公的融資とは、文字通り公的機関が行う融資です。
民間融資は公的融資以外の融資を意味する言葉で、銀行、信用金庫、ノンバンク系などさまざまな融資が該当します。
運営機関が異なることで、金利や審査の厳しさなどさまざまな面で違いがあります。
公的融資と民間融資はそれぞれ異なるメリット・デメリットを持つため、どちらが良いか一概にはいえません。
それぞれの特徴を押さえた上で、自社に適した融資を選ぶことが大切です。
今回は公的融資と民間融資の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
公的融資を行う機関の代表例は日本政策金融公庫です。
公庫と銀行の違いについては以下の記事で解説しています。
オンライン無料相談 受付中
CONTENTS
公的融資と民間融資の違い
公的融資とは、公的機関が行う融資です。
代表例として、日本政策金融公庫が行う融資や、地方自治体・金融機関・信用保証協会が連携して行う制度融資が挙げられます。
一方で民間融資とは、公的融資以外の融資のことです。銀行、信用金庫、ノンバンク系などさまざまな融資が該当します。
この章では公的融資と民間融資の大きな違いを3つ紹介します。
金利
公的融資と民間融資で特に違いが大きい要素の1つが金利です。
一般的に公的融資の方が低金利であり、民間融資は金利が高めに設定されています。
正確な利率は融資の種類や条件などによって異なりますが。公的融資が民間融資の利率を上回るケースは少ないといえるでしょう。
なお、民間融資の中でも特にノンバンク系は金利が高めの傾向です。
ノンバンク融資については以下の記事で詳しく解説しています。
審査の厳しさ
制度の種類にもよるため一概にはいえませんが、民間融資よりも公的融資の方が審査が厳しい傾向です。
公的融資の審査には以下のような特徴がみられます。
- ・必要書類が多い
- ・審査にかかる時間が長い
- ・対象者の条件が厳格に定められており、要件を満たさなければそもそも審査を受けられない
ただし、創業直後の実績がない期間は、民間融資よりも公的融資の方が利用しやすいといえます。
民間融資の多くは創業から一定以上の期間が経過していることを条件としているため、実績がない時期には利用できません。
事業年数に関する定めがない融資の場合でも、実際には創業直後に民間融資の審査に通過するのは難しいといえるでしょう。
信用による融資の受けやすさの違い
はじめて融資を受ける段階、つまり金融機関との信頼関係がゼロの状態の場合、公的融資の方が利用しやすいといえます。
公的融資は性質上、築いてきた信頼関係が審査に大きく影響することはありません。
もちろん返済実績や懸念事項の有無などは考慮されますが、あくまで現況や資金使途などが最重視されます。
信頼関係の有無が審査に与える影響が小さい一方で、「信頼関係を築けば高額の融資を得られる」わけではないともいえます。
一方民間融資は、信頼関係が重視される傾向です。
同じ金融機関と長く取引を続けており金融機関からの信用を得ている状態の場合は、高額の融資を受けられるケースもあります。
公的融資のメリット・デメリット
まずは公的融資のメリットとデメリットを紹介します。
公的融資のメリット
民間融資と比較した時の公的融資の主なメリットは3つです。
金利が低い
最も大きなメリットは金利が低い点です。
公的融資の金利は民間融資に比べて低めに設定されています。
融資額が同じでも金利が低いほど返済総額が少なくなるため、民間融資よりも返済負担を抑えられる可能性が高いです。
なお、公的融資は民間融資よりも返済期間が長めの傾向です。
金利が低く返済期間が長いため、毎月の返済額も少なく、負担を最小限に抑えられるでしょう。
創業直後も利用できる可能性がある
公的融資には創業者を対象とした制度もあります。
創業直後でも利用できる融資をまとめて「創業融資」と呼びます。創業融資は創業期の資金調達手段として人気が高い方法です。
無担保で利用できる融資制度もある
一部の制度ではありますが、公的融資には無担保で利用できる融資制度もあります。
ほかにも、保証人不要・通常よりも低い特別金利・返済期間が長い等、返済負担を抑えられる仕組みが多く存在します。
融資による資金調達をしたいものの返済負担を懸念している事業者には、公的融資の方が適しているでしょう。
公的融資のデメリット
続いて、公的融資のデメリットを2つ紹介します。
必要な書類が多い
公的融資の最も大きなデメリットは必要書類が多い点です。
たとえば日本政策金融公庫の創業融資の場合、以下のような書類が必要です。
- ・借入申込書
- ・創業計画書
- ・事業計画書
- ・本人確認書類
- ・履歴事項全部証明書(法人の場合)
- ・法人の印鑑証明書(法人の場合)
- ・賃貸借契約書
- ・源泉徴収票
- ・設備投資目的の場合は見積書
- ・不動産担保を希望する場合は不動産の登記簿謄本
- ・通帳コピー
- ・許認可証
- ・ローンの支払明細書
必要書類は制度によって異なりますが、民間融資よりも多いケースがほとんどです。
申し込みから融資実行までに時間がかかる
公的融資は申し込みから融資実行までに時間がかかります。
日本政策金融公庫の創業融資の場合、申し込み後の面談から融資実行までにかかる期間の目安が2~3週間です。
制度融資の場合は金融機関、自治体、信用保証協会の3つで審査が行われるため、1ヶ月以上かかるケースも珍しくありません。
民間融資のメリット・デメリット
続いて民間融資のメリット・デメリットを紹介します。
民間融資のメリット
民間融資の主なメリットは3つです。
支店数が多いため相談がしやすい
民間融資を提供する金融機関は、支店数が多いため公的融資に比べて相談しやすいというメリットがあります。
店舗へ行き直接相談ができるため、不安をスピーディーに解消できるでしょう。
特に地方銀行や信用金庫であれば、その地域に特化したサポートが期待できます。
信用を得られれば高額の融資を受けられる可能性がある
民間融資を実施する金融機関は、信用を重視する傾向です。
同じ金融機関と長期にわたって取引を継続すれば信用を獲得でき、高額の融資を受けられるようになる可能性もあります。
公的融資よりも申し込みの手間がかからない
民間融資は公的融資に比べて、申し込みの手間がかからない傾向です。
詳細は金融機関によって異なりますが、必要書類は少なく、審査にかかる期間も短いケースが多くみられます。
特にノンバンク融資の場合、申し込んだ当日に審査結果が出て融資実行となるケースもあります。
ただし、申し込みの手間が極端に少ない融資は金利が高い傾向です。
申し込みの手軽さだけでなく、金利をはじめとした諸条件も確認しましょう。
民間融資のデメリット
民間融資のデメリットを2つ紹介します。
金利が高め
民間融資は公的融資に比べて金利が高い傾向です。
特に審査機関が短い融資や申し込み条件が緩い融資は、他の融資に比べて金利が高く設定されているケースが多くみられます。
金利が高ければ返済総額が増え、返済負担が重くなってしまいます。
創業期の利用は難しい
民間融資の多くは、数年以上の事業実績を条件としています。
そのため創業期に民間融資を利用するのは難しいといえるでしょう。
ほとんどの場合、創業期に利用できる融資は公的機関による創業融資に限られます。
まとめ
公的融資は公的機関による融資、民間融資は公的融資以外の融資です。
公的融資と民間融資では、金利の高さや審査の厳しさなどさまざまな面で違いがあります。
公的融資と民間融資はそれぞれ異なるメリット・デメリットを持つため、どちらが良いと一概にはいえません。
大切なのは、自社の状況や目的に合う融資を選ぶことです。
今回紹介した内容を押さえてそれぞれの違いについて理解を深めた上で、自社に適した融資制度を選びましょう。
資金調達に強い税理士によるオンライン無料相談受付中
創業融資・資金調達・補助金申請はサポート実績豊富なBIZARQ会計事務所にお任せください。
現在30分から1時間程度のオンライン無料相談を実施中です。
記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士