期ズレとは?税務調査でよくある事例と対処法を税理士が解説

期ズレとは本来計上すべき会計期間と実際に計上した会計期間が異なる状態です。
期ズレを起こしてしまった場合、財務諸表が示す情報が誤りとなり、正しい財務状況や経営成績を把握できなくなります。
期ズレが原因で過少申告が起きた場合は追徴課税の対象にもなります。

期ズレは所得や税額にズレが生じる原因となるため、税務調査でも重点的にチェックされる部分です。
日頃から期ズレを防ぐために丁寧な会計処理をするのはもちろん、万が一期ズレを起こしてしまったらすぐに対処すべきといえます。

今回は期ズレのよくある事例や対処法について詳しく解説します。

税務調査については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士

CONTENTS

期ズレとは

期ズレとは本来計上すべき会計期間と実際に計上した会計期間が異なる状態のことです。
期ズレの有無は税務調査で特に重視される要素の1つといえます。

期ズレが起きる原因

期ズレが起きる原因として、「発生主義」「実現主義」「費用収益対応の原則」といった会計のルールが挙げられます。

発生主義とは実際に金銭の授受をしたタイミングではなく、取引や経済活動が発生した時点で計上することです。
費用は発生主義に基づいて計上する必要があります。
例えば取引の発生が3月31日、実際に支払いが行われたのが4月30日の場合、発生主義では3月31日に計上します。
支払いが行われた4月30日に計上するのは誤りです。

実現主義とは取引によって収益を得る権利が確定した段階で計上することです。
「収益を得る権利」と表現した通り、収益は実現主義に基づいて計上します。
実現主義は以下のように複数の基準が存在します。

  • ・出荷基準:商品を出荷した時点で収益実現とする
  • ・納品基準:商品や成果物を相手に納品した時点で実現とする
  • ・検収基準:納品した商品や成果物を相手が検収した時点で実現とする
  • ・役務完了基準:役務の提供が完了した時点で実現とする

どの方法をとるかはビジネスモデルや業種によって異なりますが、1つの基準を継続して適用することが大切です。

費用収益対応の原則とは、実現した収益と当該収益獲得のために発生した費用は、対応させて損益計算書に表示するというルールです。
例えば実際に支払ったのは2025年度でも、2026年度の収益に関連する費用の場合、当該費用は2026年度の費用として計上する必要があります。
この場合、支払った年度である2025年度には前払費用として計上し、2026年度に費用勘定への振替が必要です。

発生主義、実現主義、費用収益対応の原則の存在により、金銭の授受が行われた年度と実際に計上すべき年度が異なる場面が多く発生します。
しかし、認識の相違や処理忘れ等により、誤った年度に計上してしまうケースが起こり得ます。
このような計上するタイミングのズレが、期ズレが起こる原因です。

期ズレによる影響

期ズレによる影響を2つ紹介します。

追徴課税の対象になる

期ズレを起こしてしまうと追徴課税の対象になる可能性が高いです。
前述のように、期ズレは本来計上すべき会計期間と実際に計上した会計期間が異なる状態を意味します。
そのため所得額が正しく計上した場合と異なる金額になり、必然的に法人税等の額にもズレが生じます。
本来納付すべき税額よりも申告額が過少であった場合は、過少申告加算税や延滞税の対象です。
このように期ズレによって追徴課税が発生し、金銭的な負担が増大します。

正しい財務状況や経営成績を把握できなくなる

期ズレが起きている会計年度は、財務諸表の金額にズレが生じている状態です。
そのため財務諸表を確認しても正しい財務状況や経営成績を把握できません
期ズレが起きている項目や金額によっては、経営判断に大きな支障をきたす恐れがあります。

期ズレのよくある事例

期ズレは所得や税額にズレが生じる原因となるため、税務調査でも重点的にチェックされる部分です。
期ズレは売上の期ズレと経費の期ズレの2種類に大別され、それぞれ期ズレが起きる原因としてよくあるパターンが存在します。
売上の期ズレと経費の期ズレ、それぞれよくあるパターンについて解説します。

売上の期ズレ

売上の期ズレが起こる原因としてよくあるパターンは2つあります。

1つ目は、年度末ギリギリのタイミングで実現した収益の計上漏れです。
特に、締め日が月の途中の場合は注意に多く起こります。
例えば毎月25日締めで売上を計上している場合、26日から月末までに実現した収益の計上漏れが起こる恐れがあります。
また、単純に請求書を発行するタイミングが遅れた等の理由により、翌期分に該当する売上と誤認して計上時期がズレるケースも多いです。

2つ目のパターンは前受収益の計上や振替ミスによるものです。
前受収益とは、継続的に商品・サービスを提供する契約において、商品等を提供する前に受け取った代金を計上する勘定科目です。
例えば3月決算の会社が10月から翌年9月までの1年分の代金を前払いで受け取った場合、4月から9月分は前受収益となります。
代金を受け取った時には全額を収益として計上しますが、決算時には翌期にかかる分について前受収益に振替仕訳をする必要があります。
翌期首には再度振替仕訳を行い、改めて収益として計上します。
前受収益の振替仕訳や再振替仕訳を忘れてしまい、売上の期ズレが生じるケースも多いです。

経費の期ズレ

経費の期ズレで多くみられるパターンも2つ存在します。

1つ目は、後払いの商品・サービスの費用の計上漏れです。
例として、3月決算の会社が翌月払いのサービスの利用に関して、3月利用分を誤って支払月である4月に計上してしまうケースが挙げられます。
前述のように費用は発生主義のため、取引が発生したタイミングで計上が必要です。
しかし誤って支払いのタイミングで費用を計上してしまい、期ズレとなってしまうケースが多くみられます。

2つ目は前払費用の計上や振替ミスによるものです。
前節の売上の期ズレで紹介した「前受収益の計上や振替ミスによるもの」と逆パターンといえるでしょう。
期をまたぐ費用は支払時点では費用として計上し、決算期に翌期分を前払費用として振替仕訳を、翌期首には再振替仕訳をする必要があります。
前払費用の振替仕訳や再振替仕訳のミスや漏れにより、期ズレを起こしてしまうパターンも多いです。

期ズレの対処法

最後に、期ズレを起こしてしまった場合の対処法および期ズレを防ぐための方法について解説します。

期ズレを起こしてしまった場合の対処法

期ズレを起こしてしまった場合は、期ズレが分かり次第すぐに修正申告または更正の請求が必要です。
過少申告の場合は修正申告、税額を過大に納付していた場合は更正の請求となります。
過少申告の場合にかかる延滞税は納付期日からの日数に応じて計算するため、特に修正申告は早めに行うべきといえます。
以降の期ズレを防ぐため、正しい会計処理の方法を理解し担当者に共有することも大切です。

期ズレを防ぐための方法

期ズレを防ぐための方法として以下の3つが挙げられます。

日頃から丁寧な会計処理を心がける

基礎的なことではありますが、日頃から丁寧な会計処理を心がけることが最も大切です。
費用は発生主義、収益は実現主義で計上することを念頭に置き、支払日ではなく取引の発生日および実現日に着目すべきといえます。
銀行口座の入出金明細ではなく、請求書等の証憑書類を必ず確認しましょう。

会計年度をまたぐ取引には特に注意する

期ズレは前受収益や前払費用など、会計年度をまたぐ取引で多くみられます
代金の受取時や支払時に全額を収益や費用として計上する都合上、どうしても漏れが起こりやすいです。
前受収益・前払費用への振替が必要な取引については、後で確認しやすいようメモや印をつけるのが良いでしょう。
その上で、決算整理仕訳の際は会計年度をまたぐ取引がないか入念に確認が必要です。

専門家である税理士のサポートを受ける

期ズレは発生主義、実現主義、費用収益対応の原則といった会計上のルールが原因でおこるものが多いです。
会計上のルールは複雑でわかりにくく、専門知識がなければミスが起こりやすいのも当然といえます。
少しでも疑問や不安がある場合や、取引数が多い場合、会計年度をまたぐ取引がある場合等は税理士のサポートを受けるのが安心です。

税務調査を見据えた経理体制の整備はBIZARQへ

期ズレは単なる経理ミスにとどまらず、利益額や納税額、金融機関への決算評価にも影響を与える可能性があります。日常的な経理フローやチェック体制を整備し、継続的に管理することが重要です。

「自社の経理処理に問題がないか確認したい」
「税務調査で指摘されにくい体制を整えたい」

こうしたご要望をお持ちの企業様は、BIZARQ(ビズアーク)までご相談ください。会計処理や計上基準の整理から、税務調査を見据えた経理体制の改善まで、実務に即してサポートいたします。

まとめ

期ズレとは本来計上すべき会計年度と実際に計上された会計年度にズレが生じた状態です。
期ズレは所得および税額のズレの要因であるため、税務調査で入念にチェックされます。
期ズレが原因で過少申告となっていた場合は、延滞税や過少申告加算税といったペナルティを課される恐れがあります。

もし期ズレを起こしてしまった場合、すぐに修正申告または更正の請求を行いましょう。
期ズレを起こさないためには日頃から丁寧な会計処理を行い、会計年度をまたぐ取引には特に注意する必要があります。

費用や収益の形状タイミングはわかりにくく、ミスや漏れが多い部分です。
少しでも疑問や不安があれば、ぜひ専門家である税理士へご相談ください。

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