厚生年金保険の手続きです。年金事務所へ届出を行います。

 

法人は健康保険・厚生年金保険の加入が義務付けられており、従業員を雇っておらず社長一人の場合でも加入が必要です。

加入を怠ると、後に最大で過去2年分の保険料を徴収されたり、悪質な場合は懲役や罰金の対象となる恐れがあります。

 

年金事務所に提出が必要となる書類は以下の3つです。

  • ・健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • ・健康保険被扶養者(異動)届

上記に加え、それぞれの添付書類も用意する必要があります。

 

社会保険関係の書類は会社所在地を管轄する年金事務所に提出します。

社会保険加入手続きは会社設立から5日以内に行う必要があるため、早めの着手がおすすめです。

税務署への書類提出

会社所在地を管轄する税務署への書類提出も行う必要があります。

すべての法人で必ず必要な書類は以下の2点です。

  • 法人設立届出書
     会社設立から2ヶ月以内に提出する必要があります。

  • 給与支払事務所等の開設届出書
     給与支払いを行う事務所を開設した場合に提出する書類です。
     社長一人で従業員を雇っていなくても、役員報酬が発生する場合は提出する必要があります。会社設立から1ヶ月以内に提出が必要です。

必須ではないものの、会社設立時に提出をおすすめする書類として以下の2つが挙げられます。

  • 青色申告の承認申請書
     青色申告を行うために必要な書類です。
     設立1期目から青色申告を受けるためには、会社設立から3ヶ月以内に提出する必要があります
  •  
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
     この書類を提出することで、本来は毎月1回必要となる源泉所得税の納付を半年に1回にできます。
    手間を削減できるため提出するのがおすすめです。申請の翌々月から適用されます。

会社によっては以下の書類が必要となるケースもあります。

  • 棚卸資産の評価方法の届出書
     棚卸資産の評価方法を法定評価方法以外にしたい場合に提出が必要です。
  •  
  • 減価償却資産の償却方法の届出書
     償却方法を法定償却方法以外にしたい場合に必要となります。

いずれも、対象となる評価方法・償却方法を適用したい期の確定申告期限までに提出が必要です。

資本金1,000万年以上の場合は消費税の新設法人に該当するため、以下の書類も提出する必要があります。

  • ・消費税の新設法人に該当する旨の届出書
     法人設立届出書に必要事項を記載している場合は不要です。

  • ・消費税簡易課税制度選択届出書
     簡易課税の適用を受けたい場合、期中に届出が必要です。

都道府県税事務所への届出

税務署へ国税に関する届出が必要であるように、地方自治体へ地方税に関する届出も行う必要があります。

 

都道府県税事務所には、法人設立届出書の提出が必要です。

税務署へ提出する法人設立届出書と内容に大きな違いはありません。

 

都道府県税事務所に提出する書類のフォーマットや記載事項は自治体によって異なるため、必ず公式サイト等でご確認ください。

また、提出期限や必要な添付書類も自治体によって異なる可能性があるため、事前に確認しておくと安心です。

市町村役場への届出

都道府県税事務所とは別に、市町村役場へも法人設立届出書を提出する必要があります。

※東京23区内の場合は都税事務所への届出のみで、区役所への提出は不要です

 

市町村役場への届け出も都道府県税事務所と同様に、自治体によって必要な添付書類や期日が異なります。

会社設立後に慌てることがないよう、こちらも事前に確認しておきましょう。

法人口座の開設

法人口座の開設は、法務局での登記申請が受理された後に行います。

法人口座の開設に特別な期日はありませんが、スムーズな事業活動のためにも早めの手続きがおすすめです。

 

法人口座の開設に必要なものとして以下が挙げられます。

  • ・会社の登記事項証明書
  • ・定款の写し
  • ・法人の印鑑証明書
  • ・銀行印として登録する印鑑
  • ・身分証明書

利用する金融機関によって必要書類が異なる可能性があるため、事前に公式サイトや問い合わせ等でご確認ください。

 

法人口座開設までの大まかな流れは以下の通りです。

  • 1.金融機関に必要書類を提出して口座開設を申し込む
  • 2.金融機関で審査が行われる
  • 3.審査に通過すれば法人口座が開設される
  •  

法人口座の開設時には審査が行われ、申し込めば必ず開設できるとは限りません。

審査には数日から半月程度の時間を要するため、法人口座の開設には時間がかかるといえるでしょう。

 

法人口座を少しでも早く開設するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

  • 必要書類を漏れなくそろえる
  • 会社設立後なるべく早めに申し込む
  • 審査が比較的短時間で行われる金融機関を選ぶ
     一概にはいえませんが、メガバンクのように利便性が高い銀行は審査に時間がかかる傾向です。

従業員を雇用する場合は労働保険の手続きも必要

会社設立時に従業員を雇用する場合、労災保険や雇用保険といった労働保険手続きも必要です。

労働保険関係の手続きは、労働基準監督署への届出とハローワークへの届出との2種類に分けられます。

 

はじめに労働基準監督署への届出を行います。

提出が必要な書類は以下の通りです。

  • 適用事業報告書
     従業員の雇用後、すみやかに提出する必要があります。

  • 労働保険 保険関係成立届
     従業員を雇用した翌日から10日以内に提出が必要です。

  • 労働保険 概算保険料申告書
     労働保険料の見込み額を納付するために必要となる書類です。
     従業員を雇用した翌日から50日以内に提出します。

  • 就業規則(変更)届
     常時10人以上の従業員を雇用した後、すみやかに提出する必要があります。

ハローワークに提出が必要な書類は以下の通りです。

  • 雇用保険適用事業所設置届
     従業員を雇用した翌日から10日以内に提出する必要があります。
     労働保険 保険関係成立届の事業主控えのほか、登記事項証明書と労働者名簿の添付も必要です。

  • 雇用保険被保険者資格取得届
     こちらも従業員を雇用した翌日から10日以内に提出が必要です。

社長一人の場合は労働保険の対象外となるため、会社設立時の手続きは必要ありません。

会社設立後の手続きに関する注意点

これまで紹介したように、会社設立後に必要な手続きは多数存在します。

書類によって提出先や期日が異なる上、添付書類も漏れなく用意する必要があります。

会社設立後は忙しくなることが多いため、事前にスケジュールの調整が必要です。

 

手続きに漏れや誤りがあった場合に考えられるリスクとして、以下の3つが挙げられます。

  • 本来受けられるはずだった特典を受けられない
     主に青色申告に関係するリスクです。
     青色申告の申請が漏れると、その年は白色申告となるため、青色申告ならではのメリットをすべて受けられなくなります。

  • 罰金や罰則を課せられるリスクがある
     社会保険関連手続きで少しふれたように、悪質とみなされると罰金や罰則が課される恐れがあります。

  • 余計な手間がかかる
  •  書類を作成しなおす必要性が生じることで、手間が増えてしまう可能性があります。

正確かつ効率的に手続きを行うためには、すべて自身で対応しようとせず、専門家のサポートを受けながら進めるのがおすすめです。

まとめ

法務局への登記申請が受理されれば会社設立は完了ですが、会社設立後もやるべき作業は多数存在します。

届出によって提出先や期日が異なる上、添付書類の用意も必要です。

会社設立後の手続きに不備や漏れがないよう、やるべきことを事前にしっかり確認する必要があります。

 

ただし、どれほど入念に確認しても、専門知識がない人が会社設立後の手続きを完璧に行うのは簡単なことではありません。

自身の負担を最小限に抑えつつも確実な手続きを行うために、専門家のサポートを受けるのが安心です。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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