
デットファイナンスとは、金融機関からの借入や社債発行による資金調達のことです。「借入金融」とも呼ばれます。
返済義務のある資金はすべてデットファイナンスに該当します。
デットファイナンスは外部から資金を調達する方法ですが、第三者に経営権を握られる恐れがありません。その他にもさまざまなメリットがあります。
ただしデメリットも存在するため、メリット・デメリットの両方を理解した上で、バランスを考慮して実施することが大切です。
今回はデットファイナンスについて詳しく解説します。
会社設立時に実施できる資金調達方法については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
デットファイナンスとは

デットファイナンスとは、金融機関からの借入や社債発行による資金調達のことです。「借入金融」とも呼ばれます。
デットファイナンスによって調達した資金には返済義務があり、負債の部に計上されます。
なお、デット(Debt)は英語で負債を意味する言葉です。
デットファイナンスの種類
デットファイナンスに該当する資金調達手段のうち代表的なものを6種類紹介します。
融資
融資とは金融機関からの借入です。
金融機関の公式サイトや窓口等から申し込みを行い、書類の提出など必要な手続きを経て利用します。
融資は公的機関による公的融資と、公的融資以外の民間融資に大別されます。
公的融資の方が金利が低め・創業期でも利用できる等のメリットがある一方で、審査は厳しい傾向です。
社債発行
社債発行とは、投資家に対して債権を売り出して資金を調達する方法です。
社債を発行する会社は投資家に対して、定められた期間後に元本と利息を返済する旨を約束します。
返済期間や金利は発行時に設定します。信用力が高く経営が安定している企業は、低金利で社債を発行しても資金調達ができる可能性が高いです。
返済期間を迎えたタイミングで一括返済を行うため、返済資金を確保しておく必要があります。
なお、単に「社債発行」と呼ぶ場合は、幅広い投資家に対して社債を売り出す公募債を指すケースが多いです。
公募債は法規制により厳格なルールや細かな手続きが定められているため、手間がかかるというデメリットがあります。
私募債の発行
私募債とは公募以外の手続きにより発行する社債です。
銀行などの金融機関や信用保証協会が償還について保証するのが一般的となります。
公募債に比べて手続きがシンプルな一方、コストがかかりやすい点がデメリットです。
また、公募債と違い発行する対象の範囲が限定的なため、調達できる額は少なめとなります。
コマーシャルペーパー
コマーシャルペーパーとは、公開市場において割引形式で発行する約束手形です。
コマーシャルペーパーは無担保のため、財務状況が良好で信用度の高い企業のみが発行できます。
最小単位は1億円、償還期間は1年未満です。
そのため、上場企業や大企業でなければ実施できない方法といえるでしょう。
シンジケートローン
シンジゲートローンとは、複数の金融機関から組成される「シンジゲート団」との融資契約による資金調達方法です。
1つの契約書に基づき同一条件で融資契約を結びます。
複数の金融機関から融資を受けられるため、個別の融資契約に比べて高額の資金を調達できる可能性があります。
ただし、個別の融資契約を結ぶ場合よりも審査が厳しく、利用するのは容易ではありません。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
融資型クラウドファンディングとは、融資を受けたい企業と資金提供により利益を得たい投資家を仲介するサービスです。ソーシャルレンディングとも呼ばれます。
融資型クラウドファンディングを運営するプラットフォームに登録し、インターネット上で資金提供を募る仕組みとなります。
あくまで融資で営利目的が前提であるため、一般的なクラウドファンディングと違い利息が発生します。
エクイティファイナンスとの違い
エクイティファイナンスとは、自己資本を増やすことによる資金調達方法です。
株式発行や内部留保などがエクイティファイナンスに該当します。貸借対照表上の純資産の部に計上されます。
デットファイナンスとエクイティファイナンスの違いは以下の2つです。
- 計上される場所
- デットファイナンスは貸借対照表の負債の部、エクイティファイナンスは純資産の部に計上されます。
- 返済義務の有無
- デットファイナンスは負債のため返済義務があります。
- エクイティファイナンスは自己資本のため返済義務はありません。
デットファイナンスのメリット

デットファイナンスのメリットを4つ紹介します。
経営権を握られる心配がない
デットファイナンスによって調達した資金は負債に該当します。
出資比率に一切影響を与えないため、資金調達により経営権を握られる心配がありません。
デットファイナンスであれば、高額の資金調達をする場合でも経営権への影響を考えずに済みます。
資金調達方法の選択肢が多い
資金調達方法の選択肢が多い点も、デットファイナンスのメリットです。
前章で紹介したように、デットファイナンスには以下のようにさまざまな方法があります。
- ・融資
- ・社債発行(公募債)
- ・私募債の発行
- ・コマーシャルペーパー
- ・シンジゲートローン
- ・融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
自社の目的や状況に合わせて、適切な方法での資金調達が可能です。
返済実績ができれば信用力が上がる
デットファイナンスにより調達した資金は返済義務があると紹介しました。
そして、デットファイナンスにより調達した資金を契約通りに返済すれば、返済実績ができます。
「この会社は借入をしっかり返済する」「高額の貸付をしても問題ないだろう」という評価につながれば、より高額の借入ができるようになるでしょう。
資本金に変化がないため税金が増える恐れがない
法人が納める税金には以下のように、資本金の額によって適用される税率や税額が異なるものがあります。
- 法人税
- 資本金1億円超の場合は軽減税率の対象外です。
- 法人住民税 均等割
- 資本金や従業員の数によって金額が決まります。
- 最も税額が安く済むのは資本金1,000万円以下かつ従業員数50人以下の場合です。資本金が1,000万円を超えると均等割の額が増えていきます。
デットファイナンスによって調達した資金は負債の部に計上されます。すなわち、どれだけ資金を調達しても資本金はそのままです。
資本金に変化がないため、資金調達により税額が増える恐れもありません。
デットファイナンスのデメリット

デットファイナンスのデメリットを3つ紹介します。
返済義務がある
デットファイナンスに該当する資金調達方法はいずれも返済義務があります。調達した資金を自社のものにできるわけではありません。
単に資金を調達するだけでなく、返済計画についてもしっかり考える必要があります。
利息の支払いが発生する
デットファイナンスによって資金を調達した場合、元本の返済義務だけでなく利息の支払いも発生します。
返済負担が重くなりすぎないよう、元本だけでなく利息額も考慮した上で調達額を決めましょう。
自己資本比率が下がる
デットファイナンスにより資金を調達した場合、負債が増える分自己資本比率が下がります。
自己資本比率が低くなりすぎると、債務超過を原因とした経営悪化や倒産のリスクが高まるため注意が必要です。
ただし、自己資本比率が高ければ倒産しないとは限りません。
自己資本比率については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらをご覧ください。
まとめ
デットファイナンスとは、金融機関からの借入や社債発行による資金調達のことです。
返済義務のある調達資金はすべてデットファイナンスに該当し、貸借対照表の負債の部に計上されます。
一口にデットファイナンスといってもさまざまな種類があり、それぞれ特徴や方法は大きく異なります。
そのため、自社の目的や状況に合う資金調達方法を選ぶことが大切です。
また、実施の検討および実行をする際は、デットファイナンスのメリット・デメリットの両方を押さえる必要もあります。
デットファイナンスについて理解を深めた上で、自社に適した方法をとりましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士