
会社には社会保険の加入が義務付けられており、従業員を雇用しておらず社長1人の場合でも社会保険への加入が必須です。
会社設立手続きの完了後、一定期間以内に社会保険の加入手続きをしなければ懲役または罰金刑の対象になる恐れがあります。
そのほかにも社会保険未加入にはさまざまなリスクがあるため、会社設立をしたら必ず社会保険の加入手続きをしましょう。
また、一定の要件を満たす従業員にも社会保険の加入義務があります。
たとえ従業員が加入を拒否する場合でも、要件を満たす従業員について社会保険の加入手続きをしないことは認められません。
今回は社会保険未加入のリスクや、従業員が加入を拒否する場合の対処法について解説します。
社会保険加入手続きの流れについては以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
会社は社会保険の加入が必須

会社(法人)には社会保険の加入が義務付けられています。
従業員を雇用しておらず社長1人の場合でも社会保険への加入が必須です。
社会保険の加入手続きの期限は会社設立から5日以内です。
社会保険加入に必要な書類を用意し、会社所在地を管轄する年金事務所へ提出します。
手続き自体はシンプルですが、万が一不備や漏れがあると修正が必要になる恐れがあるため、提出前に必ず確認しましょう。
なお、個人事務所の場合は常時5人以上の従業員を雇用する場合に社会保険への加入が必要となります。
ただしサービス業の一部や農業、漁業等は対象外です。
社会保険未加入の場合のリスク

前述のように会社には社会保険の加入が義務付けられており、設立から5日以内に社会保険の加入手続きを行う必要があります。
この章では社会保険の加入手続きを行わず、社会保険未加入の状態でいる場合のリスクを紹介します。
懲役または罰金刑
社会保険未加入かつ悪質なケースとみなされた場合、6ヵ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金の対象になります。
健康保険法第208条や、厚生年金保険法第102条で定められている内容です。
悪質と見されるケースの例として、意図的な虚偽申告や複数回の加入指導に従わない等が挙げられます。
懲役や罰金刑は社会保険の未加入だけでなく、社会保険料の滞納やその他の指導に従わない等の場合にも科せられる可能性があります。
過去2年間に遡及して未納分を徴収される
社会保険はすべての会社に加入義務があり、未加入だからといって納付義務が免除されるものではありません。
社会保険未加入の発覚後、過去に遡及して未納分を徴収される恐れがあります。
遡及期間は原則として2年間です。
ただし、保険料等の督促のタイミングで時効が更新されるため、過去に督促等があった場合は実質的な遡及期間が2年を超えることもあります。
なお、過去の社会保険料未納分は現金による一括納付が必要です。
未納期間の長さによっては経営を揺るがすほどの支出になる恐れがあります。
退職した従業員負担分の未納金を支払うことになる
社会保険料は事業主と従業員が折半して払う仕組みです。
前述した過去2年分の未納分徴収についても、会社負担分だけでなく、従業員負担分も一括徴収の対象になります。
従業員負担分は会社が全額立替払いを行う必要があるものの、その後従業員に請求することが可能です。
在職中の従業員であれば、スムーズに回収できるかは別として、立替払いをした分の請求自体は容易でしょう。
しかし、すでに退職した従業員に対しては連絡をとること自体が難しい場合も多くみられます。
仮に連絡がとれたとしても、回収が難航する・回収できないまま長期間が経過する等が考えられます。
以上のように、社会保険未加入でいると、後に加入した際に退職した従業員負担分の未納金を支払うことになる可能性が高いです。
延滞金が発生する
社会保険料を支払わずにいると督促状が届きます。
督促状の指定する期日までに支払わなかった場合、本来の社会保険料にプラスして延滞金の支払い義務も生じます。
社会保険未加入期間分についても、督促状による指定期日を過ぎると延滞金が発生します。
延滞金の対象になるのは、本来の納付期限の翌日から実際に納付された日の前日までです。
すなわち、未納期間が長ければ長いほど延滞金が高額になる仕組みとされています。
損害賠償請求を受ける恐れがある
社会保険未加入でいると、従業員に対して以下のような事態が起こり得ます。
- ・健康保険に加入していないため医療費が全額自己負担になる
- ・定年退職後に年金が支給されない
- ・ケガや病気等により働けなくなっても傷病手当金を受け取れない
- ・業務中に亡くなっても残された遺族が遺族厚生年金を受け取れない
このように、社会保険未加入により本来支給されたはずのお金を受け取れなかったことを理由に損害賠償請求を受ける恐れがあります。
従業員が社会保険への加入を拒否する場合の対処法

社会保険の加入義務は会社だけでなく加入要件を満たす従業員にも生じます。
仮に従業員本人が希望したとしても、要件を満たす従業員について社会保険の加入手続きをしないことは認められません。
従業員が社会保険への加入を拒否する場合の対処法について解説します。
社会保険は強制加入の制度である旨を説明する
まずは従業員に対して、社会保険は強制加入の制度である旨を説明しましょう。
社会保険について、当事者が拒否すれば加入しなくても良いと誤認している可能性があるためです。
社会保険の加入義務が絶対的なものであり、本人が拒否する場合でも加入は避けられないと伝える必要があります。
原則として、社会保険の適用事業所で働く正社員や役員は社会保険の加入対象です。
正社員でなくても、以下いずれかに該当する従業員は社会保険の加入義務があります。
- ・1週間の所定労働時間と1ヵ月の所定労働日数の両方が通常の従業員の4分の3以上
- ・以下すべての条件を満たす
- ・従業員51人以上の企業等に勤める
- ・週の勤務時間が20時間以上
- ・月の給与が88,000万円以上(通勤手当、残業代、賞与等を除く)
- ・雇用期間が2ヵ月を超える見込み
- ・学生ではない(休業中や定時制・通信制の学校に通う学生を除く)
社会保険のメリットを伝える
社会保険は加入が義務付けられている制度のため、従業員の加入拒否には応えられません。
たとえ本人が拒否しても、社会保険に加入させなければ会社側が責任の追及を受ける恐れがあります。
しかし、加入したくないと主張する従業員を無理やり社会保険へ加入させると、不信感や後のトラブルにつながる恐れがあります。
したがって、本人が納得した上で社会保険に加入させるのが理想です。
社会保険に対する好印象を与える方法として、「社会保険のメリットを伝える」が挙げられます。
社会保険の加入によって従業員が得られるメリットとして以下の例が挙げられます。
- ・傷病手当金や出産手当金など、会社を休んだ場合でも収入の保障がある
- ・基礎年金に加えて厚生年金も受け取れる
- ・要件を満たす場合は家族を社会保険上の扶養に入れられる
社会保険に加入しなくて済むよう労働条件を調整する
どうしても社会保険に加入したくないと主張するのであれば、社会保険に加入しなくて済むよう労働条件を調整するのも1つの手段です。
週の所定労働時間や月の所定労働日数、月額給与を減らす等の方法が挙げられます。
ただし、社会保険の加入外となるように調整すると、必然的に収入が低くなります。
収入が下がる旨についても説明し、それでも社会保険に加入したくないと主張する場合のみ労働条件を調整するのが良いでしょう。
まとめ
すべての会社には社会保険の加入が義務付けられています。
社会保険未加入の場合、懲役刑や罰金刑、未納分の一括徴収などの恐れがあります。
会社設立後は期日である5日以内に、必ず社会保険の加入手続きを行いましょう。
社会保険は強制加入の制度であり、従業員本人が拒否しても、条件を満たす場合は加入しなければなりません。
従業員の希望であっても社会保険未加入のまま放置すると企業が責任の追及を受ける恐れがあります。
社会保険には加入義務がある旨を押さえ、条件を満たす場合は適切な手続きをした上で必ず加入しましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士






