マイナ保険証への移行はどうする?人事労務担当者が押さえるべき手続きのポイントを解説!

2025.03.03

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令和6月12月2日以降、従来の健康保険証は発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行が進んでいます。

従来の発行済み健康保険証は最長1年間の使用が可能ですが、いずれ使用できなくなるため早めに対応するのが理想です。

 

マイナ保険証への移行に伴い、入社時・退職時に行う健康保険に関する手続きに従来との違いが生じています。

また、従業員への周知やマイナンバーの管理体制の徹底など、人事労務担当者がやるべき作業について確認が必要です。

 

今回はマイナ保険証への移行に関して、人事労務担当者が押さえるべきポイントを詳しく解説します。

 

会社設立後の社会保険加入手続きの流れについては以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

マイナ保険証の概要

はじめに、マイナ保険証の概要を解説します。

マイナ保険証とは

マイナ保険証とは、マイナンバーカードの健康保険証利用の通称です。

マイナ保険証の主な特徴として以下の3つが挙げられます。

  • ・従来よりも正確な本人確認が可能になるため不正防止につながる
  • ・過去の医療情報データを正確に共有できる
  • (医療機関への情報提供は事前に同意した場合のみ行われます)
  • ・紙の認定証や事前の手続きをしなくても高額療養費の限度額を超える支払いが可能
  •  

令和6月12月2日以降、従来の健康保険証は発行されなくなりました。

現在はマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行が進んでいます。

マイナ保険証導入の背景

マイナ保険証の導入は医療DXのために必要な施策です。

医療DXとは医療分野でのデジタル・トランスフォーメーションを通じ、医療関係サービスの効率化や質の向上を目指す取り組みを指します。

医療DXを実現するためには、保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータをオンラインで共有できる仕組みが不可欠です。

そのため政府は全国医療情報プラットフォームの創設を医療DXの実現に向けた柱の1つとしています。

マイナ保険証は医療情報プラットフォームの基盤となる要素であり、医療DXを進めるために必須の工程となります。

マイナ保険証のメリット

マイナ保険証の主なメリットとして以下の7つが挙げられます。

  • ・過去の医療情報を医師や薬剤師にスムーズに共有でき、データに基づく良い医療が可能になる
  • ・高額医療の限度額を超える支払いが手続きなしで免除される
  • ・マイナポータルで自身の医療情報を確認できるようになる
  • ・勤め先の退職や転職に伴う保険証の返却が不要
  • ・確定申告における医療費控除の申請手続きが容易になる
  • ・薬や特定健診などの情報をスムーズかつ確実に共有でき、医療現場で働く人の負担を軽減できる
  • ・顔認証または暗証番号により本人確認を行うため、保険証の不正利用を防止できる
  •  

このようにマイナ保険証は、被保険者と医療機関の双方に様々なメリットがある仕組みです。

マイナ保険証の利用状況

厚生労働省の公式サイトで公開されている情報によると、2024年12月のマイナ保険証利用件数は6,220万件でした。

日祝を除いた日数で単純計算すると、1日に239.2万件利用されたことになります。

 

また、厚生労働省の「マイナ保険証の利用促進等について」によると、令和6年度のマイナ保険証の利用件数と利用率は以下のように推移しています。

  • ・1月:753万件 4.6%
  • ・2月:838万件 4.99%
  • ・3月:1,010万件 5.47%
  • ・4月:1,210万件 6.56%
  • ・5月:1,425万件 7.73%
  • ・6月:1,874万件 9.90%
  • ・7月:2,281万件 11.13%
  • ・8月:2,436万件 12.43%
  • ・9月:2,715万件 13.87%
  • ・10月:3,412万件 15.67%

 

令和6年1月から10月までの間に、マイナ保険証の利用率は10%以上増加しました。

令和6年12月に従来の健康保険証の発行が終了することに伴い、マイナ保険証へ切り替える人が急増したためと考えられます。

従来の発行済み保険証は最大1年間有効

従来の健康保険証の新規発行は終了し、今後はマイナ保険証を基本とする仕組みとなります。

ただし、発行済みの健康保険証がすぐに使用不可になるわけではありません。

令和6年12月2日時点で有効な健康保険証は最長1年間使用可能です。

 

なお、マイナ保険証を持っていない人に対しては現行の健康保険証の有効期限内に「資格確認書」が交付されます

資格確認書の交付は無料で、原則として特別な申請手続きは不要です。

マイナ保険証を持っていない場合は、加入する医療保険者から交付される資格確認書が保険証の代わりとなります。

マイナ保険証への移行で人事労務担当者が押さえるべきポイント

マイナ保険証への移行で人事労務担当者が押さえるべきポイントを3つ紹介します。

健康保険に関する手続きの変更点

マイナ保険証への移行により、人事労務担当者が行う健康保険に関する手続きに変更が生じました。

提出書類や手続きの期日等の基本的な部分は同じですが、細かな部分に違いがあります。

入社時・退職時それぞれの手続きの変更点について解説します。

入社時

入社時の手続きにおける最も大きな変更点は、「資格確認書発行要否」欄の存在です。

資格確認書発行要否欄にチェックを入れることで、マイナ保険証を保有していない人向けの資格確認書が発行されます。

新入社員がマイナンバーカードを保有していない場合や、マイナンバーと保険証の紐づけができない場合は必ずチェックしましょう。

「被保険者資格取得届」と「被扶養者(異動)届」それぞれチェックが必要です。

 

なお、マイナ保険証への移行に伴い、マイナンバーカードを正確に記入することの重要性が以前よりも高まっています。

マイナンバーの書き間違いや漏れがないか入念に確認しましょう。

退職時

退職者が資格確認書を保有している場合は、従来の健康保険証と同じように退職時に回収する必要があります。

マイナ保険証への切り替えが済んでいる場合、退職時に回収するべき書類は特にありません。

ただし、退職者に現行のマイナ保険証が使用できなくなる旨・国民健康保険等への切り替え手続きが必要な旨は伝える必要があります。

マイナ保険証への移行について従業員に周知する

従来の健康保険証を使用している従業員に対して、人事労務担当者からマイナ保険証について説明する必要があります。

最低限伝えるべき内容は以下の3点です。

 

  • 従来の健康保険証を利用できる期間
  • 令和6年12月2日時点で有効な健康保険証を使用できるのは最長1年間です。
  •  
  • マイナ保険証への切り替え手続きの必要性
  • 従来の健康保険証を使用している従業員がマイナ保険証に切り替えるためには、被保険者本人が手続きを行う必要があります。
  •  
  • 資格確認書の交付について
  • マイナンバーカードを持っておらずマイナ保険証を発行できない場合、現行の健康保険証の有効期限内に資格確認書が順次交付される予定です。

 

周知方法として以下の例が挙げられます。

  • ・マイナ保険証に関するマニュアルの送付
  • ・マイナ保険証への切り替えを促進するポスター等の作成、掲示
  • ・説明会や研修会の実施
  • ・社員向けのWebサイトやツール等での連絡
  • ・マイナ保険証に関する相談窓口の設置

マイナンバーの管理体制を徹底する

マイナ保険証への移行により社員のマイナンバーを取り扱う機会が増えるため、管理体制の徹底が必須です。

マイナンバー管理に関するポイントとして以下の3点が挙げられます。

  • ・マイナンバーの扱いに関する社内ルールを作成する
  • ・マイナンバーが記載された資料を閲覧できる人を限定する
  • ・マイナ保険証に対応しているシステムやITツールを利用する

不特定多数が閲覧できる状態にしないこと、業務フローや管理体制についてルールを明確化することが大切です。

まとめ

令和6年12月2日以降、従来の健康保険証が発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みになりました。

マイナ保険証への移行に伴い、人事労務担当者が社員の入社時・退社時に行う健康保険関連の手続きにも変更が生じています。

入社時は新入社員がマイナ保険証を利用できるか確認し、もし資格確認書の交付が必要であれば「資格確認書発行要否」欄にチェックを入れましょう。

資格確認書を交付した社員が退職する場合、資格確認書の回収が必要です。

 

マイナ保険証への移行について社内へ周知するのも人事労務担当者の役割といえます。

また、マイナンバーを扱う機会が増えるため、マイナンバーの管理体制の徹底も必要です。

 

マイナ保険証への移行に伴う混乱を起こさないためにも、必要な手続きや注意点などをしっかり押さえましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
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