建設業を営むためには、事前に建設業許可を取得する必要があります。
会社設立後すぐの建設業許可取得は可能です。しかし、申請が必ずしも承認されるとは限りません。
会社設立後なるべく早く事業を開始できるよう、建設業許可を取得する流れやポイントを押さえておく必要があります。
今回は建設業許可について、会社設立時に知っておくべき情報を詳しく解説します。
会社設立の流れは以下の記事で詳しく解説していますのでこちらをご覧ください。
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会社設立後すぐの建設業許可取得は可能
結論として、会社設立後すぐの建設業許可取得は可能です。
建設業許可には事業実績の要件の定めがありません。
会社としての実績が一切なくても、所定の要件を満たしていれば建設業許可を取得できます。
ただし、建設業許可の申請が必ず承認されるとは限りません。
「所定の要件を満たしていれば」と表現した通り、建設業許可を得られるのは要件を満たしている場合のみです。申請に不備があった場合は建設業許可を取得できません。
会社設立後すぐに建設業許可を取得するには、建設業許可取得のポイントや手続きの流れを押さえた上で、必要な作業を漏れなくこなす必要があります。
会社設立 建設業許可を取得する流れ
会社設立の完了後、建設業許可を取得するまでの流れを紹介します。
会社設立手続きを完了させる
建設業許可の取得を行うのは会社設立後です。そのため、まずは会社設立を完了させる必要があります。
会社設立手続きの大まかな流れは以下の通りです。
- 1.会社概要(会社の基本情報)を決める
- 2.法人実印を作製する
- 3.定款を作成する
- 4.定款認証を受ける
- 5.資本金の払い込みを行う
- 6.法務局で法人設立の登記申請を行う
一般的に、会社設立手続きとは法務局での登記申請までを指します。
ただし、登記完了後も会社として事業活動をするには以下のように様々な作業が必要です。
- ・社会保険の加入手続き
- ・税務署への各種届出
- ・自治体への届出
- ・法人口座の開設
これらの手続きは許認可の申請手続きと並行しても問題ありませんが、期日が早いものもあるため注意しましょう。
会社設立手続きについては以下の記事で詳しく解説しています。
取得するべき許可および要件を確認する
続いて、取得するべき許可および要件を確認しましょう。
建築業許可には以下の2種類があります。
- 特定建設業
- 発注者から直接請け負った工事1件あたりの代金が4,500万円以上(建築工事業の場合は7,500万円以上)となる下請契約を締結する場合に必要です。
- 一般建設業
- 特定建設業に該当しない場合は一般建設業許可が必要になります。
簡単にまとめると、発注者から直接請け負う(元請けとして受注する)工事1件について、一定額を超える下請契約を締結するかで判断します。
上記に該当しない、および下請負人として工事を施工する場合には、一般建設業の許可で問題ありません。
また、知事許可と大臣許可のどちらが必要かも確認しましょう。
営業所をひとつの都道府県の区域内に設ける場合、知事許可が必要となります。
一方、2つ以上の都道府県に営業所を設けるのであれば大臣許可が必要です。
営業所の数そのものではなく、都道府県の数で判断します。
最後に、業種ごとの許可要件も確認しましょう。
建設業の業種は全部で28種類あり、業種によって許可要件に異なる部分もあるため、必ず業種ごとにご確認ください。
必要書類を集める
建設業許可の取得申請に必要な書類を集めます。
必要書類は法人と個人事業主で異なるため必ず法人の方を確認しましょう。法人の必要書類の一部を紹介します。
- ・建設業許可申請書
- ・役員等の一覧表
- ・営業所一覧表
- ・収入印紙、証紙、登録免許税領収証書又は許可手数料領収証書はり付け欄
- ・専任技術者一覧表
- ・工事経歴書
- ・誓約書
- ・定款
- ・株主調書
- ・登記事項証明書
- ・営業の沿革
必要書類や様式は国土交通省の公式サイト「許可申請の手続き」で確認可能です。
必要書類に不明点がある場合は早めの問い合わせをおすすめします。
申請書類を作成、申請書を提出する
建設業許可の申請書類を作成し、許可行政庁に許可申請書および添付書類を提出します。
書類に不備や漏れがあると、申請が受理されず書類の作り直しが必要になります。
許可申請の手間を最小限に抑えるため、不備を起こさないよう注意しましょう。
また、許可申請の際には登録免許税または許可手数料の納入も必要です。
大臣許可を新規で取得する場合、登録免許税は15万円となります。納入先は国土交通省の公式サイトをご確認ください。
知事許可を新規で取得する場合の許可手数料は9万円です。
内容に問題がなければ受理され、1~2ヶ月ほどで許可通知書を受け取れます。
会社設立後に建設業許可を取得するためのポイント
会社設立後に建設業許可をスムーズに取得するために押さえたいポイントを4つ紹介します。
個人で取得済の許可を引き継げない
個人事業主として取得済みの建設業許可を引き継ぐことはできません。
会社設立、会社として改めて建設業許可を取得することになります。
扱いも「更新」ではなく「新規」であり、個人として取得済みの許可は無関係となる旨を押さえましょう。
建設業許可の申請を前提に会社設立をする
許可申請や取得がスムーズに進むよう、建設業許可の申請を前提に会社設立をしましょう。
建設業許可には自己資本や資本金の要件があります。また、定款の事業目的に工事業種の記載も必要です。
要件を満たしていなければ許可を取得できず、会社設立後に定款の変更や増資などが必要となってしまいます。
建設業許可の取得申請をするのであれば、申請要件を満たすことを大前提に会社概要等を決めることが大切です。
建設業許可の取得でハードルとなる要素を知っておく
建設業許可の取得でハードルとなる要素を知っておくと、取得申請に向けた対策がしやすくなります。
建設業許可の申請要件のうち、特に注意するべき要素は以下の3つです。
経営業務の管理責任者の配置
建設業許可の要件の1つに「経営業務の管理責任者を有すること」があります。
以下いずれかの要件を満たす人が対象となります。
- ・許可申請をする工事業種での会社役員もしくは個人事業主としての経験が5年以上
- ・許可申請をする工事業種以外での会社役員もしくは個人事業主としての経験が6年以上
要件を満たす人材の確保が必要であり、会社によっては高いハードルとなり得る要素です。
各営業所に有資格者や実務経験者等の専任技術者を常勤で配置
「営業所ごとに置く専任技術者を有すること」も要件として定められています。
専任技術者として認められるのは、以下いずれかの要件を満たす人です。
- ・工事業種ごとに定められた所定の国家資格を有する
- ・所定の実務経験を有する
営業所の数が多ければ多いほど、要件を満たす人の数も必要となります。
自己資本や資本金の要件
建設業許可は一般建設業と特定建設業の2種類に分けられると紹介しました。
それぞれの自己資本や資本金の要件は以下の通りです。
- 一般建設業:資本金500万円以上
- 特定建設業:資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上
会社設立初年度に特定建設業の許可を取得したい場合、設立時の資本金を4,000万円以上にする必要があります。
会社設立および建設業許可の申請にかかる費用を確認する
会社設立および建設業許可の申請にかかる費用を確認し、必要な資金を大まかに把握しましょう。
まずは会社設立にかかる費用です。会社設立時に発生する費用として以下の例が挙げられます。
- 定款用収入印紙代
- 紙の定款の場合は4万円、電子定款の場合は不要です。
- 定款認証手数料
- 資本金の額によって異なりますが、建設業許可を取得する場合は資本金の額が必ず300万以上となるため、一律5万円と考えて良いでしょう。
- 謄本手数料
- 定款の謄本を作成する際に発生する手数料です。1ページにつき250円で、合計2,000円程度が目安となります。
- 登録免許税
- 資本金の金額×0.7%または150,000円のいずれか大きい金額です。
- 専門家報酬
- 会社設立の代行やサポートを専門家に依頼する場合に発生します。
- 5~10万円程度が相場です。
定款の形式や専門家への依頼の有無によって変動しますが、会社設立費用の合計は25~35万円が相場となります。
また、建設業許可の申請時に登録免許税または許可手数料の納入も必要です。
前述のように、大臣許可を新規で取得する場合は15万円、知事許可を新規で取得する場合の許可手数料は9万円かかります。
まとめ
会社設立直後でも、要件を満たせば建設業許可の取得が可能です。
建設業許可は要件が細かく定められており必要書類も多いため、不備や漏れを起こすリスクも高いといえます。
建設業許可を確実に取得できるよう、建設業許可の取得申請について会社設立前の段階から確認しておくのが安心です。
今回紹介した内容を押さえ、会社設立後の建設業許可申請をスムーズに進めましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士