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2026.06.16
会社設立後の社会保険加入手続きとは?必要書類や流れを徹底解説

全国47都道府県(フルリモート対応)で、最新の税制改正への適応と戦略的な財務支援を通じて企業の成長を強力にバックアップする東京・新宿の税理士事務所、BIZARQ(ビズアーク)グループ 代表(公認会計士・税理士・行政書士)の吉岡伸晃です。
会社設立そのものは、会社設立の登記申請が受理されれば完了となります。しかし、会社設立が完了しても、会社運営を進めるためにはさまざまな作業が必要です。会社設立後、迅速に行うべき作業のひとつに社会保険の加入手続きがあります。個人事業主と違い、会社は社会保険の加入が必須です。社会保険手続きには期日も定められているため、早めに対応しなければなりません。
今回は社会保険の加入手続きについて、必要書類や流れを詳しく解説します。
目次
【プロの視点】人件費とキャッシュフローを見据えた戦略的労務設計
税務・労務の双方をワンストップで支援する総合士業グループの視点から、新しく会社を設立されたオーナー経営者へ、最初にお伝えしておかなければならない極めて重要な実務の本質があります。それは、「社会保険の加入は、単なる行政上の手続き義務ではなく、法人の『人件費キャッシュフロー』を決定づける最大の固定費設計である」という視点です。
社会保険(健康保険・厚生年金)の最大の財務的特徴は、支払うべき保険料を会社と従業員で完全に半分ずつ負担する「労使折半」の仕組みにあります。これは、役員である経営者ご自身の報酬に対しても同様です。つまり、役員報酬や従業員給与を設定した瞬間に、その総支給額の「約15%」に相当する金額が、法人の「法定福利費」という現金の支出(コスト)として毎月確実に上乗せされることを意味します。
特に、個人事業主から法人成りされたケースでは、この労使折半による法人のキャッシュアウト(現金の流出)を甘く見積もっていたために、売上は順調なのに手元の運転資金が想定以上に圧迫されてしまうというトラブルが、私たち東京・新宿の現場でも多々見受けられます。さらに、近年の働き方改革にともなう法改正により、短時間労働者(パート・アルバイト)に対する社会保険の適用拡大の波は、年々小さな規模の企業へと確実に押し寄せています。だからこそ、単に「言われた通りに書類を年金事務所に提出して終わり」とするのではなく、将来の採用計画や売上予測、税引後の利益の残り方までを見据え、税理士や社会保険労務士といった次世代型パートナーを味方につけて、人件費とタックスプランニングを高度に融合させた「攻めと守りの財務・労務戦略」を最初期から組み立てておくことが不可欠なのです。
会社設立後に加入が必要な社会保険の基礎知識
まずは会社設立後に加入が必要となる社会保険について、制度の概要を紹介します。
社会保険の定義と労使折半のコスト負担
社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・労働保険・国民健康保険など保険制度の総称です。しかし、法人に関する場面で社会保険と呼ぶ場合、健康保険と厚生年金保険の2つのみを指すケースが一般的です。本記事でも以降は狭義である健康保険と厚生年金保険の2つの意味で、社会保険という言葉を扱います。
法人に加入義務のある健康保険・厚生年金保険の特徴は、保険料を保険の加入者である従業員と法人が折半する点(労使折半)です。たとえば毎月の健康保険料が1万円である場合、保険加入者である従業員が5,000円、法人が5,000円と半額ずつ負担することになります。保険加入者の支払う保険料は給与や賞与から天引きされ、会社が代わって納付するのが一般的です。
社長一人の会社でも強制加入となる法的義務
会社には従業員の有無や数に関係なく、社会保険の加入が義務付けられています。従業員を雇わない、すなわち社長一人の会社であっても社会保険の加入が必要です。社会保険未加入の場合、過去2年にさかのぼって延滞金を含む社会保険料の徴収や、罰則が課せられる恐れがあります。会社設立の完了後、必ず社会保険の加入手続きも行いましょう。
個人事業主から法人成りを選択することで、税制面だけでなく社会的な信用度も大きく向上しますが、同時にこのような法定コストの発生タイミングを正しく把握しておく必要があります。法人化にともなう具体的な税務上の判断基準や、節税メリットの全体像について事前におさらいしておきたい起業家様は、以下の関連記事を合わせてご確認ください。
非正規社員の加入条件と適用拡大の最新ルール
なお、社会保険の加入が義務付けられているのは正社員だけではありません。以下の要件を満たす場合、非正規雇用の社員でも社会保険の加入義務があります。
- 正社員の4分の3以上の就労
週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上ある場合は、非正規雇用であっても加入対象となります。 - 5つの要件を満たす短時間労働者
週の所定労働時間が20時間以上、2ヶ月超の雇用期間が見込まれる、月額賃金が8.8万円以上、従業員51人以上の企業等に勤務している、学生でない、のすべてを満たす非正規労働者は加入が必須です。
近年は働き方改革により、社会保険の対象となる人や加入義務の要件について頻繁に法改正が行われています。上述した従業員数の要件についても、適用範囲が拡大しているため最新の要件や法律を必ずご確認ください。
従業員を雇う場合に必須となる労働保険の仕組み
法人が加入する保険として、社会保険のほかにも労働保険が挙げられます。労働保険とは、労災保険および雇用保険をまとめた呼び名で、労働者を守るための保険です。雇用保険とは労働者の雇用安定や失業時の保障、労災保険は業務中や通勤中の負傷・疾病・障害などに備える制度です。
従業員がいない場合、労働保険の加入は必要ありません。前述したように労働保険は従業員のための制度であり、経営者には適用されないためです。社長一人の会社である場合、社会保険のみ加入が必要となります。ただし、従業員を雇う場合は、会社設立後に社会保険と合わせて労働保険の加入も必要です。労災保険・雇用保険の加入義務は以下の通りです。
- 労災保険
パート・アルバイトを含むすべての労働者が対象となります。 - 雇用保険
週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある労働者が対象となります。
社会保険の加入手続きに必要な書類と記載項目

社会保険加入に必要な書類について、概要や書き方を紹介します。なおいずれの書類も、提出先は会社所在地を管轄する年金事務所です。提出方法は郵送・窓口持参・電子申請の3種類がありますが、電子申請は事前に所定の手続きが必要となるため、郵送または持参によって提出するのが一般的です。
事業所を登録するための新規適用届
健康保険・厚生年金保険新規適用届は、会社が社会保険に加入するときに必要となる書類です。健康保険・厚生年金保険の適用対象となる事業を開設した旨を伝える書類であり、会社が社会保険に加入する際の申請書ともいえるでしょう。健康保険・厚生年金保険新規適用届の様式および記入例は、日本年金機構のホームページで確認できます。法人の場合、健康保険・厚生年金保険新規適用届とあわせて以下の書類も必要です。
- 会社の登記簿謄本の原本
適用届を提出する日から90日以内に発行された履歴事項全部証明書を貼付する必要があります。 - 法人番号指定通知書のコピー
事業主が国・地方団体・法人の場合に必要な書類です。
また、社会保険料の納付を口座振替で行いたい場合、健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書も提出します。
対象者を加入させるための被保険者資格取得届
社会保険の被保険者となる人について記載する書類です。健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届についても、日本年金機構のホームページで確認できます。資格取得届に記載する内容として、以下の事項が挙げられます。
- 事業所の概要
所在地・会社名・事業主(代表者)名・電話番号など、会社自体の基本情報を記載します。 - 被保険者の概要
氏名・生年月日・性別・マイナンバー・報酬月額・取得年月日(入社した日など)といった個人の情報を記載します。
社長一人の会社設立である場合は、社長である自身に関する情報の記載が必要です。原則として添付書類の必要はありませんが、雇用する従業員が一定の要件に該当する場合は、ケースに応じた添付書類が必要になります。
家族を扶養に入れるための被扶養者(異動)届
社会保険の被保険者となる人に扶養家族がいる場合に必要な書類です。健康保険被扶養者(異動)届を提出することで、被保険者の家族が社会保険の被扶養者となります。被扶養者の範囲・要件は以下のとおりです。
- 同居要件を問わない親族
被保険者に生計を維持されている、被保険者の配偶者・子・孫・直系尊属・兄弟姉妹などが対象となります。 - 同居が必須となる親族
被保険者と同一世帯であり、被保険者に生計を維持されている三親等の親族や、その他一定の要件を満たす人が対象となります。
健康保険被扶養者(異動)届とあわせて、被扶養者の戸籍謄本や住民票、収入要件を確認できる書類などの添付書類も提出する必要があります。ただし届出書にマイナンバーを記載している場合や、事業主が続柄を確認している場合は添付を省略可能です。収入要件を確認するために必要な書類はケースによって異なります。
会社設立後に社会保険へ加入する具体的な手順
会社設立後、社会保険の加入方法を流れで解説します。
- 社会保険加入に必要な書類を用意する
必要書類の詳細については、あらかじめ日本年金機構:法人の事業所を開設したときの手続きを確認しておきましょう。 - 会社所在地を管轄する年金事務所へ書類を提出する
窓口へ直接持参するか、郵送、あるいは電子申請によって手続きを行います。 - 健康保険証と承諾通知書を受領する
1週間~10日程度で被保険者となった人の健康保険証が届きます。また、年金事務所から事業所整理記号や事業所番号が記載された重要書類が届くため大切に保管します。
基本的には必要書類を用意して提出するだけとなります。書類の漏れや不備があると修正が必要になる恐れがあるため、提出前に確認するのが安心です。社会保険加入手続きの期日は、会社設立から5日以内となっています。会社設立登記の完了後、すみやかに社会保険の加入手続きをすすめるのがおすすめです。
社会保険加入手続きにおける実務上の最重要チェックシート
会社設立後の社会保険・労働保険の手続きについて、経営者が実務上で特に見落としやすいポイントをチェックシート形式で整理しました。法人の労務基盤をクリーンに構築するための最終確認としてお役立てください。
| 検証項目 | 実務上のチェックポイントと財務・労務リスク |
|---|---|
| 加入義務の有無の確認 | 社長一人の会社であっても、「法人格」を取得したことにともない、健康保険・厚生年金の強制加入義務を負うことを正しく認識して手続きを進めているか。 |
| 提出期限(5日以内)の厳守 | 会社設立登記の完了日から「5日以内」という非常に短い期日内に、管轄の年金事務所へ新規適用届などの書類一式を提出するスケジュールが組めているか。 |
| 添付書類の漏れなき用意 | 新規適用届に添付する「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の原本(90日以内発行)」や「法人番号指定通知書のコピー」を事前に漏れなく揃えているか。 |
| 非正規スタッフの判定 | パートやアルバイトなどの短時間労働者について、週20時間以上・月額8.8万円以上・従業員51人以上といった「最新の社会保険適用拡大ルール」に照らし合わせ、正しい加入判定を行っているか。 |
| 労働保険の追加手続き | 社長一人ではなく、一人でも従業員(パート含む)を雇用する場合、ハローワークや労働基準監督署への「雇用保険・労災保険」の開設手続きを並行して行っているか。 |
「会社設立後の社会保険加入」まとめ
- 社長一人でも例外なく強制加入となる法人の加入義務
会社を設立すると、従業員の有無に関わらず、すべての法人が社会保険(健康保険・厚生年金)の強制適用事業所となり、社長一人の会社であっても法律上100%加入する義務が発生します。 - 設立から5日以内という非常にタイトな届出の期限
社会保険の加入手続きは、会社設立登記の完了日から「5日以内」に管轄の年金事務所へ書類(新規適用届・資格取得届等)を提出しなければならず、遅延や未加入は過去に遡った保険料の強制徴収リスクを伴います。 - 労使折半による固定費の増加と最新の適用拡大への対応
毎月の社会保険料は会社と個人で折半して負担するため、法人の法定福利費(現金の流出)が確実に増加します。また、従業員51人以上の企業に対する短時間労働者の加入義務化など、最新の法改正への的確な対応が必要です。
会社設立後の社会保険加入手続きは、単に法律で定められた行政上の義務を果たすだけの事務処理ではありません。毎月の標準報酬月額をいくらに設定し、労使折半となる法定福利費コストをどのようにコントロールするかによって、設立初期の法人の貴重なキャッシュの手残りや、役員個人の手取り額、さらには従業員の定着率(福利厚生の充実度)にまで直結する、極めて重要な人件費・財務戦略の第一歩となります。
しかし、社会保険の加入手続きは、会社設立登記の直後の極めて多忙な時期に「5日以内」という驚くほど短い期限内で完了させなければならず、さらに従業員を雇用する場合は労働基準監督署やハローワークへの労働保険の手続きも地続きで発生するため、専門知識のない経営者が自力ですべてをミスなくこなそうとすると、多大な時間とリサーチの負担が重くのしかかります。不備や漏れによって健康保険証の発行が遅れれば、スタッフやその家族にまで直接的な不利益を与えてしまう恐れがあります。
変化の激しい時代だからこそ、自社であらゆる労務事務に追われて頭を悩ませるのではなく、社会保険労務士法人を傘下に持ち、税務と労務の双方をシームレスに連携できる私たちの強みを活かし、正確かつスピード感のあるバックオフィスの基盤を構築することが重要です。
ミスや漏れのない確実な開設手続きを進め、攻めの財務・労務戦略で法人のキャッシュフローを最大化させたいとお考えの経営者様は、東京・新宿を拠点に全国対応が可能な当法人の会社設立サポートをぜひご検討ください。貴社のこれからの偉大な第一歩を、ワンチームで全力で強力にバックアップいたします。自社に最適な最初の役員報酬の金額設定や、社会保険料を含めた精密な人件費のシミュレーション、クラウド会計・労務ソフトを活用したバックオフィスのDX化に関するお悩みは、以下の税理士無料相談窓口よりいつでもお気軽にお問い合わせください。
「会社設立後の社会保険」に関するよくある質問
法人の格を取得した以上、社会保険の「新規適用事業所(会社自体を社会保険のインフラに登録すること)」としての手続き(新規適用届の提出)は、売上の有無に関わらず会社設立から5日以内に必ず行う必要があります。ただし、社長ご自身の役員報酬が完全に「0円」である期間については、税法上も労務上も給与(報酬)が発生していないため、健康保険や厚生年金の保険料を算定するためのベース(標準報酬月額)が存在しません。したがって、実務上は会社自体の登録手続き(新規適用届)は済ませつつ、社長個人の「資格取得届」の提出については、将来役員報酬を実際に支払い始めるタイミングまで発生しない(それまでは個人の国民健康保険や配偶者の扶養などに一時的に留まる)という特殊な実務対応をとることが一般的です。役員報酬を1円でも支給し始めた段階で、速やかに資格取得の手続きが必要となります。
社会保険(健康保険・厚生年金)への加入は法律で定められた強制義務であるため、未加入のまま放置していると、日本年金機構や年金事務所による非常に厳格な調査と是正指導の対象となります。行政からの再三の指導や催告を無視し続けた場合、厚生労働省の権限によって会社に対して強制的に職権加入の手続きが取られます。その際、最も恐ろしい財務リスクは、健康保険法および厚生年金保険法に基づき、「過去2年間に遡って、本来支払うべきであった社会保険料の全額を、延滞金(利息)も含めて一括で強制徴収される」という強烈なペナルティです。これは従業員負担分も含めて、原則としてすべて会社が立て替えて一括納付しなければならないため、数百万〜数千万円規模の予期せぬ現金の流出となり、設立間もない法人は一瞬で資金ショート(倒産)に追い込まれます。さらに、悪質なケースでは「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰が経営者個人に科されるリスクもあるため、未加入で通し続けることは実務上絶対に不可能です。
原則として、法人化(会社設立)を果たすと、それまで個人の国民健康保険組合(医師国保、歯科医師国保、建設国保など)に加入していたドクターや建設業者であっても、法律上の厚生年金保険および健康保険の強制加入のルールが優先されるため、一般の政府管掌健康保険(協会けんぽ)へと強制的に切り替えとなります。ただし、実務上の非常に重要な例外措置として、管轄の年金事務所に対して事前に「健康保険被保険者適用除外承認申請書」という書類を提出し、国の承認を正式に受けることができれば、厚生年金保険には加入(必須)しつつ、健康保険の部分だけは使い慣れた「医師国保」や「建設国保」の資格を法人化後もそのまま維持して継続する(協会けんぽへの移行を除外する)という有利な手続きが認められるケースがあります。これにより、業種特有の手厚い医療保障や、独自の定額保険料メリットを法人の役員・従業員となった後も賢く活かし続けることが可能です。ただし、この申請は「法人成りの登記完了から14日以内」などの大変厳しい期限が設定されているため、事前の社労士や税理士との連携が必須となります。
この記事の監修者

吉岡 伸晃 Nobuteru Yoshioka
BIZARQグループ 代表 / 公認会計士・税理士・行政書士
大手監査法人での経験を経て、現在はスタートアップから医療法人まで幅広い企業の財務・経営戦略をサポート。事業計画策定や資金調達支援に強い。


