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家族への給与を経費に!青色事業専従者給与の要件と注意点(2026年最新)

全国47都道府県(フルリモート対応)で、適切な確定申告代行や税務サポートを通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
個人事業主として事業が軌道に乗り始めると、多くの経営者が直面するのが「税金の負担」という大きな壁です。日々の業務や集客に追われる中、配偶者やご家族に事業を手伝ってもらっているケースも多いのではないでしょうか。その際、「家族に支払う給与を経費にできれば、もっと手元にお金を残せるのではないか」と考えたことはありませんか?
個人事業主が家族に支払う給与は、原則として経費(必要経費)として認めることができません。しかし、青色申告を行っている事業者であれば、「青色事業専従者給与」という特別な特例制度を活用することで、家族へ支払った給与を全額経費として計上し、節税効果を得ることが可能となります。強力な節税効果がある反面、事前の届出や厳格な要件を満たす必要があり、自己流の運用は税務調査で否認されるリスクもあるため注意が必要です。
本記事では、青色事業専従者給与の基本的な仕組みや厳格な4つの適用要件、配偶者控除との違い、そして2026年の最新税制改正を踏まえた具体的な節税シミュレーションまで詳しく解説します。
なお、専従者給与の活用以外にも、個人事業主が取り組むべき節税テクニックは数多く存在します。より網羅的な節税対策をお探しの方は、関連コラム『個人事業主の節税対策とは?おすすめテクニック9選!』もあわせてご参照ください。
プロの視点専従者給与は「世帯全体の手残り」と「2026年の最新税制」で設計する
青色事業専従者給与の活用を検討する際、私たちが最も重視するのは、単なる「事業主本人の税負担がいくら減るか」という目先の数字だけを見るのではなく、「世帯全体の手残り資金(キャッシュフロー)が真に最大化されるか」という視点です。
家族に給与を支払って事業主本人の所得税や住民税、国民健康保険料が安くなったとしても、給与を受け取った家族側に多額の所得税や住民税、さらには社会保険料の自己負担が発生してしまっては、世帯全体での資金流出が増えてしまい本末転倒となりかねません。
さらに見逃せないのが、2026年(令和8年度)税制改正による制度変更です。令和8年度税制改正では、物価高動向に対応するため、個人の基礎控除額が本則として従来の48万円から62万円へと引き上げられました。さらに、合計所得金額が489万円(給与収入665万円相当)以下である中小規模の個人事業主や給与所得者に対しては、42万円の特例加算が適用される措置が講じられています。これにより、基礎控除の合計額は104万円にまで拡大されました。同時に、給与所得控除の最低保障額も引き上げられ、就業調整(いわゆる「年収の壁」)に対応する観点から所得税の課税最低限が事実上178万円まで引き上げられています。
これにより、給与以外の所得がない場合、専従者給与が年間178万円以下であれば、専従者本人の所得税負担が発生しないケースがあり、家族給与の非課税枠が従来に比べて広くなったといえます。
しかし、配偶者が会社員等の健康保険の被扶養者となっている場合は、社会保険上の収入基準(いわゆる「130万円の壁」等)にも注意が必要です。そのため、給与額を抑えて源泉徴収事務の手間や社会保険の扶養から外れるリスクを回避するのか、それとも事業の拡大に合わせて社会保険の扶養から外れることを前提に年間200万円〜300万円以上のしっかりとした給与を支払い、事業主の限界税率を下げる戦略をとるのか、事業の将来を見据えた緻密なシミュレーションが求められます。
私たちBIZARQ(ビズアーク)グループは、税制と社会保険の複雑な関係を解き明かし、東京・新宿エリアをはじめ全国47都道府県の経営者様に最適な財務戦略をご提供しています。
専従者給与(青色事業専従者給与)とは?制度の概要と基本ルール
はじめに、青色事業専従者給与の基本的な制度概要と、なぜこの制度が個人事業主にとって効果的な節税手法の一つとされるのかを整理します。
原則として家族への給与は経費不可
税法上の大原則として、個人事業主が自分と「生計を一にする(生活費の財布を同じくしている)」配偶者や親族に対して支払った給与、家賃、地代などは、事業の必要経費として計上することが一律で禁止されています。
このルールの背景には、家族間で自由にお金を移動させることで、事業主の所得を恣意的に分散させ、不当に税負担を逃れる租税回避行為を防ぐという目的があります。したがって、白色申告を行っている事業者が配偶者や子供に給与を手渡したとしても、その支払額はいかなる理由があっても経費としては認められません。
特例青色事業専従者給与の節税メリット
この「家族への給与は経費不可」という大原則に対する例外特例が、「青色事業専従者給与」の制度です。
適切な青色申告の承認を受けている個人事業主が、税務署へ事前の届出を行い、一定の厳格な要件を満たした上で生計を一にする家族に給与を支払った場合、その支払額の全額を必要経費に算入することが特別に認められます。
日本の所得税は、所得が増えれば増えるほど税率が高くなる「超過累進課税」の仕組みをとっています。事業主一人が年間800万円の所得(税率23%)を独占するよりも、事業を手伝う配偶者に年間300万円の専従者給与を支払い、事業主の所得を500万円(税率10%)に抑えて所得を分散(所得分散効果)させた方が、世帯全体で納める所得税・住民税・国民健康保険料の合計額を大幅に軽減できる見込みがあります。
青色事業専従者給与の適用を受けるための厳格な4つの要件

大きな節税メリットがある青色事業専従者給与ですが、国税庁では不当な節税を防ぐため、非常に厳格な適用要件を設けています。以下の4つの要件をすべて満たしている必要があります。(参考:国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除)
①青色事業専従者の対象となる人の条件
給与の支払いを受けるご家族が、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
- 生計を一にする配偶者その他の親族であること
必ずしも同居している必要はありませんが、生活費や学費の送金等で財布が共通している実態が必要です。 - その年の12月31日時点で、年齢が15歳以上であること
小・中学生や15歳未満の子供は対象外となります。 - その年を通じて6か月を超える期間、その青色申告者の事業に専ら従事していること
年の途中で開業・廃業した場合や就労不能期間がある場合は、従事可能期間の2分の1を超える期間専従していることが求められます。
②税務署への事前の届出期限と手続き
要件を満たす家族に給与を支払う場合であっても、税務署への事前届出が必須です。「青色事業専従者給与に関する届出書」を、納税地を管轄する税務署長へ提出しなければなりません。
提出期限は原則として、専従者給与を経費に算入しようとする年の3月15日までです。ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開業した場合や、結婚や退職等により年の途中で新たに専従者が事業に従事することになった場合は、その開始した日や従事し始めた日から2か月以内に提出すれば当該年からの適用が認められます。
③届出書に記載した範囲内での支払いであること
「青色事業専従者給与に関する届出書」には、専従者の氏名、職務内容、給料の支給期日、そして「給与の金額の基準(上限額)」や「賞与の支給基準」を具体的に記載します。
実際に支払う給与や賞与は、この届出書に記載した金額・方法の範囲内でなければなりません。業績が予想以上に好調だったからといって、税務署に無届のまま年の途中で急に給与を増額したり、届出にない賞与を支給したりした場合、その超過分や賞与分は経費として一切認められなくなります。給与を増額したい場合は、あらかじめ「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく提出する必要があります。
④労務の対価として適切な給与額であること
税務署に高額な給与額を届け出たとしても、その金額が「労務の対価として不相当に高額である」と判断された場合、過大とみなされる部分は経費算入が否認されます。
適正額であるかどうかは、専従者が担当する業務の難易度や専門性、労働時間・日数、事業の規模や収益性、さらには同種同規模の事業所で同様の業務を行う第三者従業員の給与水準などを総合的に考慮して判断されます。単に「節税したいから」という理由だけで、実態に伴わない高額給与を設定することは厳禁です。
【2026年最新税制対応】専従者給与と配偶者控除の節税シミュレーション
専従者給与制度を活用する際、必ず理解しておかなければならない点があります。専従者給与の適用を受ける家族については、事業主の確定申告において「配偶者控除」や「扶養控除」を重ねて受けることができなくなるという点です。
つまり、「専従者給与を経費にして事業所得を減らす効果」と、「配偶者控除・扶養控除(年間38万円等)を失うデメリット」を正確に算定・比較しなければなりません。
ここでは、2026年(令和8年度)の最新税制に基づく具体的な計算シミュレーションを行い、どちらを選択すべきかを検証します。
令和8年度税制改正基礎控除引き上げによる影響
2026年の最新税制では、個人事業主本人の基礎控除が本則62万円(旧48万円)へ引き上げられ、合計所得金額489万円以下の特例加算(42万円)を合わせると基礎控除額が合計104万円となります。また、専従者である配偶者側も、給与所得控除の最低保障額改定等により、年間178万円までの給与であれば所得税がかからない枠組みとなっています。
比較検証専従者給与 vs 配偶者控除
以下の共通条件を設定し、事業主本人の所得税額の違いを試算します。(※理解を容易にするため、社会保険料控除等のその他の所得控除や住民税・復興特別所得税は考慮していません)
- 年間事業収入(売上)
500万円 - 配偶者給与以外の必要経費
100万円 - 配偶者への年間給与額
80万円(月額約6.6万円) - 青色申告特別控除
65万円 - 基礎控除(2026年最新基準)
104万円(合計所得489万円以下の特例適用) - 配偶者控除額
38万円
| 損益項目・控除項目 | パターンA:専従者給与(80万円)を計上 | パターンB:配偶者控除(38万円)を適用 |
|---|---|---|
| 事業収入(売上) | 5,000,000円 | 5,000,000円 |
| 必要経費(給与除く) | -1,000,000円 | -1,000,000円 |
| 青色事業専従者給与 | -800,000円 | 0円(経費計上不可) |
| 事業所得の金額 | 3,200,000円 | 4,000,000円 |
| 青色申告特別控除 | -650,000円 | -650,000円 |
| 基礎控除(2026年最新基準) | -1,040,000円 | -1,040,000円 |
| 配偶者控除 | 0円(適用不可) | -380,000円 |
| 課税される所得金額 | 1,510,000円 | 1,930,000円 |
| 適用所得税率 | 5% | 5% |
| 事業主の所得税額 | 75,500円 | 96,500円 |
※課税所得1,949,000円以下の税率は5%で計算。
試算結果の通り、配偶者控除(38万円の控除)を適用した場合の所得税額が96,500円であるのに対し、専従者給与(80万円の経費化)を選択した場合は所得税額が75,500円となり、事業主本人の所得税だけでも21,000円の節税となります。
さらに、専従者である配偶者自身に支払われた80万円の給与は、2026年税制における配偶者自身の非課税枠(178万円)の範囲内に収まるため、配偶者側に所得税は発生しません。住民税や国民健康保険料の軽減効果も含めると、世帯全体での手残り資金の差はさらに広がる可能性があります。
専従者給与の制度を使い節税を行う際の3つの注意点

専従者給与は節税効果を発揮しますが、実務運用においては以下の3つのポイントに注意する必要があります。
1.配偶者控除や扶養控除との併用はできない
前述の通り、青色事業専従者として一度でも給与の支払いを受けた家族は、その年の給与支給額がたとえわずかな金額であったとしても、事業主の確定申告において配偶者控除や扶養控除の対象にすることは法律上認められません。
例えば、「年の途中で事業が落ち込んだため、専従者給与の支給をストップしたから年末調整や確定申告で配偶者控除に切り替える」といった併用は認められません。専従者給与を選択する場合は、年間を通じて計画的に運用することが必要不可欠です。
2.高額すぎる給与は税務調査で否認されるリスクがある
事業主の所得税率が高いからといって、配偶者の給与を月額50万円(年間600万円)のように極端に高く設定することは避けるべきです。
税務署は、専従者の実際の勤務実態、出勤日数、業務内容(経理作業や電話対応のみ等)を細かく精査します。一般的な事務作業に対して不相当に高い給与が支払われていると判断された場合、過大と評価された金額が経費から除外され、追徴課税の対象となるリスクがあります。給与額は必ず実態の労働対価に見合った適正な水準で設定しなければなりません。
3.対象者が副業やパートをしている場合の「専従」の判断
専従者給与の適用を受けるための最も重要な要件が「専ら事業に従事している(専従)」ことです。税務署の判断は非常に厳しく、基本的には他で働いている場合は認められない前提で慎重に判断する必要があります。
対象のご家族が他社でフルタイム勤務を行っている場合は勿論のこと、日中に別の会社でパートやアルバイトをしている場合でも、専従要件を満たさないと判定される可能性が極めて高いのが実情です。「短時間のアルバイト程度なら大丈夫だろう」と自己判断することは非常に危険です。他で収入を得ているご家族を専従者にする検討を行う場合は、勤務時間や業務内容の詳細な記録を残した上で、あらかじめ税理士等の専門家に相談することを強く推奨します。
「家族への給与を経費にして節税!青色事業専従者給与の解説」まとめ
- 青色事業専従者給与の活用
事前届出と厳格な要件を満たすことで、家族への給与を全額経費化し、所得分散による節税効果が得られます。 - 世帯全体でのシミュレーション
配偶者控除との併用不可を踏まえ、2026年最新税制(基礎控除104万円・非課税枠178万円)を考慮した適正な給与設定が必要です。 - 厳格な実態運用とリスク管理
実態に見合わない高額給与や、副業・パートがある場合の専従判定は非常に厳しい趣旨から、事前に専門家へのご相談をおすすめします。
家族への給与設定や、2026年最新税制に対応した確定申告・節税対策でお悩みなら、迷わずプロにご相談ください。東京・新宿エリアをはじめ全国47都道府県で、個人事業主やフリーランスの皆様のバックオフィスDXと財務戦略を強力に支援しているBIZARQ(ビズアーク)会計事務所が、貴社に最適な節税プランをご提案いたします。平均年齢33歳の機動力を活かし、ChatworkやLINEでいつでも気軽に相談できる体制を整えております。日々の記帳代行から確定申告までのトータルサポートをご希望の方は、当グループの確定申告代行サービスもぜひご検討ください。あなたの事業を「加速」させるパートナーとして、いつでもお待ちしております。ご相談は、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。
「青色事業専従者給与」に関するよくある質問
可能です。ただし、税務署へあらかじめ提出する「青色事業専従者給与に関する届出書」に、賞与の支給時期や支給基準(例:夏・冬各1か月分など)を明記しておく必要があります。届出に記載がない賞与の支給は原則として経費として認められません。
専従者給与についても給与所得として源泉徴収の対象となる場合があります。給与額や「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出状況に応じて、源泉徴収税額表に基づき処理し、原則として翌月10日までに税務署へ納付する義務が生じます。(※なお、源泉徴収が必要となる基準額等は、2026年以降の基礎控除引き上げ等に伴う税制改正により変更される可能性があります。)
法律上は現金手渡しでも違法ではありませんが、税務調査対策としてはおすすめできません。口頭での手渡しは後から客観的な支払証拠を示すことが難しく、トラブルの要因となります。必ず事業用銀行口座から専従者個人の銀行口座へ毎月定額を振り込み、振込履歴という確実な証拠を残すようにしてください。
出産・育児などにより一時的に従事できない期間がある場合でも、直ちに経費算入が不可となるわけではなく、年間の従事状況や事業への関与実態を踏まえて総合的に判断されます。休業期間中の具体的な処理については税理士へご相談ください。
この記事の監修者

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka
BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士
大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。


