早期経営改善計画とは、資金繰りの安定や本源的な収益力の改善に向けて策定する計画です。
早期の経営改善に取り組みたい中小企業等を対象に、認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援する事業を「早期経営改善計画策定支援」といいます。
早期経営改善計画は認定支援機関による伴走支援を受けながら作成します。
早期経営改善計画策定支援の申請までの工程ではさまざまな手続きが必要なため、事前に大まかな流れを知っておくのが良いでしょう。
今回は早期経営改善計画について詳しく解説します。
認定支援機関については以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
早期経営改善計画とは
早期経営改善計画とは、資金繰りの安定や本源的な収益力の早期改善を目標として策定する計画です。
早期の経営改善に取り組みたい中小企業等を対象に、認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援する事業を「早期経営改善計画策定支援」といいます。
早期経営改善計画策定支援のメリット
早期経営改善計画策定支援の制度を利用するメリットを3つ紹介します。
専門家によるアドバイスやサポートを受けられる
早期経営改善計画策定支援は認定支援機関による伴走支援が前提の制度です。
そして、中小企業の支援についての専門知識および実務経験があると国から認定を受けた機関のみが認定支援機関として活動できます。
すなわち制度を利用する場合は、専門知識や実務経験があると認められた専門家によるアドバイスやサポートを受けられるのです。
なお、認定支援機関として認定を受けている機関として以下の例が挙げられます。
- ・税理士
- ・公認会計士
- ・商工会議所
- ・中小企業診断士
- ・金融機関
専門家に対する費用の補助を受けられる
専門家から経営改善についてのアドバイスやサポートを受けるためには、専門家に対して報酬の支払いが必要です。
早期経営改善計画策定支援の利用に際して認定支援機関の支援を受ける場合も、報酬の支払いが必要な点は同じです。
ただし早期経営改善計画策定支援では、専門家に対する支払費用の3分の2(上限25万円)は、中小企業活性化協議会が支援する仕組みとなっています。
すなわち同支援制度を利用する場合、専門家に対して支払う報酬は通常の3分の1で済みます。
早期経営改善計画策定支援は、通常よりも金銭面の負担を抑えながら専門家のサポートを受けられる制度といえるでしょう。
経営改善計画の策定により自社の課題や改善策を把握できる
早期経営改善計画策定の過程で、今まで気づいていなかった自社の課題や改善策を把握できる可能性があります。
「今の状況をどうにかするべきだとは思うけれど、どうすれば良いかわからない」「何が問題なのか、それすら把握できない」
このような状況も、早期経営改善計画策定支援の利用によって解消されるでしょう。
早期経営改善計画策定支援の内容
早期経営改善計画策定支援で受けられるのは、早期経営改善計画に記載するべき要素を明確化するためのサポート全般です。
以下で詳しく解説します。
ビジネスモデル俯瞰図の策定
ビジネスモデル俯瞰図とは、収益を上げるまでの仕組みや商流(取引の流れ)を見える化したものです。
自社の経営課題や改善するべき点を把握するためには、まずは全体像の把握および現状分析を行う必要があります。
また、制度の申請時に提出する事業計画書にはビジネスモデル俯瞰図を提示するのが前提です。
そのため、早期経営改善計画策定支援では専門家によるビジネスモデル俯瞰図の作成が行われます。
経営課題の内容と解決に向けた基本方針
経営課題の内容と解決に向けた基本方針に該当する要素として以下の例が挙げられます。
- 各観点における現状分析、問題点の把握
- 財務面、外部環境、内部環境といった要素別に現状分析を行うのが一般的です。
- 現状分析を踏まえた経営課題
- 解決するべき経営課題および解決策を検討します。
アクションプラン
ここでいうアクションプランとは、「見える化」された課題を行動計画に落とし込む工程です。
経営課題ごとに具体的な取り組み内容を検討し、実施する時期や実行責任者も決めていきます。
損益計画の策定
アクションプランによって考えられる改善効果を数値化し、計画を策定していきます。
根拠のない数値や楽観的な数値ではなく、説得力のある現実的な内容にする必要があります。
損益計画を実現するために必要となる前提条件(改善事項)の明確化も必要です。
資金繰り表
過去の資金繰り実績を分析した上で、実現可能かつ目標達成につながるような将来の資金計画を作成します。
計画策定に関する支援内容は以上です。
ただし、計画策定が完了し支援を申請した後も専門家からの支援は続きます。
計画策定後の支援内容の例は以下の通りです。
- ・数値計画と実際の差異の確認
- ・アクションプランの取り組み状況の確認
- ・現状に問題がある場合、対応策の検討
- ・「伴走支援報告書」の作成、計画の進捗状況について金融機関等へ報告
早期経営改善計画の作成方法
早期経営改善計画の明確な様式はありません。
ただし自社の判断で自由に作って良いわけではなく、認定支援機関の指示を仰ぎながら作成する必要があります。
中小企業庁の公式サイトで公開されている策定例に目を通し、計画書の大まかなイメージを掴むのが良いでしょう。
早期経営改善計画策定支援の申請の流れ
早期経営改善計画策定支援の申請の流れは大きく5つの工程に分けられます。それぞれ詳しく解説します。
金融機関から「事前相談書」を受け取る
支援制度の申請には、金融機関による「事前相談書」が必要です。
そのため認定支援機関に相談する前に、金融機関に早期経営改善計画を策定する旨を伝え、事前相談書の発行を受けましょう。
依頼する認定支援機関を探す
続いて、依頼する認定支援機関を探して問い合わせをします。
認定支援機関は中小企業庁が運営する「認定経営革新等支援機関 検索システム」で検索が可能です。
ほかにも顧問税理士に相談する方法や、知人からの紹介を受ける方法もあります。
外部専門家(認定支援機関)と連名で利用申請書を提出する
早期経営改善計画を利用するためには、外部専門家(認定支援機関)と連名で利用申請書を提出する必要があります。
申請時の主な必要書類は以下の通りです。
- ・早期経営改善計画策定支援事業利用申請書
- ・申請者の概要
- ・業務別見積明細書
- ・履歴事項全部証明書
- ・認定経営革新等支援機関であることを証明できる書類
- ・事業者に対する認定経営革新等支援機関の見積書及び単価表
- ・金融機関による事前相談所
- ・直近3年分の申告書
申請書の作成や必要書類の準備ができたら、経営改善支援センターへ提出します。
利用申請が承認されると外部専門家にその旨が通知されます。
早期経営改善計画を策定・金融機関へ提出する
認定支援機関の支援を受けながら早期経営改善計画を策定します。
前述の通り、早期経営改善計画書には特に決まった様式はありません。
計画策定が完了したら、外部専門家と一緒に金融機関へ提出します。
その後金融機関から、早期経営改善計画を提出した旨を証明する書類を受け取ります。
経営改善支援センターに費用申請をする
経営改善支援センターに対して、早期経営改善計画の策定に対する費用の申請を行います。
費用申請書類も認定支援機関との連名が必要です。
経営改善支援センター側で経営改善計画および申請書の内容を確認します。
内容が適切と判断されれば認定支援機関にその旨が通知されます。
その後、経営改善支援センターから認定支援機関に計画策定費用の3分の2が支払われる流れです。
まとめ
早期経営改善計画とは、資金繰りの安定や本源的な収益力の改善など、経営課題の早期改善に向けて策定する計画です。
早期の経営改善に取り組みたい中小企業等を対象に、認定支援機関が計画策定を支援する事業を「早期経営改善計画策定支援」といいます。
支援制度を利用するためには認定支援機関だけでなく、金融機関や経営改善支援センター等さまざまな機関での手続きが必要です。
必要書類の数も多いため、スムーズな申請手続きをするためには制度の詳細を把握しておく必要があります。
早期経営改善計画策定支援について理解を深め、制度を上手く活用しましょう。
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BIZARQ株式会社代表公認会計士