PPM分析とは?事業ポートフォリオ最適化のためのフレームワークを解説
PPM分析とは複数の事業をもつ企業が、各事業への経営資源の最適な配分を決めるのに役立つ手法です。
自社の事業や製品・サービスを4つのポジションに分類することで状況や立ち位置が可視化され、投資の優先順位を明確化できます。
経営資源の適切な配分や投資・撤退の判断には、赤字や黒字といった数字による単純な情報だけでは不十分です。
PPM分析を活用すれば、各事業の状況を正しく把握できるだけでなく、長期的な視点に立った経営判断が可能になります。
今回はPPM分析の基本事項や進め方、ポイントについて詳しく解説します。
経営資源自体の分析に用いる「VRIO分析」について解説した記事もぜひご覧ください。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士
CONTENTS
PPM分析とは

PPM分析とは、主に複数の事業を展開する企業で活用されるフレームワークです。
自社の事業等を4つのポジションに分類し、それぞれの状況および立ち位置を明確にします。
なおPPMは、プロダクトポートフォリオマネジメント(Product Portfolio Management)の略称です。
PPM分析の目的
PPM分析を実施する目的を2つ紹介します。
経営資源の最適な配分を決定する
複数の事業を営む企業において、すべての事業が均等に収益を生み出すわけではありません。
そして経営資源に限りがある以上、投資対象として優先順位を決める必要があるでしょう。
PPM分析を行えば、現在収益を生み出している事業や将来性が期待できる事業、継続しても収益を見込めない事業を把握できます。
優先順位の明確化ができるため、経営資源の最適な配分が可能になります。
投資・撤退の判断材料とする
仮に現在は収益につながっていない事業でも、成長性が高いと判断できれば投資を継続する価値があると考えられます。
反対に続けても収益獲得の見込がない場合、撤退を視野に入れるべきといえるでしょう。
このように分析結果は事業を続けるか否かの判断にも活用できます。
PPM分析で用いる軸
PPM分析では「市場成長率」と「市場占有率」の2つの軸を使用し、4つのカテゴリーに分けます。
市場成長率は市場の将来性の高さを示す指標です。
以下の式で求めます。
市場成長率 = (今年度の市場規模 – 前年度の市場規模) ÷ 前年度の市場規模 × 100
市場規模は統計資料や調査会社が公開するデータ等を使用するのが一般的です。
市場占有率は製品やサービスが占めるシェアで、相対的マーケットシェアとも表現されます。
計算方法は以下の通りです。
市場占有率=自社製品やサービスの売上高 ÷ 対象市場全体の売上高(市場規模) × 100
PPM分析で用いるカテゴリー
前述のように、PPM分析では2つの軸を用いて4つのカテゴリーを作成します。
4つのカテゴリーについてそれぞれ詳しく解説します。
花形(Star)
市場成長率と市場占有率の両方が高い事業です。
市場成長率が高いため投資による売上の拡大も期待できますが、競合他社との競争が激化しやすい分野でもあります。
マーケットシェアを維持し続けるためには多額の追加投資が必要です。
大きな収益が期待できる一方で追加投資としての支出も多い分、手元に残る利益は少ないケースも多くみられます。
金のなる木(Cash Cow)
市場成長率が低く、市場占有率が高い事業が該当します。
市場がすでに成熟しており成長スピードが急激に落ちている状態のため、新規参入者が少なく、高額の設備投資や広告宣伝は不要です。
また、市場占有率が高いため安定して大きな利益が生み出されます。
企業にとって安定した資金源といえる存在であり、ここで獲得したキャッシュを花形や問題児に回すことが求められます。
問題児(Question Mark)
市場成長率が高く、市場占有率が低い事業です。
市場成長率が高いため競争が激しく多額の投資が求められます。
上手くいけば花形へと成長する可能性がありますが、シェアを獲得できなければ負け犬となってしまいます。
成長を期待するか早期に撤退するか、慎重な判断が必要です。
負け犬(Dog)
市場成長率・市場占有率がともに低い事業です。
成長の見込がなく、事業を続けても将来的に赤字となるリスクもあります。
追加投資は避け、早期の撤退や売却を検討すべき事業といえます。
PPM分析のメリット
PPM分析の実施によって得られる主なメリットを3つ紹介します。
状況を可視化し全体像を把握できる
製品・サービスや事業の数が多いと、個々の経営状況は把握できても全体像は把握しにくいという事態が起こりやすいです。
PPM分析では2つの軸を用いたマトリクス図を作成し、各カテゴリーに該当する事業をマッピングします。
複数の製品や事業の状況を可視化することで、全体像を把握した上での経営判断が可能になります。
客観的な投資判断ができる
PPM分析では市場成長率と市場占有率といった客観的な事実を用います。
そのため主観や希望的観測に左右されない、根拠に基づく投資判断が可能です。
赤字・黒字といった数字に捉われすぎる事態を防げる
PPM分析では現在利益が出ているか否かだけでなく、将来性の高さも重視する手法です。
例えば問題児に該当する事業はキャッシュフローがマイナスのケースが多いものの、将来性が高く、上手くいけば花形になり得ます。
そのため赤字だからといって撤退すべきとは限りません。
このように赤字・黒字といった数字に捉われすぎず、長期的な視点に立った経営判断が可能になります。
PPM分析の進め方とポイント

PPM分析の流れは大きく4つの工程に分けられます。
各工程の進め方やポイントを紹介します。
分析対象を明確にする
PPM分析は複数の事業を営む企業で行う分析手法ではあるものの、分析対象はある程度絞り込みが必要です。
理由として以下の3つが挙げられます。
- ・分析対象の事業が多いほど、市場成長率および市場占有率を算出する作業の負担が重くなる
- ・マトリクス図にマッピングする事業が多くなりすぎてかえって見辛くなる
- ・分析にかかる時間が長くなり、意思決定の遅れにつながる
多くの事業を展開している場合、すべての事業ではなく、重要性の高い事業や継続・撤退の判断が必要と考えられる事業に絞りましょう。
市場成長率と市場占有率を算出する
続いて、分析対象とした事業それぞれの市場成長率および市場占有率を算出します。
「PPM分析で用いる軸」で紹介した通り、市場成長率と市場占有率はそれぞれ以下のように計算します。
- 市場成長率 = (今年度の市場規模 – 前年度の市場規模) ÷ 前年度の市場規模 × 100
- 市場占有率=自社製品やサービスの売上高 ÷ 対象市場全体の売上高(市場規模) × 100
いずれも算出に際して市場規模の情報が必要です。
市場規模は曖昧な数字ではなく、公的機関による統計資料のような信憑性の高い数値を用いましょう。
自社製品・事業をマッピングする
市場成長率および市場占有率を計算したら、各事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬の該当箇所にマッピングします。
各事業の状況および将来性を可視化し、経営資源の配分や投資・撤退の判断に活用します。
競合他社と比較する
投資の優先順位の決定や投資継続・撤退の判断に悩んだ場合は、競合他社とも比較するのが良いでしょう。
競合事業についても市場成長率と市場占有率を算出し、マトリクス図にマッピングして市場全体の勢力図を作ります。
仮に問題児ポジションに自社の事業だけでなく大企業の新規事業がある場合は、資本力の面で不利なため競争は難しいと考えられます。
反対に問題児ポジションにいるのが自社事業だけの場合、競争が激化する前に投資を行いシェア獲得を目指すべきでしょう。
このように競合分析を行うことで、市場全体の状況を加味した経営判断が可能になります。
経営戦略のご相談はBIZARQへ

中小企業においては、限られた経営資源をどこに配分するかが経営の成否を左右します。PPM分析をしても、分析結果を実行可能な戦略に落とし込まなければ十分な効果は得られません。
「どの事業に投資を集中すべきか判断できない」
「不採算事業の見極めや撤退判断に悩んでいる」
こうした課題を感じている経営者様は、BIZARQ(ビズアーク)までご相談ください。財務データや収益構造をもとに事業ポートフォリオを整理し、資金配分の最適化と持続的な成長につながる戦略設計をサポートいたします。
まとめ
PPM分析では市場成長率と市場占有率といった客観的な事実を用いて、各事業がどのような位置づけにあるのかを明確にします。
複数の事業の状況をマトリクス図に可視化できるため、全体像を把握した上での経営判断が可能です。
経営資源の最適な配分の決定や、投資継続・撤退の客観的な判断にも活用できます。
PPM分析に限らず、フレームワークを上手く活用するには正しい手順で進めることが大切です。
PPM分析を効果的に実施するためにも、今回紹介した内容をしっかり押さえましょう。
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