「所得がある程度増えてきたから法人成りをした方が良いかもしれない」
「個人事業主のままでいるよりも、会社を設立した方が大きな成果を得られそう」
このように考える人も多いのではないでしょうか。
確かに、会社設立には節税をはじめとした様々なメリットがあるのは事実です。
しかし会社設立を後悔するケースも珍しくありません。
会社設立をして後悔するのを避けるためには、会社設立を後悔する理由や、会社設立で失敗しないためのポイントを押さえる必要があります。
今回は会社設立をして後悔するパターンの具体例や、会社設立の失敗を避けるためのポイントについて解説します。
会社設立するメリット・デメリットについては以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
会社設立をして後悔するパターン7選
会社設立をして後悔してしまう主な理由を7つ紹介します。
思っていたほどの節税効果を得られなかった
個人事業主やフリーランスが会社設立する理由の代表例が「会社設立によって節税効果を得られる可能性が高いため」です。
しかしあくまでも節税できる可能性が高いというだけで、必ずしも節税効果を得られるとは限りません。
会社設立によって節税ができるのは、所得がある程度大きい場合のみです。
所得税は超過累進課税制度を採用しているため、所得額が多いと適用される税率も上がり、税額が高くなりやすいです。
反対に所得額が少ない場合は適用される税率も低く、所得税が少なくて済みます。
もし会社設立の後に売上が下がり所得が少なくなった場合、想定よりも節税効果が小さくなる恐れがあります。
ケースによっては納税額が増えてしまうこともあるため注意が必要です。
会社設立・運営に想定以上のコストがかかった
会社設立や運営には以下のように様々なコストがかかります。
- 会社設立費用
- ・定款用収入印紙代:4万円 ※電子定款の場合は不要
- ・定款認証手数料:3万円~5万円 ※資本金の額によって変動。合同会社の場合は不要
- ・謄本手数料:合計2,000円程度
- ・登録免許税:株式会社の場合、資本金の金額×0.7%または150,000円のうちいずれか大きい金額
- ・専門家報酬 ※会社設立代行を専門家に依頼する場合
- 会社運営
- ・社会保険料
- ・専門家への顧問報酬 ※法人税は内容が複雑なため、税理士と顧問契約を結ぶケースがほとんどです
ケースによっては法人成りによる節税効果よりも、会社設立・運営にかかるコストの方が大きい可能性もあります。
事務作業の手間が増えた
会社設立によって発生・増大する事務作業として以下の例が挙げられます。
- ・会計処理や記帳:個人事業主よりも法人の方が、会計に関するルールが複雑かつ厳格です
- ・税務申告:会計処理と同様、税務申告も法人の方が複雑で難易度が高くなります
- ・社会保険関係:社会保険の加入手続きのほか、年に1度算定基礎届の提出が必要です
- ・その他各種届出:個人よりも法人の方が提出するべき届出の種類が増えます
会計・税務・労務について専門知識がない人が行うのは容易ではないため、専門家に依頼するのが一般的です。
しかし書類の準備や当事者でなければできない手続き等もあるため、会社設立後の方が事務作業の手間が増えるケースが多くなります。
お金を自由に使えなくなった
個人事業主の場合、事業等で稼いだお金は個人が自由に使えます。
しかし会社設立をすると、事業で得たお金は会社のものになり、社長でも自由には使えません。
手元に残る所得が増えてもお金の自由度が下がる分、「使えるお金が減った」と感じる可能性があります。
経営方針に関する自由度が下がった
設立した会社の株主や役員が自分1人の場合は、個人事業主の頃と同様に自身で経営方針を決められます。
しかし、他の出資者や役員がいる場合、自分1人では経営方針を決められません。
当初は経営方針に関する考え方が一致していても、事業活動を進めるにつれて方針にズレが生じ対立が起こる恐れもあります。
このように経営方針に関する自由度が下がったために「個人事業主のままでいたほうが良かった」と後悔してしまうケースもみられます。
精神的な負担が増大した
会社設立によって精神的な負担が増大し、会社設立を後悔してしまうケースも少なくありません。
精神的な負担が増える理由として以下の例が挙げられます。
- 求められるレベルが上がる
- 法人は社会的信用を得やすい傾向ですが、「信用されている」という事実がプレッシャーにつながるケースもあります。
- 従業員に対する責任が発生する
- 従業員の生活や将来等に対する責任感から、自身の精神的な負担が増える恐れも大きいです。
- 税務調査に対するプレッシャー
- 「会社設立によって税務調査が入る可能性が上がるのでは」とプレッシャーを感じるケースも少なくありません。
簡単に廃業ができない
個人事業主に比べて法人が廃業するためにやるべきことは多く、廃業するまでに時間もかかります。
法人が廃業するために必要な手続きとして以下の例が挙げられます。
- ・解散登記および清算結了登記
- ・法人が保有する財産の分配や処分
- ・債権の回収
- ・債務の支払い
- ・株主総会での決議
- ・各種届出
個人事業主と違い簡単には廃業できないために「そもそも会社設立をしなければ良かった」という考えにつながるケースも多いです。
会社設立の失敗を避けるためのポイント
会社設立で後悔しないため、会社設立の失敗を避けるために押さえるべきポイントを4つ紹介します。
法人化に適したタイミングをはかる
「会社設立をして良かった」と思えるよう、適切なタイミングで法人化をすることが大切です。
特に節税目的の場合は、所得税よりも法人税の方が税額を抑えられるのが確実なタイミングを選ぶのが理想です。
法人化に適したタイミングとして以下の例が挙げられます。
- ・個人の所得が600万円~800万円を超える頃
- ・売上が1,000万円を超える頃
- ・事業拡大を検討中、もしくは事業拡大を進めようとしているタイミング
法人成りに適したタイミングについては以下の記事で詳しく解説しています。
法人化のメリット・デメリットの両方を洗い出して検討する
「法人成りで確かにメリットはあったけれど、トータルで考えると損の方が大きい気がする」「思っていたよりもデメリットが多い」
このような事態を防ぐため、法人化のメリット・デメリットの両方を洗い出した上で会社設立を検討する必要があります。
メリットとデメリットを比較し、デメリットの方が大きいと感じた場合は会社設立を避けた方が良いでしょう。
法人成りのメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
事前に入念な計画を立てる
会社設立による「こんなはずではなかった」「期待していた効果を得られなかった」を防ぐには、事前に入念な計画を立てることが大切です。
個人事業主の頃と同じ事業内容だとしても、改めて事業計画や経営方針を立てる必要があります。
また、資金繰りに関する計画や、事業年度を通しての大まかなスケジュールも立てましょう。
ただし、どれほど入念な計画を立てても予想外の事態が起こる可能性は常に存在します。
計画を立てることは大切ですが、計画通りに進むとは限らない点も押さえましょう。
専門家のサポートを受ける
法人と個人事業主を比べると、法人の方が会計・税務・労務その他さまざまな面でルールが複雑です。
やるべきことも多く、専門知識のない人が完璧にこなすのはハードルが高いといえます。
自分だけですべて対応しようとした結果、負担が重くなりすぎる・ミスや漏れが発生するといったリスクは非常に高いです。
会社運営を成功させるため、必要に応じて専門家のサポートを受けましょう。
会社設立の相談先については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
会社設立に多くのメリットがあるのは事実ですが、必ずしも成功するとは限りません。
様々な理由から会社設立を後悔してしまう人も多く存在します。
今回、会社設立を後悔してしまう主なパターンを7つ紹介しましたが、中には事前の対策によりリスクを抑えられるものもあります。
言い換えると、事前の準備不足が「会社設立をしなければ良かった」という考えにつながる可能性が高いです。
会社設立をして後悔するのを避けるためには、失敗しないためのポイントを押さえる必要があります。
ただし、会社について入念な計画を立てる・メリットとデメリットをしっかり比較しようとしても、当事者だけではどうしても視野が狭くなりがちです。
会社設立による失敗のリスクを下げるには、第三者である専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士