中小企業のための予実管理|基本と実践方法をわかりやすく解説
予実管理とは予算と実績を比較・分析し、差異の原因を特定、改善策を図るプロセスのことです。
単に差異を把握するだけでなく、差異が発生している原因や課題を把握し、目標達成に向けた適切な対策を講じることが求められます。
予実管理には様々なメリットがあるため、中小企業でも実施するべき業務です。
一方で中小企業にありがちな失敗例も存在するため、成功のためのポイントをしっかり押さえる必要があります。
今回は予実管理について詳しく解説します。
予実管理は管理会計に該当する業務の1つです。
財務会計・管理会計・税務会計の違いについては以下の記事をご覧ください。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士
CONTENTS
予実管理の基本

予実管理とは事前に策定した予算と実績を比較・分析し、差異の原因を特定、改善策を図るプロセスのことです。
単に予算と実績を比較するだけでなく、現状の細かな分析により課題を把握し、目標達成のための対策をとることが重要とされています。
予実管理を行うメリット
予実管理を行うメリットを4つ紹介します。
予算と実績の差異を早期に把握できる
予実管理の最大のメリットは、予算と実績の差異を早期に把握できるようになる点です。
予算と実績に差異が生じる理由として主に以下の3つが挙げられます。
- ・無駄が多い
- ・想定外のトラブルにより支出が増えた
- ・そもそも予算に無理があった
いずれの理由であっても、差異の把握が早いほど調整がしやすくなります。
予実管理を取り入れれば定期的に予算と実績を比較するようになるため、差異の早期発見および調整が可能です。
事実に基づいた経営判断が可能になる
定期的な予実管理を行えば、予算と実績にどれほどの差異があるのかを数字で正確に把握できます。
客観的な事実を把握できる点は予実管理を行う大きなメリットの1つです。
予実管理をしない場合、以下のような事態が起こり得ます。
- ・差異が生じた理由やタイミングを把握できない
- ・予算と実績の差異がある項目を把握できない
- ・予算と実績の差異について正確な情報を共有できない
結果として、曖昧な情報や想像に基づいた経営判断をしてしまうリスクが高くなるのです。
前述のように、予実管理をすれば予算と実績の差異を、数字という客観的かつ正確な情報で把握できます。
そのため、事実に基づいた経営判断が可能になるのです。
資金繰りの安定化につながる
予実管理を定期的に行えば、必然的に会社の財務状態や経営成績について確認する機会が多くなります。
また、予算策定の工程では後に発生し得る高額の支出についても検討し、将来の収支計画も入念に立てるのが一般的です。
このように予実管理を行えば、予算と実績の差異だけでなく、現在および将来の会社のお金についても詳しく把握できます。
結果として資金繰りの安定化につながり、資金ショートや黒字倒産のリスクを抑える効果も期待できます。
データ分析スキルやマネジメントスキルの向上にも効果的
予実管理は経理財務の担当者や管理者層のデータ分析スキルやマネジメントスキルの向上にも効果的です。
予実管理では予算と実績の差異の原因を把握するために、細かな部分まで徹底的に分析します。
ハイレベルな分析業務を日常的に行うことになり、結果として自然とデータ分析スキルが向上します。
また、予算を実現するためには現実的な予算策定に加えて、現場からの協力も必要です。
高度な管理業務を行うことになる以上、必然的にマネジメントスキルの向上も実現します。
予算管理との違い
予算管理とは名前の通り、予算そのものを管理することや管理プロセスを意味する言葉です。
予算の策定段階に焦点を当てており、予算策定に必要な情報、すなわち過去の業績や現在の市場状況などを重視します。
予算と実績の比較も行いますが、基本的に四半期末や年度末といった特定のタイミングのみです。
予実管理は前述のように、単に予算と実績を比較するだけが目的ではありません。
差異の原因となる課題を把握し、目標達成のための対策をとることを重視するプロセスです。
そのため、1週間や1ヵ月といった短いスパンで差異の分析や改善策の立案・実行を行います。
このように予算管理と予実管理は、重視する要素や、予算と実績の差異を把握するスパンに大きな違いがあります。
予実管理の実践方法

予実管理の進め方は大きく4つの工程に分けられます。
それぞれのステップについて詳しく解説します。
予算を策定する
最初に行うのは予算策定です。
予算は目標の意味合いもありますが、あまりにも非現実的で達成不可能な予算では、比較検討の意味が失われる恐れがあります。
あくまでも過去の業績や市場状況に基づいた現実的・達成可能な内容にすることが大切です。
予算策定のポイントとして以下の3つが挙げられます。
- ・自社の経営戦略を基に方向性を決める
- ・過去の業績や市場状況などから情報を集める
- ・努力すれば現実的に達成可能な予算にする
月次決算を行う
月次決算は名前の通り、1ヵ月単位で行う決算業務です。
1ヶ月単位ではありますが、年度末に行う決算業務(年次決算)と同じような会計処理を行います。
予実管理では実績資料として月次決算書を用いるケースが多くみられます。
月次決算の進め方については以下の記事をご覧ください。
予算と実績を比較・分析し、差異の原因を究明する
最初に策定した予算と実績(月次決算書)を比較・分析し、差異の原因を究明します。
比較・分析におけるポイントは以下の4点です。
- ・想定よりも売れ行きが良い商材、悪い商材はあるか、その原因は何か
- ・売上の差異は販売数量と価格のどちらが原因であるか
- ・コストの差異がある場合、どの費用項目が原因で差異が生じているか
- ・差異の原因が外部要因と内部要因のどちらに該当するか
単に差異を把握するだけでなく、差異の原因まで深く分析する必要があります。
改善策を立案・実行する
予算と実績の分析が完了したら、結果を基に差異をなくすための改善策を検討しましょう。
複数の項目で差異が発生している場合や、行うべき改善策が複数ある場合は、優先順位を明確にする必要もあります。
また、立案した改善策によって効果を得られているか定期的なモニタリングも必要です。
もし期待していた効果が得られていない場合は施策の改善・調整を行うべきといえます。
予算と実績の差異を埋めるためには、改善策についてPDCAサイクルを回すことも大切です。
中小企業の予実管理でよくある失敗例

予実管理には様々なメリットがあるため、企業規模に関係なく実施するのが理想といえます。
しかし実際のところ、中小企業は大企業に比べて予実管理の失敗例が多くみられるのも事実です。
この章では中小企業の予実管理でよくある失敗例と対処法を紹介します。
予算が現実的でない
失敗例としてよくあるのが、最初に策定した予算が現実的ではないケースです。
あまりに高すぎる目標では達成するために多大な労力を必要とし、従業員の疲弊やモチベーション低下を招く恐れがあります。
また、目標が高過ぎれば差異が生じるのが当然といえるため、差異の原因分析が意味を成さない可能性も高いです。
自社の現状や市場状況を正確に把握し、努力すれば実現できるラインの予算を設定しましょう。
細部にこだわりすぎる
予実管理では予算と実績の差異があった場合に、差異の原因を分析する工程が重要と紹介しました。
しかし細部の分析にこだわりすぎてしまい、改善策の立案に割ける時間が少なくなるケースもみられます。
差異の分析はあくまでも、現状の課題を把握し改善策を立案するための手段です。
分析が目的にならないよう注意する必要があります。
データ収集が不十分で分析ができない
データ収集が不十分なために精度の高い分析ができず、予実管理が形骸化してしまうケースもみられます。
特に中小企業はデータ収集の仕組みが整っておらず、どのように進めれば良いか理解していないケースが珍しくありません。
また、分析スキルを磨くための教育制度が不十分な企業も多くみられます。
予実管理を行うためには、データ収集や分析の仕組み化およびスキル向上に向けた施策も必要です。
経営数字の見える化はBIZARQにおまかせください

予実管理は数字を集計するだけでは十分ではなく、差異がなぜ発生したのかを分析し、次のアクションにつなげることが重要です。管理項目が多すぎたり、更新が属人化していたりすると、運用が形骸化してしまうケースも少なくありません。
「予実管理を始めたいが、何から整理すればいいかわからない」
「数字を経営判断に活かせる体制を作りたい」
こうした課題をお持ちの企業様は、BIZARQ(ビズアーク)までご相談ください。現状の経営管理体制を整理し、予実管理の仕組みづくりから運用定着まで、実務に即した形でサポートいたします。
まとめ
予実管理は予算と実績の差異を分析し、課題解決に向けた改善策を立案・実行するプロセスを意味します。
予算策定そのものを重視する予算管理と違い、予実管理は目標達成に向けて予算と実績の差異を埋めることを重視します。
予実管理は企業規模を問わず実施するメリットが大きいものの、中小企業は大企業に比べて失敗例が多いのも事実です。
失敗の原因として、予算が現実的でない、細部にこだわりすぎる、データ収集が不十分等が挙げられます。
いずれもノウハウやリソース不足によるものですが、よくある失敗例の原因を知っていれば事前対策も可能といえます。
予実管理のポイントを押さえ、中小企業でも予実管理を取り入れるのが理想です。
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