業務委託契約とは?フリーランスとの違いと3つの契約形態について解説!

2024.09.04

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業務委託契約とは、業務の一部を外部に委託する契約形態のことです。

雇用契約と違い使用従属性がありません。独立した事業者間で契約というイメージになります。

 

業務委託と呼ばれる契約には3つの形態があり、それぞれ報酬が発生する対象や該当する業務が異なります。

業務委託契約におけるトラブルを防ぐため、契約形態ごとの特徴を押さえることが大切です。

 

今回は業務委託契約について詳しく解説します。

 

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CONTENTS

業務委託契約とは

業務委託契約とは、業務の一部を外部に委託する契約形態のことです。

法的な用語ではなく、外部委託契約の通称として用いられています。

フリーランスとの違い

フリーランスは、特定の企業や組織に所属せずに個人で仕事を請け負う働き方を意味する言葉です。

一方、業務委託契約は業務の一部を外部に委託する契約形態を意味します。

フリーランスは働き方、業務委託契約は契約の種類を表す言葉で、そもそも言葉としての性質が異なります。

 

なお、フリーランスは業務委託契約に基づいて案件を請け負うケースが一般的です。

フリーランスは個人で仕事を請け負う働き方であり、特定の企業や組織と雇用主・労働者という使用従属性は存在しません。

フリーランスと業務委託契約は異なる意味の言葉ではあるものの、非常に関連性があるといえるでしょう。

雇用契約との違い

業務委託契約と雇用契約の違いは、業務を指示する側と指示される側の間に使用従属性が存在するか否かです。

 

一般的に以下2つの要素を持つ関係性については使用従属性が存在すると判断されます。

  • ・使用者の指揮監督のもとで労働を提供する
  • ・労務の対価を支払われる

 

雇用契約は上記2つの要素を満たすため、使用従属性が存在するとみなされます。

一方で業務委託契約は上記の要素を持たず、使用従属性は存在しません。対等な立場での契約となります。

 

「使用従属性の存在によって具体的に何が変わるのか」「よりわかりやすい判断基準はないか」

このように考える人もいるでしょう。

以下では、業務委託契約と雇用契約を比較した時の明確な違いを2つ紹介します。

指揮命令権の有無

雇用契約の場合、雇用主は労働者に対して業務内容や就業場所、勤務時間等の指揮命令権を有します。

一方で業務委託契約の場合は指揮命令権が存在しません。

業務を行う場所や対応する時間など働き方についての拘束性がなく、受託者の自由となります。

労働法の適用有無

雇用契約の場合は労働法が適用されます。

労働法は雇用関係にある労働者を守るための法律です。雇用契約に基づく働き方であれば、最低賃金や割増賃金、年次有給休暇などが保障されます。

業務委託契約は雇用関係に基づかない契約形態であり、労働法は適用されません。

派遣契約との違い

派遣契約の場合、労働者と労働力を提供する先の間に雇用契約はありません。

外部の者に業務を委託するという点は業務委託契約と共通しており、一見すると似た仕組みといえます。

 

しかし、派遣契約と業務委託契約は異なる性質を持ちます。

 

派遣契約はあくまでも雇用契約に基づくものです。

派遣契約において、労働者は労働の提供先である派遣先企業とは雇用契約を結んでいません。

しかし、労働者は派遣会社と雇用契約を結んでいます。雇用契約に基づき派遣会社から業務指示や指揮監督を受ける仕組みです。

雇用契約に基づく労働である以上、労働法も適用されます。

 

業務を委託する側から見ると、業務委託契約と派遣契約は外部に仕事を委託する点が共通しています。

ただし、派遣契約はあくまでも雇用契約に基づくもので、業務委託契約とは全く異なる契約形態です。

業務委託契約 3つの契約形態

前章で、業務委託契約は業務の一部を外部に委託する契約形態の通称であり、法的な用語ではないと紹介しました。

一般的に業務委託契約と呼ばれる契約形態は3種類です。それぞれの契約形態について詳しく解説します。

請負契約

請負契約(うけおいけいやく)は、業務の完了・完成を目的に締結される契約です。

請負契約の特徴として以下の2点が挙げられます。

 

  • 成果物に対して報酬が支払われる
  • 委託した業務の完了や成果物の納品によって報酬が支払われる仕組みです。
  • 業務が完了・完成しなかった場合や不備があった場合は報酬が支払われません。
  •  
  • 業務の進め方や時間は問われない
  • あくまでも業務の完了・完成のみが目的であり、そこまでの過程は報酬に影響しません。

以下のような場合には、受託者は委託者に損害賠償責任を負う可能性があります。

  • ・期日までに成果物の納品ができなかった
  • ・納品した成果物に不備や欠陥があった

契約通りに業務の完了・完成ができなかった場合に損害賠償の恐れが発生するイメージです。

 

請負契約が締結されるケースとして以下の例が挙げられます。

  • ・営業による案件獲得
  • ・ライターによる執筆業務
  • ・デザイナーによる各種デザイン制作
  • ・プログラマーによるシステム開発
  • ・コンサルティング業務(成果物の納品が前提の場合)

委任契約

委任契約および後述する準委任契約は、一定の業務の提供や業務提供による成果を目的とする契約です。

業務遂行にかかった工数や時間に対して報酬が支払われます。

前項で紹介した請負契約と違い、成果物の納品義務はありません。

 

委任契約は法律行為の遂行を委託する場合に締結する契約です。

法律行為とは当事者の意思表示に基づいて法的な効果を生じさせる行為を指します。

 

委任契約に該当する業務の例を紹介します。

  • ・弁護士による訴訟行為代行
  • ・税理士による税務代理業務(税理士との顧問契約も委任契約に該当します)
  • ・司法書士による登記手続き代行
  • ・不動産業者による不動産契約手続き関連

法律行為の処理は委任契約に該当するケースがほとんどです。

 

委任契約および後述する準委任契約の受託者は、委託者に対する善管注意義務を負います。

善管注意義務は「善良な管理者の注意義務」を略したものです。受託者は委託された業務を行うにあたって、通常要求される程度の注意義務を払う必要があります。

簡単にいうと、委託者に対して故意・過失による損害を与えた場合は損害賠償の責任をいうイメージです。

反対に、過失なく業務を遂行すれば損害賠償責任を負う必要性はありません。

準委任契約

準委任契約は、法律行為以外の業務遂行を委託する場合に締結する契約です。

業務遂行や業務による成果を目的とする業務委託のうち、法律行為でないものはすべて準委任契約に該当します。

 

準委任契約に該当する業務として以下の例が挙げられます。

  • ・美容師
  • ・エステティシャン
  • ・ITエンジニアによるシステム開発のテスト作業
  • ・コンサルティング業務(成果物の納品が求められない場合)
  • ・調査研究業務

法律行為ではない・成果物の納品が前提でない契約はすべて準委任契約と考えて良いでしょう。

 

前項で紹介した委任契約と同様、準委任契約の場合も善管注意義務の責任を負います。

すなわち、故意または過失により委託者に損害を与えた場合は損害賠償の必要が生じます。

まとめ

業務委託契約とは、業務の一部を外部に委託する契約形態のことです。

雇用契約との大きな違いとして、使用従属性が存在しない点が挙げられます。

指揮命令権を持たないため、業務の進め方は受託者の自由となります。また、労働法は適用されません。

 

業務委託契約は法的な用語ではなく、業務を外部に委託する契約形態に対して用いられる通称です。

一般的に業務委託契約と呼ばれる契約形態には、請負契約・委任契約・準委任契約の3種類があります。

それぞれ異なる性質を持ち、該当する業務にも大きな違いがあります。

 

業務委託契約におけるトラブルを避けるため、各契約形態について理解を深め、それぞれの違いを押さえることが大切です。

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吉岡 伸晃

記事監修
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