株主総会議事録とは?記載事項と書き方、注意点について解説!

2024.07.18

株主総会議事録とは、株主総会で決議された事項について記載した書類です。

株主総会を開催した際に作成が必須であり、一定期間の保管義務も定められています。

 

株主総会議事録の書式に規定はありませんが、記載事項には一定のルールがあります。

記載事項や書き方を押さえなければ要件を満たさないものを作成してしまう恐れがあるため注意しましょう。

 

今回は株主総会議事録について詳しく解説します。

 

株式会社とその他の会社の違いについては以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

株主総会議事録とは

株主総会議事録とは、株主総会で決議された事項について記載した書類です。

株主総会を開催した際に作成が義務付けられています。社長1人の会社で簡略化した株主総会を行う場合でも議事録の作成は必要です。

株主総会議事録の書き方

株主総会議事録は取締役が作成する必要があります。記載される内容の責任は取締役が負うものと定められているためです。

また、議事録の書式に規定はありません。記載事項に漏れがなければ自由な書式で作成できます。

※記載事項については後述します。

 

法務局の公式サイトで株主総会議事録の例が公開されているため、事前に確認するのがおすすめです。

例えば株式会社設立登記申請書に添付する議事録については、こちらで記載例が公開されています。

添付書面の記載例 目次 – 法務局

株主総会議事録の保管方法

株主総会議事録は本店で10年間、支店で写しを5年間保管する必要があります。

ただし電気的記録の場合、支店からの請求に速やかに応じることができる状態であれば、支店での保管については省略が可能です。

なお、電磁的記録の場合はe-文書法に従う必要があります。e-文書法について詳しくは後述します。

株主総会議事録の作成や保管を怠った場合の罰則

株主総会議事録の作成や保管を怠った場合、取締役等に100万円以下の過料を科される恐れがあります。

 

なお、前項で紹介した保管期間を経過した後は法的な保管義務はありません。

ただし議事録は株主総会に関する証拠書類となり、株主総会や議事の内容をめぐるトラブルが起きた時に提出が必要になる可能性があります。

そのため保管期間を経過した後も議事録は破棄せず保管しておくのが安心です。

株主総会議事録の記載事項

株主総会議事録の記載事項について詳しく解説します。

株主総会が開催された日時・場所

タイトルの直下、本文の最初に書くのが一般的です。

「〇年〇月〇日〇時から、××(当会社本店の会議室等)にて定時株主総会を開催した。」等の書き方をします。

 

なおWeb会議ツールの使用等、現地以外から参加した者があった場合は参加方法の記載も必要です。

経営層に限らず、株主が現地以外から参加した場合も記載する必要があります。

出席した株主等の情報

出席した株主等について以下の記載が必要です。

  • ・株主総数
  • ・発行済株式総数
  • ・自己株式の数 ※自己株式を発行している場合のみ記載します。
  • ・議決権を有する株主の数
  • ・議決権を有する株主の議決権の数
  • ・出席株主の議決権の数

株主や株式等に関する情報は、株主総会が開催された日時・場所の次に箇条書きで書くのが一般的です。

 

また、株主等に関する情報の下に以下を記載する必要があります。

  • ・当該株主総会が適法に成立した旨
  • ・株主総会を開会する旨を宣言し、直ちに議事に入ったこと

株主総会の議事の経過の要領・決議内容

株主総会で行われた議案ごとに、審議や報告の内容・質疑応答・質疑応答・その他議事の経過等を記録します。

すべてのやり取りについて記載が必要なわけではなく、要点や結果がわかる内容であれば問題ありません。

会社法規定に基づく意見および発言内容

前項で「議案についてすべて記録する必要はなく、要点や結果がわかる内容であれば問題ない」と記載しました。

しかし一部の事項については必ず記載するよう会社法で定められています。

 

記載する必要のある意見および発言内容の例は以下の通りです。

  • ・監査役や会計参与等の選任、解任、辞任の事実
  • ・監査役の選任、解任、辞任に対する監査等委員会の意見
  • ・会計参与を辞任した者の意見
  • ・取締役、監査役、会計参与等の報酬等
  • ・計算書類の作成に関して会計参与が取締役と異なる意見を持つ場合の意見
  • ・監査役の調査結果
  • ・監査等委員が法令若しくは定款に違反した、または著しく不当な事項があると認めた事実

株主総会に出席した取締役等の氏名または名称

株主総会に出席したすべての取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人の氏名または名称を記載する必要があります。

取締役等の書き方は主に以下2つのパターンに分けられます。

  • ・前述した「出席した株主等の情報」に続けて記載する
  • ・議事録の最後にまとめて記載する

株主総会の議長の氏名

議長を立てた場合のみ記載が必要です。記載の仕方として以下2つのパターンがみられます。

  • ・他の取締役等と同じ欄に記載し、名前の後ろに(議長)を入れる
  • ・「議長 〇〇」のように、他の取締役等とは別で記載する

株主総会議事録を作成した取締役の氏名

前項で紹介した内容と同じく、名前の後ろに(議事録作成者)と入れるか、他の取締役等とは別で記載するのが一般的です。

株主総会議事録の注意点

株主総会議事録の注意点を3つ紹介します。

押印が必要なケースがある

株主総会議事録は基本的に押印不要です。ただし以下のようなケースに該当する場合は押印が必要なためご注意ください。

  • ・株主総会に出席した取締役等の記名押印について定款で定めている場合
  • ・取締役会非設置会社において代表取締役選定の決議を行う場合
  •  ※変更登記の申請時に、議長及び取締役全員の押印をした株主総会議事録の添付が必要なため

また、基本的に押印不要とはいえ、議長および議事録の作成者は押印をするのが一般的となります。

電磁的記録の場合はe-文書法の要件を満たす必要がある

株主総会議事録は書面だけでなく電磁的記録としての作成・保存も可能です。

ただし電磁的記録の場合はe-文書法の要件を満たす必要があり、書面の場合よりもルールが厳しい面があるため注意する必要があります。

 

電磁的記録における主な要件は以下の4つです。

  • 見読性
  • 該当の文書が明瞭な状態であり、表示や印刷、確認が可能な必要があります。
  •  
  • 完全性
  • 改ざんや消去の事実がないと確認できること、保存義務期間中に消失や破損しないこと(保存性があること)が必要です。
  •  
  • 機密性
  • 文書の盗難・漏えい・盗み見等、第三者への漏えい防止が求められます。
  •  
  • 検索性
  • 必要に応じてすぐに文書を探し出せる状態の整備が必要です。

e-文書法では電磁的記録について様々な要件を定めているため、必ずご確認ください。

法務省の公式サイトでは、文書を電磁的記録で作成する場合の利用手引きが公開されています。

いつでも閲覧請求に応えられるようにしておく

株主や債権者には株主総会議事録の閲覧請求の権利があり、会社はすぐに応じることが義務付けられています。

そのため、いつでも議事録の閲覧請求に応えられるよう準備しておきましょう。

 

なお、株主総会議事録の閲覧や謄写ができるのは正当な理由がある場合のみです。

会社の業務遂行や株主の利益の妨害、その他個人的な理由での請求は拒否できると考えられています。

まとめ

株主総会議事録は、株主総会を開催した場合に作成が義務付けられている書類です。

株主が1人の場合も作成する必要があり、作成および保管義務を怠ると過料が科される恐れがあります。

 

株主総会議事録の書き方に特別な決まりはありません。

会社法で定められた内容の漏れがなければ、使用するフォーマットや書き方等は自由にできます。

反対に、記載事項に不備や漏れがあると正当な議事録として認められない恐れがあるため注意が必要です。

 

株主総会議事録には細かなルールがあり、判断に悩みやすい部分もあります。

株主総会議事録について疑問や不安があれば、当事者のみで全て解決しようとせず、専門家のサポートを受けましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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