
会社設立時に必要な手続きの1つとして資本金の払い込みが挙げられます。
資本金の払い込み先は発起人の個人口座であり、銀行の種類は問われません。
そのため会社設立時の資本金の払込口座にネット銀行を選ぶことも可能です。
会社設立時の資本金払込に関して基本的な流れは店舗型銀行もネット銀行も変わりません。
唯一大きく異なる点として、資本金の払込を証明する書類として用意するものが挙げられます。
今回は会社設立時の資本金払込をネット銀行にする際のポイントについて解説します。
会社設立全体の流れについては以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
ネット銀行でも会社設立は可能

結論として、会社設立時の資本金の払込口座にネット銀行を選んでも問題ありません。
銀行の種類には特に指定がなく、「発起人個人の口座であるか」という点のみが重要となるためです。
ネット銀行に資本金払込をする場合の流れ

会社設立時の資本金払込に関して、払込口座が店舗型銀行でもネット銀行でも基本的な流れは変わりません。
唯一異なるのが、資本金の払込を証明する書類として用意するものです。
ネット銀行は基本的に通帳がないため、代わりに別の書類を用意する必要があります。
この章ではネット銀行に資本金払込をする場合の流れについて詳しく解説します。
発起人個人の口座を用意する
まずは資本金払込を行う口座を用意しましょう。
会社設立前の段階では法人口座がないため、発起人個人の銀行口座に資本金を払い込みます。
なお、使用する口座は発起人が普段使っているもので問題ありません。
新規の口座開設や、既存口座の残高をゼロにするといった対応は不要です。
名義人が発起人かどうかが重要となります。
前述のように銀行の種類についての指定もないため、ネット銀行の口座を利用することも可能です。
資本金の払い込みを行う
利用する口座が決まったら、資本金の払込を行いましょう。
資本金の払込で重要なのが、預入ではなく振込で入金することです。
預入では入金した人の名前が記載されず、発起人による入金である旨を証明できないためです。
特に発起人が複数人いる場合、各発起人が定款の記載通りの額を出資しているかが非常に重要となります。
そのため、必ず入金した人の名前が記載される振込による入金を行いましょう。
なお、入金の回数が2回以上になっても問題ありません。
定款の記載通りの額を払い込むことさえ順守すれば、複数回に分けての払込も可能です。
払込証明書を作るために必要なページを用意する
資本金の払込が完了したら、払込証明書を作るための必要書類の用意を行います。
前述のように、ネット銀行と店舗型銀行で最も大きく異なるのが払込を証明する書類として用意するものです。
ネット銀行には通帳がないため、インターネットバンキングで該当のページをダウンロードして印刷する必要があります。
資本金払込をネット銀行の口座に行った場合には、以下の情報が記載されたページを用意する必要があります。
- ・金融機関の名称
- ・支店名
- ・支店番号
- ・口座の名義人
- ・資本金の払込取引の履歴
- (日付、金額、払込をした人の名称が確認できるページ)
インターネットバンキングのレイアウトによっては、1つのページだけでは情報が不足しているケースもあります。
ページ数が複数になっても特に問題はないため、必要な情報が記載されたページを漏れなく用意しましょう。
払込証明書を作成する
払込証明書とは定款の通りに資本金の払込が行われたことを証明する書類です。
所定のフォーマットはないため、必要事項を記載した書類を自身で作成する必要があります。
払込証明書に記載が必要な事項として以下の7つが挙げられます。
※今回紹介するのは設立するのが株式会社の場合です。合同会社の場合には不要な項目もあります。
- 資本金の払込があった旨を示す文面
- 表題の直下に「当会社の〇〇時発行株式については以下のとおり,全額の払込みがあったことを証明します。」と記載するのが一般的です。
- 会社設立時の場合は「設立時発行株式」となります。
- 設立時発行株式数
- 会社設立時の発行株式数について定款の通りに記載が必要です。
- 払込みを受けた金額の総額
- 払込金額の総額を記載します。
- 日付
- 払込が行われた日付を記載します。
- 払込が複数回にわたって行われた場合は最も遅い日(最新の日)を記載しましょう。
- 会社名
- 「株式会社」「合同会社」といった種類も略さず、定款の通りに記載が必要です。
- 代表取締役氏名
- 一般的には商号の次の行に記載します。
- 押印
- 会社代表印を払込証明書左上と代表取締役氏名の右側に1つずつ、計2箇所に押印します。
製本を行う
最後に、ネット銀行のページを印刷したものと払込証明書をまとめた製本作業が必要です。
バラバラの状態で提出しないようご注意ください。
払込証明書とネット銀行のページを印刷したものを、払込証明書が一番上になるように重ねます。
ページの上下が合っているか、書類の不備や漏れがないかを確認し、問題がなければ左側2か所をホチキス留めします。
以上で製本作業は完了です。
他の書類とあわせて法務局へ提出し、会社設立の登記申請を完了させましょう。
会社設立時の資本金払込をネット銀行にする際の注意点

最後に、資本金払込をネット銀行にする際の注意点を2つ紹介します。
銀行によって印刷するべきページが異なる可能性がある
会社設立時の資本金払込をネット銀行にする際に最も注意するべきなのが、正しいページを印刷することです。
そのためには、銀行によって印刷するべきページが異なる可能性がある点を事前に認識しておく必要があるでしょう。
資本金払込を証明する書類を用意する上で大切なのは、必要な情報が載ったページを印刷することです。
通帳は原則として、どの銀行でも表紙と裏表紙に必要情報がまとまっています。
そのため店舗型銀行で通帳がある場合は、どの銀行でも表紙・表紙裏・資本金払込が記載されたページを印刷すれば問題ありません。
一方でネットバンキングのページのレイアウトは銀行によって異なります。
そのため資本金の払込口座がネット銀行の場合は、どのページを印刷すれば良いか一概にはいえないのです。
なお、近年は店舗型銀行でも紙の通帳を発行せずインターネット通帳のみを提供するケースが増えています。
店舗型銀行でも紙の通帳がない場合はネット銀行と同様、印刷するべきページを探す際に注意する必要がります。
資本金払込は定款認証日よりも後に行う
資本金払込は定款認証日よりも後に行いましょう。
資本金の払込は、定款認証後に行うのが原則とされています。
定款認証日より前に払い込んでしまうと、定款認証後に払い込んだ場合よりも法務局でのチェックが厳しくなりやすいです。
また、定款を作成するよりも前に払い込みをした場合は法務局で登記申請が受理されません。
定款認証の前に資本金を払い込むメリットはなく、むしろトラブルの原因になる恐れがある行為といえるでしょう。
資本金の払込に関する作業は特別時間がかかるものではないため、定款認証後に着手するのが安心です。
まとめ
会社設立時の資本金の払込口座としてネット銀行を選ぶことは可能です。
資本金の払込口座について、銀行の種類は特に指定されていません。
発起人の銀行口座であればネット銀行・店舗型銀行といった種類に関係なく払込口座として使えます。
会社設立時の資本金払込の流れも、店舗型銀行とネット銀行で特に大きな違いはありません。
唯一異なる点として、資本金の払込を証明する書類として用意するものが挙げられます。
店舗型銀行と違って通帳が存在しないため、必要な情報が記載されたページを探して印刷する必要があります。
銀行によってレイアウトが異なるため、印刷するべきページが異なる可能性がある点に注意が必要です。
ミスやトラブルを避けるため、必要な手続きについてしっかり押さえましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士