
ウェルビーイング(well-being)とは、肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態を指す言葉です。
ウェルビーイング経営は会社としての利益を追求するだけでなく、関係者全員の幸せを追求する経営を意味します。
利益の獲得と関係者全員の幸せの追求の両方を実現するためには、ウェルビーイング経営実践のポイントを押さえることが大切です。
実際にウェルビーイング経営に取り組んでいる他社の事例を参考にするのも良いでしょう。
今回はウェルビーイング経営について詳しく解説します。
ウェルビーイング経営で意識するべき要素の1つとして従業員満足度が挙げられます。
従業員満足度については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイングとは単に病気ではないというだけでなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態を指す言葉です。
ウェルビーイング経営は、利益を追求するだけでなく、関係者全員の幸せを追求する経営を意味します。
「従業員が肉体的・精神的・社会的に満たされ、生き生きと働けるような職場環境を実現する」という意味で用いられることも多いです。
ウェルビーイングという言葉が初めて登場したのは世界保健機関(WHO)憲章です。
WHO憲章の前文には以下のような一文が存在します。
- 「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあること(well-being)をいいます。」
引用:世界保健機関(WHO)憲章とは|公益社団法人 日本WHO協会
日本でWHO憲章が公布されたのは1951年6月ですが、ウェルビーイングの注目度が高まったのは2010年代後半といわれています。
ウェルビーイングで重要な5つの要素
ウェルビーイングの指標として「PERMAモデル」と「Gallup社が掲げる項目」の2つを用いることが多いです。
どちらも項目数が5つである点は同じですが、内容に少し相違があります。
ウェルビーイング経営を行う際は、それぞれが掲げる項目を意識するのが良いでしょう。
PERMAモデルによる項目
PERMAモデルはポジティブ心理学の提唱者であるマーティン・セリグマン博士が示す項目です。
ウェルビーイングを高めるためには以下5つの項目を満たす必要があると示しています。
- ・Positive emotion:ポジティブな感情
- ・Engagement:エンゲージメントを高める
- ・Relationship:他者と良質な関係性を構築する
- ・Meaning:人生に意味や意義を見出す、人生の目的をもつ
- ・Accomplishment:何かを成し遂げる、達成感を得る
「PERMAモデル」という名称は、5つの項目の頭文字を組み合わせたものです。
Gallup社が掲げる項目
アメリカのコンサルティング会社であるGallup社は以下5つに対する満足度や幸福感が必要と説いています。
- ・Career Well-Being:仕事やキャリア
- ・Social Well-Being:社会や人間関係
- ・Financial Well-Being:経済面
- ・Physical Well-Being:身体面(健康面)
- ・Community Well-Being:地域コミュニティ
PERMAモデルに比べて身近かつイメージしやすい要素が用いられています。
ウェルビーイングとSDGsの違い
SDGsとは「持続可能な開発目標」として2015年9月の国連総会で採択された国際目標です。
17の目標と169のターゲットから構成されています。
世界中のすべての人々が幸福でいられるような、より良い世界の実現を目的としています。
ウェルビーイングも幸福の実現に関する概念ではあるものの、あくまでも個々人の幸福に焦点を当てた考え方です。
SDGsは世界的な取り組みであり、世界中のすべての人々に焦点を当てている点がウェルビーイングとの違いといえます。
ただし、ウェルビーイングとSDGsは深い関係にあります。
特にSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」と目標8「働きがいも経済成長も」は、ウェルビーイングに関係するテーマです。
個人の取り組みであるウェルビーイングの追求により、SDGsの達成に近づくと考えて良いでしょう。
ウェルビーイング経営実践のポイント

ウェルビーイング経営を実践するためには、単純な業績や数字で把握できる成果以外の要素を押さえる必要があります。
この章ではウェルビーイング経営実践のポイントを4つ紹介します。
経営層やマネジメント層の意識改革をする
ウェルビーイング経営を実践する上で欠かせないのが経営層やマネジメント層の意識改革をすることです。
ウェルビーイング経営に関する取り組みの1つとして、フレックスタイム制やテレワークなど、柔軟な働き方につながる制度の導入が挙げられます。
しかしマネジメント層が制度を活用していなければ、従業員は制度を活用しづらいと感じる可能性が高いです。
また、マネジメント層の意識改革ができていなければ、成果重視の考えが強い職場になる恐れがあります。
従業員を含む関係者の幸せを追求するウェルビーイングの考え方ではなく、利益追求が最優先となってしまうでしょう。
ウェルビーイング経営を実現するためには、まずは経営層やマネジメント層がウェルビーイングを重視する考え方に切り替える必要があります。
従業員満足度の調査を行う
従業員が現状抱える不満や会社に対する要望を把握するために、従業員満足度の調査も必要です。
現状の課題を明確にすることで、ウェルビーイング経営につながる効果的な施策を選べる可能性が高くなります。
従業員満足度の調査で用いる項目の例は以下の記事で紹介しています。
多様な働き方ができるよう整備する
「肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態」のために必要な要素は人によって異なるため一概にはいえません。
従業員によってニーズが違うからこそ、多様な働き方ができる環境を整備する必要があります。
ただし「経営層やマネジメント層の意識改革をする」で紹介したように、柔軟な働き方ができる制度を導入しても、制度を活用しにくい状態では効果は期待できません。
制度を導入するのはもちろん、制度を活用しやすい、自分に合う働き方がしやすい環境を整える必要もあります。
メンタルヘルスケアを充実させる
ウェルビーイング経営に効果的な施策の1つが、メンタルヘルスケアを充実させることです。
従業員のメンタルヘルス不調を防げるだけでなく、以下のような効果も期待できます。
- ・メンタルヘルスケアが充実しているという事実が従業員の安心感につながる
- ・相談しやすい環境が整うことで、自然とコミュニケーションが活性化する
- ・メンタルヘルスに対するマネジメント層の関心が強まる
具体的な方法として以下の例が挙げられます。
- ・労働量の見直し(残業時間の削減)
- ・ストレスチェック制度の導入
- ・ストレスマネジメント研修の実施
- ・メンタルヘルスの相談窓口の設置
- ・休暇制度を利用しやすい環境づくり
ウェルビーイング経営の取組事例

最後に、ウェルビーイング経営の取組事例として3社を紹介します。
味の素株式会社
味の素株式会社公式サイトの「わたしたちのウェルビーイング」では、同社のウェルビーイングに関する取り組みが紹介されています。
同社で行われている取り組みとして以下の例が挙げられます。
- ・食とウェルビーイングに関する調査の実施
- ・料理とウェルビーイングの関係性を明らかにすることを目的とした調査の実施
- ・レシピの紹介や料理に関するコラムの掲載
味の素株式会社の取り組みの軸となるのが「食べることや料理をすることが、ウェルビーイングにどう影響するのか」です。
食事や料理という観点から、心も体も整い満たされていくような生活の実現に向けた取り組みを行なっています。
トヨタグループ
トヨタグループには「幸せとは?」「Well-Beingとは?」といった問いに関する議論を行う「Emotional Well-Being研究会」というチームがあります。
トヨタグループの公式サイトではEmotional Well-Being研究会の実施レポートが公開されており、毎回異なるテーマを扱っている旨がわかります。
2026年1月時点までに扱われたテーマは以下の5つです。
- ・多様性と多元性から見るWell-Being(第1回)
- ・アソビと余白から見るWell-Being(第2回)
- ・責任ある研究・技術開発から見るWell-Being(第3回)
- ・トヨタで働く人のWell-Being(第4回)
- ・製造現場で働く人との対話(第5回)
従業員のWell-Beingにつながる工場の取り組みや課題意識を肌で感じることに重きを置いた回です。
各レポートからは、ウェルビーイングの実態や課題、解決策について深い議論が行われたことが伺えます。
楽天グループ
楽天グループは楽天健康宣言として「Well-being First」を掲げています。
安全な職場づくりや従業員の心身の健康にコミットすると同時に、従業員の心身の健康および社会全体のウェルビーイングの向上を目指します。
楽天グループの特徴の1つは、健康・安全・ウェルネス経営の推進体制を整えている点です。
「ウェルネス部」を中心にグループ企業が連携し、現状把握・モニタリングや従業員参加型のイベント開催、各種制度の整備などを実施しています。
まとめ
ウェルビーイング経営は会社としての利益を追求するだけでなく、関係者全員の幸せを追求する経営です。
会社としての利益と従業員をはじめとした関係者の幸せの両方を追求します。
ウェルビーイング経営を実践するには、まずは経営層やマネジメント層の意識改革が必要です。
その上で従業員満足度の調査により現状や課題を把握し、自社に必要な施策を取り入れていきましょう。
多様な働き方ができるような環境の整備やメンタルヘルスケアの充実も必要です。
利益の追求と関係者の幸せ、両方を実現できるようなウェルビーイング経営を実践しましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士







