税理士・司法書士・行政書士など、会社設立の相談を受け付けている専門家は多く存在します。
一口に会社設立といっても必要な作業は多岐にわたる上、専門家によって対応領域や得意分野は異なります。
そのため会社設立の相談を誰にすれば良いかお悩みの人も多いのではないでしょうか。
今回は会社設立の相談先を選ぶ判断基準として、専門家別のメリットデメリットを詳しく解説しております。
相談先を選ぶポイントも紹介しておりますので、会社設立の相談先選びでお悩みの人はぜひご覧ください。
会社設立の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
CONTENTS
会社設立の相談をできる専門家とは
会社設立の相談先として選べる専門家の種類を5つ紹介します。
税理士
税理士は税務の専門家であり、会社設立の相談先として代表的な士業のひとつです。
会社設立を税理士に相談する際のメリットやデメリットなどを紹介します。
特徴
会社設立に関して税理士に依頼できる内容として、以下の具体例が挙げられます。
- ・会計や税務面の具体的なアドバイス
- ・会社設立後に必要となる税務署への書類作成や提出等の代行
- ・創業融資のアドバイスや支援
税理士は会社設立の手続き代行ではなく、会計や税務面のアドバイスが中心です。
会社設立後の税務関連手続きや創業融資の支援など、具体的なサポートは会社設立後がメインとなります。
費用相場は5万円程度です。
メリット
税理士へ相談することで、会社設立の段階から将来の節税を見据えた行動が可能です。
会社設立後の煩雑な作業を幅広く任せられるため、会社設立後にかかる自身の労力を最小限に抑えることもできます。
デメリット
定款の作成や登記申請など、会社設立そのものに関する代行はできません。
司法書士
司法書士は法務局や裁判所・検察局へ提出する書類の作成及び手続きなど、法律事務の専門家です。
会社設立を司法書士に相談する際のメリットやデメリットなどを紹介します。
特徴
司法書士は会社設立に関する幅広い業務のサポートや代行が可能です。
会社設立について依頼できる内容として、以下の具体例が挙げられます。
- ・定款の作成
- ・公証役場における定款認証に関する作業
- ・登記申請書の作成
- ・法務局での登記申請作業の代行
定款作成や登記申請など、会社設立でもっとも重要といえる部分の代行が可能です。
費用は依頼する範囲や内容によって異なりますが、10~15万円程度が相場といえます。
メリット
定款作成や登記申請など、会社設立において重要かつ複雑な部分を任せられます。
専門知識や経験がない人が完璧に対応するのは難しいため、専門家である司法書士に依頼するのが安心です。
デメリット
法律事務の専門家でさまざまな手続きの代行が可能ですが、許認可申請は対応領域外のため依頼できません。
行政書士
行政書士は官公署へ提出する書類や権利義務、事実証明等に関する書類作成、書類に関連する手続きの代行などを行う専門家です。
会社設立を行政書士に相談する際のメリットやデメリットなどを紹介します。
特徴
行政書士は許認可申請の書類作成や代行ができる唯一の士業です。
許認可申請は複雑かつ専門知識が必要であり、漏れなく対応するのは容易ではありません。
許認可が必要な事業の場合、許認可申請が未済では営業ができません。
法人登記が完了しているにもかかわらず許認可申請が漏れていたために、事業開始が遅くなってしまうケースは意外と多く注意が必要です。
そのため、許認可が必要な事業の場合は会社設立のタイミングで行政書士に依頼するのが効率的です。
メリット
許認可に必要な書類作成から提出まで、許認可申請全般を任せられます。
デメリット
会社設立において依頼できるのは許認可に関する分野および定款作成・認証のみであり、対応領域がやや狭めといえます。
社労士
社労士(社会保険労務士)は、社会保険や労働問題など、人事労務分野における専門家です。
会社設立を社労士に相談する際のメリットやデメリットなどを紹介します。
特徴
社労士は社会保険・人事労務のプロフェッショナルであり、社会保険や労働問題に精通しています。
社労士の独占業務に、以下の3つが挙げられます。
- ・労働や社会保険に関連する法に基づく書類の作成
- ・労務関連手続きの代行
- ・労働保険関連の帳簿書類作成(就業規則・労働者名簿・賃金台帳など)
大前提として、会社設立そのものに関するアドバイスやサポートは社労士の対応領域外です。
保険の加入手続きや従業員の雇用に伴う手続きなど、会社設立後のサポートがメインとなります。
また、助成金の申請サポートに強みを持つ社労士も多くいます。
メリット
社会保険や労働問題など、人事労務に関する手続き代行から相談まで広く対応可能です。
デメリット
会社設立前や、会社設立に関する具体的な手続きの代行・サポートはできません。
弁護士
弁護士は法律全般に精通した、法律の専門家と呼ぶべき士業です。
会社設立を弁護士に相談する際のメリットやデメリットなどを紹介します。
特徴
弁護士は法律全般に精通している法律の専門家です。
取得難易度が非常に高い資格であり、対応できる領域が広い上、深い知識も有します。
弁護士資格を有している人は、これまで紹介した士業のうち税理士・行政書士・社会保険労務士の3つについて登録可能です。(ただし、各連合会への登録申請手続きが必要)
そのため、弁護士一人で幅広い分野に対応できるケースもあります。
司法書士資格の登録はできませんが、司法書士の独占業務である登記業務も可能です。
会社設立においては、主に法律面でのアドバイスやサポートを受けられます。
メリット
会社設立および運営に際して、法的な問題が起こるリスクを最小限に抑えられます。
弁護士一人で対応できる範囲が広いため、会社設立全般の依頼も可能です。
税理士・行政書士・社労士に登録している弁護士であれば、より幅広い分野まで任せられるでしょう。
デメリット
依頼する弁護士によりますが、報酬相場が高めの傾向です。
また会社運営の実務面に詳しい弁護士はあまり多くないため、会社設立後のサポートは受けにくいといえます。
会社設立はどこに相談するべき?
これまで紹介したように、専門家によって対応領域や得意分野が異なるため、どこに相談するのが良いか一概にはいえません。
自身の依頼したい内容や希望を明確にした上で、適切な相談先を選ぶ必要があります。
最後に、会社設立の相談先を選ぶ判断基準の例を5つ紹介します。
- ・許認可申請が必要な事業である
確実な許認可のため、行政書士への依頼が安心です。 - ・法的なリスクを抑えたい
法律の専門家である弁護士へ相談するのが適しています。 - ・会社設立の手続きを任せたい
定款作成や登記申請の代行が可能である司法書士に依頼するのがおすすめです。
会社設立の実績がある弁護士へ依頼する選択肢もあります。 - ・会社設立や運営でなるべく税負担を抑えたい
事前に税理士へ相談し、将来の節税を見据えたアドバイスを受けるのが確実です。 - ・会社設立後の手続きを依頼したい
内容に合わせて税理士または社労士に依頼するのが良いでしょう。
会社設立の相談先を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
まとめ
会社設立の相談ができる専門家には複数の種類があります。
しかし専門家によって対応領域や独占業務が異なるため、会社設立について依頼できる内容にも違いがあります。
会社設立の相談先を選ぶ際は、まず専門家ごとの特徴を押さえることが大切です。
そして、自身が依頼したい内容や希望を明確にする必要もあります。
専門家ごとの特徴を押さえて依頼内容を明確にした上で、自身の希望に合った専門家に相談しましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士