
固定長期適合率とは、自己資本と固定負債の合計に占める固定資産の割合です。
固定資産の取得費は長い期間をかけて回収するため、返済義務のない自己資本や、長期性の資金である固定負債でまかなう必要があります。
数値が100%以下であれば固定資産を長期性の資金で適切に賄えているため健全な財務状態と判断できます。
反対に数値が100%を超える場合は資金繰りのリスクが高い状態のため、早急な対処が必要です。
今回は固定長期適合率の計算方法や目安、改善方法について詳しく解説します。
固定長期適合率の計算では貸借対照表に記載された金額を用います。
貸借対照表については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
固定長期適合率とは

固定長期適合率とは、自己資本と固定負債の合計に占める固定資産の割合です。
固定資産がどの程度長期性の資金によってまかなわれているかを表します。
固定長期適合率の計算方法
固定長期適合率の計算式は以下の通りです。
- 固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
例えば固定資産が600万円、自己資本が500万円、固定負債が200万円の場合、計算式は以下のようになります。
- 600万円÷(500万円+200万円)×100=85.714…≒85.7
今回の例の場合、固定長期適合率は約85.7%です。
なお固定資産とは1年以上の長期にわたって保有・使用する資産です。
該当する資産として、土地、建物、機械装置、工具器具備品、車両運搬具などが挙げられます。
固定負債とは、返済期限が貸借対照表日から1年以上先の負債のことです。
固定負債に該当する勘定科目の例として社債や長期借入金が挙げられます。
返済期限までに時間的な余裕がある負債を指します。
自己資本とは返済の必要がない資金のことです。
資本金、資本剰余金、利益剰余金が自己資本に該当します。
なお自己資本に対して、調達資金のうち返済の必要があるお金を他人資本といいます。
固定負債も他人資本の一種です。
固定長期適合率からわかること
前述のように、固定長期適合率は固定資産が長期性の資金によって賄われているかを示す指標です。
固定資産の取得に要したキャッシュは数年単位といった長い期間をかけて回収します。
そのため返済義務のない自己資本や、長期性の資金である固定負債ですべて賄う必要があります。
固定長期適合率が100%を超えている場合、固定資産の取得や維持に要するキャッシュについて流動負債にも頼っている状態です。
そのため資金繰りのリスクが高いと判断されます。
100%超の場合は早急な対処をするべきですが、特に125%程度は要注意、150%は危険と判断される目安です。
反対に、固定長期適合率が100%以下であれば、固定資産を長期性の資金で適切に賄えているため健全な財務状態といえます。
ただし固定長期適合率が極端に低い場合、設備投資を抑えすぎている状態の可能性もあります。
設備投資の抑えすぎは事業拡大を妨げる原因の1つです。
したがって、固定長期適合率は低いほど良いとは限らない点に注意が必要です。
似た指標との違い
固定長期適合率と似ている4つの指標について、それぞれの概要や固定長期適合率との違いを紹介します。
自己資本比率
自己資本比率とは企業の資本全体に対する自己資本の割合を示す指標です。
以下のように計算します。
- 自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
自己資本比率が極端に低いと、債務超過を原因とした経営悪化や倒産のリスクが高いと判断されます。
理想とされる目安は30%以上です。
特に、自己資本比率が50%以上ある状態は安全性が高いと考えられています。
流動比率
流動比率とは流動資産と流動負債の割合を示す指標で、計算式は以下の通りです。
- 流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
流動比率が100%を切っている場合は流動負債が流動資産を上回っているため、資金繰りが困難になる恐れに注意する必要があります。
固定比率
固定比率は自己資本に占める固定資産の割合です。
以下の計算式で求められます。
- 固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100
固定比率は企業の長期的な安定性を測る指標の1つです。
固定比率が100%以下の場合、企業の保有する固定資産の全額を自己資金でまかなえている状態を示します。
支払い能力に余裕があり、長期的な安定性が高いと判断できます。
総資産負債比率(負債総資産比率)
総資産負債比率とは、総資産のうち負債が占める割合を表すものです。
「負債総資産比率」と呼ばれることもあります。
総資産負債比率の計算式は以下の通りです。
- 総資産負債比率(%)=負債総額(流動負債+固定負債)÷総資産×100
総資産負債比率の割合が小さいほど返済能力が高く、資金面での余裕があると判断できます。
固定長期適合率の目安と改善方法

固定長期適合率の平均は業種によって大きく異なるため、全体的な平均ではなく、業種別の平均を目安にするのが良いでしょう。
この章では固定長期適合率の目安と改善方法について解説します。
業種別の目安
日本政策金融公庫による「小企業の経営指標調査」の中で、固定長期適合率をはじめとした各指標の業種別の平均値が公開されています。
同調査の結果として公表されている各業種の固定長期適合率の平均は以下の通りです。
- 情報通信業:36.1%
- 運輸業:77.9%
- 卸売業・小売業:59.0%
- 飲食店・宿泊業:87.6%
- 医療・福祉業:58.4%
- 教育・学習支援業:90.3%
- サービス業:69.7%
- 建設業:72.3%
- 製造業:75.7%
上記の調査結果から、業種によって固定長期適合率の平均値は大きく異なることがわかります。
固定長期適合率の改善の必要可否を判断する際は、同業種における平均値を参考にしましょう。
固定長期適合率の改善方法
固定長期適合率が業界別の平均値を著しく上回る場合や100%を超える場合、資金繰り面のリスクがあるため早急な対処が必要です。
今回は固定長期適合率の改善方法を2つ紹介します。
遊休資産を処分する
遊休資産とは、事業目的で取得したものの現在は稼働・運用していない固定資産のことです。
遊休資産が存在する場合、分子である固定資産の金額が増えるため固定長期適合率の数値は高くなります。
反対に遊休資産を処分すれば固定資産の金額が減り、固定長期適合率も低くなります。
ほかにも、遊休資産の処分には以下のようなメリットがあります。
- ・固定資産の数が減るため管理が楽になる
- ・固定資産税や維持費の支払いが不要になる
- ・売却による処分ができればキャッシュが増える
稼働・運用をしていない固定資産は収益に貢献しないものの、固定資産の管理のための手間やコストはかかり続けます。
固定長期適合率が高くこの先も使用予定がない場合、遊休資産の処分を検討するべきでしょう。
自己資本を増やす
自己資本を増やせば計算に用いる分母の値が大きくなるため、固定長期適合率が低くなります。
自己資本を増やす具体的な方法として以下の2つが挙げられます。
- ・コスト削減により無駄な支出を減らして利益を上げる
- ・増資をする
なお、長期借入金などの固定負債を増やす方法でも分母の値が大きくなるため、固定長期適合率の数値自体の改善は可能です。
ただし、負債を増やす方法は自己資本比率の悪化や返済負担の増大などにつながります。
そのため、固定長期適合率を改善する目的で負債を増やすことはおすすめできません。
まとめ
固定長期適合率とは自己資本と固定負債の合計に占める固定資産の割合です。
固定長期適合率が100%以下の場合、固定資産を長期性の資金で賄えているため健全な財務状態と判断できます。
反対に100%を超える場合は資金繰りのリスクが高い状態であり、早急な対処が必要といえます。
固定長期適合率が100%超の場合や業種別の平均を大幅に上回る場合、改善策の実施を検討するべきでしょう。
固定長期適合率の改善方法として、「遊休資産の処分」と「自己資本を増やす」が挙げられます。
どのような方法が適しているかは経営状況によって異なるため、それぞれの方法を比較し自社に合うものを選びましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士








