セーフティネット保証制度とは?利用条件とメリット、注意点について解説!

2024.06.11

セーフティネット保証制度とは、特定の要因により経営の安定に支障が生じている中小企業等を対象とした保証制度です。

誰でも利用できるわけではなく、分類ごとに細かな要件が定められています。

 

セーフティネット保証制度には様々なメリットがある一方で、事前に知っておくべき注意点も複数存在します。

また、必要な手続きは自治体によって異なる可能性があるため、自治体による案内の確認が必須です。

 

今回はセーフティネット保証制度について詳しく解説します。

 

信用保証協会の基本情報については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

セーフティネット保証制度の概要

はじめに、セーフティネット保証制度の概要を紹介します。

セーフティネット保証制度とは

セーフティネット保証制度とは、特定の要因により経営の安定に支障が生じている中小企業等を対象とした保証制度です。

「経営安定関連保証」とも呼ばれます。

 

セーフティネット保証制度の保証料率はおおむね1%以内で、正確な数値は信用保証協会および保証制度ごとに定められています。

保証限度額は以下の通りです。

  • ・普通保証:2億円
  • ・無担保保証:8,000万円

セーフティネット保証制度の利用条件

セーフティネット保証制度は、本店所在地を管轄する市町村長または特別区長から認定を受けた場合に利用できます。

1号~8号の分類があり、いずれかの認定を受ける形となります。各分類の対象者は以下の通りです。

 

  • 1号:連鎖倒産防止
  • 取引先の再生手続き開始申立等の大型倒産による影響を受けている中小企業者
  •  
  • 2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
  • 取引先のリストラ等による生産量の縮小や店舗閉鎖などの事業活動の制限による影響を受けている中小企業者
  •  
  • 3号:突発的災害(事故等)
  • 指定地域内で一定以上継続して事業を行っており、災害等による影響を受けてから3ヶ月間の売上等が前年同期比マイナス20%以上の見込みがある中小企業者
  •  
  • 4号:突発的災害(自然災害等)
  • 指定地域内で一定以上継続して事業を行っており、突発的な災害の影響による販売数量の減少について一定の要件を満たす中小企業者
  •  
  • 5号:業況の悪化している業種(全国的)
  • 全国的に業績の悪化している業種に属しており、売上減少率が一定を超える中小企業者
  •  
  • 6号:取引金融機関の破綻
  • 事業活動に問題がなく、破綻金融機関との金融取引が原因で資金繰りの悪化に陥っている中小企業者
  •  
  • 7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
  • 金融機関の支店の削減等により借入が減少している中小企業者
  •  
  • 8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡
  • RCC(整理回収機構)へ貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、事業の再生が可能な者
  • ※適切な事業再生計画の作成や、債務について返済条件の変更を受ける必要があります

 

なお、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業者は4号または5号に該当します。

セーフティネット保証制度の手続きの流れ

セーフティネット保証制度を利用するには、事業所所在地の自治体による認定を受ける必要があります。

自治体によって手続きの流れが異なる可能性があるため、必ず自治体の案内をご確認ください。

今回は全体に共通する大まかな流れを紹介します。

 

  • 1.セーフティネット保証制度の利用条件を満たしているか確認する
  • 条件を満たしているか判断できない場合は自治体の役所で確認するのが安心です。
  •  
  • 2.必要書類をそろえる
  • 認定申請書のほか、認定要件を満たす旨を証明する書類も必要です。
  • 必要書類の詳細や部数は自治体によって異なります。
  •  
  • 3.セーフティネット保証制度の申請を行う
  • 必要書類を自治体窓口に提出しましょう。
  • 電子申請システムの利用を認めている自治体であれば、中小企業者認定・融資電子申請システムを使ったオンライン申請も可能です。
  •  
  • 4.認定を受けた後に保証付き融資を申し込む
  • セーフティネット保証制度を利用するには、金融機関もしくは信用保証協会に認定書を持参した上で融資に申し込む必要があります。

セーフティネット保証制度のメリット

セーフティネット保証制度のメリットを4つ紹介します。

融資を好条件で受けられる

セーフティネット保証制度は一般的な保証付き融資に比べて好条件です。

具体的なポイントとして以下の3つが挙げられます。

  • ・一般的な保証付き融資に比べて低金利
  • ・返済期間が長めのため月々の返済負担を抑えられる
  • ・原則無担保のため申し込みがしやすい

返済負担を抑えたい場合や、担保の面から他の融資を申し込むのが難しい場合でも利用できるでしょう。

追加融資を受けられる

セーフティネット保証制度を利用して申し込む融資は、信用保証協会が設定した融資枠とは別で受けられます。

つまり、既に信用保証協会が設定した枠の上限まで使っている場合でも追加融資を受けられるのです。

結果として、通常の方法で融資を受ける場合よりも高額の資金調達ができます。

資金繰りの改善だけでなく、資金力を身につける・経営の抜本的な改善に充てる等の効果も期待できるでしょう。

保証人が必要ない

セーフティネット保証制度を利用して融資を受ける場合、別途保証人をつける必要はありません

信用保証協会が保証人の役割を果たすためです。

 

融資申し込みに保証人が必要な場合、保証人を探すことが高いハードルとなり、融資に申し込めないケースも多くみられます。

セーフティネット保証制度では保証人が必要ないため、融資を受けるハードルを下げられます。

代位弁済の制度がある

代位弁済とは信用保証協会が残債を肩代わりする制度です。セーフティネット保証制度には代位弁済の制度があります。

 

一般的に、借入金の返済が遅れると遅延損害金の支払いが必要になります。

遅延損害金は上限利率である14.6%で設定されているケースが多く、資金繰りに悩む企業にとって負担になる恐れが大きいです。

 

セーフティネット保証制度を利用して代位弁済をしてもらえば、遅延損害金を支払わずに済みます。

返済猶予を受けつつも遅延損害金の支払いが不要になるため、経済的・精神的な負担を抑えられるでしょう。

 

なお、代位弁済はあくまで一時的な肩代わりであり、債務が帳消しになるわけではありません。

また代位弁済後は銀行口座が一時的に凍結されるといった大きなデメリットもあるため注意が必要です。

セーフティネット保証制度の注意点

最後に、セーフティネット保証制度の注意点を3つ紹介します。

審査期間が長めの傾向にある

セーフティネット保証制度に限らず、信用保証協会による保証付き融資は審査期間が長めの傾向です。

金融機関と信用保証協会の双方で審査が行われるため、融資の申し込みから実行までにどうしても時間がかかってしまいます。

審査期間の長さはケースによって異なりますが、2ヶ月かかる可能性もあります。

代位弁済後は銀行口座が一時的に凍結される

セーフティネット保証制度の代位弁済を利用した後は銀行口座が一時的に凍結されます

凍結されている間は預入・引き出し・振込等すべての口座取引ができない点に注意が必要です。

 

なお、口座の凍結は一時的なものであり、時間が経てば解除されます。代位弁済により信用情報にキズがつくこともありません。

保証料の支払いが必要

セーフティネット保証制度に限らず、信用保証協会の保証をつける際は保証料の支払いが必要です。

保証料は融資額の〇%という決め方が多く、融資額が高額なほど負担も大きくなります。

まとめ

セーフティネット保証制度は、何らかの要因により売上減少等に陥っている中小企業者を対象とした制度です。

全部で8つの分類があり、それぞれ対象者の要件が異なります。

セーフティネット保証制度を利用するには、事業所所在地の自治体による認定が必要です。

 

セーフティネット保証制度は、融資を好条件で受けられる・保証人が必要ない等の様々なメリットがあります。

一方、審査期間が長めの傾向にある・保証料の支払いが必要等のデメリットも存在します。

 

セーフティネット保証制度について理解を深めた上で、利用するか検討しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
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