
黒字倒産とは、帳簿上は黒字であるにもかかわらず倒産してしまうことです。
黒字倒産の主な原因はキャッシュ不足であり、キャッシュ不足に陥る原因にも様々なものがあります。
資金繰りが悪化した後に改善するのは困難なため、黒字倒産の兆候が見えた時点ですぐに対策をとることが大切です。
今回は黒字倒産の原因や兆候、黒字倒産を回避するための方法について解説します。
なお詳しくは後述しますが、黒字倒産の理由の1つとして返済負担が重すぎることが挙げられます。
自己資本比率については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
黒字倒産とは

黒字倒産とは、帳簿上は黒字であるにもかかわらず倒産してしまうことです。
利益が出ている状態でも、手元のキャッシュが不足していれば各種支払ができなくなり、倒産に至る恐れがあります。
黒字倒産の原因5つ
最初に少し触れたように、黒字倒産の主な原因はキャッシュ不足(資金不足)です。
キャッシュ不足により借入金の返済や仕入・経費等の支払ができなくなり、倒産に陥るケースは少なくありません。
しかし、「帳簿上は黒字なのにキャッシュが足りなくなる」という事態はイメージがしにくいかもしれません。
今回は帳簿上黒字でもキャッシュ不足になってしまう主な原因を5つ紹介します。
取引先や関連会社の倒産
取引先や関連会社の倒産によって売掛金の回収が出来なくなり、キャッシュ不足に陥るパターンです。
一社との取引額や割合が大きい場合、対象の一社の倒産により大きな影響を受ける恐れがあります。
取引先や関連会社の倒産を外部から防ぐのはほぼ不可能です。
他社の倒産による影響を避けるには、取引先を分散させる等、特定の会社に依存し過ぎない状態にする必要があるでしょう。
回収サイトが長い
売掛金の回収サイトが長い、つまり売上が発生してから売掛金を回収するまでの期間が長い場合もキャッシュ不足に陥る恐れがあります。
帳簿上売上や利益が計上されていても、売掛金が現金化されなければ資金繰りの改善にはつながらないためです。
また、回収サイトが長いほど取引先の倒産により未回収となるリスクも高くなります。
過剰在庫
在庫は販売するまで現金化されません。過剰在庫の状態では現金化までに時間がかかるため、資金繰り面での負担につながります。
また、売れ残りのリスクが高くなり、そもそも現金化できないという事態も起こり得ます。
資金調達力が足りない
必要なタイミングで融資を受けなかった・資金調達を怠った等、資金調達力が足りず資金不足になるケースです。
資金計画の甘さやミスが原因ともいえます。
返済負担が大きい
負債の額によっては月々の返済額が利益を上回るケースも有り得ます。
返済負担が重ければ他の支払ができなくなり、やがて黒字倒産になってしまう恐れが大きいです。
黒字倒産の兆候3つ
黒字倒産は資金不足によって引き起こされます。
一度資金繰りが悪化すると改善するのは難しいため、資金繰り悪化の兆候が見えた時点で何らかの対策をとるのが理想です。
特に大切なのは、意識しなければ把握しにくい・対策を後回しにしがちな兆候です。黒字倒産の兆候のうち、発覚が遅れがちなものを3つ紹介します。
売掛金の回収に遅れが生じている
売掛金の回収に遅れが生じている場合、注意する必要があるでしょう。
1度だけの遅れならともかく、回収されず放置されている・遅れが複数回起きているのであれば放置するのは危険です。
取引先への催促や交渉、別の企業との取引等を検討した方が良いかもしれません。
未回収の売掛金が多く残っている
売掛金の入金に遅れは生じていなくても未回収の売掛金が多い場合、設定している支払いサイトが長すぎる恐れがあります。
前項で紹介したように、売掛金の回収サイトが長いとキャッシュ不足に陥るリスクが高くなるため注意が必要です。
在庫過多の状態になっている
過剰在庫もキャッシュ不足に陥る原因の1つです。
在庫過多の状態は財務諸表だけでは把握しにくく、発覚する頃には既に対処が難しい状態になっているケースがあります。
黒字倒産の回避方法4選

黒字倒産の回避に効果的な方法を4つ紹介します。
収支を把握する
黒字倒産を回避するためには収支の把握が欠かせません。
キャッシュ不足の兆候に早く気付けるようになる・自社の課題を把握できる等の効果が期待できます。
収支の把握に際して特に押さえたいポイントは以下の3つです。
- 自己資本比率
- あくまで目安ですが、30%以上が理想、50%以上は安全性が高いといわれています。
- 企業活動別のキャッシュフロー
- キャッシュフロー計算書を作成し、営業活動・投資活動・財務活動それぞれのキャッシュフローを確認しましょう。
- 資金増減の要因
- どのような要因によって資金が動いているか・資金の動きに問題がないか等を確認する必要があります。
- 資金増減の要因を正確に把握するには、資金繰り表を作成し可視化するのが効果的です。
売掛金の回収や買掛金の支払条件を見直す
資金繰りを改善するという意味では、売掛金の回収サイトは短く、買掛金の支払いサイトは長いのが理想です。
とはいえ自社の都合だけで回収や支払いのタイミングを決めることはできません。
そのため完全に理想通りにするのは難しいですが、回収サイト・支払いサイトに調整できそうな部分があれば交渉しても良いでしょう。
例えば売掛金の回収サイトが他の取引先と比べて長い場合、他の取引先に合わせて回収サイトを短くしたいと伝えるのは自然です。
現在の決済条件が不利な場合や調整できそうな部分がある場合は、交渉してみるのも1つの手段といえます。
在庫管理を最適化する
前章で「過剰在庫もキャッシュ不足に陥る原因の1つ」と紹介しました。
つまり黒字倒産を回避するには、在庫管理の最適化も必要です。
在庫管理を最適化するためのポイントとして以下の3つが挙げられます。
- 定期的に棚卸を行う
- 在庫管理の最適化には、まずは在庫状態の正確な把握が欠かせません。
- 定期的に棚卸を行い、在庫を把握して適切な対処をしましょう。
- 在庫処分を行う
- 過剰在庫の解消やスピーディーな資金獲得等の効果を得られます。
- 適量の仕入れを行う
- 過剰在庫が多発している場合、仕入の量をセーブするのも検討するべきでしょう。
資金調達力を強化する
キャッシュ不足になってから資金調達を行うのは容易ではありません。
そのため、キャッシュ不足にならないよう財務状態が良いうちから資金調達力を強化しておくのが理想です。
資金調達力を強化する方法として以下の例が挙げられます。
- ・融資実績を作り金融機関との信頼関係を築く
- ・資金調達先を複数確保する
- ・日頃から補助金や助成金等に関する情報収集を行う
- ※活用できそうな制度があれば申し込みましょう
まとめ
黒字倒産とは、利益が出ている状態なのに倒産してしまうことを指します。
黒字倒産の主な原因はキャッシュ不足(資金不足)です。
キャッシュ不足になってしまう原因は様々ですが、原因が何であれ一度キャッシュ不足に陥った後に改善するのは容易ではありません。
そのため、黒字倒産を防ぐにはキャッシュ不足を回避することが大切です。
キャッシュ不足を回避するには収支の把握が欠かせません。
また、売掛金や買掛金の決済条件の見直しや在庫の最適化も効果的です。
キャッシュ不足に陥る原因は様々だからこそ、自社に適した対策をとる必要があります。
キャッシュフローを改善し、黒字倒産に陥るリスクを抑えましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士