会社設立時に必要となる書類のひとつが印鑑証明書です。
印鑑証明書を入手するためには、窓口・郵送・オンラインいずれかの方法で申請を行う必要があります。
事前に印鑑登録が済んでいなければ印鑑証明書の発行はできないため、まだの方はまず印鑑登録を済ませましょう。
会社設立に際して印鑑証明書が必要な場面は複数あり、ケースによって必要な通数や種類も異なるため、事前の確認が欠かせません。
今回は会社設立時に必要な印鑑証明書について、発行方法や必要な場面・必要通数などを解説します。
会社設立の必要書類について以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
CONTENTS
会社設立時に必要な印鑑証明書の概要
はじめに、印鑑証明書の概要や発行方法を解説します。
会社設立時に必要な印鑑証明書とは
印鑑証明書とは、印鑑が公的に登録されており、確実に本人のものであると証明するための書類です。
印鑑は契約や各種手続きなど、重要な場面における意思表示の手段として用いられます。
しかし単に印鑑を押すだけでは、第三者が同じ苗字の印鑑を用意・当人のフリをすることで容易に偽装ができてしまいます。
印鑑登録はこのような偽装行為を防ぐための制度であり、個人が自治体に申請を行うことで対象の印鑑が登録されます。
賃貸借契約や住宅ローンの契約など重要な場面では、実印押印に加え印鑑証明書が必要なケースが多いです。
会社設立時には、発起人と取締役の印鑑証明書が必要とされます。
印鑑証明書がなければ会社設立を完了できないため、早めに必要な手続きを行いましょう。
印鑑登録が済んでいることが大前提
前述したように、印鑑証明書は該当の印鑑が本人のものとして登録された実印であると証明するための書類です。
すなわち印鑑証明書は印鑑登録が済んだことを示す書類であり、当然ですが印鑑登録が済んでいなければ発行できません。
印鑑登録が済んでいない場合、なるべく早く印鑑登録を行いましょう。
印鑑登録の方法は複数ありますが、もっともスピーディーかつ確実であるのが、本人が役所の窓口で直接申請する方法です。
印鑑登録には、実印として登録したい印鑑と本人の身分証明書の2点が必要となります。
マイナンバーカードを印鑑登録証(印鑑登録カード)として利用したい場合、マイナンバーカードも必要です。
窓口に用意されている申請書に必要事項を記入し、印鑑と身分証明書を提示すれば、その日のうちに印鑑登録が完了します。
印鑑登録の手数料は自治体によって異なりますが、おおむね100~500円程度です。
印鑑登録が完了すると、印鑑登録証(印鑑登録カード)を受け取ることができます。
こちらの印鑑登録証は印鑑証明書の発行に必要であるため、大切に保管しましょう。
※印鑑登録の手順や手数料は自治体によって異なるケースがあります。必ず自治体の案内をご確認ください。
印鑑証明書を発行する方法
個人の印鑑証明書は、原則として郵送やオンラインでの申請・発行手続きはできません。
印鑑証明書を発行するためには、印鑑登録カードおよび本人の身分証明書の原本を提示する必要があります。
郵送やオンラインでは原本の確認ができず信ぴょう性が欠けるため、窓口での手続きが必要となります。
印鑑証明書は、自治体の役所やサービスコーナーの窓口などで発行できます。
発行に際して持参する必要があるのは以下の3点です。
- ・印鑑登録証(印鑑登録カード)
- ・本人の身分証明書
- ・手数料
- ※代理人が行う場合は委任状および代理人の身分証明書も必要です。
印鑑証明書は窓口で申請を行ったその日に受け取ることができます。
役所に用意されている印鑑登録証明書交付請求書を記入したら、印鑑登録証・身分証と併せて提出します。
発行手続きの詳細や手数料は自治体によって異なるため、事前に自治体の公式サイト等をご確認ください。
なお、印鑑証明書のコンビニ交付に対応している自治体であれば、コンビニのマルチコピー機を使った発行手続きもできます。
ただしコンビニで印鑑証明書の発行手続きができるのは、マイナンバーカードを印鑑登録証として登録している場合のみです。
通常の印鑑登録証しか所有していない場合、コンビニ交付に対応している自治体であってもコンビニでの発行手続きができません。
コンビニ交付の際に必要となるのは、印鑑登録証としているマイナンバーカードと発行手数料の2点です。
マイナンバーカードが印鑑登録証と身分証明書両方の役割を有するため、必要な書類が少なくて済みます。印鑑登録証明書交付請求書も必要ありません。
マルチコピー機の指示に従い必要な作業を行うことで、すぐに印鑑証明書の発行ができます。
会社設立で印鑑証明書が必要な場面と必要通数
続いて、会社設立で印鑑証明書が必要になる場面と、必要な種類・通数を詳しく解説します。
公証役場での定款認証時
最初に印鑑証明書が必要になるのは、公証役場での定款認証時です。
株式会社を設立する場合、公証役場で定款認証を受ける必要があります。
定款には発起人全員の実印を押印する必要がありますが、定款に押された実印が発起人本人のものであるか確認が行われます。
そのため、発起人全員分の印鑑証明書が必要です。
一人分でも欠けていると定款認証ができないためご注意ください。
なお、合同会社を設立する場合は公証役場での定款認証が必要ありません。
そのため、印鑑証明書が必要な場面および必要通数が株式会社を設立する場合に比べて少なくなります。
法務局での登記申請時
法務局での登記申請時にも印鑑証明書が必要です。
必要なる印鑑証明書の種類は以下の3パターンに分けられます。
- ・株式会社を設立、取締役会を置く場合:代表取締役の印鑑証明書
- ・株式会社を設立、取締役会を置かない場合:取締役全員分の印鑑証明書
- ・合同会社を設立する場合:代表社員の印鑑証明書
必要な印鑑証明書の種類がもっとも多いのは、取締役会を置かない株式会社を設立する場合です。
必要通数の判断例
合同会社を設立する場合、印鑑証明書が必要になる場面は法務局での登記申請時のみで、必要通数は代表社員の印鑑証明書1通のみです。
一方で株式会社を設立する場合、公証役場での定款認証時と法務局での登記申請時に印鑑証明書が必要になります。
そしてそれぞれの場面において、必要となる印鑑証明書の種類が異なります。
最後に、会社設立に際して必要となる印鑑証明書の種類や通数の具体例を紹介します。
- ・発起人が1人、取締役が1人の場合
- 発起人の印鑑証明書1通・取締役の印鑑証明書1通の計2通
- 発起人と取締役が同じ場合でも、提出する場所が公証役場と法務局の2か所であるため、2通用意する必要があります。
- ・発起人が2人、取締役が3人で取締役会を設置する場合
- 発起人2人分の印鑑証明書・代表取締役の印鑑証明書1通の計3通
- 取締役会を設置するため、法務局に提出するのは代表取締役の印鑑証明書のみです。
- ・発起人が2人、取締役が3人で取締役会を設置しない場合
- 発起人2人分の印鑑証明書・取締役3人分の印鑑証明書通の計5通
- 取締役会を設置しない株式会社の場合、取締役全員分の印鑑証明書が必要となります。
設立する会社の種類・発起人の数・取締役会の設置有無それぞれを考えると、印鑑証明書の必要通数を判断しやすくなります。
まとめ
会社設立で必要となる印鑑証明書を発行するためには、事前に印鑑登録が必要です。
印鑑登録がまだの場合は、なるべく早めに登録手続きを行いましょう。
印鑑登録が完了している場合、印鑑証明書は簡単な手続きですぐに発行できます。
必要な印鑑証明書の通数は、設立する会社の種類・発起人の数・取締役会の有無や取締役の人数によって異なります。
印鑑証明書の枚数に不足があると手戻りが生じ、会社設立のスケジュールに影響を及ぼす可能性があります。
必要な印鑑証明書の通数を事前にしっかり把握し、早めに準備を進めることが大切です。
会社設立をワンストップでサポート
税務相談や節税対策もBIZARQにお任せください。
全国オンライン対応・ご相談は無料です。
記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士