私募債とは?種類や活用方法、メリット・デメリットを解説!

2025.01.02

私募債とは、金融機関や特定少数の投資家に引き受けを依頼して発行する社債です。

公募債に比べて発行手続きが簡便・発行手数料が安く済む等のさまざまなメリットがあります。

一方で高額の資金調達は難しい点や、償還期限が過ぎると一括返済が必要な点に注意が必要です。

 

今回は私募債の概要や活用方法、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

 

自社の状況に適した資金調達方法については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

私募債とは

私募債とは、金融機関や特定少数の投資家に引き受けを依頼して発行する社債です。資金調達方法の1つに挙げられます。

公募債との違い

社債は私募債と公募債に大別されます。

公募債とは、証券会社を通じて広く一般に募集される社債です。

高額の資金調達が期待できる一方で、私募債よりも手数料が高い点がデメリットとして挙げられます。

高額の資金調達が必要となる上場企業や大規模な企業に向いている手法です。

 

前述のように、私募債は金融機関や特定少数の投資家に引き受けを依頼して発行します。

公募債とは発行方法や対象だけでなく、資金調達方法としてのメリット・デメリットも大きく異なります。

私募債の種類

私募債は発行先や保証先によって3種類に分けられます。それぞれ詳しく解説します。

少人数私募債

少人数私募債とは6ヵ月の通算で50人未満の少人数に対して募集をかける私募債です。

家族、知人、取引先等の狭い範囲に購入してもらうケースが多いことから、縁故債とも呼ばれます。

 

少人数私募債の特徴は以下の3つです。

  • ・有価証券届出書や有価証券報告書の提出が不要
  • ・担保および保証人が不要
  • ・利率を自由に設定できる

 

発行金額は一般的に総額1億円未満です。

1億円以上の募集も可能ではあるものの、1億円以上になると金融商品取引法に基づくさまざまな義務が発生するため、手軽さが失われます。

少人数私募債のメリットを最大限に活かすため、総額1億円未満にするケースが多くみられます。

 

なお、少人数私募債の要件である50人未満は、発行時点だけでなく発行後も満たす必要があります。

少人数私募債が他者に譲渡され所有者が50人以上になってしまうのも厳禁です。

したがって少人数私募債の転売を防ぐため、譲渡制限をつける必要があります。

銀行保証付私募債

銀行保証付私募債とは、銀行が引き受けおよび元利保証を行う私募債です。

銀行が財務代理人として投資家の募集から期中管理まで一貫して行います。

 

銀行保証付私募債の特徴を3つ紹介します。

  • ・投資家の募集、私募債の管理、投資家への元利支払いなどを一任できるため企業の手間が少ない
  • ・事務手数料や利息などのコストがかかる
  • ・銀行の審査基準に通過する必要がありハードルが高い

信用保証協会保証付私募債

信用保証協会保証付私募債は、銀行と保証協会で共同保証を行う私募債です。

前項で紹介した銀行保証付私募債と同様に、投資家の募集から期中管理まで一連の作業を銀行で引き受けます。

そして発行する私募債の元利金支払について、銀行と信用保証協会が保証をします。

 

信用保証協会保証付私募債の特徴の多くは、前述の銀行保証付私募債と同じです。

信用保証協会保証付私募債ならではの特徴としては以下の2つが挙げられます。

  • ・前述の銀行保証付私募債よりも発行できる金額が大きい
  • ・銀行と信用保証協会の両方に保証料を支払うため、コストがかかる

私募債のメリット

私募債のメリットを5つ紹介します。

資金調達方法の多様化につながる

私募債の大きなメリットの1つが、資金調達方法の多様化につながることです。

 

私募債はあくまでも負債のため、ほかの融資と同じく返済の義務はあります。

しかし金融機関等の融資と違い、以下のような特徴があります。

  • ・資金使途の定めがない
  • ・金額や利率等の自由度が高い
  • ・償還期限に一括返済する仕組みのため、返済期間中は利息の支払いのみ
  • ・特定の金融機関ではなく、市場から直接資金を調達する方法である

このように融資などの借入金とは全く異なる性質です。

 

資金調達方法の選択肢が多いほど、状況に応じて適切な手段をとれる可能性が高くなります。

資金調達の多様化を図れること自体が大きなメリットといえるでしょう。

発行手続きが簡便

私募債は同じ社債である公募債に比べて発行手続きが簡便です。

特に、銀行保証付私募債および信用保証協会保証付私募債であれば、手続きの大部分を銀行に一任できます。

社債発行に際して企業側で行う作業が最小限で済むため、手軽かつスピーディーな資金調達が可能です。

 

なお、少人数私募債の場合は会社側で発行手続きを行う必要がありますが、公募債よりは簡便な手続きで済みます。

資金調達にかかるコストが低い

私募債は公募債に比べて、資金調達にかかるコストが低めです。

公募債では発生し、私募債では発生しないコストとして以下の例が挙げられます。

  • ・有価証券届出書の作成に関する専門家報酬
  • ・社債管理者の設置コスト

 

私募債は必要な作業が少ない分、発生するコストも少なく済ませられます。

 

ただし、資金調達コストを抑えられるのは少人数私募債の場合です。

銀行保証付私募債や信用保証協会保証付私募債の場合、銀行に手数料の支払いが必要なため、かえってコストがかかる恐れがあります。

企業のイメージアップや信用力の向上につながる

私募債を発行したという事実そのものが、企業のイメージアップや信用力の向上につながる可能性もあります。

 

保証付きの私募債は、銀行の審査を通過しなければ発行できません。

私募債の発行は銀行から優良企業の評価を得ていることの証明にもつながるため、イメージアップや信用獲得を期待できます。

 

なお、少人数私募債の場合は発行に際して特に審査を受ける必要はありません。

ただし、ある程度の信用を得ていなければ私募債の購入者が集まらないでしょう。

保証人や担保が不要

私募債の発行において保証人や担保は不要です。

特に担保が不要な点は大きなメリットといえるでしょう。

担保として設定した資産は、別の融資申し込みに際して改めて担保とすることができません。

しかし担保ありの融資と、担保なしの資金調達方法の併用は可能です。

担保ありの融資と私募債の両方を利用すれば、トータルで高額の資金調達もできるでしょう。

 

ただし銀行や信用保証協会によっては、保証額が一定額を超える場合は担保が必要となります。

私募債のデメリット

続いて、私募債のデメリットを2つ紹介します。

高額の資金調達は難しい

私募債のデメリットの1つが、高額の資金調達は難しい点です。

 

前述のように、少人数私募債は総額1億円未満が前提です。

そのため公募債に比べて調達額はどうしても少なくなってしまいます。

 

銀行保証付私募債や信用保証協会保証付私募債の場合、保証額の上限が私募債の実質的な限度額となります。

元金の一括返済が必要

私募債の元金返済方法は原則として一括返済のみです。

そのため、償還期限になったら元金の一括返済をする必要があります。

 

なお、一般的な銀行融資等と違い、私募債はリスケジュールもできません。

毎月の利息の支払いおよび償還期限の一括返済をしっかりこなせるよう、入念な資金計画を立てる必要があります。

まとめ

私募債とは金融機関や特定少数の投資家に引き受けを依頼して発行する社債です。

 

公募債と比較した時の主なメリットとして、発行手続きが簡便な点が挙げられます。

また、銀行保証付私募債や信用保証協会保証付私募債であれば企業のイメージアップにもつながるでしょう。

 

デメリットとして、高額の資金調達は難しい点と、元金の一括返済が必要な点が挙げられます。

元金の一括返済を無理なく行うためには十分な資金を確保する必要があります。

毎月の返済負担は小さいものの、入念な資金計画は必要です。

 

私募債を上手く活用するため、種類ごとの特徴およびメリット・デメリットについて理解を深めましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
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