経営革新計画とは、中小企業の新事業活動への取り組みおよび経営の相当程度の向上を目指して策定する計画です。
経営革新計画が国や都道府県に承認されると、さまざまな支援策を受けられるようになります。
経営革新計画の作成にはほかにも様々なメリットがあるため、新事業展開の際は作成するのが良いでしょう。
国や都道府県からの承認を目的とするのであれば、作成方法や申請手順についての確認が必要です。
今回は経営革新計画を作成するメリットや作成方法、申請までの流れについて詳しく解説します。
なお経営革新計画の承認を受けた事業者は、信用保証協会による信用保証の特例の対象になります。
信用保証協会については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
経営革新計画とは
経営革新計画とは、中小企業の新事業活動への取り組みおよび経営の相当程度の向上を目指して策定する計画です。
「経営革新」は中小企業等経営強化法において「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義されています。
経営革新計画が国や都道府県に承認されると、さまざまな支援策を受けられるようになります。
国や都道府県からの承認を得るためには、経営計画に関するルールを押さえて作成した上で、所定の方法による申請手続きが必要です。
新事業活動とは
中小企業等経営強化法による経営革新の定義の中に「新事業活動」という言葉が出てきます。
ここでいう新事業活動が指すのは以下5つの取り組みです。
- ・新商品の開発または生産
- ・新役務(サービス)の開発または提供
- ・商品の新たな生産方式または販売方式の導入
- ・役務(サービス)の新たな提供方式の導入
- ・技術に関する研究開発およびその成果の利用、その他の新たな事業活動
活動の具体例は、中小企業庁によるガイドブックに記載されています。
なお、世に出ていない革新的な活動が必要なわけではありません。
個々の事業者にとって新たな取り組みであれば、他社で既に導入されている技術や方式を利用する場合でも認められます。
ただし、同業企業や同一エリアの導入状況から、すでに相当程度普及していると判断される場合は対象外になるためご注意ください。
経営革新計画を作成するメリット
経営革新計画を作成するメリットを3つ紹介します。
さまざまな支援策を受けられるようになる
経営革新計画について国や都道府県から承認を受けた場合、さまざまな支援策を受けられるようになります。
具体例は以下の通りです。
- ・信用保証の特例
- ・日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
- ・高度化融資制度
- ・食品等流通合理化促進機構による債務保証
- ・海外展開に伴う資金調達の支援措置
- ・販路開拓に関する支援措置
さまざまな支援措置が用意されていますが、特に融資や資金調達に関する措置が充実しています。
資金調達は多くの中小企業で課題になる要素のため、資金調達関連の優遇措置を受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。
計画的な経営ができるようになる
経営革新計画を策定した場合、以降はその計画に沿って経営を進めることになります。
そのため、自社の目標に合わない行動や、無計画な活動をしてしまうリスクが下がります。
経営活動の指針の1つが定まるため、より自社の状況に適した経営ができるようになるはずです。
経営目標を共有しやすくなる
経営計画は目指す目標から逆算して作成します。
そのため作成した経営計画を共有すれば、目指すべきゴールである経営目標も共有されます。
会社として目指す姿を認識した状態で業務に取り組めるようになるため、経営力向上につながる可能性が高いです。
経営革新計画の作成方法
経営革新計画について国や都道府県からの承認を受けることを目指すのであれば、以下の書類の作成が必要です。
- ・経営革新計画
- ・経営革新計画に係る承認申請書
経営革新計画に係る承認申請書は、文字通り経営革新計画について承認を受けることを申請するための書類です。経営革新計画は別表という扱いになります。
いずれも中小企業庁の公式サイトでフォーマットが公開されています。
ただし都道府県独自の様式も存在するため、必要書類についてまずは申請先に確認が必要です。
今回は中小企業庁のパンフレットで公開されている内容を参考に、書類の書き方について解説します。
経営革新計画に係る承認申請書の書き方
経営革新計画に係る承認申請書の主な記載項目は以下の通りです。
- ・行政庁名
- ・日付
- ・住所
- ・名称および代表者の氏名
経営革新計画の主な記載事項
経営革新計画の主な記載事項を紹介します。
- 申請者名・資本金・業種
- 法人に関する基本事項を記載する欄です。
- 新事業活動の類型
- その他を含む6つの選択肢があります。該当する類型すべてに丸をつけます。
- 経営革新の目標
- 経営革新計画のテーマおよび概要を記載する欄です。
- 各期間
- 計画期間又は事業期間、研究開発期間、事業期間の3つを記載する欄があります。
- 経営革新の実施に係る内容
- 記載するべき内容は1と2に分かれています。
- 1は当社の現状と経営課題、2は経営革新の具体的内容(既存事業との相違点、経営戦略における位置付け等)です。
- 経営の向上の程度を示す指標
- 付加価値額、1人当たりの付加価値額、給与支給総額の3つの記載欄があります。
- いずれも現状と計画終了時の目標伸び率の記載が必要です。
以上が別表1の内容です。
別表2は実施計画と実績、別表3は経営計画及び資金計画、別表4が設備投資計画と、細かな内容が続きます。
細かなルールや書き方については、申請書様式に添付されている要領をご確認ください。
経営革新計画の申請手順
最後に、経営革新計画の申請手順について解説します。
都道府県の担当部局等に問い合わせをする
申請書をいきなり提出するのではなく、最初に申請先となる都道府県の担当部局等に問い合わせが必要です。
対象者の要件、経営革新計画の内容、申請窓口等のさまざまな相談を受け付けています。
なお、複数の中小企業者が共同で作成する場合は、国の地方機関等が窓口になるケースもあります。
申請窓口がどこになるか、事前に確認しておきましょう。
必要書類の準備・作成をする
続いて計画の承認申請に必要な書類の準備や作成をします。
前章で紹介したように、承認申請では経営革新計画および経営革新計画に係る承認申請書の提出が必要です。
申請書の様式は提出先によって異なる可能性があります。必ず提出先が指定するものを使いましょう。
なお都道府県の担当部局や中小企業支援センター、商工会議所等では、経営革新計画に関する書類の作成方法についてアドバイスをしています。
申請書を提出する
申請書や経営革新計画の準備が完了したら、申請書等の各種書類を提出しましょう。
申請書の提出先は、申請代表者・実施主体者の構成によって決まります。提出先を誤らないよう、事前に十分ご確認ください。
都道府県知事や国の地方機関等の長の承認を受ける
経営革新計画の承認申請を行った後、都道府県等で審査が行われます。
審査に通過した場合は計画の承認がされ、各種支援措置が利用できるようになります。
ただし、計画の承認は支援措置の利用を保証するものではありません。あくまでも支援の対象者になったというだけです。
保証・融資の優遇措置や販路開拓の支援措置など、支援策を受けるには実施機関が行う審査も受ける必要があります。
まとめ
経営革新計画とは、中小企業の新事業活動への取り組みおよび経営の相当程度の向上を目指して策定する計画です。
計画が国や都道府県に承認されると、保証・融資の優遇措置をはじめとしたさまざまな支援策を受けられるようになります。
経営革新計画の承認申請を行うには、所定の様式および記載要項に従って書類の作成が必要です。
書類作成のルールは複雑な部分が多いため、都道府県の担当部局等でアドバイスを受けるのが良いでしょう。
なお経営革新計画の承認を受けた後、支援措置を利用するには各支援策に関する審査を受ける必要があります。
経営革新計画を活用し、新たな取り組みの実施および経営力の向上を実現しましょう。
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記事監修
BIZARQ株式会社代表公認会計士